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007 世界の秘密

 全て何も感じない。


 元の世界で死んだ時と類似した感覚になったところに、凄い量の知識が入ってきた。


 それは、この世界の歴史と叡智だった。


 私が過去に生きていた世界から更に未来になって細菌やウイルス対策の為に空中に散布したナノマシンがあった。


 ナノとは、1メートルの10億分の1の単位である。


 ナノマシンとは、ナノレベルの大きさで構築されたロボットである。小さいが故に分子を動かす事が可能で、分子配列を入れ替えたり原子レベルの物を加工したりなど多様なことが出来る超小型ロボットである。


 ロボットが小さくなった為に重力や摩擦力の影響が薄れる。これにより想像以上に様々なことが出来るが、表面張力やファン・デル・ワールス力などの問題があったが時代の進歩で解決した。


 新しい量子力学によって最終段階まで進化していき、科学は次元の壁も突破した。


 この技術の応用によって、私が擬態していた大楯に収納の機能が生まれたと言って良い。


 空中を彷徨うナノマシンと言われる超小型に為の目に見えないロボット達は、人間に害がある細菌やウイルスを見つけてはナノマシンにインプットされたプログラムによって除去していく。


 そして、世界中の大気にナノマシンが漂う空気感染による病気が無い世界になった。


 更に未来になると、そのナノマシンを利用して特定のキーワードで発動可能な利用方法が生み出される。


 火をつけたいのであれば、火をつけるキワードを言えばで空気中のナノマシンが感知して大気中のナノマシンが原子の周りを回る電子の動きを速くして温度を上げた。


 冷やしたいのであれば、冷やすキワードを言えば空気中のナノマシンが感知して大気中のナノマシンが原子と電子の動きを遅くして温度を下げた。


 水が欲しければ、キワードを言えば空気中のナノマシンが感知して大気中の水分元素を集めて水を生成した。


 更に未来になると、単純な事からより高度な事まで可能なナノマシンが大気中に散布されていった。


 そして地球が一つのナノマシンを媒体とした巨大なコンピュータとなった。


 地球が一つの超巨大なナノマシンの集合体ロボットになったと言えるだろう。

 大気中のナノマシンが本体で人類の平和と健康を管理する。


 そして破滅が訪れる。


 地球が暴走した。当時に非常にリアルな多くのゲームが存在していたが、ゲームデータが大気を漂うナノマシンのプログラムに混じってしまったのだった。


 コンピュータウイルスのように地球中にゲーム情報が混じったナノマシンが感染していった。ゲーム情報が混じったナノマシンには、今までナノマシンを制御していた専用の機械でもアクセス出来なかった。

 誰も地球にアクセスする事が出来ずに暴走が止まらずに、今のゲームのような世界が構築された。


 そして、現在のゲームのようなダンジョンがあったり魔物がいる状態になった。


 成る程……そういえば夜に空をフローラが見上げた時に、元の世界で見慣れた月があった。


 日付の概念や時間の概念が、元いた世界と同じだった。


 人間の姿も元いた世界と変わりなかったし、人間がいる事自体疑うべきだった。


 フローラのいる世界と私の元いた世界は違う異世界ではなかった。


 同じ世界だった。


 同じ地球でフローラがいるのは、私が生きていていた時代のはるか未来だったのだ。


 人間と同じで、地球の大気に漂っているナノマシンが地球の脳細胞であり筋肉であり目であり手足である。


 魔力はナノマシンの事であり大気中のナノマシンをキワードで集めれば色々な魔法が発動するし、呼吸から体内の取り入れてしまったナノマシンが外に出やすい人と貯まる人で魔力量に個人差が生まれるし、空気中のナノマシンが吹き溜まりのように集まりやすい地形があれば、一定の濃度と時間によって暴走した原因であるゲームに存在した魔物がナノマシンによって構築されると言うのがこの世界だった。


 ゲームで言えば魔物はNPCに当たる存在だろうか?

 私自身の転生の謎は解けないが、魔力や魔物に関してはこの世界の法則がわかった気がする。


 私がナノマシンの塊であるメタルスライムだった為と名前がついた事によって、地球のデータベースに私の名前が刻まれた瞬間に意識できた。

 大気中のナノマシンを通して刻む作業の過程において、地球のナノマシンとのリンク成功して逆にデータのロードが可能になり地球の記録を見ることが出来た。


 有機物主体の生命であればアクセスは無理だったが、無機物主体の生命体だった為か体内の情報の流れが自然と理解できて、地球の暴走後に誰もアクセス出来なかった地球に無機物主体の生命体である私が、奇跡的な偶然が重なってアクセスしたのだった。


 全知全能になった気分である。

 何もかも考えればわかる。


 なんでもわかる状態だが、あまりの情報量で自我が保てない気がする。

 フローラの元へ戻らなくてはいけないと思った。


 地球とのアクセスを切れば元の盾に戻れるのだろうか?

 一度切ってしまったら、この奇跡的な地球とのアクセスが再び出来ない気がした。

 地球と対話するアクセスを切らずに流れている情報を遮断した。

 まぁ目と耳は無いが、地球を見て聞いている目と耳をふさぐかんじだ。


 すぐに視界が開けた。

 フローラが焚き火を見つめている。


 成功したのか?


 フローラが私に視線を移すと止まった。

 私とフローラの目が合って暫く見つめあう。


 突然泣き出して走りよってくる。


「もう! 今まで夢を見ていたかと思っちゃったよ。大楯が話しかけて来たのも幻聴で、トロールから助けてくれたのも幻覚だったのかと思った。あれから1週間も反応してくれないから」


 啜り泣きをして大盾の私を抱いた。

 フローラに名前を付けられた瞬間に、地球とアクセスした為にこの世界の言葉がわかるようになったようだ。

 もはや意味がわからない言葉ではなくて普通に聞き取れる。

 今まではナノマシンを介して思考として通訳していた感じだったんだな。


 早速、盾に喋れる口を作り出してフローラに話しかけた。


「心配させたね。1週間!? そんなに時間が経過していたのか?」


「あの後が大変で、今は王都に向かっています」


 地球とのアクセスは、一瞬だったはずだが時間経過が異なるようだ。

 地球にアクセスする際には気をつけなければいけない。

 あの一瞬で1週間ならば、1日アクセスしたら数年戻ってこないのかもしれない。


 フローラに黒いトロールを倒した後の顛末を聞いた。


 大楯に擬態した私の意識がなかったが収納と結界は魔力を流せば発動したので、倒した二匹のトロールと黒いトロールを収納して依頼を受けた冒険者ギルドに戻った。


 ギルとネロはトロールを倒した依頼を終了した事にして、依頼料をもらうと次の依頼を受けて冒険者ギルドから出て行った後だった。


 フローラはトロールの死体をギルドで買い取ってもらって、黒いトロールに関しては潰れていて素材として引き取れなかったが、トロールキングである事は認めてくれて、依頼と別途にトロールキングの討伐報酬をもらうことが出来た。


 フローラは金貨1枚と銀貨2枚を手に入れたが、大盾の私は無反応だし奴隷から解放されて何をして良いかわからなくなり、実家に残してきた家族が気になったので実家に帰る事にしたようだ。

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