第51話 置き去りの夜
第51話です。
楽しんでいってください!
ボンッ
突然、何かが爆発したような音が聞こえ、遠くの空が赤く染まる。
その瞬間、周囲の人がざわざわと騒ぎ出す。
「ねぇ、ミレルさん。みんなどうしたの?」
ミレルは焦った様子で席を立ち、ヴェーヴの手を取る。
マルゴとミュゲットが必死で声を張り上げる。
「落ち着いて!建物の中に避難してください!」
しかし、誰も建物のほうへ向かおうとしない。
それどころか、音が鳴ったほうへ歩いて行こうとする人までいる。
ヴェーヴはその場に立ち尽くし、ぼんやりとその光景を眺めていた。
「我々は『黒月の眼』の部隊員である!」
突然、鋭い声が響き、あたりが一瞬で静まり返る。
「人間側の軍から攻撃を受けた!今すぐ、生徒会の者たちの指示に従い、避難しろ!」
声を発した女性のすぐ後ろに、リリスがこちらに背を向けて立っていた。
「繰り返す。今すぐ、避難しろ!」
その言葉を皮切りに、会場にいた全員が我先にと建物のほうに走り出す。
声を上げる間もなく、ヴェーヴの身体はたくさんの人に押し流された。
手をつないだままだったミレルを見上げ、ヴェーヴが問う。
「師匠は?」
「リリスは・・・」
ミレルが手を強く握り、少し眉を寄せる。
風が頬をなでた。
振り返ったとき、そこにリリスの姿はなかった。
会場にいた人々はほどんど最後に建物の中に入った。
通された部屋には、すでにたくさんの人が集まっていた。
不安そうに隣の人と話をする人、自分も戦場に出ると声を上げる人、そして、外に出ようとする人たちを抑える人。
ヴェーヴはどうしたらよいのかわからず、ミレルを見上げた。
「リリスなら、大丈夫でしょ。」
そう言って、ミレルはぎこちない笑みを浮かべながら、震えた手でヴェーヴの手を強く握った。
どれくらい、そうしていたのだろう。
「人間は、全員拘束された!」
先ほどの女性が全員に告げたとき、張りつめていた空気が弛緩し、大きな歓声が部屋を揺らす。
少し前に合流したマルゴとミレルはへなへなとその場に膝をついた。
「ねぇ、師匠は?」
そう問いかけると、2人とも、顔を上げた。
「そのうち帰って来ると思います。私たちは、ここで待っていましょう。」
マルゴは立ち上がり、ヴェーヴの頭をそっとなでると、部屋にいる全員を寮へと帰す指示を出し始めた。
ヴェーヴはただただ人の流れを見つめて、ぼんやりと立ち尽くしていた。
これからものんびり投稿していきます!
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