表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

39/70

第38話 戦の影と熟れた果実

第38話です。

今回はリリス視点です。

楽しんでいってください!

 部屋の中には、ヴェーヴの笑い声が響く。

その横でシャシャが何かを話しかけ、一緒に笑っている。


リリスとラヴィは並んで部屋の真ん中にあるベンチに腰掛け、その光景を眺める。


「あの件、どうなった?」


「国境付近がきな臭いわね。軍の動きが変わった。」


「リュクサリアも軍の人間が増えてきたわ。・・・いよいよ戦争かしらね。」


2人同時に深いため息が漏れる。


「私たちも召集されるだろうね。人手が足りない。」


「私も?」


リリスは、思わずラヴィを見る。

声には少し、驚きがにじんだ。


「もちろんよ。『翠幽』リリス・デュポワ。」


ラヴィはふっと笑いながら付け加えた。

そんなラヴィとは対照的に、リリスは手をぎゅっと握りしめ、下を向く。


「なぜそんなに自信がないの?主席様?」


「それは・・・。」


無意識に視線がヴェーヴへ向いた。

落ち葉を上に投げ上げて、楽しそうに遊んでいる。

そこに、穏やかで、幸せな空間があった。


「ヴェーヴのことが心配なら、連れて行けば?」


「無理でしょう。危険な目には合わせられない。」


「じゃあ、配置を魔法学校の近くにしてもらったら?ヴェーヴを学校において行けばいいじゃない。喫茶店の近くは間違いなく防衛地点の1つになるから、危険でしょ。」


「・・・迷惑がかかるでしょう。」


「なに言ってんのよ。あなたのことがだーい好きな同級生と後輩ちゃんがいるじゃない。」


ラヴィが少しおどけたようにそう言った。

張りつめた雰囲気が和やかなものに変わる。

リリスの頬は、自然と緩んでいた。


「それもそうね。」


2人は昔を――魔法学校でのことを、懐かしむように笑う。


私は、あの子たちのおかげで・・・


その時、サクサクと落ち葉を踏む、軽い足音が聞こえた。


「師匠!この果物食べよう!おいしいんだって!」


リリス振り向くと、ヴェーヴが両手いっぱいにいろんなものを抱えて目を輝かせている。

いろんな種類の果物、きれいに色づいた葉・・・。


「ええ、そうね。おいしそうだわ。」


そう言った瞬間、ヴェーヴの表情がぱあっと明るくなる。

嬉しそうに細められた橙色の瞳には、初めて会った時の怯えも不安も、どこにもなかった。


『そうね、この子は、もう大丈夫なんだわ。』


「・・・?師匠、何か言った?」


リリスは胸の奥が熱くなり、なぜか泣きたいような、そんな気持ちがこみあげてくる。


なんで、私が泣きたくなるのかしら?


リリスはその不思議な、複雑な気持ちを心の奥底に押し込み、いつものように、ヴェーヴに笑いかけた。


「何も言ってないわよ。さあ!食べましょうか。」


テーブルに置いてある果物用のナイフを手に取り、鮮やかなオレンジ色に熟している果物をそっと持ち上げた。

リュクサリアはヴェーヴとリリスが買い物に言った街です。


これからものんびり投稿していきます!

ちょこちょこ覗きに来てください!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ