第41話 最善の噓
第41話です。
楽しんでいってください!
「えっ・・・?」
想像もしていなかった言葉に、ヴェーヴは目を見開く。
「このままいけば、確実に戦争になるわ。」
そう言ってリリスはわずかに目を伏せる。
「それに、私は従軍させられる可能性が高い。あなたは足手まといになるから、連れていくわけにいかない。」
普段とは違う、冷たさを帯びた口調。
「でも、僕に帰る場所なんてないよ・・・。」
「それでも、帰りなさい。あなたは人間でしょう。」
「でも・・・。」
一瞬訪れた静寂。
それを破ったのは、リリスだった。
「はっきり言って、邪魔なのよ。」
突き放すような、無機質な声。
ヴェーヴは突然のことに驚き、怯えて身体をこわばらせた。
「帰って頂戴。なぜ、私が敵の子供をかばわなければいけないの。」
視界がにじみ、ゆがむ。
ヴェーヴは無意識に唇を噛み、手をぎゅっと握りしめる。
師匠にとって、僕は、邪魔なんだ・・・。
「わかったよ!出てく!」
ヴェーヴは勢いのまま、扉を開き、部屋を飛び出した。
「・・・盗み聞きは、よくないわよ?」
「リリス、本当にこれでよかったの?」
背後からクレールの声が響く。
リリスの問いかけを無視してあえて、声をかけてきたのだ。
昔から、クレは人の心を見通すように行動することがよくから・・・。
今回も、私の考えなんて、お見通しなのでしょうね。
・・・やっぱり、クレにはかなわないわね。
それでも、リリスは、ヴェーヴに言った言葉を押し通すことにした。
「何が?」
「もちろん、ヴェーヴに人間の国に帰れって言ったこと。」
クレールは先ほどまで、ヴェーヴがいた位置に腰掛ける。
どうやら、友人として話を聞くつもりらしい。
「まったく・・・あなたは私がなんでこんなことをしたか、分かっているんでしょう?」
「・・・後悔しない?」
クレールの言葉が聞こえなかったふりをしながら、リリスは窓を外に視線を向ける。
城を出たときにはまだ水平線に近かった月。
それが、今は高い位置で冷たい光を放っている。
後悔なんてしない。これが、あの子を守るのに、最善の道よ。
『・・・これが、最善。』
自分に言い聞かせるように、小さく声に出す。
クレールは静かに立ち上がり、リリスに背を向けて部屋の扉に手をかけた。
『そこだけは、昔から変わらないわね。』
そう呟き、部屋を出ていった。
その言葉は、自分に言い聞かせている、リリスの耳には届かなかった。
これからものんびり投稿していきます!
ちょこちょこ覗きに来てください!




