午後十時――を普通に過ぎて翌日だぞ、オイ。【12】
朝だった。
目を覚ませば俺は、机にうつ伏せたまま朝を迎えてしまっていた。
俺は窓へと目をやる。
窓から外を見れば、空はすでに明るんでいた。
結局、何事なく朝か。
置き時計へと目をやると、時計の針は夜の十時をとっくに過ぎ、朝の八時を知らせていた。
俺はため息を吐くと、ゆっくりと体を机から起こした。
無理な体勢で寝ていたせいか、体のあちこちがすごく痛んだ。
軽くストレッチをしながら欠伸をする。
今の今まで、おっちゃんは未だに一言も話しかけてこない。
夜の十時っつったよな?
あーもうなんだよ。また振り回されてばっかじゃんか。
苛立つように、俺はベッドへと移動してごろんと横になった。
すると一階から、母さんがご飯を食べるよう言ってきた。
俺は気だるく体を起こす。
ベッドから降り、自室を出て、一階へと階段を下りた。
食卓に着いた俺に母さんが言う。
「早く起きてこなかったから昨日のカレーはお父さんがお弁当に持って行っちゃったわよ」
ウソだろ。
「嘘じゃないわよ。ほら、早くパンでも食べて宿題するか部活に行くかしなさい」
どっちも嫌だ。
「嫌だ嫌だも好きの内。夏休みの宿題は終わったの?」
あと一つ。
「何が残っているの?」
読書感想文。
「だったら今から図書館に行って本の一つでも読んできたらどうなの?」
めんどくせぇ。本なんて読んだらすげー眠くなるし、それに眠ったら──
言いかけて、俺は口を閉じた。
母さんが不思議そうに首を傾げて問い返してくる。
「眠ったら、何?」
俺は首を横に振った。
いや、なんでもない。
答えて、食卓の椅子に座るとパンにかじりついた。




