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013 フローラの実家

 近衛騎士団を出動させたからか、第二王子は確実にメルをどうにか出来ると考えていたのか、王都の付近にたどり着くまでにメルを探索するような兵隊とは出会わなかった。


 フローラの実家は、王都を通り過ぎて更に奥に行った山に中だった。

 メル達と一緒に王都に入った場合は確実に厄介な事に巻き込まれる予感がするので、王都の前で別れる事にした。


「護衛していただき助かった。報酬は後日に王宮の王宮魔道士がいる塔へ来てくれ。そこに俺がいるのでそこで支払おう」


「感謝します。未だに名前を教えていただいていないのですが、教えていただけませんか?」


 そういえば、旅の冒険者風情だから私から自己紹介すらなかったな。旅の途中でフローラの事を名前で呼んでいたので、フローラの名前はバレているし構わないか?


「私の名前はガーディアンだ。一緒にいる少女はフローラと言う。目的を果たしたら暫く王都に滞在する予定なので、よろしくお願いする」


「確か呪いの鎧を外す為でしたか? 協力出来る事もあると思いますので、その時は言ってください」


 この後、メルとレオがどうなるか気にはなるが、フローラほど護りたいとは思えない。最後の挨拶をして二人と別れた。


 再びフローラと二人の旅になると、フローラの口数が多くなった。やはり人見知りって奴だろうか?


「あの二人は、信用できません」

「そうだろうな」


 フローラの村に向かって歩きながらメルとレオの話を始めた。


「知り合いにエルフに買われた奴隷がいますが、大変幸せになったと聞きます。エルフは雑用が嫌いで人間の奴隷を買って家の雑用をさせるそうです。人間の貴族に買われるのがハズレで冒険者であればマシな方であって、奴隷はみんなエルフや他の種族に買われたいと思っています」


「貴族に買われれば裕福な生活ができる訳ではないのか?」


「いいえ。貴族は平民を家畜としてみていて奴隷に関しては物としかみていません。私は貴族は嫌いです」


 人間に売られて奴隷になる訳で、人間に対して良い印象は無い訳なのか? 実際に他種族に買われた人間の奴隷を見ないとわからないな。本当にフローラが思っているような対応なのか調べてみないとな。


 フローラの実家が立ち直って、生活が安定しているようならフローラを実家に戻す事も考えないといけない。


 数日歩くとフローラの実家の村が見えてきた。

 村の周りには広大な畑があり、食料も豊富に見える。

 フローラが売られた年は不作だったのだろうか?


 フローラの実家に着くと、フローラの母親が迎えてくた。


「まさか? フローラなの?」

「お母さん!ただいま!」


 二人が抱き合って、フローラが今まで事を話した。

 話している間に、畑仕事から戻ってきた父親と長男が帰ってきた。


「おおお!フローラか? 冒険者に買われたと聞いて少しは安心していたんだが、無事でよかった! 奴隷は解放されたのか?」


「うん。ここにいるガーディアンさんが助けてくれて奴隷じゃなくなったの」


「それはガーディアン様には、お礼せねばな。私はフローラの父親のバジだ。一緒にいるのには長男のスゲだ。フローラを戻してくれて感謝いたします」(………これで今年も裕福に暮らせるな)


「親父。 お礼なんか言う必要はないぜ。フローラは奴隷じゃないんだろ? おい、ガーディアンだっけ? フローラを置いてさっさとどっか行けよ」


「スゲ兄さん! ガーディアンさんには助けてもらったの。そんな言い方はないでしょ!」


「ああ? 家族の問題にそいつは関係ないだろ、とにかくフローラが帰って来たばかりだ。部外者は何処かに行っててくれ」


 なんか、不穏な雰囲気だな。

 フローラの親父に関しては、会話内容とその言葉に乗っている思考が異なってる。嘘をついている事になる。

 少し心配になった。


「わかった。村に宿屋はあるのか?」


 フローラの父親が母親に小さな声で何を伝えた。

 すぐに母親が話しかけてきた。


「小さけれどあります。ご案内します」


 フローラの母親が私を村の小さな宿屋へ案内してくれた。

 案内するとすぐに母親が戻っていく。

 てっきり、フローラルの家に泊めてくれるとか代案を出してくれるかと期待したが何も会話がなかった。


 言われていた通り小さな宿屋だった。

 村に来る行商人用の宿屋で、部屋の広さがベットより少し大きいぐらいで、別途に鍵付き倉庫を無料に貸してくれた。


 フローラも戻ったばかりだから、家族の問題に口を挟むのも問題なので明日までは大人しくしておこうと思っている。


 さて、久々の一人になった。人間の食べ物も食べれない事だし暇になってしまった。


 ベットのある部屋では、狭いからベットに横になるしかないのだが、鎧の重さでベットが壊れるかもしれないので、無料でついてきた倉庫に入って鍵を閉めた。


 地球にアクセスすると一瞬でも一週間過ぎていたが、私の思考速度の問題で、最低限のアクセスに絞れば大丈夫なのかもしれない。ちょっと試してみようと考えた。


 倉庫で立ちながら、前回アクセス断線したわけではなく閉じた部分を少しだけ開くイメージをした瞬間に再び意識を失った。


 この村の情報が流れ込んでくる。


 そう、この村の情報に限定するイメージだ。それ以上は閉じるイメージを持った。


 空中に漂う魔力(ナノマシーン)が、記憶媒体であり通信媒体であり可動部位である。元の世界でも都心であれば、その場に数万人単位の会話の電波が飛びかっていた。それと同じように村の情報だけが流れ込んでくる。


 地形や住んでいる人の情報、村で今まで何があったかなど村限定でも膨大な情報量だった。

 不味いな予想より情報量が多い。自分が一瞬と感じても戻ったらかなりの時間がすぎている可能性が高い。


 すぐにアクセスを閉じた。


 目を開けると武器が並んだ店の中で売り物として立っていた。


 え? どういう事だ?

 そばに店主がいるので話しかける。


「ここは何処だ?」


「な! 誰だ勝手に装備してる奴は! 売り物を勝手に! っていつのまに装備した!?」


「ちょっと待ってくれ。この鎧は私の物だが?」


「何言ってやがる。スゲの奴から金貨3枚で買った物だ! 盗むと言うなら出るとこ出るぞ!」


 意識がない間に、防具として勝手に売られた感じか?

 ここは取得した村の情報にはない場所だった。

 村の中でない事は確かだ。

 想像以上に長い間意識がなかったようだ。


「わかった金貨3枚で買い取ろう。この鎧は私の物であってスゲが盗んだ物になる。逆に店主が困るのでは?」


「スゲの野郎! 盗品を売りやがったのか! こっちの商売だから金貨4枚なら売ってやろう」


 譲歩したが引き下がらなかった。

 金貨を3枚までは体内に作る金成分を持っていたが、4枚作るほどの金は、吸収した鉱石の内にない。

 仕方がない。

 本物の金貨と同じ重さぐらいの合金を作り、表面だけ金貨と同じ割合の金でコーティングした完全な偽金貨を4枚作り出して渡した。


 金メッキが禿げた場合やばいが、欲張った店主の自業自得だろう。


 店主に渡す時に少しだけドキドキしたがバレずに商談が成立した。


 ここはフローラの村から一番近いクラスタの町だった。

 フローラの村までは歩いて一日ほどで、昨日スゲが売りに来たと聞いた。


 急いでフローラの村へ向かった。

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