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信じるべきはおっちゃんか? それともセディスか?【23】


 セディスが店の中で店主と交渉を交えながら会計を済ませている間、俺は店の外で待っていた。


 足にしがみつくデシデシ。頭上にスライム。そして肩のところに毛むくじゃらの生き物。

 はたから見て、俺はすごく異様な人物だった。


 モップが毛の合間から裸手を出して俺の服をくいくいと引っ張ってくる。

 それに合わせておっちゃんが頭の中で話しかけてきた。


『いいか。俺が交信してきたことを絶対にセディスって奴には言うなよ』


 理由を言え。


『交信を遮断させられるからだ』


 ──チリン、と。乾いた鈴の音が鳴って、セディスが店から出てくる。


「お待たせしてすみません。では行きましょうか」


 俺は頷いてセディスについていった。

 そして謝る。

 ごめん、お金使わせて。この支払いは今回の報酬だけで足りるかな?


 セディスはにこりと笑ってきた。

「充分ですよ。それより良かったですね。ジャングルのお友達を未然に助けることができて」


 ……。

 俺の頭上のスライムがぴょんぴょんと飛び跳ねた。

 いや、もう慣れたから別にいいけど。

 ため息とともに、俺は内心でおっちゃんに話しかける。

 なぁおっちゃん。


『なんだ?』


 なんであんな場所に俺の大事な仲間を売ったんだ?


『非常に危険な賭けだった。こうでもしないとお前と交信ができなくてな』


 もし俺があの店の前を通らなかったり、行かなかったりしたらどうするつもりだった?


『丸一日待って、ダメならまた別の方法を考えるつもりでいた』


 無謀だな。


『計画性があると言ってくれ』


 それのどこが計画だ。


 ふと、セディスが怪訝そうな表情を俺に向けてくる。

「どうかしましたか?」


 え?


「急に黙られたので」


 ……。

 俺はおっちゃんのことを言おうか少し悩んだが、結局は首を横に振った。


 いや、なんでもない。



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