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神話キャラが学校に通う世界線

#12 曲者

作者: 第3類医薬品

最近、風紀委員長のケートス先輩と仲良くなってきたから、ケートス先輩のクラスに行ってみる。最近疲れて身体重いし…アポロン先生ずっとつっかかってくるし……それは…僕のせいか…(前回参照)

…とにかく強くて優しくてかっこいいケートス先輩に癒されよ……きっとあの人なら話だって聞いてくれるし。

得体の知れない3年生の軍団と遭遇するけど、ケートス先輩がいるからきっと大丈夫…!きっと…

でも人のクラスに行くのは初めてだ。緊張する…。ただでさえ教室の扉開けるの怖いのに…!それに、階段を上る足が上手く進まない。怖い…。

ゆっくりゆっくり少しずつ上っていた。途中で会う3年生に怯えながら…


なのに…ゆっくり上ってたはずなのに…もう目の前にお目当ての教室が…。なんで時間って操ることができないんだろう…。

でももうケートス先輩がいるだろうから、ここで何かあっても大丈夫なんじゃ?色々考えたけど、そういう結論に至って開けてやろうとした瞬間…勝手に扉が開いた…


「僕に会いに来てくれたの?」


爽やかな声がしたと思ったら…!カルキノス先輩じゃんか…!僕の目当てじゃない…!


『クラス…ここなんですね…』


ケートス先輩…助けて…

予想外の事態に戸惑いが隠せなかった。ケートス先輩とカルキノス先輩はクラス一緒ってこと…?僕は『お目当てはお前じゃないぞ』と言わんばかりに変な顔でカルキノス先輩を見つめてた。


「あーはいはい、どうせケートスくんでしょ」


意外と察しが良くて助かる。…って…なんで僕がケートス先輩と関わってること知ってるんだ!?僕とケートス先輩がたまに話してるところでも見たのか…?


「残念だけど今は彼いないよ」


…!?

それを聞いて絶望した。僕の努力が…何回僕の心臓が吹っ飛びかけたと思ってるんだ…


「ということでさ、僕と遊ぼうねー」


ちょうど去ろうとした時にそう言われた。無言でそのまま逃げ出そうとしたけど、僕の両手首を後ろで固めて逃げられないようにしてきた。


「僕と遊ぶまで逃げられませーん」


…はぁ……逆に何して僕と遊ぶと言うんだろう。

そのまま腕を引っ張られて、カルキノス先輩は自分の席に座った。僕はそのそばに立つ。


「僕さ、この前テストすごく良い点だったんだよ」


そう言って四つ折りにされた紙を取り出して広げた。右上には"65"と赤色で書いてある。半分以上取れてるし、この人からするとそこそこすごいんだろうな…


『あ…良かったですね…』

「うん、すごい?」


僕からするとまあまあなんだけど……あ…でも僕の苦手な国語か……


『……すごい…』


そしたらカルキノス先輩は口角を大胆にあげてとても笑顔になった。ついでにどういう問題で点とってるのか気になったから見た。


テストを見てみると、記述問題の【〜の心情を答えよ。】みたいな、僕が苦手なタイプの問題がめちゃくちゃ正解してる…。

逆に四字熟語とか、は暗記したらなんとかなるやつが全然できてなかった。解答が全部"森羅万象"だったよ。本能寺の変じゃないんかい。でも、1問だけ、"森羅万象"で合ってた…。


「…んー…何する?することないね」


することないならなぜ遊ぼうとか言った?僕あんまり喋らないし遊んでも楽しくないでしょ…


「…あー…まだ言ってなかったこと思い出した、耳貸してよ」

『…?』


急に立ち上がって、僕の耳を指で優しく引っ張ってきた。辺りをよく見回して、深呼吸をしてから先輩は口を開く。


カルキノス「……僕…ヒドラと恋人同士になっちゃった…」

『……!?』


あまりにも動揺して後ろに下がってしまった。ついでに軽くカルキノス先輩を突き飛ばした。だってまさか…そんなわけ…

…というか…別に…それがどうしたっていうんだ!!僕が首突っ込むことでもないし…僕に言うことでもないだろ!!


「…傷ついた?よしよし」


自分で傷つけたくせに頭撫でてくる。


『…』

「もしかして嫉妬ー?でもねからすくん、運命には逆らえないんだよ」


知ったような言い方してるけど一応この人本能寺の変と森羅万象の人だぞ?悔しい…。悔しい!!


『…別にそれ僕関係ないですよね』


少し口を尖らせて言ってやった。それを聞いたカルキノス先輩は今まで通りの笑顔のまま黙って僕のことしばらく見つめてた。その間本当に喋らなくて…僕が何かやらかしたんじゃないかと思ったその時だった。


「嘘だよ」

『は…?』


しばらくは意味がわからないし、ずっと困惑してて一言も喋れなかった。カルキノス先輩はめちゃくちゃ爆笑してる。


何…?嘘?嘘なの…?


「怖かったねぇ笑笑」


…この人…!

隙あらば僕のこといじったりからかったり…!今も怖いよ!!カルキノス先輩が!!

カルキノス先輩が大爆笑するせいでこの教室にいる人みんなが僕らの方を向く。嫌だ…目立ちたくない…


『…ぅ…ぁ……もう…わかったので笑うのやめてください…』

「どうして?」


一瞬とぼけた顔でこっちを向いてそう言った。

でもすぐに爆笑し始める。なんで笑って欲しくないか、お見通しで笑ってるのか…単純にそんなことも知らず笑ってるのか…この人…読めない…


てかこの人いつまで笑ってんだ。もう周りも飽きて見るのをやめ始めてるし。

心の中で先輩に対する不満を述べながらも色々思いつめてた。その時、急に先輩はすんと爆笑するのをやめてこっちを向いてきた。


「…顔色良くなったね、勉強でもしてきたら?」


そう爽やかな笑顔で言って背中を押されたのでとりあえず帰ろうと扉の方へ向かった。扉の前に来ると最初みたく代わりに扉を開けてくれた。


「また何かあったら来てね、いってらっしゃい」


その言葉を最後にカルキノス先輩と別れた。なんなんだよあの人…

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