第60話 稽古の約束
第60話です。
楽しんでいってください!
「あら、ノノちゃん。相変わらず派手にやっているわねー!」
ノノは身の丈ほどもある斧で訓練用に鎧をつけた人形を一撃で両断する。
武器の重さを感じさせない動きで並べられた人形の間を駆け抜けた。
あれ?
なにも切ってない?
そんな風に思った、次の瞬間――
ノノの背後にある人形が、初めに切られた人形と同じようにバタバタと崩れ落ちた。
わぁ!
かっこいい!
ヴェーヴはその光景を見ながら目を輝かせる。
「あ、アル姉!姐さん!」
ノノが訓練場の隅に立っているヴェーヴたちに気付き、小走りで駆けよる。
ヴェーヴはそのことに気付き、ヴェロニクの後ろに隠れた。
「2人ともお疲れ様です!・・・どうだった?」
「さすがねぇ、ノノちゃん。すごかったわよ。」
アルマンがノノの頭をなでながら言う。
ノノは子供のように、ニコニコと嬉しそうに笑っていた。
「ノノ、さん。」
ヴェーヴはヴェロニクの背中から少しだけ顔を出す。
「あ、ヴェーヴちゃん!」
ノノはヴェーヴのことを初めて見つけた、というふうに目を見開き、笑った。
「ノノさん、すごく、かっこよかった!」
「わぁ!ありがとう!」
ノノはその言葉を聞いて、さらに笑みを深める。
その時、ヴェロニクがおもむろに口を開く。
「ヴェーヴもできるようになりたいか?」
「うん!」
ヴェーヴはかつてないほどに目を輝かせ、こくこくとうなづいた。
「そうか。それなら私が教えよう。」
「私も手伝っちゃおうかしら!」
「お、お願いします!」
ヴェロニク、アルマンの2人が柔らかい笑みを浮かべ、うなづいた。
「それじゃあ、訓練頑張ってねー!」
アルマンがノノに手を振りながら訓練場を出ていく。
ヴェーヴとヴェロニクもその後に続いた。
ヴェーヴたちが出ていった直後、ラナが訓練場にやってきた。
「・・・ノノ、どうかしましたか?」
ノノのふてくされたような顔を目にしたラナは、面倒ごとの予感を感じながらそう尋ねる。
「ヴェーヴちゃんに、アル姉と姐さんが稽古つけるんだって。」
「それは、いいことなのではないですか。」
ラナは何がダメなのかと首を傾げる。
ノノはさらに頬を膨らまして続けた。
「・・・だって、ずるいもん。隊長格の内、トップ1,2に稽古つけてもらえるなんて・・・。」
ラナは合点がいった、とノノの愚痴を聞き流す姿勢を取る。
「私の訓練の相手してもらいたいのに、私だって稽古つけてもらいたいのに・・・。」
「そうですね。」
ノノは「むー。」と頬を膨らまし、ラナをにらむ。
そして、少しの間だけ何かを考えてから再び話し始めた。
「・・・誰かが私の相手してくれないと、仕事に戻れないなー。」
「そうですね。」
「じゃあ、ラナが相手、してくれるよね?」
「そうですね。」
ノノはしてやったりといった表情を浮かべ、「やったー!」と笑った。
ラナはそこで我に返り、先ほどの会話を思い返し、さぁっと青ざめた。
「・・・また、今度やりましょう。」
そう言って踵を返すラナの背中にノノが声をかける。
「ふーん。じゃあ、私は仕事に戻らなくていいんだー。」
にやにやとからかうように笑いながら。
「うっ・・・。わかりました・・・。でも、1戦だけですよ。」
「それは、約束できないかなー。」
こうして、ラナはノノの地獄の模擬戦に巻き込まれたのであった。
これからものんびり投稿していきます!
ちょこちょこ覗きに来てください!




