第57話 涙
第57話です。
楽しんでいってください!
「それでは、今の状況を説明します。」
ラナエル――ラナがノノさんの言葉を遮るように話し始める。
「簡潔に言うと、ノノが早とちりして貴方をさらってきた、ということですね。」
そう言ってちらりとノノを流し見てそう告げた。
「むぅ。だから、さらってきたってひどくない!?」
頬を膨らましてラナに抗議し、「そう思うよね!?」というふうにこちらを見る。
ラナはノノを気にすることなく、続けた。
「質問があればお聞きします。ただし、お応えできることとできないことがありますが。」
「ちょっとー!」という声を聴き流しながらあの時の光景を思い浮かべる。
赤々と燃え上がる喫茶店。
その周囲を囲むたくさんの兵士たち。
姿の見えない師匠・・・。
不意に、頬を熱いものがつたう。
「ねえ、喫茶店は?師匠は・・・?な、んで。」
声が震え、思わずうつむいた。
ラナとノノがわずかに動く気配がする。
「・・・その質問には、お応えできません。」
ヴェーヴの正面に座る、ラナが椅子を引き、立ち上がる音が部屋に響いた。
「・・・ほかにはなさそうなので、これで失礼します。」
ガチャリと扉を開ける音がどこか遠くに聞こえた。
「これ、あなたが持ってた持ち物。ここに置いておくね。」
ノノはさっきよりも少し低い声でそう言いながら、ヴェーヴの足元にカバンをゆっくりとおろした。
「それじゃ、またあとで。」
静かになった部屋の中には、ただ1人の少女が涙を流す音だけが響いていた。
「ねぇ、あれでよかったの?ヴェーヴちゃん泣いてたよ?」
「何を言っているのか、わかりませんね。」
ちらりとノノを見る目はどこか暗いものを孕んでいた。
「もー、質問の答えだよ!」
無言を貫くラナを見て、あきらめたのだろう。
「私、ちょっと訓練場に行ってくるねー!」
そう言いながら、廊下を駆け抜けていった。
「・・・ノノが殺気立っていたからですよ。」
疲れたように、ため息とともに吐き出したラナの言葉を拾う者は、誰もいなかった。
これからものんびり投稿していきます!
ちょこちょこ覗きに来てください!




