第90話 白頭山噴火
「はぁ、早くこんな場所からはおさらばしたいな……」
思わず愚痴をこぼしてしまうジャスパー・マスケリン。
しかし、機内は耳が痛くなるほどの轟音で満たされており、周囲は足の踏み場も無いほど機材が積まれている。彼の愚痴は誰にも聞かれることは無かったのである。
『さて、そろそろお仕事してもらいましょうか。30万ポンド分のお仕事を期待していますよ?』
『えぇっ!? これからキョートへ行って紅葉を見ようと思ってたのに!?』
『……連れていけ』
『あぁ、そんなぁぁぁぁぁぁぁっ!?』
英国大使館のゲストとして上げ膳据え膳な生活を送っていたマスケリンの生活が一変したのは1ヵ月前のことであった。テッド・ハーグリーヴスの依頼で仕事を引き受けざるを得なかったのである。
『目標上空に到着した。ホバリングに移行する』
『着陸するぞ。念のため手近なものに掴まっておけ!』
轟音に紛れて機内放送が聞こえてくる。
外は見えなかったが、浮遊感を感じるので機体が降下していることだけは分かる。
『ランディングした。荷物を降ろすぞ!』
薄暗い機内に後方から光が入ってくる。
機体後方のクラムシェル・ドアが解放されたのであろう。
「うわっ、寒い!?」
入り込んでくる冷気にマスケリンは悲鳴をあげる。
12月の冬山、それも山頂付近なので寒いのは当然である。
「コンプレッサーは丁寧に降ろせよ!」
「発電機の用意も急いでくれ!」
「おい、ホースが足りねぇぞ!?」
機外に出たマスケリンの目の前では、先に到着していた隊員たちが荷下ろしをしていた。目の前には湖、周辺は雪山という環境で頼れるのは人力のみである。隊員たちは汗だくであった。
少し離れた場所では宿泊施設の建設も始まっていた。
3000メートル級の冬山でテント暮らしは出来ないと言わないまでも不可能に近い。ましてや、此処にいるのはアルピニストではなく登山経験など皆無な技術者たちなのである。
「オーライ、オーライ、そのまま降ろせ!」
騒音とダウンウォッシュに負けじと大声でがなる隊員。
シエルバ W.11T エアホースが空輸してきたのは、『パイクハウス』であった。
パイクハウスは、ジェフリー・パイクによって商品化された。
親友であるテッドのアイデアを形にしたものであったが、その発想は史実のユニットハウスそのものであった。
肝心の売れ行きはさっぱりだったのであるが、極めて短時間で完成させることが出来ることに陸軍が目を付けた。前線での基地設営や、その他の特殊目的のために各種のパイクハウスが規格化されていたのである。
「もうちょい右……そのまま、そのまま。よし固定するぞ!」
「だれかスパナ持ってきてくれーっ!?」
「おい、電気無しの生活を送りたいのか!? 先に電線を通させろ!」
降ろされたパイクハウスは一つでは無かった。
空輸されたユニットを隣接させて、金具とボルトで結合していったのである。
(こんな僻地に飛ばされてどうなるかと思ったが、これで最低限の生活は保障されたな)
マスケリンの目の前には、これからお世話になる宿泊施設が建っていた。
2階建てのパイクハウスは、わずか半日で完成していたのである。
このパイクハウスは、規格品ではなく特注品であった。
厳冬期の山頂付近はマイナス50度近くまで気温が低下するうえに、平均で秒速18m近い強風が常時吹いている環境では規格品のパイクハウスでは耐えられ無いと判断されたからである。
従来品に比べて壁が分厚くなり、中には断熱材として発泡スチロールが充填されていた。窓も二重化された強化ガラスであり、室温の低下を防ぐと共に暴風に耐える構造になっていた。この時のノウハウが後の南極観測基地建設に活かされることになるのである。
「えー、それでは任務が無事に終わることを祈願して――乾杯!」
「「「乾杯っ!」」」
マスケリンが音頭を取って、隊員たちもジョッキを上げた。
ジョッキをぶつけ合う音の後に、ゴクゴクと嚥下する音が響き渡る。
「こんな場所に連れられてきた時はどうしたものかと思ったが、こんな美味いものが食えるなんて最高だな!」
「これが最後の晩餐にならなきゃ良いがな……」
「おい馬鹿、不吉なこと言うなよ」
外は雪混じりの暴風であったが、室内は暖房が効いて快適であった。
隊員たちは、ビール片手にオードブルに手を伸ばす。
「あ、班長。なにか食べます?」
「あまり班長呼ばわりされるのもな……柄じゃないんだよなぁ」
現在のジャスパー・マスケリンの肩書は、ウォッチガード・セキュリティ特務班『マジックギャング』班長であった。今までマジシャンとして生計を立てて来たのに、いきなり組織の一員にされて戸惑っていたのである。
「じゃあ、マスケリンさんで」
「さん付けも無しで良いよ」
「さすがに、それはちょっと……」
マジックギャングはウォッチガード・セキュリティ麾下の特務部隊であるが、構成する人員の大半は民間人であった。その内訳は建築家、絵画修復技術者、大工、化学者、電気設計士、電気技師、画家、舞台技師など様々で、およそ軍事組織とは言えないものだったのである。
「すみません。わたしは班長で呼ばせてください」
「まぁ、君はしょうがないよね……」
マスケリンは副官の発言に苦笑する。
副官はウォッチガード・セキュリティから出向しており、事実上のお目付け役であった。
しかし、ウォッチガード・セキュリティ自体が軍規――もとい、社規に厳しいわけではない。そのため、マジックギャングは軍事組織というよりは趣味のサークルといった雰囲気だったのである。
「まぁ、何はともあれ明日からだ。最後まで何事もなく終わりたいね」
マスケリンの偽らざる本音である。
3000メートル級の冬山での作業は想像を絶するものになることが予想されていたのである。
『気象庁によると観測された地震は対馬で震度1。震源は朝鮮半島北部で津波の心配は無いとのことです。それでは次のニュースです……』
1930年12月某日。
対馬に設置された地震観測所では1週間前から地震を断続的に検知していた。
しかし、大多数の国民は無関心であった。
大した地震でもなく震源も国外ということであれば、そんなものであろう。
『……一時帰国していたドーセット公が先ほど再来日されました。英国大使館での出産に立ち会うとものと見られています』
何よりも、現在の日本でホットな話題はドーセット公爵家の世継ぎであった。
正妻であるマルヴィナの出産は既に英国で大々的に報道されていた。愛人であるおチヨの出産は日本で行うことを事前に告知していたので、そちらへの歓心が高かったのである。
「ドーセット公。今のお気持ちを一言!」
「愛人の子を大使館で出産するのは越権行為では無いのですか!?」
「今回の出産で日英同盟に影響はあるのでしょうか!?」
正規ルートで日本に戻ったテッドは、マスゴミに待ち受けられていた。
もちろん、華麗にスルーして大使館入りしたのであるが……。
「くっ、日程的には問題無いけど時差ぼけがきつい。めっちゃ眠い……」
執務室に着くなり、デスクに突っ伏すテッド。
彼は時差ぼけに苦しめられていたのである。
英国と日本の時差は8時間である。
片道15時間かけて移動するのであるが、これがかなりの肉体的負担となった。
たまにやるならともかく、ここ半月は数日おきに行ったり来たりを繰り返していたのである。既にテッドの体内時計は狂いまくりであった。
「んぐんぐ……ぷはっーっ!」
こんな時にお世話になるのが栄養ドリンクである。
テッドは生前に飲んだ味を思い出しつつ、ラッパ飲みする。
この世界の日本では既に栄養ドリンクが発売されていた。
リポ〇タン〇やリゲ〇ンがお馴染みのラベルで製品化されていたのである。
「んー、時差ぼけには日光浴が最適なんだけど、今は外に出たらヤバいからなぁ……」
時差ぼけの解消には日光浴が最適であるが、テッドは躊躇していた。
時刻は昼前で雲一つない晴天である。日光浴にはうってつけなのであるが……。
「ご当主さま、入り込んでいた虫を捕縛しました。いつも通り処置してよろしいでしょうか?」
「……うん、任せるよ。ただし、あまりやり過ぎないように」
「心得ております」
まるで計ったようなタイミングで報告してくるメイド長。
最近の英国大使館では不審者が相次いでいたのである。
報道が過熱したことにより、マスゴミたちの行動はなりふり構わないものとなっていた。迂闊に建物の外に出ると盗撮されかねないのである。
大使館の敷地は本来は治外法権である。
しかし、特ダネ欲しさにそれを無視する命知らずが大量に湧いていたのである。
「はっ!? ここはいったい……って、なんで縛られているんだ!?」
目覚めた瞬間に椅子に座ったまま縛られていることに気付いてパニクる男。
先ほど英国大使館の敷地内に不法侵入したところを、メイド長直々に狩られたのである。
『目覚めてしまったか。めんどうね……』
メイド服を着た女性――メイド長なのであるが、男がそれを知る由は無い。
英語を話しているので内容が理解出来ず、混乱は加速する一方であった。
「お、俺をどうするつもりだ!?」
精一杯の虚勢を張るも、メイド長は無視してカメラを構える。
メイドたちに囲まれて男の恐怖は最高潮である。
「うわっ、やめろ!? やめろぉぉぉぉぉっ!?」
メイドたちが強引にズボンを下ろして陰部を露出させた。
必死に抵抗するが多勢に無勢である。連続したシャッター音が無慈悲に響き渡る。
男の記憶はそこまでであった。
気絶させられた後、気が付いたら路地裏で倒れていたのである。
「夢だったのか? それにしては妙に生々しかったが……」
夢で良かったと心底安堵する男。
飲み過ぎたせいと無理矢理自分を納得させる。
「ん? こんな封筒あったか?」
懐に感じる違和感。
ジャケットの内ポケットに封筒が入っていたのである。
「ひっ……!?」
封筒の中身を見て絶句する男。
中には大量の恥ずかしい写真と、『写真のネガは預かっている。再犯したらばら撒く』という日本語のメッセージが添えられていたのである。
この懲罰はメイド長が発案したものであった。
いくら大使館の敷地が治外法権と言えど、結局は現地の警察に引き渡すしかない。その場合は不法侵入罪がせいぜいで、罰金刑で済んでしまうのである。
質が悪いことに罰金を新聞社や出版社が負担しているケースが多かった。
ブタ箱行きになっても、すぐ出所してしまうのである。
写真による辱めは再犯防止と言う意味では効果絶大であった。
実際、一時期は大使館を盗撮する記者は激減していたのである。
しかし、今度は次から次へと新人記者が送り込まれるようになった。
大使館絡みの取材における新人記者の平均在職日数は2~3週間と言われ、多くの新人が散っていたのである。
「コンプレッサーは正常に動作しているな? 後はドライアイスの投入タイミングだが……」
「班長。撮影班がまもなく上空に到達します。あと5分です!」
「3分後にドライアイスを湖面に投入する。それでベストタイミングだ!」
マスケリンの指示で隊員たちがせわしなく動く。
白頭山の山頂カルデラ湖では、マジックギャングが特殊任務を遂行中であった。
「ドライアイスを投入。コンプレッサー出力最大! 総員退避っ!」
ドライアイスが湖面に投入された瞬間、爆発的に反応が起きる。
発生した湯気がみるみる周囲を覆っていく。同時に水中に設置されたパイプにコンプレッサーから空気が送られて水面が激しく泡立つ。
「到達まで1分! 目視しました。来ますっ!」
副官の言葉を遮るように空を騒音が満たす。
輸送機タイプのフェアリー ロートダインが上空を通過していく。
「ちゃんと撮れたか!?」
「ばっちりでさぁ!」
「そうか。よし、引き上げるぞ!」
上空では撮影班が撮影を完了していた。
長居は無用とばかりに、さっさと撤収したのである。
「班長、向きはこれであってますか?」
「いや、ガスから逃げたというシチュエーションだからこの場合は麓側に向けるのが正しいよ」
1週間後。
マジックギャングは白頭山の中腹部で以下略。
「!? 足跡が残っているぞ。ちゃんと消してくれ!」
マスケリンは山肌に隊員たちの足跡が残っていることに気付く。
登山している最中に発見したというシチュエーションを想定しているので、山頂側に足跡があるのは不自然である。
新聞に掲載する写真でそこまで気付ける人間が居るとは思えないが、万が一ということもある。何よりも、マスケリンのプロ根性が許せなかった。
「はーい、撮影しますよー」
隊員が手持ちのカメラで死骸を撮影する。
何の変哲もない市販のカメラである。
こういう細かいところにもマスケリンは拘った。
だからこそ史実でも騙すことが出来たのである。その分、必要な予算は青天井であったが。
『カルデラ湖から湯気が!? 天変地異の前触れか』
1931年1月中旬。
白頭山の山頂カルデラ湖から湯気が出ている写真が地元紙に掲載された。
写真はウォッチガード・セキュリティが提供したものであり、白頭山付近を飛行していたフェアリー ロートダインから撮影されたものであった。カルデラ湖から激しい湯気が出ているのが鮮明に映っていたのである。
『山頂付近で動物の変死相次ぐ。専門家は火山性ガスによるものと断定』
異常事態はそれだけにとどまらなかった。
カルデラ湖の調査に向かったウォッチガード・セキュリティが、カルデラ湖付近で多数の動物の死骸を発見していたのである。
「おい、噴火するかもしれないってよ」
「そういえば、新聞で言ってたな。でも、俺らには関係無いだろ?」
英国人居留地では噴火の話題でもちきりであったが、朝鮮満州国境沿いの白頭山と居留地は遠く離れていた。どちらかと言うと対岸の火事を眺めるようなものだったのである。
マジックギャングの偽装工作は全く疑われていなかった。
しかし、何事にも例外は存在するのである。
「ひぃぃぃぃぃっ!?」
「きゃぁぁぁぁぁぁっ!?」
大韓帝国の景福宮。
その玉座の間では皇帝高宗と閔妃が悲鳴をあげていた。
朝鮮半島で地震はまず起きない。
断続的に繰り返す地震はさらに稀である。
地震の原因は、マジックギャングが12月から開始していた廃坑でのTNT爆発であった。1回あたり100tものTNTを炸裂させており、その衝撃は地震波となって日本にまで届いていたのである。
日本に届くほどの揺れであれば、朝鮮半島で揺れが激しくなるのは避けられない。震度2~3くらいの地震が断続的に続いた結果、高宗と閔妃はすっかりノイローゼになっていたのである。
「この地震は英国の陰謀に違いないわ!」
「そ、そうなのか……?」
「そうに決まってるわ!」
全く根拠が無いのに英国の陰謀と断ずる閔妃。
彼女の暴走によって、完璧だった偽装に綻びが生じることになるのである。
「またあいつらの相手をしなければならないのか!?」
満州国の首都新京に所在する仮宮殿。
玉座に座る満州国皇帝愛新覚羅溥儀は、報告を持って来た張作霖に対して思わず怒鳴っていた。
「しかし、無視するわけにはいきませぬ」
「ちょっと揺れた程度で、民草を捨てて逃げ出してきたクズでもか?」
「それでも、でございます」
事の始まりは、数日前の地震であった。
地震そのものは震度3弱程度で大したものでは無かったのであるが、断続的に続く地震でノイローゼになっていた閔妃は高宗と一族郎党を引き連れて満州国へ脱出していたのである。
駐屯していたウォッチガード・セキュリティを完全に出し抜いて千里馬号で漢城を脱出、国境守備隊も突破して満州国へ逃げ込んだ手際は見事と言うしかない。
テッドは数年前のやらかしに凝りて側近に金を握らせて監視させていたのであるが、その側近ごと逃げ出されたのは完全に想定外であった。
「なぁ、おまえが見舞えば良いのではないか?」
「とっくに見舞っておりまする。しかし、彼奴等は陛下を出せと聞きません故」
千里馬号は国境近くの安東駅に停車していた。
安東省の役人が退去要請を出したものの、尊大な態度で追い返された。困り果てた安東省側は中央に報告し、事の次第を知った張作霖が面会したというわけである。
「あいつらを新京に招くのだけは絶対に嫌だ」
「ならば、陛下が下向するしかありますまい。こちらから出向けば、あの自尊心の塊も留飲を下げるでしょうし」
「やむを得ないか……」
心底嫌そうな表情となる溥儀。
前回の謁見がトラウマになっていたのである。
「最低限必要な物資は提供しておりますので、今すぐ行く必要はありませぬ。ご公務を優先すべきかと」
「そうしよう。なるべく後回しにしてくれ」
「御意でございまする」
幸いにして年始で国事行為は山ほどあった。
溥儀は彼らへの対応を後回しにすることにしたのである。
「なんで新京に行かせてくれないのよ!?」
「いえ、ですから……ここから先はダイヤの都合もありますので調整出来るまでお待ちいただくしかないのです」
「その理由は聞き飽きたわ!?」
安東駅に停車している千里馬号の最後尾に連結している特別車両。
豪華な内装の車内は金切り声で満たされていた。
(いつになったら、この地獄から解放されるのだろうな……)
安東駅の駅長は閔妃からのクレームに必死に耐えていた。
年増のヒステリーほど始末に負えないものは無いのである。
駅長に救いの手が差し伸べられてたのは30分後のことであった。
張作霖が直々に溥儀が下向する旨を伝えたことで、閔妃もようやく落ち着いたのである。
それからの閔妃は溥儀が下向してくることを心の支えにしていた。
耐え忍ぶ日々が続くなか、予想外の訪問者を迎えることになったのである。
「失礼します。おぉ、本当に閔妃さまがおられる!?」
特別車両に入室してきたのは、満州服を着込んだ中年男性であった。
閔妃を直接目にして、驚きに目を見開いていたのである。
「……誰よあんた?」
「こ、これは失礼しました。わたしは閔氏の末裔です。閔妃さまが居られるとの噂を聞いて馳せ参じた次第です」
男は閔妃の一族の末裔であった。
とは言っても、家系図の端にちょっと出てくる程度の遠縁なのであるが。
一族の庇護を受けられずに満州国へ逃亡し、そこで新聞記者として生計を立てていた。そんな時に朝鮮王一族が極秘裏に入国しているという噂を掴んだのである。
史実のKの国の民が証明しているが、縁があれば全力で集る民族性と断言出来る。何処にいようと朝鮮民族としての性質を捨てないし、捨てられない。たとえ満州国で生きていたとしても朝鮮民族であり、平伏する対象は満州国皇帝ではなく朝鮮王なのである。
「そう……貴方は新聞記者をやっているのね。ならば、この窮状を訴えてちょうだい! これは英国の陰謀なのよ!?」
「お任せください! 閔妃さまの窮状を世界中に伝えてみせます!」
数日後、足止めされている朝鮮王たちの窮状が大連新聞に掲載された。
閔妃の言い分を全部載せした記事は衝撃的な内容であり、関係者たちは対応に追われたのである。
『やはりあいつらは疫病神だ』
全ての国事行為をキャンセルして安東省へ下向することになった溥儀は、呪詛の言葉を吐いたとされる。実際その通りだったので、傍に居た張作霖も何も言えなかったという。
記事の影響は満州国だけに留まらなかった。
内容に英国が絡んでいるだけに隣国である中華民国はもちろんのこと、ドイツ帝国まで注目したのである。
『あのアホどもがーっ!?』
記事の内容を知ったテッドが高宗と閔妃に罵声を浴びせたのは言うまでも無い。
鬼の首を取ったようなドイツ大使の追求をかわし、記事を真に受けた連中からの疑念を晴らす日々が続くことになるのである。
『朝鮮半島で起きてる地震は英国による人工地震!? 英国による恐怖の朝鮮支配の実態』
1931年2月某日。
大連新聞の一面トップで衝撃的な内容の記事が掲載された。
『朝鮮人民は英国人によって奴隷のように扱われている』だの、『朝鮮王と王妃に酷い仕打ちをしたうえに国外追放』しただの、閔妃の根拠のない主張が真実として報道されてしまったのである。
仮にも一国の王妃が嘘をつくはずが無い――という先入観によって、記事は多くの人たちに信じられた。大韓帝国が鎖国同然なのも記事の信ぴょう性に拍車をかけていた。誰も現地に行って確認出来ないからである。
「無辜の民を虐めるとは、それでも列強筆頭の大使か!? 恥を知れ!」
開口一番、駐日ドイツ大使のエルンスト・アルトゥル・ヴォレチュがテッドを面罵する。その表情は鬼の首を取ったが如しであった。
中立国の港湾都市大連で発刊された新聞は世界中に拡散された。
ヴォレチュは記事を知った瞬間に、英国大使館に突撃をかましたのである。
「はぁ……」
対するテッドは、頭痛をこらえるかのようにコメカミを押さえていた。
いや、実際に頭痛に苛まれていたのであるが。
「自称大ドイツの賢いヴォレチュくんに確認したいんだけど……仮に人口地震が可能として、どんなメリットがあるんだい?」
「そ、それは……」
ヴォレチュは、唐突なテッドの質問に答えることが出来なかった。
テッドの非情な追い打ちはなおも続く。
「というか、あの国が真っ当じゃないことは貴方が一番よく知っているのでは? 朝鮮半島での騒動を忘れたとは言わせないよ」
「ぐっ……」
ドイツ帝国が朝鮮半島で散々な目に遭わされてから1年も経っていない。
全ては大韓帝国の口車に乗せられたヴィルヘルム2世が悪いのであるが。
「というわけで、とっとと帰ってくれないかな? こっちは方々に釈明するので忙しいんだ」
「ふん、そんなのは自業自得であろう」
「……」
当てが外れたとばかりにヴォレチュは去っていく。
その背中を黙って見送ったテッドだったのであるが……。
「あー、ムカつく! 塩まいとけっ!」
普段ならそれで終わるのであるが、方々から追及されてストレスが溜まっていたのであろう。メイド部隊に命じて、大使館の正門に塩をばら撒いたのであった。
「記事の内容は全くの出鱈目です」
1931年3月上旬。
英国大使館では記者会見が開催されていた。
これまで方々に釈明していたテッドであるが、それでも殺到する取材要請に遂にブチ切れた。まとめて疑惑を晴らしてやるとばかりに記者を集めたのである。
「しかし、仮にも大韓帝国の王妃が嘘をつくとは思えないのですが!?」
「普通はそうなのですが、あの国はいろいろと常識が通じないというか……説明するより資料を見たほうが早いですね」
そう言って、テッドは記者たちに資料を配布する。
資料の内容は去年の3月に開催されたWRO総会の顛末であった。英国を一方的に非難したあげく、資料を提示されて撃沈する大韓帝国代表の様子が克明に記されていたのである。
「どう考えても英国側に非は無いじゃないか」
「大英帝国を叩く気骨ある国と思っていたのだが……」
「一国の代表の取る行動じゃ無いぞ。ただの精神異常者じゃないか」
資料に目を通した記者たちはドン引きしていた。
さすがに、ここまで非常識な国家だとは思っていなかったのである。
「確かに一国の代表としてあるまじき行為ではありますが、それが記事の信頼性に直結するとは限りませんよ!?」
左翼系新聞の記者が噛みつく。
言ってることは正しいのであるが、なんとしても英国を悪役にしたいという意図が見え見えであった。
「君が言っていることは間違ってはいない。しかし、内容を精査せずに相手の言い分を一方的に掲載するのは報道の姿勢としてどうかと思う。具体的な証拠が無いのに真実として報道するのは問題じゃ無いのかい?」
「ぐっ……」
左巻きの記者は押し黙る。
ぐうの音も出ない正論である。
「で、では人工地震の件はどうなのです? こちらは事実では無いのですか!?」
負けを認めたくない左翼系新聞の記者は食い下がる。
それに対してのテッドの反論は激烈であった。
「関東大震災レベルの大地震を引き起こせるならばともかく、ちょっとした揺れを発生させたところで何のメリットがあるんだ!? 一切合切を放置して逃げ出した大韓帝国の君主に何も問題が無いと言い張るつもりか!?」
ここぞとばかりに、テッドはテーブルに拳を叩きつけた。
ハリウッドスター顔負けの名演技である。
「……失礼。取り乱してしまいました。それで人工地震の件なのですが、我々は火山性地震ではないかと思っています」
場の空気を支配したところで、すかさず意識誘導するテッド。
記者たちが反応するよりも早く現地紙のコピーを配布する。
「今お渡ししたのは、現地の新聞のコピーです。地質学者に分析させたところ、火山の噴火が近いのではないとの意見でした。地震はその過程に起きるとのことです」
もちろん、掲載されている写真はマジックギャングによるものである。
カルデラ湖から激しい水泡と湯気が立ち上っている様子は、湖底で何らかの事態が進行していることを予想させるに足る内容であった。
『根拠の無い記事によって世間を騒がしてしまったことをお詫び申し上げます』
記者会見の数日後。
大連新聞には謝罪文が掲載された。
テッドから名誉棄損で訴えられることを恐れたのか、異例とも言える速さでの謝罪文掲載であった。記事を引用した新聞も同様に謝罪文を掲載し、一連の騒動は集結したのである。
「撤収作業を急ぐんだ。時間が無いぞ!」
マスケリンの指示で隊員たちがせわしなく動く。
白頭山の山頂カルデラ湖では、マジックギャングが撤収作業を進めている最中であった。
「固定確認!」
「よーし、上げろーっ!」
接合金具が外され、パイクハウスにワイヤーが架けられる。
来た時とは逆の手順で宿泊施設が解体されていく。
「あっ!? 何か落ちたぞっ!?」
風雪に晒されて劣化した構造材の一部が剥離したのであろう。
吊るされたパイクハウスから何かが落下していくのを目撃した隊員が叫ぶ。
「何が何でも探し出すんだっ!」
事態を把握したマスケリンは真っ青になる。
此処に人が居た痕跡を残すわけにはいかないのである。
「班長、見つかりました!」
「よーし、細かい破片も全て回収しろ! ビス1本でも残すなよっ!」
落ちた場所が分かりやすくて破片がすぐに見つかったのは幸いであった。
タイムスケジュールを修正することなく、撤収作業は進められていったのである。
「対空監視、目視レーダー共に反応無し」
「そうか。まぁ、こんなところにやってくる暇人がいるはずないな」
ガンナーの報告に軽口を返すパイロット。
カルデラ湖上空では、FB-1A改が警戒にあたっていた。
『こちらクラウンリーダー。これより撤収する』
『了解した。無事の帰還を祈る』
最後の人員を乗せたロートダインが離陸する。
マジックギャングは全ての痕跡を抹消して、カルデラ湖から立ち去ったのである。
「無粋な殻に包まれているのが残念だが、おまえは美しい。わたしの最高傑作だ……」
「あの、博士? そろそろ投下するんで着席してもらえませんか?」
「そうはいかない。わたしの大事な子供だ。投下の瞬間まで……いや、着水の瞬間まで見届ける必要がある!」
カルデラ湖上空に近づく異形の機体――シエルバ W.11U エアホース。
その機内では、搭載コンテナに執心するジェームズ・チャドウィックをクルーが必死に説得していた。
ジェームズ・チャドウィックは、水爆開発のプロジェクトリーダーである。
史実のマンハッタン計画に参加した英国人科学者の中で最も計画に知悉していた男であり、この世界では取り憑かれたように核開発に邁進していた。
3年前の実験でチャドウィックは原爆実験に成功していた。
彼自身は本命は水爆と考えており、機内に積み込まれたコンテナは彼の研究成果なのである。
『まもなく目標地点。コンテナ投下用意!』
機内放送で告げられているのにチャドウィックは離れようとしない。
彼の身に何かあったら今後の核開発が停滞しかねない。止むを得ず最後の手段を取ることになったのである。
「危ないからさっさと座れっての!? 野郎ども、こうなったら力づくだ!」
「「「イエッサー!」」」
「な、何をする離せ貴様らーっ!?」
数人がかりでコンテナから引き剝がされるチャトチャック。
結局、最後にモノを言うのはパワーなのである。
「目標地点に到達した。ホバリングを開始する」
「!? 風が強い。機体が流されるな……」
「重量物を投下した瞬間が危ないな。機体の安定を保つことに集中せねば」
必死になってホバリングを維持する機長とコ・パイロット。
カルデラ湖上空は強風が吹き荒れており、大型機はもろに風の影響を受けてしまうのである。
「コンテナの最終ロックを解除しろ」
『最終ロック解除確認しました』
格納庫ではコンテナの安全装置が解除されていた。
あとは投下するだけである。
「投下カウントダウン開始します。10、9、8……」
コ・パイロットがカウントダウンを開始する。
機長の手が投下レバーに伸びる。
「……3、2、1、投下っ!」
機長が投下レバーを思いっきり引く。
同時にコンテナが機体から切り離される。
「「うおおおおおおっ!?」」
機長とコ・パイロットは必死になって荒れ狂う機体を維持する。
強風吹き荒れる状態で、10t近い重量物が無くなったのである。あわや墜落寸前であった。
上空の混乱を他所に、投下されたコンテナは着水していた。
浮力調整されたコンテナは、姿勢を保ちつつ沈降していく。
「もうすぐ起爆時間だ。撮影機材の準備は良いか!?」
「カメラ、マイクともにチェック完了しています!」
白頭山から10km圏外に退避したシエルバ W.11U エアホースでは、撮影の準備が進められていた。機内には業務用のカメラとマイクが据え付けられ、さながら映画撮影の如しであった。
白頭山のカルデラ湖は、その大きさと水量において世界でも稀な存在と言える。
最大水深は384m、水量は19億5500㎥にも達するのである。
コンテナは、ほぼ最大水深の370m付近で着底した。
水中でタイマーは時を刻み続け、そして……。
『気象庁によると観測された地震は対馬で震度3。震源は朝鮮半島北部で津波の心配は無いとのことです……』
1931年6月某日午前10時。
テッドは執務室でラジオを聞きながら、実験結果の連絡を待っていた。
「もしもし? 実験は成功した?」
デスクの電話機が鳴った瞬間、速攻で受話器を取るテッド。
同時にチャドウィックの専門用語のマシンガントークに備える。
『……』
しかし、受話器からは何の反応も無い。
故障を疑ったテッドであったが、朝鮮半島への回線は専用回線である。故障はあり得ない。
『それが、その……実験は成功したのですが、大惨事になってしまいまして……』
チャドウィックの言葉に嫌な予感を禁じ得ないテッド。
ただ、このまま本人に話させても埒が明かないことは理解していた。
「とりあえず実験は成功したんでしょ? なら貴方の出番はここまでだ。後はこっちでなんとかするから休んでて」
『えっ、あの、ちょっと!?』
テッドは電話を一方的に切断して本部長に連絡を入れる。
チャドウィックが当てにならない以上、本部長と話をするしか無いのである。
『……えぇ、確かに実験は成功しています。水爆が起爆して威力を発揮したのは確実です』
「じゃあ、何も問題無いじゃないか」
『いえ、白頭山が噴火して周囲に被害が出ています。大問題です』
「ふぁっ!?」
本部長からの報告に驚愕するテッド。
白頭山はカルデラ湖が消滅し、火口から溶岩が噴出して周囲に被害が出ていたのである。
当初の試算では、湖底で起爆した水爆(TNT換算で6メガトン)の威力は水中で吸収されるはずであった。派手に湖水を噴き上げることになるであろうが、爆風も放射性降下物も最低限に抑えられるはずだったのである。
テッドは知る由が無かったのであるが、水爆によって湖底が抜けてしまったことが原因であった。湖底がぶち抜かれてしまった結果、急上昇した大量のマグマが湖水と接触して連鎖的に水蒸気爆発が発生したのである。
現在の白頭山は完全に火山として復活していた。
マグマを噴き上げ、噴煙は半島を覆いつくそうとしていたのである。
『場所が場所ですので、居留地に直接の被害はありません。事前に物資も集積しているので、ただちに問題が発生することは無いでしょう』
火山の噴火に備えるという名目で、英国人居留地には大量の物資が蓄積されていた。アリバイ作りのためだったのに、実際に役立っているのは皮肉としか言いようが無い。
「漢城の様子はどうなってる?」
『こちらも直接の被害はありません。ただ、住民が混乱で暴徒化しています。鎮圧のために部隊を投入している最中です』
度重なる地震と空を覆う噴煙は、Kの国民を絶望させるには十分であった。
やぶれかぶれになった彼らは、日ごろの恨みを晴らすべく両班の屋敷を襲撃していたのである。
「漢城の暴徒鎮圧の数は足りてるの?」
『現状はなんとか対応出来ていますが、このままでは治安維持に支障をきたすかもしれません』
この時、テッドの脳裏に浮かんだのは某ゾンビゲームであった。
ゾンビと化した市民相手に立ち向かって壊滅するSWATの動画が脳内再生されていたのである。
「わかった。他所から人員と物資を回す。可能な限り急がせよう」
『お願いします』
「いよいよ対処出来なくなったら現場の判断で撤退しても構わない。つまらんことで命を落とすなと隊員たちに言っておいて」
『了解しました』
この世界の大韓帝国の人口は統計が取られていないので不明である。
しかし、漢城の人口は確実に10万人は居ると思われた。それらをウォッチガード・セキュリティだけで相手にするのは不可能であった。
「……あまり聞きたくないんだけど、馬鹿二人はどうしたの? こういう時こそ、あいつらに働いてもらいたいのだけど」
『朝鮮王と王妃は再び国外へ逃れています』
「おぉ、もぅ……」
ちなみに、高宗と閔妃はまたしても満州国へ逃げ込んでいた。
このことを知った溥儀は強制退去させようとしたのであるが、火山が大噴火している最中に無理やり帰すことは出来なかったのである。
白頭山が噴火したことで、これまでの偽装工作に絶大な説得力が加わった。
内心では核開発を疑っていた平成会も、表向きは何も言うことが出来なくなったのである。
(噴火のせいで輸出は当分は出来ないし、火口周辺の除染もしなきゃいかん。最悪の場合は、Kの国民に大量の食糧を支援する必要があるのか……)
しかし、テッドは憂鬱であった。
何をどう計算しても、今年の朝鮮半島の経営が大赤字になることが確定したからである。
白頭山の噴火は、朝鮮半島のあらゆる分野に影響を与えていた。
せめて赤字だけは出さないようにしなければと、テッドのテコ入れが続くことになるのである。
以下、今回登場させた兵器のスペックです。
フェアリー FB-1A改 ジャイロダイン
全長:7.62m
全幅:1.27m(主翼除く)
翼幅:5.38m
全高:3.07m
ローター径:15.768m
機体重量(自重/全備):1829kg/3377kg
最大速度:250km/h
航続距離:430km
上昇限度(実用/限界):3150m/2180m(地面効果なしのホバリング限界)
武装:RP-3ロケット弾×6(主翼兵装架)
:M2重機関銃(機首)
:兵員4~5名or貨物1000kg(機体内貨物室)
エンジン:ロールス・ロイス マーリン 軸出力1500馬力+ガスジェネレーター(チップジェット用)
乗員:2名(パイロット+ガンナー)
ウォッチガード・セキュリティによって試験運用されている複合ヘリコプター。
FB-1A型の改良型であり、スペックに変更は無いもののコクピット周りがサイドバイサイドからタンデム形式に再設計された。
1930年の中華人民義勇軍の鎮圧において満足な運用実績を残し、既に英陸軍への納入が開始されている。
※作者の個人的意見
見た目はヒューイコブラに主翼を付けて推進用プロペラを付けたような感じです。
ここまでやるなら普通に戦闘ヘリを作ったほうが早いような気もしますけどね(苦笑
シエルバ W.11U エアホース
乗員数:4~5名
全長:27m(ローター含む)
全幅:28.96m(同上)
全高:5.41m
メインローター径:14m
空虚重量:7437kg
最大離陸重量:18438kg
発動機:ロールスロイス ダート RDa.10/1 2750馬力+残留推力3.34kN ×3
最高速度:260km/h
巡航速度:170km/h
上昇限度:3640m
航続距離:570km
武装:非武装(ドアガン設置可)
戦前にテッドが召喚したシエルバ W.11エアホースを、この世界のシェルバオートジャイロ社が改良したもの。胴体前部に単一ローター、後部に横並びローターという現時点では世界唯一のトライローター機である。
試験運用されていた11T型をさらに改良したタイプであり、エンジンが航空用レシプロからターボプロップに変更されている。エンジンの搭載数も2基から3基に増やされており、総出力が増強されたことでペイロードも飛躍的に増大している。
胴体中央部にエンジンを置き、そこから延長軸で3つのローターを駆動する機構となっている。胴体後方部は荷物室となっており、貨物なら10t程度の積載が可能である。
※作者の個人的意見
史実ではペーパープランだった11Tをさらに改良したモデル。
カタログスペック的にはチヌークを参考にしているのでこの程度の性能は出せるはずです。
遂に水爆が完成しましたが、核実験場が悲惨なことになってしまったので当分の開発は無理そうです。
まぁ、急いで核開発をする必要は何処にも無いのですけどねw
>ジャスパー・マスケリン
通称30万ポンドの男。
テッド君が立て替えた借金のために、きりきり働いていますw
>アルピニスト
登山家のこと。
この場合はアルプス登頂経験者を指します。
>パイクハウス
この世界におけるユニットハウス。
史実だとユニットハウスの発祥は日本だったりします。
>マジックギャング
この世界だとウォッチガード・セキュリティの特務班扱いです。
>既に栄養ドリンクが発売されていた。
自援SS『変態日本官僚事情―内閣調査部編―』参照。
戦前ですが、オロナミンやリゲインが普通に市販されています。
>新人記者の平均在職日数は2~3週間
命を失わないだけタンクデサント兵よりはマシです(酷
>輸送機タイプのフェアリー ロートダイン
ロートダインの座席を撤去して、後方に大型のクラムシェルドア装備した機体です。
ウォッチガード・セキュリティでは輸送用として重宝されていたりします。
>白頭山
朝鮮民族の聖地らしいですが、この世界では大幅なイメチェンに成功しています(酷
>TNT
核兵器の威力換算でお馴染みの爆薬。
TNTより強力で安全な爆薬は多数存在すれど、コストと生産性から未だに生産されています。
>千里馬号
ウォッチガード・セキュリティが慰安旅行で使用した『エスケーピングコリアン号』の本来の名称。
今回は一族郎党の脱出専用列車として活躍しています。
>安東駅
大韓帝国との国境に接する安東省に所在する駅。
史実では1965年に丹東駅に改名されています。
>国事行為
君主が国の機関として行なう儀礼的または形式的な行為。
憲法改正・法律・政令・条約の公布、国会の召集、衆議院の解散、総選挙の公示など諸々。
>前回の謁見がトラウマになっていたのである。
本編第79話『切り札』参照。
前回の素敵な体験から、溥儀は朝鮮と言う名前を聞いただけで露骨な表情をするようになってしまいました。
>大連新聞
史実では現地で刊行される日本語新聞でしたが、この世界では現地の民族資本に買収されて中国語新聞になっています。