第88話 北極海航路と4BC鉄道
「余はドーセット公の真意を探れとは言ったが、怒らせろと言った覚えは無いぞ! あやつは何を考えておるのだ!?」
ドイツ帝国ベルリン王宮。
ヴィルヘルム2世は、報告を上奏したパウル・フォン・ヒンデンブルク大統領に激怒していた。
事の始まりは、犬養毅総理の大陸歴訪であった。
歴訪の目的は純粋に親善であり、そこには政治的意図は微塵も存在していなかった。
しかし、ドイツ帝国は日本が中国に再度進出する布石ではないかと勘繰った。
諸々の理由が重なった結果、日本の大陸撤退で重要な役割を果たしたテッド・ハーグリーヴスが黒幕でないかと疑っていたのである。
この問題に際して、カイザーは新任の駐日ドイツ大使エルンスト・アルトゥル・ヴォレチュに勅命を下した。しかし、このヴォレチュがやらかしてしまったのである。
ヴォレチュはテッドの本音を探るために動いたのであるが、ただテッドを怒らせただけに終わってしまった。それだけならば、カイザーが激怒するような事態にはならなかったであろう。
(そもそも、カイザーが大韓帝国の提案に乗らなければこんなことにはならなかったのですが……)
ヒンデンブルクは思わず嘆息を漏らす。
怒れるカイザーが気付かなかったのは幸運であった。
このタイミングで、ドイツ帝国に大韓帝国が事大してきたことが事態を複雑化した。英国一強体制をけん制するために、半島内における無条件の資源採掘を密かに提案してきたのである。
ヒンデンブルクや閣僚たちが必死に止めたものの、半島の豊富な資源に目がくらんだカイザーは即刻承認。正規軍を派遣すると侵略行為ととられかねないので、義勇軍を派遣したのである。
しかし、半島内における鉱床の大部分は英国が抑えていた。
資源を採掘するためには、守備するウォッチガードセキュリティをどうにかする必要があったのである。
カイザーの誤算は、ウォッチガードセキュリティを甘くみていたことであった。
たかか少数の警備隊など義勇軍で鎧袖一触出来るだろうと思い込んでいたのである。
ウォッチガードセキュリティが赤軍を一方的に殲滅したことを知っていれば、さすがのカイザーも半島への介入を逡巡したかもしれない。しかし、半島で赤軍が壊滅したことを知る人間はごく一部の関係者のみであった。
「ヴォレチュ大使の報告によれば、現在朝鮮半島に展開させている義勇軍を撤退させれば、ロイズの海上封鎖は解かれるとのことです」
「止むを得ん、ただちに撤収させよ。これ以上資源輸入に差支えが出ると、ソ連との再戦に悪影響が出る」
「御意」
ヴォレチュのやらかしと半島での度重なるウォッチガードセキュリティの戦闘も相まって、ついにテッドはブチ切れた。彼はロイズに圧力をかけて、半島周辺海域を船舶保険の対象外としたのである。
船舶保険は航海ごとにかけられる船の保険である。
沈没、座礁、火災、衝突など不測の事態に対応するために必須のものであり、これが無いと出航することが出来ない。一部の港では入港すら出来なくなる。
ロイズによって資源輸出の航路の一部が船舶保険の適用外にされてしまったため、中華民国と満州国の港には出航出来ないドイツ帝国行きのタンカーであふれかえった。頑固なカイザーも不承不承、義勇軍の撤退を認めざるを得なかったのである。
『朝鮮半島の紛争状態が解除されたと認める。我々ロイズは渤海と黄海を航路定限海域として取り扱う』
義勇軍の撤収は極めて迅速に行われた。
わずか1週間でロイズの宣言は撤回されることになったのである。
「今回の一件で、余は再認識した。偉大なるドイツ帝国はライミ―に首根っこを掴まれていると。早急にこれをなんとかせねばならぬ!」
しかし、ここで終わらないのがカイザーのカイザーたる所以である。
すぐさまヒンデンブルクを呼びつけて、代替ルートの開拓を命じたのである。
「なんとかと言われましても……」
「このままだと、事あるごとに奴らの顔色を窺うことになるのだぞ!?」
「そ、それはそうですが……」
「やりようはあるであろうが。ライミ―が抑えていない航路を開拓するなり、鉄道輸送という手もある。即刻検討するのだ!」
カイザーの無茶ぶりは今に始まったことではないが、今回は特大に無茶ぶりであった。ヒンデンブルグとしては素直に頷き難いものであったが、現状が好ましくないことは彼も理解していた。ドイツ帝国が英国と日本に宥和政策を取らざるを得ないのは、航路を抑えられているからなのである。
「ぎょ、御意……」
「うむ、期待しているぞ!」
ヒンデンブルクに出来ることはカイザーの無茶ぶりに応えるのみであった。
ドイツ帝国は総力を挙げてこの問題に取り組むことになったのである。
「……大統領閣下。さすがにこれは無茶ぶりにもほどがありますぞ!?」
「そもそも、そんなことが出来るなら最初からやってますよ!?」
「やっとタンカーの手配が間に合ったというのに、さらなる無茶ぶりとかあんまりだ!?」
大統領宮殿に戻ったヒンデンブルクは、閣僚から猛烈に非難された。
太陽を西から昇らせるくらいに無茶なことを確約してきたのだから当然であろう。
「すまない。だが、あの時はああでも言わないとご癇気を解くことが出来なかったのだよ……」
「「「あっ、はい」」」
憔悴したヒンデンブルクを見て、閣僚たちは全てを察した。
これは拒否不可能案件であったと。
「検討した結果、やはり無理だったというならそれはそれで説得の材料になる。諸君、面倒だが頼まれてくれ」
ヒンデンブルクの頼みを閣僚たちは拒否することは出来なかった。
日ごろカイザーの矢面に立って苦労していることを知っていたからである。
「しかし、仮に可能であるならば魅力的です。なにせ、外交面でライミ―に遠慮することは無くなりますからな」
外務大臣のコンスタンティン・フォン・ノイラートは肯定的であった。
対ソ同盟の盟主として欧州で主導権を握りつつあるドイツ帝国であったが、大英帝国の横やり(ドイツ帝国視点)に屈せざるを得ないのは資源輸入ルートを抑えられているからである。
「通常航路に頼ることのない貿易が実現するならば、護衛に回す艦船を減らすことが出来ます。海軍としては全面的に支持しますぞ」
海軍大臣のパウル・レオ・グスタフ・ベンケ海軍大将も大いに乗り気であった。
ドイツ帝国海軍は航路防衛艦を大量建造中であったが、取得コストが安いといっても軽巡クラスの艦を大量に建造する負担に悲鳴をあげていたのである。
「北極海航路か。盲点だったな」
「本当に短縮出来ているのか、地図で見るとかえって遠距離になっているのだが?」
「北極の厳しい航路を通って、長い航路使う意味があるのか?」
地理学と地図学の専門家を招集して検討した結果、一つの航路が示された。
しかし、テーブルに広げられた世界地図を見て閣僚たちは半信半疑であった。
「地図だと分かりづらいですが、地球儀だと分かりやすいです。こんな感じですね」
「「「おおーっ!」」」
召喚された地図学者が持参した地球儀に北極海航路を直接書き込むと、閣僚たちから驚きの声があがる。ぱっと見ではっきり分かるくらいに航路が短縮されていたのである。
「間違いなく最短の航路じゃないですか。何故今まで使用されていなかったのです?」
空軍大臣マンフレート・アルブレヒト・フォン・リヒトホーフェン空軍大将の疑問は当然のことであった。
「気象環境が厳しすぎるのです。現状では夏しか使用出来ません」
「海域は氷山が多く、航海に危険を伴います」
リヒトホーフェンの疑問に解答したのは、現地を探検した学者たちであった。
南極とは違って北極に陸地は存在しない。それ故に地球儀で見れば最短航路となるのであるが、現実は厚い氷で閉ざされてそれどころでは無かったのである。
「あのライミ―があきらめたわけだ」
「さすがに氷山はどうにもならないか」
「夏しか使用できないのではなぁ……」
非情な現実を思い知らされて、一気にお通夜モードに突入する閣僚たちであったが……。
「と、いうことは氷山をモノともしない船を作れば問題無いわけだな!?」
沈んだ会議で、なおもベンケは気勢を吐いた。
正面戦闘に使いづらい航路防衛艦をこれ以上作るくらいならば、砕氷船を作って北極海航路を開拓したほうがマシだと強く信じていたのである。
「砕氷船か。その発想は無かった!」
「北極に陸地が無いのならば、潜水艦で通過出来るのではないか?」
「我ら大ドイツの技術を結集すれば不可能ではないはず!」
ここで斜め上に突入するのが、ゲルマン民族のゲルマンたる所以であろう。
彼らは北極海航路を航行出来る砕氷船と、北極点を潜航したまま通過出来る潜水艦の検討を始めたのである。
(これで良い。新航路の開拓には時間がかかると言えばカイザーも納得されるだろう)
白熱する議論にヒンデンブルクは満足した。
彼自身は北極海航路にさほど期待していなかったが、要はカイザーを納得させるだけの材料があれば良いのである。
後日、ヒンデンブルクは検討結果をベルリン王宮に持参した。
しかし、そこで待っていたのはさらなる修羅場だったのである。
「おぉ、待っていたぞ! 早速報告を聞こうではないか」
ヒンデンブルクがベルリン王宮に出向くと即座に謁見が許された。
待ちきれない様子のカイザーが報告を求めてきたのは言うまでも無い。
「……なるほど、北極海航路か。流石の余も盲点であったわ」
「現在、北極海の航行を確実にするために砕氷船と潜水艦の開発を進めています。お時間はいただきますが、必ず成功するかと」
「うむ、技術者たちには余が期待していると伝えておいてくれ」
「御意」
これで終わったと、ヒンデンブルクは内心で胸をなでおろした。
あとはこの移り気な主君がこの一件を忘却してくれることを願うだけである。
「おまえの案も悪く無いが、余も独自に考えてみたのだ」
しかし、カイザーの口から爆弾発言が飛び出てしまった。
思わず胃の辺りを押さえてしまったヒンデンブルクを誰が責めることが出来ようか。
「これを見よっ!」
カイザーが指パッチンをすると同時に、どこからか現れた従者たちが巨大な世界地図を設置する。横断するように記されている赤線に、ヒンデンブルクは嫌な予感を禁じ得ない。
「ベルリン、ビザンティウム、バクダード、バグラーム、そして中華民国へ至る鉄路。名付けて4BC鉄道だっ!」
「おぉ、もぅ……」
膝から崩れ落ちるヒンデンブルク。
そんな彼を歯牙にもかけないカイザーは、嬉々として計画を語っていく。
史実のヴィルヘルム2世は3B政策を推進していた。
Bはベルリン、ビザンティウム(イスタンブールの旧名)、バクダードの略である。
3B政策は鉄道建設とそれに付属する沿線の港湾整備や殖産興業を通じて周辺地域に資本を投下し、自国の経済圏に組み込むことを目的としていた。
ちなみに、当時のドイツ帝国では3B政策という言葉は使われていなかった。
一種の語呂合わせ的な意味合いで後世になってから作られた言葉である。
カイザー発案の4BC鉄道は、上述の3B政策にアフガニスタンの都市バグラームとC(チャイナ:中華民国)を加えることでユーラシア大陸横断鉄道を実現するという誇大妄想……もとい、気宇壮大なプランであった。
「そ、その……質問よろしいでしょうか?」
「うむ。今の余は機嫌が良いからな。なんでも答えてしんぜよう!」
我ながら素晴らしい案を思い付いたとばかりに、ご機嫌なカイザー。
今ならば、多少突っ込んだ質問をしても笑って許してくれるであろう。多分。
「鉄道がインドを横断しているのですが、さすがにライミ―が黙っていないのでは?」
「そこは外交努力でなんとかしろ!」
最大の懸念事項をカイザーは一刀両断する。
一言で斬って捨てれるような問題では無いのであるが。
(インドを横断する鉄道を敷設しようものなら英国が実力行使に及びかねない。どうしたものか……)
ヒンデンブルクの懸念は当然のことであった。
史実の3B政策では延長線上にインドが存在するというだけで英国との関係が悪化しているのである。インドを横断する鉄道を敷設しようものなら英国が実力行使に及びかねない。
「おまえは深く考えすぎだぞ。数年前のライミ―の宣言を忘れたわけじゃあるまい?」
「……ウェストミンスター憲章のことですか?」
この世界においては、1927年2月にウェストミンスター憲章が宣言されていた。これに合わせるように大英連邦特恵関税制度が発効され、大英連邦に所属する自治領と植民地は対等な主権が認められるようになったのである。もっとも、認められただけで権利を主張する自治領は皆無であったが。
史実とは異なり、英国は自治領や植民地の権限を段階的に委譲して最終的に独立させる方針に切り替えていた。植民地や自治領の独立は史実よりも大幅に遅れることになったのであるが、スターリングブロック発効のためには名目だけでも主権国家扱いする必要があったために、このような措置が取られたのである。
「名目上インド帝国は独立国なのだ。インドと個別に交渉することに何の問題もあるまい?」
「そ、それはそうですが……」
カイザーの言葉にも一理あった。
主権国家としてインド帝国と対等に交渉する。そのこと自体になんら問題は無い。
「おまえが持って来た北極海航路と、余が考えた4BC鉄道の両輪で計画を推進せよ。これは勅命であるっ!」
「ぎょ、御意……」
勅命を持ち出されるどうにもならなかった。
ドイツ帝国は、北極海航路と4BC鉄道を同時に進行させることになったのである。
「……うーむ、しかしこのルートはいろいろと問題あるのではないか? 政治とは無縁の技術屋な俺でも分かるぞ」
「そういうのは外交屋の仕事だろう。我々は技術でベストを尽くすのみだ」
「その通り。我ら大ドイツの技術を世界に知らしめるのだ!」
1930年6月。
ドイツ帝国において、正式に4BC鉄道計画がスタートした。
「機関車はどうする?」
「蒸気機関車しかあり得ないだろう」
「ディーゼルは非力だし、距離を考えると電化は無謀過ぎる」
使用する機関車を蒸気機関車とすることに技術者たちから異論は出なかった。
この時代のディーゼル機関車は非力で貨物輸送に適していなかったのである。なお、変態紳士の変態ディーゼルは例外、いや論外である。
「使用するのは01形か?」
「大量運用するから標準化されていることが大前提だ。他に選択肢は無いな」
史実のドイツ国鉄01形蒸気機関車は、ドイツ国鉄として国内の鉄道が統一された後に最初に登場した標準型蒸気機関車であった。それ以前は王国や大公国毎に独自の規格で製造されており、機関車と車両が200種類以上存在するというメカニックからすれば悪夢のような状況だったのである。
その点、01形は最初から部品の規格が統一されていた。
部品の互換性に悩む必要が無いのでメンテナンス性と稼働率が大幅に向上し、大量運用が見込まれる4BC鉄道での運用に適していたのである。
「でも、あれって急行旅客用だぞ?」
「とりあえず動輪径を縮小しよう。間に合わせだが大出力だからなんとかなるだろう」
蒸気機関車の特徴として、変速装置が存在しないことが挙げられる。
ボイラー圧が同じならば、牽引力と最高速度は動輪の大きさと数によって決定されるのである。
客用機関車は動輪を大きく、貨物用機関車は小さな動輪を複数装備するのが基本となる。01形は前者であり、大量の貨車をけん引するのには向いていないのであるが、一から貨物用機関車を開発している時間も無かったために01型を手直しした機関車(01.10形)を生産することになったのである。
「うーむ、やはりというか図体の割にけん引力が不足してるな……」
「やはり専用の貨物用機関車を開発したほうが良いのでは?」
「開発は進めるべきだろう。しかし、当座はこいつでなんとかする必要があるぞ」
01.10形の製造は突貫作業で進められ、8月にはバグダード鉄道で試験に供された。しかし、期待したほどのけん引力は発揮出来なかったのである。
「重油専燃化したらどうでしょう? 簡単な改装で出力アップが見込めます」
「油田地帯で運用するのだから、そっちのほうが適しているな」
蒸気機関は外燃機関であるので、燃料に融通が利くという特徴がある。
極端な話、ボイラーで蒸気を発生出来るだけの熱量を出せるのであればなんでも良いのである。
石炭の代わりに重油を燃やせるようにするのが重油専燃化である。
蒸気機関車の場合、ボイラー内に重油配管するだけで事足りる。
簡単な改装であるが、燃焼効率が上がるのでお手軽に出力向上が可能となる。
火夫や自動給炭装置も不要になるので良いこと尽くしなのであるが、史実での採用例は少数で主流とは成り得なかった技術である。
「機関士の育成が間に合わないぞ!?」
「従来とは操作感覚が異なるうえに微妙な操作が必要だからなぁ」
「機関士のいない機関車が工場に放置されてるらしいぞ」
蒸気機関車の重油専燃が主流とならなかったのは動力近代化が主な要因なのであるが、操作が難しいという問題も大きかった。操作感覚が全く違ううえに、ミリ単位でのレバー操作が要求されることもあって機種転換訓練が思うように進まなかったのである。
「重油専燃ならば、内燃機関と似たようなものだろう。ある程度制御を自動化出来ないか?」
「石炭よりは燃焼は制御しやすいから、出力調整を自動化も不可能じゃない……かも」
しかし、ここで斜め上をかっとぶのがゲルマンの鉄道技術者であった。
操作が難しいならば自動化してしまえとばかりに、機械式アナログコンピュータを作り上げたのである。
蒸気圧で作動する自動制御装置は、圧力計や動輪の回転速度に応じて適切な補正制御を行う仕様であった。史実コマンドゲレーテの蒸気機関車版と言える。
重油専燃化で出力は2割増しとなり、自動制御装置のおかげで各段に操作が簡単になった機関車(01.11形)はドイツ帝国の主力貨物機関車として大量に生産されることになるのである。
「本命の貨物けん引機の開発も進めるぞ。今からやっておかないと、とても間に合わん」
「通常形式の機関車だと出力を確保出来ん。ここはマレー式で設計しよう」
「ふむ……ざっと計算してみたが、重油専燃化すれば3200馬力は固いな。1800tくらいは曳けるか?」
ゲルマンな鉄道技術者たちは、01型機関車の改良に満足しなかった。
本命である超重貨物けん引機を開発するべく、開発に没頭したのである。
その結果、史実では計画のみに終わった53形機関車を重油専燃+自動制御装置搭載でパワーアップしたような巨大マレー式機関車が開発されることになるのである。
『理論上我が国の鉄道を走れる最大最強の蒸気機関車はガーラット式機関車で運転整備重量525t、最大出力8000馬力で引張力6090kgである』
マレー式だけでなく、ガーラット式機関車も開発が進められた。
これは鉄道技師エーリッヒ・メッツェルティンによる思考実験に倣ったものであり、例によって例の如く重油専燃化と自動制御装置の導入で最大出力9600馬力という途方も無い化け物機関車として完成することになる。
しかし、彼らは気付かなかった。
蒸気機関車の開発に熱を上げるあまり、ディーゼルや電気機関車の開発が疎かになっていったのである。
重油専燃化と自動制御装置の採用で蒸気機関車の使い勝手を良くした結果、運用側も満足して電気やディーゼルのことを考えなくなってしまった。のちに英国のHSTや日本の新幹線が実用化するに至り、慌てて技術開発するハメになるのである。
「北極海航路か。我々にとっては未知の領域だな」
「学者たちの言い分によると、夏季はともかく冬季は凍結して使えないらしいぞ」
「そんなの普通の船だと無理じゃないか……」
頭を抱えるゲルマンな造船技師たち。
4BC鉄道計画と同時期に北極海航路計画もスタートしたのであるが、初っ端からつまづいていたのである。
「砕氷船じゃダメなのか?」
「イワンどもはそうしてるらしい。夏季限定ではあるが、航路として利用しているそうだ」
「うちらが出張ったら鉢合わせしてしまうじゃないか。最初から詰んでね?」
円卓は初期段階でソ連を潰すべくロイズに圧力を加えていた。
建国当時のソ連は船舶保険の適用外となり、まともに航海出来ない状態だったのである。
事実上の海上封鎖に追い込まれたソ連が活路を見出したのが北極海航路であった。ソ連の内水を通る唯一の長距離航路でありながらヨーロッパ・ロシアとソ連極東を結ぶ最短航路であり、対立する国の領域内を通る他の航路の代替と成り得たのである。
保険料が手に入らない――もとい、除外水域で勝手に貿易するのを良しとしないロイズからの抗議によって後にソ連船舶の船舶保険加入が認められたために、北極海航路の利用は減少の一途であった。しかし、万が一のバックアップとして未だに航路の維持が続けられていたのである。
「砕氷船は足が遅い。イワンの警備隊に見つかったら拿捕されてしまうぞ」
「「「うーむ……」」」
考えても埒が明かないので検討会はいったんお開きとなった。
酒場でビールをがぶ飲みすれば、きっと良いアイデアが浮かぶであろう。彼らはドイツ人なのである。
「……おい、これを見ろ、これをっ!」
「なんだこれ? ライミーが描いたコミックか?」
「うちの息子が読んでいたのを強奪してきた!」
「酷い父親もいたもんだな!?」
「しかし、技術者の俺らが見ても説得力のある絵だな……」
「砕氷戦艦だと? 斬新過ぎて発想も出来なかった。こいつは紅茶の臭いがぷんぷんするぜ……!」
事態が急展開したのは技術者の一人が持って来た同人誌がきっかけであった。
架空兵器が細かく精緻に描かれており、詳細な解説まで付いているので軍艦好きなお子様も大満足なシロモノであった。
「……なるほど、強力なポンプで艦尾側に注水して艦首を持ち上げ氷原を叩き割るのか」
「戦艦ならば足の遅さは問題にならないし、イワンの連中が襲ってきても返り討ちに出来るな」
「戦艦の主砲ならば氷山の破壊も捗るだろう。何から何まで合理的で素晴らしいアイデアだな!」
ゲルマンな造船技師たちは砕氷戦艦のアイデアに夢中になった。
不幸なことに、常識をどこかに置き忘れて来た技術バカたちを止めてくれる者はドイツ帝国に存在しなかったのである。
「うーむ、船体断面を半円状にするのが理想とは言うが……」
「新造ならともかく、改装でそこまでやってられんぞ」
「せめて側面だけでも曲面にしよう」
とはいえ、さすがに一から新造する予算も時間も無かった。
そこでマッケンゼン級4番艦『フュルスト・ビスマルク』を改装することになったのである。
「船体の外側にバルジとタンクを兼ねた外板を追加すれば工数は最小限で済むな」
「しかし、Uボートと比べて桁外れな注排水が必要になるぞ。ポンプの力量が不足しないか?」
「急速潜航するわけじゃないから問題ないだろ。ポンプは多めに設置する必要はあるがな」
砕氷戦艦『フュルスト・ビスマルク』の外観上の特徴は、艦首形状と艦体後部であった。この二つの点によって、同型艦とは全く違う艦容と化すことになったのである。
まず船首であるが、これは氷に乗り上げて割るのに適した形状に変更された。
抗力が増して水上速力が低下したが、元より速度は求められていないので問題とはならなかった。
元の船体にバルジを兼ねた巨大な注水タンクを設置したことで、その艦容は一変することになった。艦の側壁のほぼ全てを覆う形でバルジが設置された結果、フュルスト・ビスマルクの船体断面はU字から半円形状(船底のぞく)となったのである。
「いや、これって予備浮力が付きすぎじゃないか? 間違いなく喫水が上がってしまうぞ?」
「砕氷船なんだから喫水は浅いに越したことないだろ」
設計上では注排水タンクの長さは全長200m近くに達していた。
このままだとかなりの予備浮力が出ることになり、喫水が浅くなることが懸念されたのである。
「うーむ、外板を厚めにして重量を増やしたほうが良いな」
「いっそ装甲板にしてしまおうぜ!」
「燃料タンクとして使用したらどうだ? 足が長いに越したことないからな」
この問題に際して、造船技術者たちは斜め上にかっとんだ解答を出した。
注排水タンクの外板を分厚くすることで重量を増して予備浮力と相殺すると共に、一部を燃料タンクとして使用することにしたのである。
その結果、フュルスト・ビスマルクは同型艦の中では抜きんでた防御性能を持つに至った。艦をほぼ覆う形となった注排水タンクは、魚雷防御に優位に働いたのである。
一部を燃料タンクとしたことで、計算上のフュルスト・ビスマルクの航続距離は1万浬を優に超えるものとなった。これは北極海航路を航行するには十分な足の長さであり、砕氷戦艦の実用性を高めることになったのである。
ゲルマンな造船技術者の暴走の賜物である砕氷戦艦は1932年に就役した。
単艦でハンブルクを出航したフュルスト・ビスマルクは、北極海航路を航行して中華民国の大連に入港して世界を驚愕させることになるのである。
「……おい、これを見ろ、これをっ!」
「なんだこれ? ライミーが描いたコミックか?」
「うちの息子が読んでいたのを強奪してきた!」
「酷い父親もいたもんだな!?」
「しかし、技術者の俺らが見ても説得力のある絵だな……」
「潜水輸送艦だと? 斬新過ぎて発想も出来なかった。こいつは紅茶の臭いがぷんぷんするぜ……!」
砕氷戦艦構想が煮詰められていたころ、全く別のアプローチで北極海航路を航行せんとするゲルマンな造船技師たちがいた。彼らは北極海を潜航して横断することを考えていたのである。
「シュノーケルにドリルを付けて海氷に穴をあけるのは合理的だな」
「充電と換気が出来るから浮上する必要は無くなるな」
「氷と衝突するから構造を強化する必要があるな」
例によって例の如く、謎の同人誌からインスピレーションを得た潜水艦技術者たちは直ちに構想を煮詰めていく。さすがは潜水艦先進国なだけのことはあり、仮想戦記とリアルの違いを上手く処理して設計を進めていったのである。
「そうか。実験は成功したか」
「緊急浮上とドリルの合わせ技で海氷に上手く穴を開けたとのことです」
「氷が分厚いと穴が開けられない可能性がある。あくまでも非常時の手段だな」
「所詮は沿岸パトロール用の小型Uボートだからな。もっと大型のUボートに搭載すれば問題無いはずだ」
無駄に仕事の早いゲルマンな潜水艦技師たちは、3ヵ月後にはUボートの改装を完了させていた。バレンツ海において、小型Uボートに搭載されたドリルシュノーケルは海氷に穴をあけることに成功したのである。
「しかし、電力を喪失したらドリルは使用出来ないだろう」
「緊急事態で氷原に急速浮上することになったらドリルは間に合わないかも……」
「そういうことならば、セイルの形を工夫しよう。くさび型にすれば浮上の勢いで氷を叩き割ることが出来るはずだ」
「その場合は、シュノーケルと潜望鏡は完全に収納する必要があるな。衝撃で壊れたらシャレにならんし」
実験結果を検討して、さらなる改良が進められた。
セイル形状をくさび型にすることで浮上の勢いで氷を叩き割ることが真剣に検討されたのである。
「潜望鏡とシュノーケルを収納する必要あるから、完全なくさび型は無理じゃね?」
「それはしょうがない。セイル形状は円錐状が理想だな」
「水中抗力が確実に悪化するぞこれ。可能な限りなだらかな形状に整形するしかないなぁ」
「セイル内の配置と形状をもっと煮詰める必要があるな……」
セイルの形状は試行錯誤の連続であったが、さらなる改良が施されたUボートは緊急浮上で分厚い氷を叩き割ることに成功した。Uボートによる北極海航路の踏破に目途が立った瞬間であった。
「北極海航路踏破の目途はたった。あとは曳航する水密コンテナの開発だな」
「Uボートに積める資材などたかが知れてるからな」
「一度乗ったことがあるんだが、所せましとウィンナーが吊るされてたぞ。どんだけスペースに余裕が無いんだよ」
潜水艦による輸送効率の悪さを技術者たちは痛感していた。
コミックの原作者もそのへんは考慮していたらしく、作中では水密コンテナを潜水艦で曳航することで解決を図っていたのである。
「緊急時に投棄出来るように構造は単純化するべきだろうな」
「しかし、浮力の調整にバラストタンクは最低限必要だろう」
「そうなると、外部からの操作が必要となる。遠隔操作用のケーブルが必要になるぞ」
「というか、ここまで来ると普通の潜水艦じゃね? 高コスト化は避けられないぞ」
しかし、水密コンテナに深度調整のための機能を付ければ潜水艦と大差無い。
繰り返し使用が前提とはいえ、喪失したときのコストを考えると容認し難いものがあった。
「浮力をちょうどゼロに調整に調整すれば問題無いんじゃないか?」
浮力をゼロにすれば船体は全没する。
推力さえ与えれば、バラストタンクへの注排水をすることなく潜舵のみで深度維持が可能となる。コミックで描写されていた水密コンテナがまさにソレであったが、これはこれで問題があった。
「んなことしたら、どうやって積み込むんだよ? 積んでる途中で沈みかねないぞ」
積み込み始めはともかく、積み終わるころには船体が全没して浸水しかねない。
余裕をもって乗せると浮力を相殺出来ないので潜航出来ない。しょせんはコミック。リアルには勝てないと思われたのであるが……。
「浮きドックを使えば良いんじゃん」
「「「その手があったか!」」」
まさにコロンブスの卵な発想であった。
浮きドックに載せたまま水密コンテナに積載し、積み込みが終わったら浮きドックを沈めて水密コンテナを引っ張り出せば良いわけである。
「となると、あとは深度を一定に保つ必要があるな」
「バッテリーを積んで電動で潜舵を駆動しよう。あとは水圧感知で深度を自動調整すればいける……いけるぞ!」
水密コンテナの深度維持は、事前に設定した水圧になるまで潜舵を上下させるようになっていた。水圧が低ければ下げ舵、水圧が高ければ上げ舵となり、水圧差が無くなれば水平舵となる。
「深度調整のスイッチはコンテナ外部に取り付けよう。完全なスタンドアロンにして、曳航するだけにしてしまおう」
「いざというとき投棄することも考えるとそれが無難か。高価なものを運ぶわけじゃないからな」
「そりゃまあ、積荷は資源がメインになるだろうから嵩張るだろうが……」
水中コンテナは、実質的に水中タンカーと言える。
母船に影響が出ないように、いざというときは緊急投棄出来ることが求められたのである。
「というか、見た目があんまり過ぎないか? でっかいコンテナに翼を付けただけじゃねーか」
「潜水艦が曳航する速度なんてたかが知れてるから、これで問題無いだろ」
「水切り音がデカすぎて、ソナー探知されないか?」
「北極海航路にまともな戦力なんて配備されないから問題ない」
積載効率を最優先にした結果、水密コンテナの外観は不格好――もとい、機能美あふれるデザインとなった。質実剛健なドイツ製品らしいといえば、それっぽく見えてしまうのが不思議である。
「小型コンテナの水中曳航は成功した。意外と速度損失は無かったらしい」
「水中コンテナの形状が細長いからかもしれんな」
「全没排水量がそのまま積載量になるから効率良い。あとは大型化するだけだ」
「とはいえ、現状のUボートだと700t前後の曳航が限界かと。これ以上を求めるなら母船を巨大化する必要があるでしょう」
氷山戦艦とは対照的に、Uボートによる北極海航路横断成功はひた隠しにされた。輸送を効率化するべく、従来のUボートよりも大型な輸送潜水艦と水密コンテナが開発されてゆくことになるのである。
「久しぶりの羊羹は美味いのぅ。日本に帰って来たって実感がわくわ」
虎屋の羊羹をぱくり。
お茶はもちろん静岡県産の玉露である。目の前の老人は至福の表情であった。
「毎度のことだけど、いつも唐突にやってくるよね……」
その様子を呆れたように見つめているのはテッドであった。
この老人――鈴木商店の大番頭金子直吉は、事前のアポ無しでやってきたのである。
「で、今回のご用件は? またどうせロクでも無いことなのだろうけど」
覚悟を完了したのか、単に諦観しているだけなのか。
ジト目で金子を促すテッド。
「……じつは、つい先日までインド帝国におったんやが、そこでインド国民議会のマハトマ・ガンジーとドイツ帝国の外相が会っているの見てしまったんや」
「なっ!?」
名目上は独立国とはいえ、現在のインド帝国に独自の外交が出来るだけの人材はいない。大英連邦の金看板に縋っているだけというのがテッドの現状認識であった。驚くのも無理もない話である。
「で、気になってこっちでも調べてみたんやが、どうやら鉄道を通すための協議だったらしいで。何か心当たりは無いんか?」
「なんで僕が黒幕みたいになってるんです? そんなことあるわけ……あっ!?」
テッドは思い浮かんだ自分の予想を否定する。
しかし、嫌な予感は消えるどころか膨らんでいったのである。
「……金子さん。アフガニスタンに飛んでくれない?」
「この老骨を扱き使おうというんか。なかなかに鬼畜やが、何を調べるんや?」
金子から茶化すような表情が消える。
テッドの様子から、事の深刻さを感じ取ったのであろう。
「アフガニスタンでも鉄道建設の話が出てないか調べて欲しい」
「インドの隣でも鉄道やと? まさかっ!?」
金子は驚愕する。
テッドの言わんとすることが分かったのであろう。
「ドイツはイラクまでの鉄道利権を手放していない。そこからインド、アフガニスタンを経由して中華民国まで横断する鉄道を作ろうとしてるんじゃないかと思う」
この世界のドイツ帝国は第1次大戦を講和に持ち込んでいた。
講和条約で海外領土は放棄したものの、鉄道利権は放棄していなかったのである。
「いくらなんでも非現実的過ぎる。完成までにどれだけの金と時間がかかると思ってるんや。普通なら船便を使うやろ?」
金子の疑問はもっともなことであった。
大陸横断鉄道が完成すれば莫大な利益を生むであろうが、完成までにかかる時間とコストを考えると船便を使ったほうが現実的なのである。
「今年の5月にロイズが朝鮮半島周辺海域の船舶保険を適用外にしたでしょ? あれで危機感を持ったのだと思う」
わずか1週間でロイズの制限は解除された。
しかし、航路の一部が船舶保険の適用外となったために制限が解除されるまで全てのドイツ帝国船籍のタンカーが出航出来なくなったのである。
「考えてみれば世界の海は大英帝国が握っているからなぁ。多少割高になっても鉄路を使おうと考えるのも無理ないか」
金子は商人なので貿易の本質を理解していた。
安定した交易ルートは、何よりも代えがたいものなのである。
「というか、ご自慢の諜報機関は使わんのかい?」
「中東方面は僕の職権が及ぶところじゃないんだよ。現地の支部に協力要請も出せるけど、個人的な興味本位だから協力してくれるかどうか分からないし。それくらいなら金子さんに頼んだほうが早いかなと」
いざとなればテッドは多少の横紙破りも厭わない。
しかし、今回の事態にそこまでの緊急性は無いと判断していたのである。
「他ならぬテッドはんの頼みやし、鉄道建設に絡めれば儲かりそうやな。わかった。引き受けたろう」
テッドの頼みを引き受けたのは義侠心なのか、それとも商売人としての嗅覚の冴えなのか。4BC鉄道の詳細を調べ上げた金子が後日(アポ無しで)参上することになるのは言うまでもないことである。
4BC鉄道の完成と北極海航路の開通は、世界のパワーバランスを大きく揺り動かすことになる。大英帝国と、その同盟国である日本も巻き込まれることになるのであるが、この時のテッドには知る由も無かったのである。
4BC鉄道と北極海航路で資源輸入が安定化したドイツ帝国は大幅なパワーアップをすることになるでしょう。ソ連とガチで殴り合っても勝てるかもしれません。いよいよ火葬戦記らしくなってまいりましたw
>義勇軍
正式名称は中華人民義勇軍。
中華民国から志願者を集めて簡単な軍事教練を施しただけの素人集団なので、歴戦の兵であるウォッチガードセキュリティにボコボコにされています。
>航路防衛艦
制式名称はケーニヒスベルク級航路防衛艦。
低コストで数を揃えることに重点が置かれているものの、軽巡クラスの大量建造はドイツ帝国海軍の予算を圧迫して海軍大臣の胃にダメージを与え続けています。
>北極海航路
この場合は、ハンブルクから北極海沿岸を航海してベーリング海峡、津軽海峡を経由して大連へ向かうルートです。
>バグラーム
アフガニスタンの首都カーブルから20kmほど北にある町。
史実ではバグラム空軍基地があり、アフガニスタンにおける米空軍の活動の大半がここを拠点にしています。
>変態ディーゼル
参考動画 h ttps://www.nicovideo.jp/watch/sm14434259
せっかちさんは6:50あたりから見てね♪
>間に合わせだが大出力だからなんとかなるだろう
史実だと1926年から製造されていますが、出力は2240馬力もあります。
標準軌と狭軌なので単純比較は出来ないのですが、これは日本のD51の5割増しなパワーだったりします。
>油田地帯で運用するのだから、そっちのほうが適しているな
シリアもイラクもアフガニスタンも石油が出るので重油専燃化したほうが燃料補給が容易なのです。
製油所を作る必要がありますけどね。
>コマンドゲレーテ
当時の機械技術で、電子制御に近いことをやってのけたオーパーツ。
構造が複雑過ぎてレストア業者も怖くて中身を開けられないとか。
>マレー式機関車
この場合はアメリカ式の単式マレーを指します。
ドイツ帝国版ビックボーイですねw
>ガーラット式機関車
車体を3分割構成としてボイラーを中央の台枠上に浮かせた状態で置き、その前後に動輪がついた首振り可能な台枠を置いて中央の台枠を支えているのが外観上の特徴です。ボイラーの設置位置をギリギリまで下げられるので重心が安定して狭軌でも大型ボイラーを搭載出来る利点があります。ドイツ帝国は標準軌なので、もっと大きいボイラーが搭載出来るわけです。
>HST
ハイスピードトレインの略。
英国初の高速鉄道にして、当時のディーゼルで200km/h運転を実現した変態列車。
>新幹線
言わずと知れた日本を代表する高速特急。
この世界では東京オリンピック(戦前)までの完成を目指して工事が進められています。
>技術者の一人が持って来た同人誌
テッドくんが史実の某艦隊シリーズに出てくる天手力男を活躍させるべく描いた火葬戦記同人誌です。
>例によって例の如く、謎の同人誌からインスピレーションを得た潜水艦技術者たち
シュノーケルにドリルはテッド君のオリジナルネタです(多分
>作中では水密コンテナを潜水艦で曳航することで解決を図っていたのである。
ちなみに、元ネタは小説版ジオニックフロントに出てくるオデッサ脱出用の潜水カプセルだったします。