表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
63/170

スタンスとライバルと協力

アジア予選への挑み方。

1人が本戦へと進むためにみんなで協力するか。

あるいは全員バラバラで戦っていくか。

そのAKIHOからの二者択一に、


「あの……それって、どちらもじゃダメなんでしょうか」


私は思わずそう訊き返してしまっていた。


「どちらも……って、どういうこと?」


「えっと、そもそもRTAって、1番速く走る人を決めるものなんですよね? だからまず、本番で協力し合うっていうのはなんだか違う気がして」


「……そうね。それはその通りだと思う。誰かの協力を得ることでアジア1位になれたとして、世界大会本戦で戦っていけるかは別問題になってしまうから」


「はい。それに……最近感じることがあって、」


「感じること?」


「私のRTAを観た人たちは、私が記録更新をしたりするとすごく喜んでくれるんです。それはたぶん、私が私として走ったからなんです」


清掃作業だけしにダンジョンに潜っていた時は考えもしなかった。

ダンジョンを走り抜ける……

それだけの姿を応援し、楽しみ、歓声を送ってくれる人たちがいることなんて。

でも注目を集めてみて、初めて分かった。


「AKIHOさんにも、FeiFeiちゃんやShanShanちゃんたちにも、きっとそれぞれを応援してくれる人たちが沢山いるんです。日本代表としての走りじゃなくて、みんな自身の走りを見に来てくれている人たちが、です。だから私たちは1位にしたい誰かのためにじゃなくて……自分のために走るべきかな、って」


「ヤー! 私もRENGEの意見に賛成アルよ!」


ピーンと挙手したのは、FeiFei。


「私も学校のトモダチがいっぱい観てくれてるもん。1位になりたいヨ! それにやっぱり、手抜きなんて無しでオネーチャンといっしょに速く走りたいから!」


「で、でもフェイフェイ……私とフェイフェイは一緒には世界大会本戦には出られないんだよ?」


「ウーン、私、本戦には興味ないネ! 別に1位をとっても、私たちの次に速かった人に譲ればいいヨ」


FeiFeiは迷いなく即答する。


「オネーチャンは本戦に出たいアルか?」


「えぇと、ウーン……フェイフェイとの遊びの延長戦だったからなぁ。私も別にいいかな?」


「じゃあ決まりアル! AKIHO、RENGE、私たちは私たちで自由にやることにするヨ! 今日からライバルになるネ!」


FeiFeiの意気込みに、AKIHOは少し苦笑いをしつつ、


「レンゲちゃん、2人もこう言っているし、私自身としても自分の力を全力でぶつけたいと思っているから……全員一致で同じ意見みたいだね」


「はいっ……! がんばりましょうっ!」


「それで、まだレンゲちゃんには話したいことがあるんだよね?」


促してくれるその言葉に、私は頷いて、


「本番で協力するのはどうかな? って話しましたけど、アジア予選までの期間、お互いに協力して高め合っていくっていうのであれば、話は別なのかなって思うんです」


「どういうことアルか?」


「つまりその……例えば時々にでも、いっしょに特訓しませんか?」


「えっ」


私の提案に息を飲んだのはShanShanだった。


「ねぇRENGEちゃん、私たちはそれってすごくありがたいけど、RENGEちゃんはそれでいいの?」


「え?」


ShanShanは少し遠慮がちに、


「だって、私たちができることって……RENGEちゃんにもできることじゃないかな? 私たちがRENGEちゃんといっしょに特訓することで得られるモノはあっても、RENGEちゃんには無いんじゃないか、って」


「えっ? そんなことないよっ! それに私ももちろん1位を目指すけど、みんなにもたくさん活躍してほしいから……"ぶーむ"のためにも」


「ブーム?」


「私が世界大会予選に参加したのは、このダンジョン"ぶーむ"をもっともっと大きなものにしたいからなの。そのためにはもっと多くの人たちにダンジョンに興味を持ってもらわなきゃいけなくて、だからみんなの力が必要だと思う」


「すごい……RENGEちゃんは、世界大会とかじゃなくてもっと大きなものを見てたんだね……」


「え、えぇっ? そんな大したものでもないよっ?」


いつの間にか目をキラキラとさせるShanShanに慌てて弁明するも、


「RENGEちゃん、カッコイイ……」


「ええぇっ!?」


ShanShanはポワっと顔を赤くするばかりだ。

これ、どういう反応っ?


「あはは、オネーチャンはRENGEの大ファンだからネー。しょうがないしょうがない」


FeiFeiは笑って言うと、


「RENGE、私たち2人も喜んで特訓に付き合うヨ! RENGEの技を間近で見ていっぱい盗むアル! AKIHOはどうするカ?」


「私? 私はもちろん、レンゲちゃんがいっしょに潜ってくれるというならお願いしたいよ。アジア予選まで協力し合っていくって方針にも大賛成。たぶん私からも、少しはレンゲちゃんのためになる情報を提供できるハズ」


AKIHOは私たち3人を見渡して、それからその立てた人差し指に炎を宿す。


「レンゲちゃんもFeiFeiちゃんたちも魔力そのものの扱いに特化してるから……もしかしたらこういう一般的な【属性魔法】って使ったことないんじゃないかな?」


「な、ないです……」


「ならこれの特訓もしてみない? きっとできることがもっと増えるハズだよ」


私とFeiFeiたちは顔を見合わせると……

一様にコクリと頷いた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[気になる点] 作中の実際の状況は、観客の大半が、〈レンゲ無双〉を観たい筈なので。 「レンゲに庇われるその仲間」「レンゲの足を引っ張るその仲間」を見せられても、多分、不評でしょうね。 レンゲの睡眠対策…
[良い点] 一緒に特訓する際に英会話風ゾーンを作れば、RENGEの一番の特訓になるかもw
[気になる点] 万が一負けたら「周りの国は勝つために協力してるけど自分たちはそれぞれ好き勝手して負けました。」って言うのかね。それで予選敗退のほうがよっぽどぶーむ廃れると思うけどね。 [一言] そんな…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ