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第54話 燃え尽きた家

第54話です。

楽しんでいってください!

 「え・・・。」


目の前にあるのは、燃え尽きた、自分の家――喫茶店の残骸だった。


・・・なんで。なんで、喫茶店の場所がばれているの。


今まで、自分が魔女であることが知られないように、細心の注意を払ってきた。

ヴェーヴがここに来てからは、なおさら。


それなのに――

地面に視線を落とすと、無数の足跡が目に入る。

どれも同じ形。

人間側の軍が来たのだろう。


ヴェーヴ、ヴェーヴはどこ!?


リリスは嫌な予感に胸を締め付けられながら、周囲を見回す。

しかし、どこにもその姿はなかった。


どうしよう・・・。


リリスは力なく、地に膝をついた。

動揺し、思考が回らない。

突然、ハッとし、スカートのポケットをごそごそとあさり始めた。

そして――小さな機械を取り出した。

それを操作し、魔力を流し込むと、ベルのような音がその機械から鳴り始める。


『もしもし?』


音が途切れ、機械からラヴィの声がこぼれる。


「ラヴィ・・・ヴェーヴが、ヴェーヴがさらわれた!」


『は?・・・今どんな状況?』


動揺し、声を震わせるリリスとは対照的に、ラヴィは冷静な声だった。


「喫茶店は燃え尽きてて、周りにはかなりの数の足跡が残ってるわ。」


『・・・さらわれた、としか考えられない状態ね。』


『リリスー、髪飾りは使った?』


突然割り込んできた、どこか間の抜けたようなゆったりとした声。


「まだ!」


シャシャから受け取った髪飾りの存在を思い出し、急いで自分の髪から取り外す。

魔力を込め、目をぎゅっと閉じる。

そして、ヴェーヴのことを思い浮かべた。


瞼の裏に、どこかの景色がぼんやりと映し出される。

大部分を占めている空。

そして、端のほうに映り込んだ、見覚えのある噴水。


「リュクサリアの駐屯所に向かってるわ!」


リリスが呪文を唱えようと、息を吸い込んだその瞬間――


『ストップ!そのまま待機!あんたでもそんなとこに突っ込んだら死ぬわよ!?』


ラヴィの悲鳴にも似た声がリリスの動きを止める。

リリスは眉根を寄せて手に持っている機械をにらみつけた。


「でも、ヴェーヴを助けられなくなるわ!」


『死んだら元も子もないでしょ!とにかく、そっちに行くから待ってなさい!1歩も動くなよ!』


プツリ、と音がして声が聞こえなくなる。

数秒後、目の前が輝き、ラヴィとシャシャが飛び出してくる。


「よし、来たわね。じゃあ、行くわよ。」


そう言いながら踵を返し、街の方向へ走り出そうとしたリリスの腕をラヴィがつかむ。


「今はまずいわよ!政治とか軍事的な色々があるじゃない。いったん作戦を練ってから!」


「でも・・・。」


うつむき、何かをこらえるように唇を噛みしめる。


「リリス、今ここで戦争になったら、本当にまずいの!この間の襲撃の損害の回復がまだなの・・・!」


「・・・わかったわ。」


リリスは顔を上げ、自分に言い聞かせるようにそう言った。


そして、ラヴィとシャシャが安堵の表情を浮かべている横で、


『絶対に、助ける。』


と2人に聞こえない大きさでそうつぶやいた。

――その瞳に、暗い炎をともして。

これからものんびり投稿していきます!

ちょこちょこ覗きに来てください!

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