コミカライズで編集部を訪問してみた。
マッグガーデン様より『魔術師の杖』がコミカライズ、WEBコミック『MAGKAN』にて月刊連載が決定!
続報を楽しみにお待ちください。
コミカライズ決まりました!
なろう公式ブログ【お便りコーナー】第162回にも書いております。
そしてこれを読みに来た……というそこのあなた!
もっと突っ込んだ話を知りたいのではありませんか?
ふふふ……なろうのおかげで書籍化もコミカライズも決まりましたからね。いいでしょう、お教えしましょう。
実は『魔術師の杖』は本を出したレーベルさんからは「コミカライズは他作品と比べても、とりわけ難しい」と言われ続けていたのです。
「長編ですから手掛けてくれる出版社や漫画家さんを見つけるのは難しく、タテコミにも向かない作品です」
そりゃそうです。
長編を漫画にするとなると、漫画家さんは何年もその仕事に拘束されることになります。ましてや『魔術師の杖』は読者さんが見たいと挙げる場面が、5巻だったり7巻だったり……拝めるとしても何年も先ですよ。
そこまで漫画家さんが描いてくれる?
そこまで読者さんがついて来てくれる?
そこまで私の気力体力が保つ?
そんなことを考えつつも、読者さんからの「コミカライズお願いします!」の声に押されて、とりあえず声は上げてみようと。
口に出さなければ願いは叶わないんです。
だから昨年のエイプリルフールに、Twitter(当時)で「コミカライズ決まりました!」と叫びました。恥ずかしかったですね、本気にされた読者さんもいらして、わりとすぐ削除しました。
でもその時に「コミカライズとなると、まだ足りない物がいっぱいあるな」と考えて、サブキャラのスピンオフなども書きはじめました。
『魔術師の杖』の世界をより深く、より大きく広げていく。設定資料集や登場人物紹介などは、書籍化の話が来る前から作っていましたしね。
それに加えて昨年は、もっと色々な人に『魔術師の杖』を知ってもらう努力をしました。とはいえ何の成果もなく……と思っていたら、突然オファーが舞いこんだ訳です。
「とりわけ難しい」と言っていた、当の編集長も慌てふためいていました。
うれしいよりも「え?」とか「今頃?」という気持ちの方が強く、素直に喜んでいいのか自分でも分かりません。なので詳しい話を聞くため、大阪にあるMAGKAN編集部まで行っちゃいました!
2時間ほどお邪魔してお話をうかがいましたが、原作者が編集部を訪問する事ってないそうで。
えっ、そうなの⁉
みんな行かないの⁉
私は書籍化の契約をメールのやりとりだけで決めたのを、後からだいぶ反省したため、次にどんな打診が来ても、対面できちんと説明を聞くと決めていまして。話をうかがってすぐ休みを取りました。
(とはいえこちらも仕事があるため、話が来てから2ヵ月も先の訪問になりましたが)
何をテーマに作品を探したのかとか、何が決め手になったかとか、どこが評価されたんだろうとか、私が昨年頑張ったことが少しは役に立ったかとか……色々聞いてみたかったのです。
で、ですね……わざわざ大阪まで行ってようやく聞けた答えは……「たまたま見つけた」でした。
私なりに頑張ったこと、全然関係なかったです!
(おおぅ、そうなんだぁ……)←脱力している。
まぁ、短編集も出せたし、無意味ではなかったと信じます……。←脱力している。
錬金術や異世界など特にテーマは決めず、フラットになろうを見て原作を探されていたそうで。
そうなんです、なろうって出版社の人に読まれているんですよ!
「一話冒頭のグレンの家で術式が構築され、魔法陣が展開する…という描写ですぐに『これは漫画で見てみたい!』と感じたことが最大のポイントです。その後、金文字があらわれたり、イルミエンツだったり、ファンタジー好きなら映像で見てみたくなるような描写がたくさんあり、とてもわくわくさせられました」
もちろん最新話まで読んでの打診で、2巻の『たこパ』や5巻の『舞踏会』、6巻の『対抗戦』なども評価されました。けれどコミカライズの決め手は、初心者が何も考えずに書いた冒頭のシーン、そこでした。
まさしく『なろう』ではありませんか。
「加えて、キャラクターの性格をわかりやすく描写されている点も理由のひとつです。初登場時からキャラの個性がわかりやすいことが漫画でも重要なので。冒頭の頑固なグレンからしてもそうですが、少し不憫なライアス、冷ややかなレオポルドなど、魅力的なキャラが多いところが素晴らしいなと感じています」
こんなにほめられるとは……直は効きますね。機会があればぜひ編集部訪問をオススメします。癒されます。
「コミカライズするのなら一人の自立した女の子がいろんな出会いでさらに強くなり、世界を広げていく話がいいなと考えていたことも大きな理由です」
確かに『魔術師の杖』はまさしくそれでした。どうして打診が来たのか、ようやくストンと腑に落ちました。
だからね、「出版社がほしがる作品の傾向」とか「今はこういうのが好まれる」とか一生懸命考える人もいるけれど。
実は出版社の人も作品を見つける時って、一読者とそう変わらないんだな……と感じました。冒頭で引きこまれて、文章から場面を思い描いて、キャラクターにひかれて、「これが漫画になったら」と想像して……。
その根底にあるのは作品への共感でした。
なろうでは出版社が見つける前に、必ず誰かが見つけてポチリとします。そうやって読者さんたちがポチリポチリと押し続けた延長線上に、出版社との出会いが転がっています。
それがやっぱり、なろうらしいと思うんですよ。