表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
これは主人公がやることですか?~世界一狂った学生のくだらない日常~  作者: クレキュリオ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

2/3

第1話 部室は遊び場です

 パソコン部と言うものが、学校にある。

 昔はコンテストで賞を取るほどの、輝かしい功績があった。

 だが顧問が変わって、作品作りが困難を極めたらしい。


 当時十人居た部員たちも、今じゃたった三人だけ。

 取り合えず最低限の活動と部員数らしく、背部は免れている。

 問題なのは、今年は新入生が入ってこなかった事だ。


「で、俺を何故連れてきたんだ?」


 二年生である青影雷治は、雪道吹雪に着いて行った。

 余り関わるなと言っても、こいつらは聞いてくれない。

 良く集まる場所があると聞いたので、放課後に案内された。


 それがパソコン部の部室だった。情報処理室ではない。

 放送室の奥にある、小部屋。それが部室だ。

 冬木と雪道、もう一人草月と言う人物が今の部員らしい。


「勧誘だよ。暇なら付き合ってくれ」

「まあ、暇は暇だけどさ……。そう言うの、部長がやるものじゃ?」

「ユウキにお決まりなど、通用しない」


 どうやら冬木の方が、部長らしい。

 パソコン部は映像作品を作る部活だと聞いている。

 最低限の活動とは、文化祭の発表と学校紹介の動画作成だ。


 新入生に学校の紹介をする映像を、毎年新規で作成。

 文化祭ではコミカルな作品を、展示しているらしい。

 俺もサブカルには理解があるが、オタクと呼ばれる域に達せてない。


「それに個室なら、悪い風潮も広がらないだろ?」

「そりゃ、気遣いありがとうよ」


 俺がどんな人間が、周囲の評価などは既に説明した。

 それでも二人は、俺と関わるのを止めなかった。

 何やら俺に、素質があるらしいのだ。なんの?


「一応だが、俺はパソコンを使えこなせていないぞ」

「あぁ。動画制作と言っても、そこまで難しい訳じゃないし」


 放送室の鍵は開いていた。放送部は存在しない。

 そもそも放送室から、校内放送が流れることはない。

 この部屋は昔の名残であり、機械はもう動かないらしい。


 顧問が適当な人らしく、部室の鍵は生徒が管理している。

 冬木と雪道がそれぞれ持っているらしい。


「半分は遊びみたいなものだ。部活動と言っても最低限」


 フゥ~ンっと言った感じに流そうとしたが。

 扉を開けた途端に、流せない光景が広がっていた。

 まず部屋の様子を説明しよう。


 パソコン部らしく、高価なパソコンや機材が整列している。

 その周りに人形やフィギア、プラモデルが大量に並べられている。

 他にもモデルガンなど、明らかな私物が持ち込まれている。


「恐怖心……。心の中に……。恐怖心」


 だが部屋の様子が普通に見えるほど、人が異常だった。

 黒髪ショートヘアーで、制服姿の少女がモデルガンを発砲している。

 それを冬木がおもちゃの剣で、弾を撃ち落としていた。


 いや、そもそも音だけで弾が発射されているのか分からない。

 地面にはモデルガンに使われる弾が落ちていないから。


「あ……。うっ……」


 突如少女が胸を抑えて、苦しむ表情になる。

 膝をつきながら、苦しそうな表情をする。


「蒼……!」


 冬木が心配そうに、少女に駆け寄った。

 名前から察するに、彼女が最後の部員である草月だろう。


 苦しむ彼女に冬木が肩を貸すと。草月は銃口を冬木に突きつけた。

 引き金が引かれると同時に、冬木が明らかに自分で吹き飛んだ。

 飛び過ぎた勢いで、腰付近からカードケースが落ちる。


「あ! ベルトが飛んでしまった! 美術部に怒られるぅ!」


 丁度ケースが俺の足元にあるため、冬木達は俺達に気が付く。

 草月は目を大きく開いて。冬木は物凄い冷静な表情だ。


「うわあああああああ!」


 少女は尻もちをついて、恐怖の表情と悲鳴を上げた。

 その後冬木の背中に隠れるように、移動する。


「ああ。来たかい? 蒼は人見知りだから、悪いな」

「それより、何してんのか説明求む」

「サブカルに詳しくなれば分かるさ」


 どうやら、俺が入部する前提で話しているようだ。

 まだ決めていないが、ちょっと興味はある。

 正直、俺はアニメや漫画が好きだ。


 孤独になっただけで、寂しがり屋なのも認めている。

 だから部活動にも興味があった。


「まあごっこ遊びだから、気にしないで欲しいな」

「いや、気になるよ。この部屋の様子とかも」


 まるで監視するかのように、人形たちに囲まれている。

 特撮に登場するであろう、怪獣やヒーローの人形が多い。


「あ、それら僕の私物。一応今年はストップアニメーションを、制作するから」

「ストップ……。なんだって?」

「人形を一コマずつ撮影して、動いてるように見せるアニメの事だ」


 そう言えば、流行ったアニメがあったな。

 一時みんな、プイプイ言っていたような気がするが……。


「合成を楽にするための、グリーンバックも容易しているんだよ」


 名前は聞いたことがあるが、何故楽になるのか知らないな。

 パソコンは綺麗だし。思ったより本格的な部活らしい。

 撮影用と思われる、冬木の人形をざらっと見つめる。


「これは全部、撮影用に買ったのか?」

「いや、好きだから買った。でも遊んでくれる人が居ないから、持ってきた」

「寂しい事言うなよ……」


 確かに中学生になって、人形遊びはちょっと恥ずかしい気がするが。

 

「別に一人でも遊べるけどさ。僕はTCGですら、一人で遊ぶから!」

「雪道と草月は、遊んでやらんのか?」

「俺はエンジョイ勢だ。蒼はガチ勢。ユウキはどっちつかずだから、遊べん」


 全く意味が分からない理屈で、遊ばないらしい。

 同じゲームをやっているなら、遊べばいいのにと思う。


「ところで吹雪。ゴルちゃんの尻尾が見当たらないんだけど……」

「ああ。こないだカリバーで切ったら、どっか行った」

「恐竜先輩もマッチョパーツのままだし……。片付けて帰れよ……」


 全く分からん会話を始める冬木と雪道。

 草月は恥ずかしいのか、部屋の隅で蹲っている。

 この場に放置されるのは、正直しんどい。


「蒼、自己紹介してろよ。俺らはもう、済ませてあるから」

「済んでねえよ……。お前の朝食事情しか、知らないのよ」


 実を言うと、雪道達と出会ったのは今日だ。

 朝声をかけられて、何故かここに連れてこられた。

 昼休みにもちょっと話したが、この二人はどこかおかしい。


「そ、草月蒼です……。ゲームと機械弄りが好き……」

「あ、ああ……。青影雷治だ」


 余り仲良くない人には、大人しい子のようだ。

 二人のテンションに慣れたので、対応に困る。


「お、お近づきの印に、どうぞ……」

「こ、これはご丁寧にどうも……」


 巻き込まれて俺も変な口調になりながら、渡されたものを受け取った。

 おもちゃのようだが、何かまでは分からなに。


「銃です」

「うん。それは見たら分かるけど……」


 何の銃なのかを、説明して欲しいのだが。

 草月は限界と言わんばかりに、黙り込んだ。


「はい、オーディン! 一旦CM入りまーす!」


 冬木が間に入り、草月の視界から俺を消す。

 ホッとしたような声が、向こう側から聞こえる。


「無理すんなよ。グイグイ行くと、失敗する」

「うん、気を付ける」


 どうやって仲良くなったのか知らないが。

 草月と冬木は随分気の知れた仲のようだ。

 俺の時と全然態度も、話し方も違う。


「場を盛り上げようと、暴走しがちだ。大目に見てくれ」

「随分と、仲が良いんだな」


 冬木も雪道も、友達は多くない。

 今日観察してみたが、二人共ややクラスから一歩引いたポジションにいる。

 大勢と繋がるより、少数と深い付き合いが良いとの事だ。


 少数と深くつながるか……。正直悪くない気がしてきた。

 俺が気遣っても、どうせこいつらはがつがつ来る。


「入部申請は、どうすれば良い?」


 だから思い切って、俺も輪に入る。

 きっとこれが、大事な一歩だと思うから。


「顧問に僕が連絡すれば終わり」

「適当だな。お前達らしいよ」

「つまんない常識だって、あるだろうさ」


 俺は正式にパソコン部に入部することにした。

 サブカルチャーに詳しいわけではないが。

 彼らを知る、良い切っ掛けになるだろう。


「入部するのか? 丁度こっちも修理が終わったぞ」


 雪道が人形を持って、俺達の間に入る。

 先ほどの尻尾が切れた怪獣に、パーツが挿入されてる。

 ゴルフクラブのパーツが。


「お前、ゴルちゃんを改造してんじゃねえよ!」

「ゴルフと一文字違いじゃん?」


 雪道は持っている人形に、更なる改造を変えた。

 両手のパーツを外し、別の怪獣のパーツをつける。

 右腕にマッチョな腕を。左腕に鎌の腕をつける。


「やめろ。悪い子供の遊びをやめろ。劣化タイラントを作るんじゃない」


 雪道は悪戯笑みを浮かべながら、人形を持って移動。

 改造人形を、美少女フィギアの隣に置いた。

 アニメのフィギアなのか、カードを手に持った少女のフィギアだ。


 フィギアに握られたカードを、雪道は外す。

 カードを改造人形の腰当たりに刺し込んだ。


「封印すんなし! そう言うカードじゃないから」

「お前ら、普段からこんな事しているのか?」


 少々呆れ気味で俺は問う。

 ユウキは苦笑い、雪道はどや顔で頷いた。


「パソコン部は通称、創作部だ。想像と創造力が試される」

「コイツのは想像じゃなくて、悪知恵だけどね」


 冬木が別の場所から、ロボットのプラモデルを持ってきた。

 握られたライフルを、改造人形の頭に突きつける。


「倒されるか、封印かの二択」

「どっちもろくでもねえな」

「永遠の苦しみか、死ぬけど終わりかだね」


 下らない会話をしながら、改造人形で盛り上がる冬木達。

 それは無邪気におもちゃで遊ぶ、子供そのものだ。

 忘れていたが、人形も遊ぶためにあるのだ。


「これさ。このヒーローのマントこっちにつけたらさ」


 草月も参加して、マッチョパーツの恐竜先輩を持ってきた。

 ヒーローフィギアのマントを、恐竜先輩の背中に装着する。


「バットン! ピロピロピロ!」

「良いね。それ。それあれだよ。クラシック流したら、雰囲気出るよ」


 三人は俺を無視して、遊び始めた。

 この光景は到底部活動に見えないが、青春感はどことなくある。

 失ったもの。もう戻らないと思ったものが、あっさり戻ってきた。


 これは混ぜろと言って、混ざるものじゃないんだろうな。

 彼らにとって、自然体なのだから。

 俺も何も言わず、混ざることにする。


「これとかも良いかもな」


 俺はプラモデルと、人形を持って参加した。

 三人とも何も言わず、俺の参入を認める。


「恐竜の上に戦車を乗せる」

「合体させんの?」

「しない。乗せるだけ」


 ユウキが難しい表情をしながら、懐を探った。

 その後、五と書かれた札を出す。


「発想力が弱い! 元ネタに近いのよ!」

「知らねえんだよ! その元ネタとやらを!」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ