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002 洞窟から外へ

 二人のゴブリンに案内されて洞窟を進んでいく。


 途中に開けた場所があって、食料らしき物が置いてあったり、武器が置いてあったりした。

 多数のゴブリンとすれ違ったのだが、全てのゴブリンが私を見ると爆笑しているような行動をしている。


 そんなに今の姿が滑稽なのだろうか? ゴブリンの笑いのツボがわからない。


 最後に明るい広めの洞窟に到着すると奥に土で出来た椅子があり、ひとまわり大きなゴブリンが座っていた。

 その横には杖を持ったゴブリンが立っていた。


 そして、彼らも私を指差して爆笑を始めた。


「ギャギャ! ギャギャ!」


 何を喋ってるか分からん!

 今いる世界が異世界だったら、転生の特権で言葉とかわかるもんじゃないのか?

 とか思っていると本当にわかってしまった。

 原理がわからん。聞くと言うより感じる感じで思考が伝わってきた。


『スライムに人間の手足が生えてるぞ!! 人間を食べた時に消化出来なかったのか? めちゃくちゃウケる』

『わはははは! こんなに笑ったのは生まれて初めてでございます。スライムに人間の目が付いてますぞ! キング様』


 何を笑っているかはわかったが、こちらからどうやって話しかけるのかが分からない。


『困ったな』と聞こえたように感じる目の前のゴブリンの思考に対して考えたら伝わってしまった。


『どうした? なにか困ったことがあるのか?』


 杖を持ったゴブリンが私の思考に反応した。

 これは! テレパシーって奴か? とにかく会話できそうだ。

 意識の疎通って重要だよね!


 私の小説やゲームの知識だと目の前の二人は、ゴブリンキングとゴブリンメイジのようだ。

 ゴブリンキングは、ゴブリンを支配してる王様。

 ゴブリンメイジは、ゴブリンの中で頭が良く魔法が使える。

 この世界には魔法があるのか?


 記憶喪失のふりをして、仲間を探している設定にして話しかける。


『ほうほう。意識が戻ったら洞窟で仲間がいなかったと言う訳か? そう言えば最近、地震があって通路が塞がった場所が多数あったからな。そなたはメタルスライムであると思うのだが……ぷ…手足が…いや。突然変異種のようだな。まぁ仲間が見つかるまで我が集落でゆっくりしていくが良い』


 椅子に座っているゴブリンが答える。

 過去に小説で読んだゴブリンと違って温厚な対応であった。

 敵対されなくてよかった。

 会話に人間の手足と言う内容があったので人間がいるようだ。

 人間に関して聞いてみた。


『人間!? あ奴らは我らの敵じゃ。我らを見ると襲ってくる恐ろしい怪物じゃ。魔王様に従って必ず駆逐せねばならん。お主の手足は人間を喰った為にできたのであろう? スライムの中には取り込んだ生物を模倣出来る奴がいる。人間を一人でも倒したならば戦士じゃ。我が戦士達と一緒に戦ってくれると助かる』


 ゴブリンは人間とは敵対しているようだ。

 とにかく情報が足りない。少しの間、このゴブリンの集落で生活してみて情報を手に入れる事にした。


 しばらく一緒に生活をしてゴブリンから仕入れた情報によると、この世界はフィクションの小説のような……いや、ゲームの様な世界だった。


「人間の想像した物や世界観は、広い宇宙の中に実際に存在していたり時代の進化によって未来に必ず現実に出来る」


 って言った人がいたなぁ


 まさか、それを体験出来るとは思わなかった。

 ここは、ダンジョンと言われる魔力が集まる地下洞窟である。

 魔力が集まるとその濃さと周囲の環境によって様々なモンスターが生まれる。

 ここは、第一層と言われる場所で、主にゴブリンが生まれてくる。

 集落を彷徨っている時にちょうど生まれる瞬間を見たんだが、何も無い空間から突然現れるのだ。全く原理がわからない。


 ゲームで言えばリポップ?


 科学的に言えば、空気中に魔力って物質が漂っていて魔力が集まると周囲の元素と結合して奇跡が起きるみたいな?

 元の世界でも空気にC(炭素)があるから空気からダイヤや鉛筆の芯も作れない訳でもないので、この世界の大気成分に何かしらの原理があるとは思っている。


 私はスライムの中で鉱物が多い場所で稀に発生するメタルスライムになる。


 本来はこんなに知識がなくて馬鹿のようで、外見は雫状で本能によって鉱石を食べて生きている魔物である。稀に人間を襲って食べて人間の様な形になっている個体はあるが消化すると元の雫状に戻る。私の様に雫に人間の手足が生えて目が付いてるのは突然変異種と言う事らしいが、本当は魂に人間の時の記憶が残っているだけのただのメタルスライムである。


 この姿では、人間に見つかったら駆逐対象になりそうだ。

 どうにかして人間のふりが出来ると良いのだが……

 さすがに元人間としては、ゴブリンとの共同生活よりも人間の社会の方に参加したいかな……


 ダンジョンをさらに地下に進めば第二層と言う場所に行けるらしいが、ゴブリン達も強い魔物に襲われるらしく情報はあまりなかった。

 魔王様に関しては、生まれて来た時から何故か知っていて魔力が溜まって生まれる魔物を統べる王で魔物を襲う人間を倒す為に戦っているそうだ。

 稀に魔王様から総攻撃の思考が飛んできて、ゴブリンの集落全員でダンジョンから出て人間を襲うらしい。


 その現象ってダンジョンからモンスターが溢れる話で小説であった気がする。


 彼らの食料は、雑食でなんでも食べる。地上に出て狩や収穫をして生活している。

 ゴブリンの情報では全く足りない。

 第一層から地上に出て情報を手に入れる必要を感じた。

 そこで、彼らの狩や収穫についていく事にした。


『こっちですよ』


 5人の錆びた斧や剣を持ったゴブリン達と地上を目指している。

 想像以上に地上に出るまでの道が複雑で、迷わずいくゴブリンって実は頭が良いんじゃないのか思っていると……


『あれ? 道間違えた』

『こっちって言ったじゃねーか!』

『あっちだろ!』


 いや、ゴブリンは馬鹿だった。


 道を間違えながら外の明かりが見える出口付近まで来ると、3人組の人間がいた。

 剣を持った青年と杖を持った少年と傷だらけの大楯を持った少女だった。


『ゴブリンです。ファイヤーアロー』

『雑魚に魔法は魔力がもったいないぞ』

『………………。』


 問答無用で私の前方にいたゴブリンの集団に多数の火の矢が飛んできた。

 青年と少年が話している言葉はわからなかったが意味を感じ取れた。

 この世界では何を喋っているか言葉に含まれる思考からわかるのか?

 それとも私が特殊なのだろうか?


『熱い! 助けて』

『人間どもめ』

『逃げるぞ』


 5人いたゴブリンが3人まで減らされて、急いで逃げる。

 私は後方に少し離れていたので、まだ気が付かれていない様だ。


『逃しません。ストロング』


 杖を持った少年が剣を持った青年に唱えると青年の足が黄色に発光した。

 凄い速度で駆け出して逃げているゴブリンを背中から斬りつけた。

 一瞬でゴブリン達が全滅してしまった。


 私は急いで体内に吸収した時がある物に擬態出来る能力で、ただの鉱物に化けた。外見は岩になっている。


『まさか、ダンジョンに入らないで討伐出来るなんて運が良いですね』


 少年が感想を話している時に、大楯を持った少女が懐からナイフを出して倒したゴブリンの耳を回収している。

 私の存在には気が付かないようだった。


『この辺で目撃されていたゴブリンは5匹だったな。やはりダンジョンから湧いたゴブリンだったか。依頼は完了だな』


 青年が剣を肩に担いで機嫌良く答えた。

 人間の世界ではゴブリンは、「人」じゃなくて「匹」なんだな。


『早く帰って次の依頼にいきましょう。フローラ! 先に戻ってるから討伐の証拠を回収したらすぐに村に来いよ! 相変わらずトロい奴だな』


 少年が機嫌悪く少女に言い放つ。

 少女の名前はフローラと言うようだ。


 青年と少年が話しながら洞窟から奥の森へ移動していった。

 ゴブリンの耳を回収している少女は、ナイフの扱いに慣れていないようで、なかなかゴブリンから耳を切り離せないでモタモタしていた。


 二人が森へ入って見えなくなる頃に回収が終わって、フローラと呼ばれた少女が洞窟を見た。

 洞窟の入り口付近で、鉱物の擬態をしている私と目があった。


 しまった! 目をしまってなかった。

 岩に擬態していたが、外を見るために目を出していたのを忘れていた。


『きゃあぁ! 怪物!』


 不味いぞ。さっきの青年や少年が戻って来たら倒される。


 とっさに擬態を解いてメタルスライム状態の手足がある姿に変わると、落書きのような足でフローラに向かって走った。フローラの側によるとフローラの叫んでいる口を落書きのような手で押さえた。


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