第80話 お願い
第80話です。
楽しんでいってください!
「ありがとうございました。またのお越しをお待ちしております。」
その言葉を背にリリスたちは中央通りへと足を踏み出した。
彼女らの手にはいくつかの化粧品が入った袋が握られ、カチャカチャと音を鳴らす。
「それじゃあ、次はどうしましょうか?」
アリーの問いにリリスは迷いなく言葉を返す。
「領主の館へ。」
アリーは頷き、街の中心部へと案内を開始したのだった。
中央通りをのんびりと歩くこと20分。
リリスたちは昨日も訪れた建物の前で子爵と対面していた。
「本日はどうなさいましたか?」
子爵はにこりとほほえみ、2人に視線を向ける。
「この子はとても優秀ですね。私達が行きたい場所と指示を合わせて調整してくれたのですよ。」
「それは良かったですわ。楽しんでいただけましたか?」
子爵は顔色1つ変えず、扇子で口元を隠す。
「もちろんよ。お買い物もできたし、大満足。明日は海の近くに行ってみたいわね。海鮮類がとても美味しかったもの。さぞ美しい海なのでしょう。」
「ええ。澄んでいてとても美しいと評判なのですよ。明日は港に案内させますわ。」
子爵はそう言いながら笑みを深める。
リリスは「楽しみね。」と返し、話を続けた。
「ああ、そうそう。税金をどう使っているのか知りたいから、アリーに届けさせることは可能かしら?」
「もちろんですわ。それなら、今から彼女に持ってこさせましょうか?」
「遠慮するわ。まだ少し街を見てみたいもの。・・・失礼するわね。」
リリスはそう告げてから踵を返す。
その背中を子爵は無言で見つめていた。
その瞳に浮かんでいるのは安堵と嘲り。
リリスはそのことに気づいていたが、歩みを止めることはなかった。
リリスたちはというと、中央通りーーではなく、拠点の方向へと歩いていた。
「あの、本当にもうお帰りになるんですか?」
アリーは疑問を顔に浮かべて首を傾げる。
「ええ、本当。」
「でも、ラヴィエンヌさんはどこかに行ってしまったみたいですけど・・・。」
そう言って彼女はラヴィが立ち去った方向にちらりと視線を向ける。
どこか不安そうな様子できょろきょろと周囲を気にしていた。
「ふふっ。大丈夫よ。ちょっとした用事でしょう?」
リリスは安心させるように穏やかにほほえむ。
ラヴィなら、大丈夫だと思うけれど・・・。
リリスもまた、ラヴィが歩いていった道を見つめるのだった。
これからものんびり投稿していきます!
ちょこちょこ覗きに来てください!




