ぎこちない図書館
午後17時、下校のチャイムが鳴る
図書館には彼と私以外いない
チャイムとともに立ち上がり帰る準備をする彼
私も図書室を閉めるため、カウンター周りの片付けをする
つい読み耽ってしまったため、何も片付けができていない
「ねぇ、手伝うことある?」
声をかけられびっくりしてしまった
あわてて顔を上げると彼が目の前に
「えっ、いや、大丈夫…」
「そう?」
そう言うと、帰る準備が出来ている彼は机に座り直す
「あっ、あの、もう閉室時間ですので」
「うん、だから待とうかなって」
待つ
何を
「えっと、私片付け終わったら閉めてしまいますので」
「いや、だから待つって」
会話が噛み合わないな?
戸惑いながら片付け終える
疑問に思いながら最終チェックをしてゆく
パソコンの電源、貸し出し表、本棚、窓の鍵、机と椅子
「では、閉めますね」
「うん」
あっさりと立ち上がり図書室から出てくださる
誰か待ってたのでは
外から鍵をかけて
鍵をかけてるのをずっと見られるとなんだか緊張する
「では、えっと…」
お疲れ様?また明日?そんな仲でもないし
「さようなら」
「えっ、いや、一緒に帰ろう?」
慌てたように言われる
あっ、え?
「私のことですか?」
「えっ、何が」
「待ってたの」
「あっ、伝わってなかった?そっかー…伝わらないか…」
困ったような顔をして口元に手を当てる
「ま、うん、仕方ない。一緒に帰ってもいいかな?」
「はい…」