AKIHO×RENGE配信(魔力爆発)その2
「まずね、魔力操作の過程は最初に純粋な魔力を自分の体の外に出すところから始まるよね? 単純に言うと、それをもっと勢いよく行うのが魔力爆発なんじゃないかなって思ったんだ」
AKIHOさんはそう言うと、"どろーん"のカメラに向けて指をパチンと鳴らす。
「例えるならこの指パッチン。何も力を込めなければただ指と指を擦り合わせているだけだけど、摩擦を最大限利用することでこのような音がなるまでになるよね。魔力爆発もそれと同じ……どうかな、RENGEちゃん」
そう言うと、AKIHOさんは私を振り返る。
「たぶん魔力爆発の理屈としては指パッチンみたいなものかなと思ったけど、合ってる?」
「わ、私、指パッチンしたことないです……っ!」
「いや、そういうことじゃないしっ」
ピシッと、裏手で胸の上辺りにツッコミを入れられてしまう。
なんか漫才とかでありそうな感じだなぁ。
……え、私がボケ?
「まあいいか。実際にやってみたら分かるからね。それをRENGEちゃんに見てもらって助言をもらえたら──」
「そうですね。じゃあ実際にモンスターへと当ててみますか」
「えっ……実戦っ!?」
AKIHOさんが少したじろいだ。
どうしたんだろう?
「えっと、何かダメでしたか……?」
「えーっと、まだ結構集中してないとできないというか、実戦では試せていないというか……いや、ダメね。それじゃ良い動画は録れないものっ!」
「AKIHOさん……?」
「よしっ、RENGEちゃん、モンスターを探しに行きましょう!」
「はっ、はいっ!」
私はすぐさま魔力感知。
うん、近くにいるね。
ウルフにゴブリン、あとは……
あっ、この魔力の気配はゴーレムだ。
動きも遅いし、魔力爆発をゆっくり試すには最適の相手だろう。
「AKIHOさん、こっちですっ」
「えっ? 早っ……もう魔力感知をっ!?」
「ゴーレムなのでやりやすいハズですっ。さあさあっ」
「えぇっ? ゴーレムっ!? ゴーレム相手だと私みたいな剣士は……って! わぁっ、そんなに引っ張らないでRENGEちゃんっ!」
そうしてしばらく道を進みゴーレムの元にたどり着く。
結構大きな水色のゴーレムだ。
「うっ……アイスゴーレム、か。いいえ、これを進化のチャンスととらえるべきなのよね……」
AKIHOさんは深呼吸をすると、腰に差していた剣を鞘ごと抜いて、通路脇へと置いた。
「ゴーレムの硬い外殻に剣は通じ辛い。魔力爆発だけで、倒す……!」
AKIHOさんは早速、ゴーレムへと距離を詰めた。
「はぁ──ッ!」
大振りのゴーレムの攻撃を避け、その巨体を殴りつける。
「いけ──ッ!」
ポスン。
AKIHOさんの拳から、萎むような音。
魔力は不発だった。
「まだまだ──ッ!」
「が、がんばってくださいっ、AKIHOさんっ!」
AKIHOさんはそれからも果敢に水色ゴーレムを素手で攻めかかる。
ポスン、不発。
ポスン、ボスン……不発。
ボスン……ボスン……ボスン
ボスンッ
ボスンッ!
「はぁっ、はぁっ……ようやく掴んできたッ!」
AKIHOさんは小さく何ごとかを詠唱する。
「耐えて、私の体……身体強化魔法、7倍ッ!」
急加速。
AKIHOさんは壁を蹴ると、ゴーレムの頭上を越えて背後を取った。
「いっけぇぇぇ──ッ!!!」
ゴーレムの後頭部、そこへとAKIHOさんの全力の拳が突き刺さる。
それと同時に大きな破裂音。
ゴーレムの頭が弾け飛んだ。
「た……倒した……!?」
「できてますっ、AKIHOさん、魔力爆発できてますよっ!」
「そうだよねっ、私、今成功したよねっ!? 私、素手でHELLモードのモンスターを倒せちゃったんだよねっ!?」
「はいっ! おめでとうございますっ、倒せちゃってましたよっ!」
「やった……!」
AKIHOさんが着地する。
ヨロッ、と。
その場で膝を着いた。
「しまった、7倍の反動が……」
そして、よろめいたのはAKIHOさんの体だけではなかった。
ゴゴゴ、と。
ゴーレムの巨体が斜めに、AKIHOさん目掛けて倒れ始めた。
「あっ──」
AKIHOさんが目を見開く。
あ、もしかして動けないのかな?
「大丈夫ですかAKIHOさん」
私は倒れ来るゴーレムとAKIHOさんの間に入り、片方の手をAKIHOさんに差し出しつつ、もう片方の手で軽くゴーレムに触れると、
「えいっ」
手のひらの魔力爆発でその巨体を粉々に消し飛ばした。
雷鳴が間近で轟くような破裂音、その直後、爆発の余波で押し出されていた周囲の空気の"吹き戻し"が来る。
……うぅ、せっかくAKIHOさんに"お洒落すぷれー"で髪を綺麗にせっとしてもらっていたのに……強風で台無しだなぁ。残念。
「なっ、なっ、な……!?」
「AKIHOさん? 立てそうですか?」
「い、今ので腰、抜けちゃった……」
AKIHOさんはその場でヘタりと、座り込んでしまった。
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