第39話 銀髪の女性
第39話です。
楽しんでいってください!
「ねえねえ、僕、飲み物貰って来る!」
ヴェーヴは手元のジュースを飲み切り、そう言った。
ちょっと歩きたい気分だったから、自分で取りに行こうと思ったのだ。
「はーい。扉を出て、右に行って3つ目の扉よ。」
「はーい!」
シャシャの言葉に返事をしてから、扉を押す。
部屋を出ると、ふわりと暖かい空気が肌に触れる。
そう言えば、あそこって部屋の中だったんだ・・・。
そんな当たり前なことを思い出しながら、言われた通りに右のほうへ歩き出す。
廊下の左右に飾られた花や絵を眺めながら歩く。
「これ・・・。」
ヴェーヴが特に気になったのは、2つ目の扉の横に掛けられた、女の人の絵。
下にプレートが添えられており、何か書いてある。
「ええっと、しょ、だ、い・・・?うーん。読めないや。」
後でリリスに聞こうと決めて、教えてもらった場所に向かった。
「すみません!ジュースください!」
「はいはい、ちょっと待っててね。」
厨房の扉をおし、声をかけると、奥の扉の方から優しげな声が返ってきた。
しばらく待っていると、銀髪の優しげな女性が出てきた。
あでやかな銀髪を結い、まとめている。
「お嬢さん、よかったらクッキー食べない?」
「うん!」
差し出されたクッキーの真ん中には、赤くてきれいなジャムがきらきらと輝いている。
「わぁ!おいしそう!いただきます!」
貰ったクッキーを堪能し終えると、ちょうど「ジュースの準備ができたよ。」と声を掛けられた。
「クッキー、おいしかった?」
「うん!すっごく!」
「じゃあ、これも差し入れしましょうか。お嬢さんは、クッキーのお皿を持ってくれる?」
女性がジュースを持ち、ヴェーヴがお皿を持って、並んで部屋へ戻る。
「ただいま!」
「ヴェーヴ、おかえり。少し遅かった、わ、ね・・・。」
「え?」
「お、お母様!?」
「どうかしたの?幽霊でも見たような顔して。」
リリスがぽかんとした顔を晒し、ラヴィさんは顔を引きつらせる。
そして、シャシャさんは目を丸くしていた。
・・・おかあさま?
ヴェーヴは思わず、隣に立っている女性をを見上げた。
背筋の伸びた、落ち着いた立ち姿。
宝石のようにきらめく、金色の澄んだ瞳。
そして――きっちりとまとめられた、白に近い銀髪。
言われてみれば・・・シャシャさんにそっくり!
「女王陛下、何か御用でしょうか。そして、なぜそんな恰好をなさっているのですか?」
真っ先に我に返ったのはラヴィだった。
女王陛下!?・・・じゃあ、シャシャさんって・・・。
次々に明かされる、重要な情報に翻弄されながらも、ヴェーヴは2人の会話をしっかり聞こうと背筋を伸ばす。
「ちょっとした息抜きよー。クッキーを焼いたから、よかったら食べてね!」
「・・・ありがたく、いただきます。」
「ありがとうございます。」
「ありがと、お母様!」
女王様はニコニコしながら、ぎこちなく笑う3人を見つめている。
「じゃあ、お邪魔したわねー。」
ジュースをテーブルに置き、部屋を出ていきかけた女王様が、ふと振り返る。
「あっ、忘れるところだったわ。」
女王様は背筋を伸ばし、表情を変える。
さっきの柔らかで、優しげな雰囲気が女王らしい、威厳のあるものに変わった。
「リリス、あなたは魔法学校の配置になったわ。1週間後に現地へ到着するように。ラヴィとシャシャは後日連絡します。」
「・・・はい。わかりました。」
師匠は一瞬だけ目を見開き、深く頭を下げた。
「また会いましょうね、ヴェーヴ。」
パチリとウインクをして、扉を押し、女王様は部屋を出ていった。
あれ?僕、名前言ったっけ?
ヴェーヴは首を傾げながら、女王様が出ていった扉をしばらく見つめていた。
これからものんびり投稿していきます!
ちょこちょこ覗きに来てください!




