第53話 燃える喫茶店
第53話です。
楽しんでいってください!
「行ってらっしゃい!」
いつも通り、手を振ってリリスが出掛けるのを見送る。
後姿が見えなくなると、喫茶店の中に入った。
今日はリリスに頼まれて、狩りをしに行くのだ。
「今の時期はどのお肉がおいしいかなぁ。」
どの獲物を狙おうかと考えながら、狩りの準備を進める。
弓を背負い、矢をケースに収める。
そして、捌くときのためのナイフをウエストポーチにしまった。
「行ってきまーす!」
ヴェーヴが向かったのは、喫茶店から北に向かったところにある湖。
木の陰に隠れてそっと覗くと、ウサギやトリが水を飲んでいた。
ヴェーヴ矢をケースから取り出し、ぎりぎりと弓をひく。
近くにいるトリに照準を合わせ、矢を放った。
トスッっという乾いた音。
矢はトリのそばの地面に刺さった。
その瞬間、ウサギは森の中に跳ね去り、トリは空へと舞い上がった。
「あーあ。残念。」
ヴェーヴは地面に刺さった矢を引き抜き、ケースに戻す。
周囲を見回しても、もう獲物はいない。
そのことを確認してから、木陰に腰を下ろした。
「ふぅ。」
湖は陽光を反射し、きらきらと輝く。
ヴェーヴは額を服の袖で拭い、喫茶店から持ってきた水筒の水をグイっと飲みほした。
ぼんやりと湖を眺めて数分。
「よしっ。」と気合を入れて立ち上がり、湖に近づく。
空になった水筒の蓋を外し、水を汲んだ。
――ボンッ
不意に、背後から爆発音が鳴り響いた。
身体をびくりと震える。
首だけをぎこちなく動かして、振り向むいた。
「えっ・・・!?」
喫茶店のある方向の空が少し赤く染まっている。
――星夜祭の、あの時のように。
違うよね?喫茶店じゃ、ないよね?
胸の奥にじわりと不安が広がる。
ヴェーヴは来た道を全速力で駆けだした。
赤々と燃える建物。
その周囲を囲む数十人の兵士。
それが、ヴェーヴが喫茶店に着いた時、目にした光景だった。
「やだ、やだ、やだぁ!」
ヴェーヴは燃え上がっている喫茶店に飛び込もうとする。
「なんで子供がいる!?」
「ここに人がいるはずがないだろう!」
遠くでそんな声が響く。
2人の兵士がヴェーヴの道を阻むように手を広げる。
ヴェーヴはそのうちの1人の足を払い、上を跳び越える。
「やっぱり、あの時の子だ!」
耳の元で女の子の声がした。
ヴェーヴの視界にきらきらと輝く銀糸のような髪が映る。
そして――
ヴェーヴの意識は、そこで途切れた。
これからものんびり投稿していきます!
ちょこちょこ覗きに来てください!




