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第67話 訓練開始

 「お願いします!」


今日から、アルマンとヴェロニクによる訓練が始まる。

ヴェーヴはわくわくし、きらきらした瞳を2人に向ける。


「よろしくね。ヴェーヴちゃんは今まで、何か教わったことはある?」


「体術をちょっとだけやったよ。」


「それなら、ヴェロニクに実力を測ってもらうわ。思いっきり攻めて頂戴!」


ヴェーヴとヴェロニクは3人がいる小さな訓練場の中心に立ち、向き合う。

2人の間に張りつめた空気が流れ、構えた。


「それじゃあ、初め!」


ヴェーヴはその言葉とほぼ同時に駆けだす。

ヴェロニクは左手を前に突き出し、腰を落としてじっとヴェーヴの動きを見つめている。


ヴェーヴはヴェロニクの左側から足を払い、その勢いを利用して右の拳を突き出す。

しかし、そのどちらも、手ごたえなく空を切った。


やっぱり!


ヴェロニクは宙に飛び上がって、ヴェーヴにかかとを勢いよく振り下ろす。

それを予想していたヴェーヴは大きく飛びのいていたため、けがはなかった。

その代わり、訓練場の、板張りの床が砕け散る。


ヴェーヴは時間を置かず、そのまま駆け出し、かかとを落としたまま動きを止めているヴェロニクに蹴りを繰り出す。

その足はトンっという音とともに受け止められ、ヴェーヴは投げ飛ばされた。


「そこまで!」


その言葉と同時に、2人は動きを止め、立ち上がった。


「お疲れ様!ちょっと休憩したら、訓練を始めましょう。」


「それじゃ、私は遠征に行ってくる。・・・いい動きだったぞ。」


「ありがとうございます!」


ヴェロニクは手を振りながら訓練場を出ていく。

ヴェーヴとアルマンは手を振り返しながら、ふと訓練場の穴に目を向けた。


「あれ、どうしましょうか。」


そう苦笑するアルマン。

ヴェーヴも苦笑いを返しながら、そっと視線をそらした。


だって、あんなの当たったら死んじゃうもん。


ヴェーヴが休憩している間、アルマンは訓練場の床を見つめて溜息を吐いていた。




 さて、そろそろ始めようか、そんな時に聞き覚えのない声が響いた。


「おいおい、何やってんだよ、アルマン。」


「アルマンさん、お久しぶりです。」


訓練場の入り口に立っていたのは2人の男女。

1人は琥珀色の瞳を細めてにやにやと笑う男性。

もう1人は十字架を首にかけているのに、タバコを吸っている女性。


「久しぶりに帰ってきたら、俺らが使ってた訓練場から破壊音が響いてきたんだぜ?何やってんだってなるだろ。」


「見ればわかるでしょ。1撃でこんな穴を開けられるのは。」


「・・・ヴェロニクさんですか。いい加減、費用請求したらどうですか?」


面白そうに、より目を細める男性と、あきれたように目を回す女性。

そんな2人を観察していると、突然、男性がヴェーヴに視線を向けた。


「それで、その金髪のちびは?」


「この子はヴェーヴちゃん。ノノちゃんがさらってきちゃったのよ・・・。」


「へぇ。」


男性はヴェーヴをじろじろと見る。

隣の女性はそんな男性の頭に無言で手刀を落とした。

そんな2人をスルーし、アルマンは2人をヴェーヴに紹介する。


「2人は4番隊の隊長と副隊長。頭を押さえてるのがジャック君。それで、タバコを吸ってるのがサビーヌちゃん。」


「よ、よろしくお願いします。」


ヴェーヴはあたりさわりなく、挨拶をして困ったようにアルマンを見上げるのだった。

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