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第30話 あの日の涙

第30話です。

今回はリリス視点。

楽しんでいってください!

 「行ってらっしゃい!」


いつものように見送ってくれるヴェーヴに、リリスは手を振り返した。


「リリス、粗相のないようにね。」


「はい。」


セレストは厳しく見えるけれど、本当は誰よりも優しい人。

ガブリエルも、親ばかで、リリスにとっては気恥ずかしいし、どうしようもない人。

だけど、みんなから信頼されている。

そんな2人と接する機会が少なくて、不安になっていた時期があった。



 両親は、家にいないことが多かった。


お母様は空中戦を得意とする「疾風の翼」部隊司令官の1人で、訓練や任務で遠方へ行くことが多い。


お父様は魔法植物の研究者で、植物を採取するために他の研究者とどこかに出かけている。


さみしかったけれど、私には幼馴染も、使用人たちもいた。

2人と会えるのが年に数回だったとしても、あまり気にならなかったのだ。


 ある日、同年代の子供を集め王家がお茶会を開いた。


「リリス、頑張ってね!」


私にとって初めてのお茶会。

両親は2人ともいなかったけれど、クレに応援されて会場に向かう。


会場に着くと、たくさんの子供がいた。

大人も、たくさんいた。

ほとんどの子には両親が付き添っていた。


お茶会が始まり、子供同士、大人同士で話す。


『見て、あの子、ご両親は一緒じゃないみたいよ。』


『デュポワ家のご令嬢ね。ほら、あの有名な。』


『かわいそうに。ご両親はお茶会に付き添いもできないなんて。』


違う、違う・・・かわいそうなんじゃない。お仕事が大変だから・・・。


視界がゆがむ。

――気付いたら涙がこぼれていた。

私の両親は他の子の両親とは違う仕事をしているからいないのは当たり前のことだった。

だけど、今はそのことが無性に気になる。

他の子は両親と一緒にお茶会に参加して、笑いあっている。


私は?

前にあったのはいつ?


「「リリス!?」」


振り返ると、いつの間にか、両親が立っていた。


お仕事は・・・?なんでここにいるの?


2人とも心配そうな顔をして顔をのぞき込んできた。

そして、お父様が私を抱き上げ、お母様は周囲を見回した。


「お暇させていただきますわ。」


 「何があったの?」


馬車の中でお母様に聞かれた。


怒られるのかな?お茶会で泣いたから・・・。


「泣いていては、分からないわ。」


お母様が私の涙を拭う。

さっきよりもずっと柔らかい、優しい声だった。


「あの、ね・・・私、かわいそうって言われたの。他の子は両親と来てたのに、私は1人だけだったから。」


「そうなの・・・。ごめんなさい。急いだのだけど、少し遅れてしまったわ。」


お父様が私の背中をさすり、再びあふれ出した涙をお母様が拭いてくれた。


「いつも・・・さみしい思いをさせてしまっているわね。」


お母様が私を抱き寄せる。


「ようやく副官の選出が終わったの。しばらく休暇をとって、ゆっくりできるわ。」


「私も研究がひと段落したから、しばらく家にいられるよ。」


そう言って2人が私を抱きしめた。



 「もうすぐ着くわよ。」


リリスはうなずき、窓の外を眺める。

あの時と同じ町並み。

王都は、何年たっても変わらない。


整然と並ぶ邸宅。

活気のある人々――。


数百メートル先には大きな城がそびえたっていた。

これからものんびり投稿していきます!

ちょこちょこ覗きに来てください!

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