第26話 執務室の扉
第26話です。
楽しんでいってください!
コンコンと扉をノックする音が響く。
「入りなさい。」
「失礼します。」
扉が静かに開き、アルフォンスが姿を現す。
「奥様と旦那様が執務室でお待ちです。」
「・・・わかったわ。」
リリスは眉間にしわを寄せ、いやそうな顔をした後、仮面をかぶるみたいに、あっという間に普段の表情に変えた。
「行きましょうか、ヴェーヴ。」
「行ってらっしゃいませ。」
2人ははクレールに見送られて部屋を後にした。
ヴェーヴはリリスの少し後をついて行く。
広く、長い廊下には、深いオリーブグリーンの絨毯が敷かれ、壁には絵画やタペストリーが並んでいる。
白い花瓶には白・淡黄・薄桃の花が生けられ、差し込む光を浴びて静かに咲いている。
ヴェーヴは物珍し気にきょろきょろとあたりを見ながら歩いた。
しばらく歩くと、アルフォンスが1つの扉の前で足を止め、ノックした。
「失礼します。お嬢様とお連れ様がご挨拶にいらっしゃいました。」
「入りなさい。」
部屋の中から女性の声が聞こえた。
アルフォンスが扉を開き、リリスは一歩前に出る。
ヴェーヴは扉の向こう側を見て、足をすくませた。
正面にいる、明るい緑色の瞳の女性が睨むようにヴェーヴたちを見ていた。
その隣には女性と同じくらいの年の男性が書類をまとめている。
ヴェーヴは自然と背筋を伸ばし、リリスの後に続いた。
その背後では扉が閉じ、その部屋には4人だけが残っていた。
「お久しぶりです。お母様、お父様。」
「久しぶりね、リリス。」
「久しぶりだね。少し雰囲気が変わったかな?」
2人とも落ち着いた声なのに、どこか芯が強い。
ええ!?この人たちが師匠のお母さんとお父さん!?
ヴェーヴは信じられなくて正面にいる2人のことをじっと見つめる。
女性は長い金髪を下ろし、リリスよりもいくらか明るい緑色の瞳をしている。
つり目で、どことなく冷たい印象を受ける美人だ。
男性は柔らかい茶髪で、深い青色の瞳。
穏やかな雰囲気で、リリスにどこか似ている。
「紹介します。この子はジェルヴェーズ。ヴェーヴ、挨拶して。」
「初めまして!師匠・・・リリスさんにお世話になっています。ジェルヴェーズです。よろしくお願いします!」
「私はセレスト・デュポワ。リリスの母親よ。」
セレストはヴェーヴをじっと見つめながらそう言った。
「私はリリスの父親、ガブリエルだ。君はリリスが拾ったと言っていた子かな?この子は昔から面倒見がよかったからね。」
ガブリエルが話している間もずっとヴェーヴを見ていたセレストがため息をつき、リリスに視線を向けた。
「はぁ・・・。リリス、あとで話がありますからね。」
「ええ、もちろん。私も話したいことがたくさんありますから。」
リリスとセレストはお互いをじっと見つめながらそう言った。
部屋の空気が張りつめる。
ヴェーヴは息をひそめ、2人の視線の間に立ち尽くした。
これからものんびり投稿していきます!
ちょこちょこ覗きに来てください!




