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第76話 中央通り

 「ここが中央通りです!」


アリーはだんだんと緊張がほぐれてきたようで、笑顔でそう告げた。


中央通りでは、貴族が利用するような物価の高い店が子爵邸の付近にあり、街の端――海に近づくほど安価な商品を取り扱う店が増えていく。

リリスたちが現在いるのはその中間――朝市に近かった地点である。

ここは少しおしゃれなカフェや本屋などがあり、領民が少し贅沢をしようという時によく利用しているらしい。

ちなみに、アリーの家の商会も付近にあるそうだ。


「それでは、こちらからご案内します!」


そう言ってアリーが示したのは、子爵邸の方向。

ラヴィは明らかに不満げな表情を浮かべてアリーをにらみつけた。


「なんでそっち?領民たちの生活を知るならこっちでしょ。」


「で、でも、奥様にこっちからと言われてて・・・。」


「それなら仕方がないわね。明日は海の方が見てみたいと子爵に伝えましょう。」


リリスは2人の間を取り持ち、微笑む。

そんなリリスを見て、アリーはほっとしたように息を吐いて案内を開始するのだった。



 「どんなお店を見に行きますか?」


「そうね・・・。とりあえず、本屋に行ってみようかしら。」


「わかりました!」


リリスの言葉通り、本屋へと案内を始めるアリー。

リリスたちはその後ろを黙ってついて行くのだった。

もちろん、ただ黙っている訳ではない。

『通信』で念話を行っていた。


『情報を集めるなら、本屋でしょう?』


『まあ、その土地の新聞を見るのは大事、か。』


『その次は・・・。』


2人はその後のことも考えつつ、アリーの後に続くのだった。




 「ここが通りで一番大きい本屋さんです!」


アリーの言う通り、本当に大きい本屋だった。

本屋、というよりも図書館に近いような気もする。

3階まである建物の四方の壁に設置された本棚にはぎっしりと本が並べられている。

受付のような場所は『貸出』と『売買』の2つのスペースに区切られていた。


「借りた本を読んで、気に入ったら買うってこともできるから領民には大人気のお店なんですよ!」


アリーはそう言って本屋の案内を始めた。

リリスとラヴィは事前に打ち合わせていたように別れる。

リリスはアリーの話を聞くために椅子に座り、ラヴィは新聞のあるスペースに向かった。

もちろん、アリーはリリスの目の前に座っている。

彼女はそわそわしながらも、リリスの言葉を待つ。


「ごめんなさいね。話って言っても、ちょっと世間話がしたいなって思っただけだから。」


「そ、そうなんですね。」


アリーはまだ少し硬い表情だが、先ほどよりかは肩の力が抜けたように見える。

リリスはそれを確認し、口を開いた。


「アリーさんのご実家は商家なんだよね?」


「はい。」


「どんな商品を扱っているの?」


「日用品が主ですね。あとはちょっと高価なアクセサリーや服があります。結構人気ですね!最近はなんだか特に売り上げがいいみたいです。」


アリーは目を輝かせ、楽しげに語る。


「あら、そうなの?私も少し見てみたいわね。」


リリスのその言葉を聞き、さらに彼女は目を輝かせた。


「それなら、次は家にいらっしゃいますか!?」


「そうね。楽しみだわ!」


2人はその後も他愛のない話を続けるのだった。

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