可能性で語るなボケが
「どうだ、言いたいことあるなら言ってみろよ! この外道野郎が!
」
ドヤ顔を浮かべながら、タンバはびしっと俺を指さす。
まるで自分が正義の味方にでもなっているかのように。
「はは……」
思わず乾いた笑みを浮かべてしまう俺。
滑稽だな。
なにもかもが。
「…………で、タンバ。そこまでご高説垂れるからにゃ、確証はあるのかね?」
「は?」
「確証だよ確証。さんざん人を馬鹿にしたんだからよ、それに足る証拠があるんだろ?」
「はぁ? なに偉そうなこと言ってんの?」
タンバがコケにしたように腕を組む。
「おまえだって俺を馬鹿にしてきただろうが。こちとら生活するだけで精一杯なのに、大事なときにギルドを追放しやがって……!」
いやそれ関係なくね?
俺はため息をつきながら、足を組み替える。
「論点すり替えるな。そもそもあれはおまえの犯罪に端を発したもんだ。なんだ、おまえは自分の奥さんが襲われてもなんとも思わねえのかよ?」
「…………」
さすがに押し黙るタンバ。
「で、教えてくれよ確証をよ」
「ふざけんな。確証なんざ沢山あんだろうが! まず18歳なのにありえない強さ、これはクスリを決めてる可能性が高い!」
「可能性で語るなボケが」
勝手に主観で判断されて、勝手にクズ扱いされてきて……
とんでもないよな。よくそんなことができるもんだ。
「まあいいさ。おまえがそんな人生に満足してるならな。けど――」
言いながら、俺はタンバの動きを観察していた。
どういうつもりか知らないが、奴は後ろ手になにかを隠し持っている。
俺の直感が正しければ、これは――
「ガァァァァァァァァァァア!!」
突如にして、近くの地面から魔物が飛び出してくる。
カオス・スワンプワーム。
大きな虫みたいな姿をしており、巨大な口がなんとも特徴的な魔物だ。危険度はB級、さきほどのエメラルドドラゴンほどではないにせよ、充分に危険な魔物だ。
おいそれと姿を現すような敵じゃない。
「ラリィ! 頼んだ!」
「了解っ!」
遠くで返事をしたラリィが、まさに神速のごときスピードでカオス・スワンプワームに剣撃を浴びせていく。
彼女の武器は細剣。
一撃一撃は軽いものの、軽い身のこなしで敵を追いつめる戦闘スタイルだ。
「ギュワアアアアアアア!!」
ラリィの華麗な剣捌きに、カオス・スワンプワームが断末魔の悲鳴をあげる。
あっちは大丈夫そうだ。
俺は、俺のやることをやらなくては――
「そこだ!」
気合いの声とともに、俺はタンバの右腕を叩く。
「っつ…………!」
短い悲鳴をあげたタンバの右手から、翡翠色の水晶が転がり落ちていく。心なしか漆黒の波動を放出しており、見るからに不穏な雰囲気を醸し出している。
この不吉な魔力。
ビンゴだな。
「タンバ。これはなんだ」
「し、知るか!」
「シラ切るのか。ほーん」
言いながら、俺は軽く水晶に魔力を込める。
すると、水晶はさらに濃密な波動を放ち……
「ギャギャギャ……!」
近くで一匹だけ、小さいゴブリンが湧き出した。
「はん……なるほどなぁ……」
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