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頼るべき味方【32】


 こちらへと向かって走ってくる一台の馬車。

 たしかにこの道は街道といっていいほど整った道ではある。もしかしたらただの通りすがりの馬車なだけなのかもしれない。


 おっちゃんが頭の中で俺に話しかけてくる。


『あの馬車が来た方向を考えろ。あの方向には何があった?』


 そう。あの道の向こうにはセディスが居た街がある。俺たちはそこから逃げてきた。


『黒騎士もその街に居た。その方向から来た馬車だ。答えはわかっているだろう?』


 味方であるはずがない。

 俺は影で拳をにぎり、警戒を強めた。


 なぁおっちゃん。


『なんだ?』


 もしあの馬車に敵が乗っていたら、おっちゃんが戦ってくれるのか?


『あまり俺をアテにするな。憑依した体で戦うにも限界がある。かと言ってお前をこのまま戦いに巻き込ませるわけにはいかない。巻き込まれればお前の中に封印しているクトゥルクが目覚めて一気に暴れ出す。今のお前にクトゥルクを制御する力はない。なるべく戦わない方法を考えろ。それに……』


 それに、なんだよ。


『ディーマンが裏切らないとも限らんしな。いざという時の為に力は温存しておきたい』


 裏切る?


『それだけお前が持っている力は強大だってことだ。この世界では強さこそがこの世の全て。だからこそ黒騎士がデカイ面してあちこちで好き勝手しているというわけだ。歯向かう力が無ければ負け犬のごとく尻尾を巻いて黒騎士から逃げるしかない』


 だからセディスも狙っていたというのか? クトゥルクの力を。


『そうだ。黒騎士に対抗できる唯一の力。それがクトゥルクだ』


 おっちゃん。


『なんだ?』


 余計俺にこの状況をどうしろと?


『求めるな。まずは自分の力で考えろ。頼るべき味方はお前のそばに置いてある』


 頼るべき味方……。


 俺の目が自然とDの居る方へと向いた。

 が、しかし。

 目を向けた時にはすでにDの姿はどこにもなかった。

 小猿が俺の肩へと登り上がってくる。


「すまんな。どうやらDに時が来てしまったようじゃ」


 時が来た?


「異世界人の言葉に直すならログアウトというやつじゃよ」


 俺は内心でおっちゃんに呼びかける。

 なぁおっちゃん。


『なんだ?』


 俺は一度鼻で笑ってから内心で言葉を続けた。

 頼るべき味方が、なんだって?


 さほど反省の色もなく。陽気に鼻でもほじるかのように、おっちゃんは平然と言葉を返してきた。


『まぁなんつーか、あれだ。頼るべき味方が居なくなってお前ピンチだな』



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