下品な発言禁止!
タンバが持っていた謎の水晶。
それに微弱な魔力を込めた途端、どこからともなくゴブリンが現れた。
さっきまで微塵も魔物の気配を感じなかったにも関わらず……だ。
そのうえ、エメラルドドラゴンのみならず、カオス・スワンプワームまで現れてるもんな。
ちなみにゴブリンはすでに討伐済みだ。最低ランクの魔物だし、さすがに苦戦などはしない。
「ギュアアアア……!」
ドスンと。
壮絶な悲鳴をあげながら、さっきのカオス・スワンプワームも地に伏せる。
「……はい、討伐完了」
剣を鞘に収めながら、涼しげな顔で地面に着地するラリィ。
さすがというべきか、まったくの無傷だな。苦戦した様子が全然ない。
「く、くそ……化け物かよ……!」
タンバが真っ青な顔で呟く。目を見開き、なぜか絶望的な表情を浮かべている。
もうこの時点で怪しさマックスなんだよなぁ。
「おいタンバ」
「な……なんだよ」
「ゴブリンはともかく、カオス・スワンプワームはB級の魔物だ。おまえじゃ絶対に勝てない相手を倒したんだから、普通は安心するもんじゃねえの? なんでがっかりしてる?」
「あ…………」
唖然と立ち尽くすタンバ。
語るに落ちたな。
別に高度な駆け引きをした覚えはない。こいつが勝手に自爆した形だ。
「そういうわけだ。一度、王都で詳しい話を聞かせてくれや。あそこにいる二人も含めてな」
「く……くそ……っ……!」
悔しそうに歯噛みするタンバだが、この後に及んで抵抗するつもりはないらしい。
……こいつ自身、わかってるんだろうな。
暴れたところで、俺に勝てるわけないということくらいは。
だから特段なにをするでもなく、素直に従うつもりのようだ。
「ロア・マヒロス……。おまえだけは許さんからな、クソガキが……」
「おーいラリィ、こいつぶん殴っていいか?」
そんなこんなで、俺は転移魔法を用いて王都に帰るのだった。
もちろん、エメラルドドラゴンとカオス・スワンプワームの屍も一緒に持って行くので、正確には王都のすこし前だな。
★
「おや。これはロア様にラリィ様――って、うおっ!!」
王都に着いたとき、門番にひどく驚かれた。
「そ、そそそそそ、その大きなモノはなんですか!? ま、まさかドラゴン?」
「エメラルドドラゴンとカオス・スワンプワーム。絶命してるのは確認してる。通してくれないか?」
「そ、それはもちろんでございます! さあどうぞ!!」
二人の門番がさっとどいてくれた。
このへんの融通も、Sランク冒険者ならではだよな。
「おーい、ロア様がエメラルドドラゴンを退治してこられたぞーー!」
「えっ、あのロア様が!?」
「すごい……!」
「さすがは勇者様だぜ……!!」
知らせを受けて、続々と都民たちが集まってくる。もちろん、こうしてすぐに駆けつけてくる連中ということは、大多数が俺の《ファン》っぽいな。
片手でエメラルドドラゴンを持ち上げている俺に、キャーキャー声援が送られてくる。
「やぁやぁみんな。今日も揃ってみんな美男美女だねー」
「きゃー!!」
「ロア様ー! こっち見てーー!!」
「ちっ、うぜぇな……あの肉便器どもが……!!」
タンバがとても下品なことを言っていたので、とりあえず腹パンしておいた。
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