第5話:【家】絶対に開けてはいけない「天袋」
1: 1/2:2026/03/26(木) 22:05:30.11 ID:Tenbukuro-9
築40年の格安物件に引っ越したんだけど、和室の押し入れの上にある「天袋」が、頑丈にガムテープで封印されてたんだ。
不動産屋からは「前住人の荷物が入ってるから、開けないでくれ。近いうちに回収に来る」って言われてた。
でも、引っ越してから2ヶ月経っても誰も来ない。
それどころか、夜中になるとその天袋の中から「トントン、トントン」って叩く音が聞こえるようになった。
それも、何か硬いもので叩いてるんじゃなくて、「人間の拳でゆっくり叩いてる」みたいな音。
昨日の夜、ついに我慢できなくて脚立を持ってきて、ガムテープを剥がしたんだ。
2: 2/2:2026/03/26(木) 22:07:22.54 ID:Tenbukuro-9
埃まみれの戸を引くと、中にはボロボロの「ランドセル」が一つだけ置いてあった。
なんだ、子供の忘れ物かよ、と思って手を伸ばした瞬間。
ランドセルの横から、シワシワの、小さな手が伸びてきて俺の手首を掴んだ。
子供の手じゃない。肌が土色で、爪が異常に長い。
「あけたね」
掠れた声が聞こえて、俺は脚立から落ちた。
見上げると、天袋の暗闇から、顔中がガムテープでぐるぐる巻きにされた「何か」が、這い出そうとして身を乗り出してる。
ソイツ、自分で自分の口のあたりのテープをバリバリ剥がしながら、こう言ったんだ。
「やっと、かわってもらえる」
3: 本当にあった怖い名無し:2026/03/26(木) 22:15:00.88 ID:unknown
天袋の「封印」って、中のものを出さないためじゃなくて、
「入ったやつを逃がさないため」だったりするんだよな……。
4: 1/3:2026/03/26(木) 22:18:42.10 ID:Tenbukuro-9
「やっと、かわってもらえる」
掠れた声が聞こえて、俺は腰を抜かした。
ソイツが天井から逆さまに這い出し、俺の目の前まで降りてきた瞬間。
グワリ、と視界が歪んだ。
一瞬の浮遊感。
気がつくと、俺は暗くて狭い場所に押し込められていた。
カビ臭い木の匂いと、埃の質感。
……天袋の中だ。
慌てて戸を引こうとしたが、外側から凄まじい力で押さえつけられている。
「開けろ!出せ!」
叫びながら隙間に指をかけた瞬間、外から「あの音」が聞こえてきた。
バリバリッ、バリバリバリッ!!
ガムテープを、執拗に、何重にも貼り重ねる音。
隙間から見えたのは、さっきまで腰を抜かしていたはずの**「俺」**だった。
ソイツは無表情に、機械的な動きで、俺を閉じ込めた天袋の戸をガムテープで封印していく。
5: 本当にあった怖い名無し:2026/03/26(木) 22:20:05.12 ID:unknown
おい≫4、お前どうやって書き込んでるんだよ?
スマホは天袋の中にあるのか?
6: 2/3:2026/03/26(木) 22:22:15.88 ID:Tenbukuro-9
手元にスマホなんてない。暗闇で何も見えない。
でも、頭の中に直接「スレの画面」が浮かんでくるんだ。
念じると文字が打てる。
待て、これ……俺が書き込んでるんじゃない。
外にいる「ソイツ(偽物)」が、俺のスマホを使って、俺の絶望を実況してやがるんだ。
脳内に、ソイツが薄笑いを浮かべて画面をタップしている感触が流れ込んでくる。
「あ、回収に来ました?」
部屋の入り口から、不動産屋の声がする。
「ええ、準備はできてます。中身も大人しくなりました」
「俺」の声で、ソイツが答えた。
7: 3/3:2026/03/26(木) 22:25:30.45 ID:Tenbukuro-9
ガタガタと天袋ごと激しく揺さぶられた。
どうやら、天袋の箱ごと壁から引き剥がされたみたいだ。
「これ、どこに持っていくんですか?」
「『前の住人』たちが待っている場所ですよ。あそこはもう、天袋だらけで置き場に困るくらいですがね」
不動産屋が笑いながら、俺の入った箱を運んでいく。
今、トラックの荷台に乗せられたみたいだ。
周りから「トントン、トントン」って、何十人もの拳で木を叩く音が聞こえる。
暗闇の中で、足元に何かが触れた。
……ボロボロのランドセルだ。
中には、俺がさっきまで着ていたはずの服が、ぐちゃぐちゃに詰め込まれていた。
ソイツ、今から俺の家で、俺の顔をして、俺の家族に会うつもりなんだ。
最後に、ソイツの思考が流れ込んできた。
『次は、お前の友達の家に行くよ』
意識が遠のく。
頼む、誰か、このスレを見ている奴。
もし押し入れの天袋にガムテープが貼ってあったら、絶対……
8: 本当にあった怖い名無し:2026/03/26(木) 22:30:00.00 ID:Tenbukuro-9
開けちゃダメだよ。
とっても、いいところだから。




