第23話 笑顔
第23話です。
楽しんでいってください!
「・・・お話の途中で失礼します。拠点につきました。」
コンコンという音が御者席のある方の壁から鳴る。
エレーヌはその瞬間、まじめな表情に切り替えて、2人に馬車を降りるように促した。
リリスも、少し名残惜しい気持ちを隠しながら、馬車を下りた。
「では、こちらへどうぞ。」
リリスたちは応接間のような部屋に通された。
渡された紅茶を飲み、落ち着いた様子でソファの背にもたれる。
「任務、お疲れさまでした。ここで情報交換を行い、報告書を書いてください。」
リリスたちはだらりとリラックスした空気から一転し、背筋を伸ばしてそれぞれ報告を始める。
「そういえば、テラスで明らかに軍人らしき金髪金目の女がいたわよ。」
「私たちもホールで軍人らしき銀髪の少女を見たわ。」
リリスとラヴィは、軍人についてより多くの情報を集めたであろうシャシャのことを見つめた。
シャシャは少しすねたように黙っていたが、しばらくして、あきらめたように口を開いた。
「たぶん、その2人は光の騎士団の二番隊の隊長と副隊長ね。」
「へぇ。金髪のほうが隊長?」
「いいえ。隊長は銀髪の少女、アネモネ・シュバリエ。『白銀の断罪姫』と呼ばれているわ。史上最年少で隊長まで上り詰めた逸材よ。」
「断罪姫ね・・・。物騒な二つだこと。」
シャシャは紅茶を一口飲んで続けた。
「金髪の女性は副隊長、ラナエル・ロナン。『月下の金鷹』と呼ばれ、隠密行動の達人らしいわ。」
「まさか、軍の人間も参加しているとはね・・・。」
「まあ、軍が主催のパーティーだからね。よく考えたら当たり前でしょ。」
3人はその後も情報交換を進めた。
報告書を書き終え、転移してきた小部屋に向かった。
ラヴィとシャシャが部屋に入り、こちらを振り向く。
「それじゃ、リリス。報告書、頼んだわよ。」
「リリスー!また遊びに行くからね!」
手を振りあい、部屋の扉が閉める。
数秒後に扉の隙間からわずかに光が漏れ出た。
リリスはそこから少し待ち、扉を開けて部屋の中に入る。
「それでは、よろしくお願いします。」
リリスはエレーヌを振り返り、しっかりとうなずいた。
そして、――
「『空間跳』!」
呪文を唱え、喫茶店から少し離れた森に転移した。
やっぱりこの距離を跳ぶのはきついわね・・・。
リリスは魔力の使い過ぎで重い体を引きずり、喫茶店に向かって歩く。
喫茶店に近づくと、夜の遅い時間にもかかわらず、まだ明かりがついていた。
あら?遅い時間なのに、まだ起きているのかしら?
リリスは扉の前に立ち、急いでドアノブを回す。
「ただいま。」
扉を開いた瞬間、抱き着かれる。
「師匠!おかえりなさい!」
ああ、この笑顔を見ると帰ってきた感じがする。
リリスは微笑み、ヴェーヴを頭をなでる。
そして、もう一度「ただいま。」とつぶやいた。
これでいったんリリス視点は終了です!
次回からはまたヴェーヴ視点に戻ります。
これからものんびり投稿していきます!
ちょこちょこ覗きに来てください!




