尻アタック
ラリィ・ヴァレスト。
由緒正しき剣聖の末裔。
ギルドに在籍しているのは、実は修行の一環に過ぎないという。
自分の耳目で世界を知り、正しきときに剣を使いなさい――
小難しいことは好かんが、おおかた、そういった理由で一時的に冒険者になってるみたいだな。
ゆえに、彼女のギルド在籍期間は驚くほど短い。
……そうだな、だいたい半年くらいだろう。
たったそれだけの期間でSランクになっちまうんだから、色々とやばいお嬢さんである。
――それでも、強さへの探求は飽きることがないようで。
「じー……」
「なに見てるんだ。気持ち悪い」
「さっきの答え、教えてもらうまで帰りません」
「あっそ。じゃあ好きにすれば」
俺は素っ気なく答えると、そのままソファに寝転がり、もふもふとした感覚を全身に味わう。
「あー気持ちいい。このまま寝ちゃえるね」
「――ていっ!」
「ごへっ」
おいおい、思いきり尻で踏まれたんだが。
「寝るのも駄目! 答えるまで今夜は寝かさないわ! ……って……あ」
そこまで言いかけて、自身の発言がやばいことに気づいたのだろう。
顔を真っ赤にし、
「――ていっ」
「ごうっ」
またも尻で踏まれた。
いやいやおかしいだろ。
今のは完全に自爆としか思えないんだが。
「と、とにかく!」
ラリィはまだ赤く染まっている顔を歪め、そっぽを向いた。
「ロアみたいに強くなるまで、私はずっと離れないからね! どうだ参ったか!!」
「はいはい参った参った」
このままだと、アホなやり取りが無限回続きそうだからな。
ここいらで折れておこう。
面倒くさいし。
いわゆるあれだ。
美少女だしSランク冒険者だし剣聖の末裔だし、これだけ見ると超ハイスペックなんだが……
中身は超残念ってことだ。
「――ていっ!!」
「おい、いい加減にしろ!」
またも尻に敷かれ、まったく休むことができないのであった。
「だって! いま失礼なこと考えてたでしょ!」
「考えてない! ただすげぇ残念な女だと思ってただけだ!」
「ほら! やっぱりもう一回踏まないと……」
「あら二人とも。こんなところにいたのねぇ」
なんと。
あまりにアホなやり取りをしていたせいで、俺としたことが新たな人物の気配に気づけなかった。
「ちょうどいいわロア。ちょっと相談が――って、あら」
さっきまで暴れまわっていた俺とラリィとを交互に見回し、彼女は「ふふっ」と笑った。
「どうやらお楽しみだったみたいね。失礼するわ」
「待てルーニャ! このクソ女から助けてくれ! いますぐにだ!」
「誰がクソ女ですってぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇえ!」
――俺はよく女を部屋に連れ込んでは遊び回っていると噂されているようだが、実情はこんな感じだったりする。
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