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第52話 帰還

第52話です。

楽しんでいってください!

 リリスが部屋に戻ってきたのは、満月が頭の真上に上った頃だった。




 ヴェーヴは部屋に帰され、ぼんやりとベッドの縁に腰掛けていた。

未だに状況が飲み込めていない。

ヴェーヴにとって、このようなことは初めてで、誰にも教えられていないことだった。


明かりのつけられていない、暗い部屋が、だんだん怖くなってくる。

ヴェーヴ毛布に潜り込み、ぎゅっと目を閉じた。




 ガチャリ


ドアノブを回す音が部屋に響く。

ヴェーヴは寝ぼけ気味の体を起こした。


「おかえり。」


ベッドから飛び降り、扉を開いて立ち尽くすリリスに抱き着く。


「・・・ただいま。」


暗がりで表情がよく見えない。

それでも、リリスが微笑んだ気がした。


ヴェーヴはゆっくりと息を吐きだし、リリスの腰に回した腕にさらに力を入れる。

特に理由はない。

ただ、そうしたかった。


師匠から、いつもと違う匂いがした。

草と湿った土。

そして、知らない匂い。


リリスがヴェーヴの背中を規則正しく叩く。

そのリズムに身を任せているうちに、ヴェーヴの意識は徐々に沈んでいった。



 ーー1週間後。


ヴェーヴとリリスは、魔法学校の正門の前で校長と向かい合っていた。

校長先生の後ろには、マルゴさん、ミレルさん、キリアンさん、そしてミュゲットさんが並んでいる。


「お世話になりました。」


「こちらこそありがとうねぇ。あなたがいなかったらどうなっていたか分からないからねえ。」


校長室にいた、あの黒猫が、校長の足元を陣取ってこちらを見上げている。


「それでは、失礼します。」


リリスが頭を下げるのを真似て、ヴェーヴも礼をした。


リリスが歩き出し、後について行こうとしたとき、足を柔らかいものでテシテシと叩かれる感触がした。

その方を見ると、黒猫がこちらを見上げていた。

黒猫の視線に合わせるようにしゃがみ込むと、ヴェーヴの顔を覗き込むようにじっと見つめてきた。

ヴェーヴニッと笑いかけると、応えるようにニャーと鳴いて背を向け、校長の肩へ飛び乗った。


ヴェーヴはみんなに手を振り、リリスの手をぎゅっと握った。

「『人形姫』リリス・デュポワの奮闘 ~無表情少女の成長譚~」に魔法学校のみんなも登場させる予定です。

1月2日から投稿開始する予定なので、良かったら覗いて行ってください!


これからものんびり投稿していきます!

ちょこちょこ覗きに来てください!

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