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第78話 平和補正解除(自援絵有り)


(想像はしていたけど、史実のメフォ手形とはけた違いじゃないか……)


 1928年3月。

 テッドは執務室で頭を抱えていた。


 目の前に置かれているシドニー・ライリーの報告書が、頭痛の原因であった。

 サウスダコタ級のハワイへの集中配備に疑念を持ったテッドは、アメリカでの現地調査を依頼していたのである。


『貴重な虎の子である戦艦をハワイに集中配備するなど正気の沙汰では無い』


 ――去年の記者会見におけるテッド自身の発言である。

 じつは日英の海軍関係者も同様のことを考えており、JCIAやMI6を動かして調査を行っていた。


 しかし、アメリカ政府の予算の流れをいくら追っても不審な点は見当たらなかった。裏社会の影響が強いヤクザ国家故に、真っ当では無い判断をしたのだろうと結論付けるしか無かったのである。


 テッドは、事前に史実のメフォ手形のことをシドニー・ライリーに伝えていた。

 捜査の着眼点からして、全く違っていたのである。


 シドニー・ライリーの調査は、『有限会社 冶金研究協会』(Metallurgy Research Association Co.Ltd.)という団体に行き着いた。


 通称『メラ』と呼ばれているこの組織は、USスチールやゼネラルエレクトリックなどアメリカの巨大企業の合同出資であった。シドニー・ライリーは、メラが海軍省と連邦準備銀行から送り込まれた理事によって運営されていることを突き止めたのである。


 メフォ手形は、民間に偽装された国債というべき存在である。

 史実では、ナチスが秘密裏に再軍備を達成した資金源となった。


 国家予算とは独立しているので、いくら予算の流れを追っても出てこない。

 秘密裏に再軍備を達成するには、うってつけであった。


 メラ手形は史実のメフォ手形のアメリカ版と言える。

 ただし、その規模は国力に相応しくオリジナルの数倍以上の規模となっていたが。


(アメリカの造船関連の株が軒並み上昇するわけだ。鉄鋼関連も猛烈に上がってるし……)


 史実21世紀の価値にして100兆円規模の予算があれば、いくらでも軍艦を建造出来る。現在のアメリカの造船業界と鉄鋼業界は、未曾有の好景気に沸いていたのである。


(さて、どうしようかな。とりあえず内閣調査部にコンタクトを取るべきなんだけど……)


 最近のテッドは、平成会館ではなく内閣調査部に接触することが多かった。

 同じ平成会でも内閣調査部のほうが政権中枢に近い分、いろいろと話が早いのである。しかし……。


(あの修羅の職場に連絡するのは、出来れば避けたいんだよなぁ)


 修羅の職場というのは決して比喩では無い。

 史実のブラック企業も真っ青な環境で、常時デスマーチ状態な職場に連絡するのに気が引けていたのである。


(とはいえ、平成会館に話を持って行ってもどうしようもないんだよなぁ……)


 内閣調査部は、とにかく人が足りていなかった。

 そのため、転生者は片っ端から放り込まれていたのである。


 今の平成会館には箸にも棒にも掛からぬモブしか残っておらず、連絡してもたらい回しにされてしまう。それくらいならば、最初から内閣調査部に連絡したほうがマシというものである。


「……と、いうわけなんだ」

『状況は理解しました。事が事だけに国家安全保障会議(NSC)を開催する必要があるでしょう。ドーセット公にもご参加願います』

「僕が参加していいの? 部外者なんだけど?」

『事は急を要しますし、直接説明してもらったほうが早いですので』


 恐る恐る内閣調査部へ電話したテッドであるが、普通な対応で安堵した。

 ド修羅場進行で殺気だっていると、テッドに対しても容赦なく罵声を浴びせてくるのである。


『……ところで、ドーセット公。話は変わりますが、福利厚生の一環で永田町にコンビニを作ることになったんですが、当然協力してくれますよね?』

「アッハイ」


 ガチトーンなモブのお願いをテッドは断ることが出来なかった。

 テッドは内閣調査部が暇だと思い込んでいたが、それは大きな間違いである。


 昨年末のクリスマス開戦のせいで、内閣調査部は年末年始の休みを返上して働いていた。そこにテッドが厄介ごとを持ち込んだせいで、完全にブチ切れてしまっていたのである。







「「「……」」」


 重苦しい沈黙が首相官邸の会議室を満たす。

 NSCに参加しているメンバーは、しばし無言であった。


「ドーセット公、聞くのも野暮だとは思うのだが……」

「皆まで言わないでください。僕も信じたくないのですが、裏取りもしましたので事実です」

「そうか……」


 大きくため息をつく後藤新平(ごとう しんぺい)

 彼が目を通した書面には、メラ手形とヴィンソン計画について詳細に記されていた。


「だが、解せんな。あの無法者国家が、何故急激な軍拡に走るのか……」


 後藤はアメリカ急激な軍拡に疑問を抱く。


「現時点では不明です。こちらに関しては継続して調査させます。ただ……」


 テッドも、後藤と同じくアメリカ海軍の急激な拡張に疑問を抱いていた。

 裏社会の人間を多少なりとも知悉している彼からすれば、なおさら違和感が大きかったのである。


「何か気になる点があるのかね?」

「あの国を牛耳る裏社会の人間が、急に海軍に興味を持つとは思えない。全く別の権力が動いているのではないかと思うのです」


 テッドの勘は当たっていた。

 後に判明するのであるが、海軍大拡張はアメリカ大統領ジョン・デイビスの指示で行われていたことのである。


「ドーセット公、このヴィンソン計画は事実なのかね? 詳細を見れば正気とは思えんが……」

「僕も認めたくないのですが、事実です」


 海軍大臣の岡田啓介(おかだ けいすけ)海軍大将は顔を青ざめさせていた。

 それほどまでにヴィンソン計画の内容が衝撃的だったのである。


 ヴィンソン計画は、海軍委員会の委員であるカール・ヴィンソンが立案したものである。


 その全容は、戦艦10隻、空母10隻、重巡、軽巡、駆逐艦、その他もろもろ全て合わせて合計排水量200万トンオーバーの軍艦を一気に建造するという、とんでもないものであった。


「米海軍の艦艇の大半は、世界大戦前のオンボロ艦だ。それを入れ替える意味もあるのだろうが、それにしたって正気じゃないぞ!?」


 思わず頭を搔きむしる岡田。

 ごま塩頭をガリガリと掻く姿は、見ていて痛々しいものがある。


「ドーセット公、ヴィンソン計画はどれくらいまで具体化しているのですか?」


 内閣調査部のモブがテッドに質問する。

 去年のクリスマス開戦以来、ロクに寝てないのであろう。顔色は悪く、目にクマが出来ていた。


「現地調査によると、アメリカ国内の造船所と製鉄所は空前の活況を呈しているとのことだった。本格的な建造は既に始まっていると思う」

「平和補正が外れたアメリカって、ただのリアルチートじゃないですかやだーっ!?」


 場も弁えすに絶叫してしまうモブ。

 彼は史実の歴史シュミレーションゲームであるH〇I2にハマっていた。だからこそ、アメリカの現状のヤバさを理解してしまったのである。


「……ヴィンソン計画の艦艇の戦力化は1930年以降と思われます。我々は、その前に手を打つ必要があります」

「だが、具体的にはどうするのだ? 悔しいが建艦競争では到底勝ち目がないぞ」


 後藤の言うことは事実であった。

 平成会チートによって国力が大幅に強化されたとはいえ、まだまだアメリカには及ばないのである。


「観艦式をしましょう。後は合同演習でしょうかね」

「なるほど。米国に対するけん制と双方の練度向上を兼ねるわけだな」

「その通りです。両国が共同してアメリカに対抗するという、またとないメッセージになるでしょう」


 これは良いと、膝を打つ岡田。

 一石二鳥のテッドの提案に、賛成こそすれ反対する理由など無かったのである。


 観艦式&合同演習は、年内の開催を目指して準備が進められていった。

 11月に予定されている即位の大礼に伴う特別観艦式をも兼ねることになってしまったことで、かなり無茶なスケジュールになってしまい、関係者は連日デスマーチを強いられることになるのである。







「あの野蛮人と和平しろと言うのか!?」


 ドイツ帝国ベルリン王宮の一室。

 ヴィルヘルム2世(カイザー)は、報告を持って来たパウル・フォン・ヒンデンブルク大統領に激怒していた。


「陛下のお怒りはごもっともです。しかし、フランス・コミューンとソ連を同時に相手取るのは得策ではありませぬ」

「ぐぬぬぬ……!」


 怒りと屈辱に震えるカイザーは、間違いなく核地雷である。

 ちょっとでも対処を間違えれば即座に暴発しかねない。ヒンデンブルグは細心の注意を払って説得を試みる。


「幸いにして、フランス共和国はコミュスト(ども)に対して優位に戦闘を進めています。国土を奪還するのは、そう遠くないでしょう」

「連中と手を組んでから、あらためてイワンどもに鉄槌を下せと言うわけだな?」


 西部国境からドイツ帝国に侵攻したフランス・コミューンの軍勢は、帝都ベルリンにまで迫った。しかし、フランス共和国軍が南仏パンプローヌビーチに上陸したことで撤退に追い込まれたのである。


「ソ連は卑劣にも宣戦布告も無しに、クリスマスに戦争を仕掛けてきました。こちらから一方的に和平を破棄しても、非難されることはありますまい」

「……分かった。詳細はお前に任せよう。良きに計らえ」

「御意にございます」


 説得に成功して、安堵するヒンデンブルグ。

 ベルリン王宮を辞した彼は、その足で帝国大統領宮殿へ向かう。


「か、閣下。どうでしたか?」


 大統領宮殿では、閣僚たちが不安そうな表情でヒンデンブルグを待ち構えていた。


「どうにか説得したぞ。今度ばかりは駄目かと思ったわい」

「「「おおおおおおおっ!」」」


 閣僚たちから歓声が上げる。

 戦争を継続しても負けるとは思わないが、泥沼に陥ることを彼らは懸念していたのである。


「諸君、喜んでばかりではいられないぞ。早速だが状況を報告してくれたまえ」


 しかし、ヒンデンブルグの言葉にすぐさま冷静になる。

 彼らには、やるべき仕事が山積みだったのである。


「ソ連との和平交渉ですが、戦前の状態に回帰することで概ね合意に達しました。今月中に締結出来るでしょう」


 外務大臣のコンスタンティン・フォン・ノイラートが、ソ連との和平交渉の進捗を報告する。2月の時点でソ連から白紙和平が提案されており、ノイラートは交渉を重ねていたのである。


「フランス共和国との交渉はどうなっているのかね?」

「こちらからは、戦時賠償としてアルザス・ロレーヌ地方の割譲を要求しています」


 実際に受けた被害はともかく、フランス・コミューンに国土を荒されたことは事実である。ドイツ帝国は、戦時賠償を求めてフランス共和国と交渉を開始していた。


「しかし、共和国側が割譲に納得するのかね?」

「その時は言ってやれば良いのです。フランス・コミューンの過ちをまた繰り返すのか、と」


 (あざけ)るように笑うノイラート。

 周囲からも失笑が漏れる。


 フランス・コミューンは第1次大戦中にドイツとの即時停戦を主張し、さらに英軍の国内退去を強硬に主張して英国を激怒させた過去がある。その結果が、戦勝国としての権利の喪失であった。


 第1次大戦後に賠償金とアルザス・ロレーヌ地方を獲得したフランス・コミューンであったが、植民地を含む全ての海外権益は全て没収された。正当な政府に返還するとの名目で英国の一時預かりとなったのである。


 フランス共和国がフランス・コミューンと同じことをしようものなら、今度こそ英国は三行半を突きつけるであろう。海外権益もそのままボッシュートされる可能性が高い。そのことを理解しているノイラートは、強気でフランス共和国と交渉していたのである。







「カイザーは、イワンに鉄槌を下すことを望んでおられる。実際に戦って勝てるのか忌憚のない意見を聞かせて欲しい」


 ヒンデンブルグ自身は、ソ連に侵攻することは望んでいなかった。

 しかし、彼にとってカイザーの意思は絶対である。


「陸軍としては、塹壕陣地を活かせば優位に戦えると考えております」

「塹壕は守りには向いているが、攻撃には向かないのではないか?」


 陸軍大臣のハンス・フォン・ゼークト陸軍上級大将の意見に困惑するヒンデンブルグ。だが、ゼークトの意見には続きがあった。


「今回の塹壕陣地は、機械力の動員によって極めて短期間に造成することに成功しています。相手が警戒していない場所から徐々に切り取っていけば良いのです」


 奇襲によって一時的に不利な状況に追い込まれたものの、塹壕陣地は問題無く機能していた。第1次大戦の教訓が盛り込まれた塹壕は、竜の歯や地雷なども活用して赤軍の戦車軍団を効果的に喰いとめていたのである。


「この作戦を実行するには、大量の建機が必要になります。現在は輸入に頼っていますが、早急に国産化する必要があるでしょう」


 敵勢力の側面から塹壕で包囲、可能であれば後方にまで回り込んで完全包囲と殲滅を狙う。これを実現するには大量の建機が必要なのであるが、現在は英国と日本からの輸入に頼っているのが現状であった。


 ゼークトの意見が採用されて、建機の国産化が急がれることになる。

 完璧主義なゲルマン民族の血が騒いだのか、後には塹壕堀りに特化したマシンまで開発してしまうのである。


「マッケンゼン級は想定通りの働きをしました。海軍としては、本級の量産と発展型の建造を考えております」


 海軍大臣のパウル・レオ・グスタフ・ベンケ海軍大将は胸を張る。

 ペーネミュンデ矢弾を主砲に採用したマッケンゼン級は、150kmという驚異的な射程で沿岸から陸軍を援護した。4隻合計48門の火力によって、射程範囲内の赤軍を粉砕していたのである。


ロンドン海軍軍縮会議(条約)があるから、新規建造は無理だぞ?」

「しかし、マッケンゼン級は例外として認められましたではないですか」

「ふむ、使用目的を対ソ連に限定すればいけるか? イギリスに打診してみよう」


 外交ルートで打診した結果、追加建造が認められることになった。

 ただし、戦艦ではなくモニター艦としてであるが。マッケンゼン級よりも大口径超射程なペーネミュンデ矢弾を搭載した装甲モニター艦が、3隻追加で建造されることになるのである。


「えー、空軍におきましては……って、ここに居て良いんですか? どうも場違い過ぎるというか……」


 困惑しているのは、新設された空軍大臣に就任したマンフレート・アルブレヒト・フォン・リヒトホーフェン空軍大将である。副官のヘルマン・ヴィルヘルム・ゲーリング中佐と共に、ベルリン防空戦で目覚ましい活躍をしたリヒトホーフェンは、カイザー直々に2階級特進と伯爵への陞爵(しょうしゃく)を言い渡されていた。


挿絵(By みてみん)


 巷では、『赤伯爵(ローターグラーフ)』としてリヒトホーフェンは時の人であった。

 ベルリンに迫る巨鯨――人民空軍の切り札であるジャンヌ・ダルク級航空戦艦を愛機Ar 80EAで撃墜していく様子は、当時のベルリンっ子を熱狂させたのである。


 ちなみに、副官のゲーリングも少将へ特進したうえで男爵位を授けられている。

 『白男爵(ヴァイスバローン)』として、こちらも女性から大人気であった。


「空軍としては、制空権を確保するための戦闘機の増備を進めています」

「フランス・コミューンに、終始数で圧倒されたとの報告を受けている。機体の性能も大事だが、数を揃えることも必要であるな」


 帝国空軍は機体性能で圧倒していたものの、人民空軍の圧倒的な数に振り回される形となった。この問題を解消するために、戦闘機の量産とパイロットの教育が進められていたのである。


「陸軍支援のための爆撃機の開発も進めています。それと、軍用グライダーの開発も進めています」

「爆撃機はともかく、グライダーは役に立つのかね?」


 ゼークトが疑問を呈する。

 彼の知るグライダーは、一人乗りのピュアグライダーである。とても軍用に耐えるとは思えない。


「現在開発中の大型グライダーは、人員だけでなく軽車両や重火器の運搬も可能です。奇襲攻撃に適していると言えるでしょう」

「それは良いな! 塹壕戦術で圧力をかけつつ、敵の背後を突ければ効果は倍増だ。陸軍も全面的に支援しよう」


 このことが発端となり、陸軍と空軍による軍用グライダーの共同研究が始まることになった。この世界の降下猟兵は空軍ではなく、陸軍に所属することになるのである。


 カイザーの意を受けた帝国3軍は、来るべき対ソ戦に向けて戦力強化を急いだ。

 クリスマスに不意打ちをしてきて怒り狂う国民感情も手伝って、急速に軍拡が進められていったのである。


 円卓としては複雑な心情であった。

 史実NATOのような軍事同盟をもってソ連に対抗するつもりだったのである。







『……シドニー・ライリーのレポートは読んだよ。テッド君が予想したとおりだったな』

「僕としては当たって欲しくなかったんですけどね。まったく、苦労してアメリカの牙を抜いたってのに……」


 ロンドンへの国際電話で愚痴るテッド。

 相手は、海軍大臣のウィンストン・チャーチルであった。


『今回の件は、大英帝国の安全保障にも関わる。全面的に協力しよう。首相からも許諾も得ている』

「ありがとうございます。で、どれを派遣してくれるのですか?」

『うむ、最初は中国戦隊から戦艦を派遣しようと思ったのだが、取りやめになった』

「どういうことです?」


 英国海軍中国戦隊は、クイーンエリザベス(QE)型高速戦艦を基幹とする有力な艦隊である。香港を拠点にしていることから、今回の合同演習&観艦式には最適と思われていたのであるが……。


『同盟国の主力艦隊と演習をするのだから、こちらも本国艦隊から派遣すべきという意見が主流になってな』

「うわぁ、嫌な予感がひしひしと……」


 本国艦隊の突き抜けぶりを知るテッドは冷や汗を流す。

 直接見たわけではないが、報告は随時受けていたのである。


『さすがに遠いので、派遣するのは大型艦のみだ』

「となると、戦艦ですか?」

『FRAMが適用されたQE型3隻と、航空機補修艦を予定している』


 大規模近代化改修(FRAM)は、艦齢10年を超えたQE型戦艦に実施される近代化改修である。


 その内容は、機関の換装、艦首の成形とバルバスバウの装備、砲塔換装によるSHS(スーパーヘビーシェル)への対応、箱型艦橋とバイタルパート内へのCICの設置、レーダーの装備、対空火器の増設など多岐にわたる。これらの改装によって、今後30年は運用することが決定していた。


 航空機補修艦は、史実でも英国海軍が保有していた艦種である。

 長期作戦を行う空母艦隊に随伴して支援することが本来の目的なのであるが、簡易空母としても運用可能であった。


「この時代に、レーダー統制射撃が出来る戦艦を持ち出して無双する気ですか? 大人げないなぁ……」

『そう言わんでくれ。大英帝国の武威を示すことで、アメリカに(なび)くことを考える輩を事前に摘む必要があるのだよ』


 これまで地域紛争レベルの戦争はあったが、第1次大戦後は概ね平和であった。

 伝説の大撤退やブリテンの背進、ユトランド沖の栄光は過去のモノになりつつあったのである。


 アメリカ海軍の大拡張は、その手段はともかく建造自体は特に秘匿されていない。今はごく一部の関係者のみが知っているが、いずれ大衆にも知れ渡ることになるであろう。


「そりゃまぁ、仮想敵国が戦艦10隻同時建造なんてニュースが流れようものなら社会不安も起こるでしょうけど……」


 この時代における戦艦の扱いは、史実の核兵器と同様である。

 それを10隻同時に建造しているということを大衆が知ったとき、どんな社会不安が巻き起こるか分かったものではない。そうなる前に手を打つ必要があったのである。


『それと、テッド君は英国海軍予備員(RNR)士官として演習艦隊に乗り込んでもらうことになる』

「ふぁっ!?」


 寝耳に水な発言に驚愕するテッド。

 予想外過ぎる事態に混乱して言葉が出てこない。


『ヨーク公の推薦だ。頑張ってくれたまえよ』

「あの弟、何してくれてるんじゃぁぁぁぁぁぁぁぁっ!?」


 ヨーク公こと、アルバート・フレデリック・アーサー・ジョージは史実のジョージ6世である。この世界では、長兄エドワードが王位を継ぐことが確定しているため海軍畑を歩んでいた。


『幕僚が補佐するから、実務は心配しなくても大丈夫だぞ』

「違う、そうじゃない! 僕民間人んんんんんっ!」

『そうは言っても、君はRNRの資格持ちだろう。宣伝にもなるから、これを機会に経験を積んでおきたまえ』


 英国海軍予備員(RNR)とは、その名の如く補充人員である。

 有事の際に海軍の人材不足を解消するために、プロの商船船員や漁船乗組員をに訓練を施して登用する制度である。


 趣味の魚釣りが高じて、自前の漁船を所有するテッドは豊富な船上活動経験を持っていた。さらに、ノブレス・オブリージュの建前で領民にアピールする意味もあって、RNRの訓練には定期的に参加していた。


 世界巡幸(ロイヤルツアー)戦艦(レナウン)に乗り込んだ際に、褐色の野獣と恋の両生類から逃げる――もとい、艦内勤務に興味が湧いたので水兵に混じって汗を流していた。テッドは、RNR士官として推挙されるに足る海の男だったのである。







「暑いのに重労働とか、やってられるか!? 海で泳ぎたいっ!」

「ここ最近、急に忙しくなったよなぁ……」


 常夏の島サイパンは4月でも暑い。

 元満州派の工兵たちは、不満たらたらであった。


 海外領土防衛のためのサイパンの要塞化は、従来より進められていた。

 しかし、アメリカがハワイにサウスダコタ級を配備したことで工事が前倒しされることになったのである。


「まぁ、愚痴っても仕事が無くなるわけじゃなし。さっさと終わらせようぜ」

「そうだな……」


 ため息をつきつつ、彼らはブルドーザーを動かす。

 周辺では多くの建機が稼働しており、史実のモッコとツルハシが主力だった陸軍とはかけ離れた姿であった。


 配備されているブルドーザーの大半は、民間モデルに迷彩塗装を施したものである。最前線で活動することを考慮して防弾が施されたブルドーザーも開発されたのであるが、機甲師団に随伴出来るだけの機動性を付加したら高コストになってしまい、少数配備にとどまっていた。


 関東大震災で大量に発生した瓦礫に対処出来ずに初動が遅れたことを反省して、この世界の陸軍では建機の積極的な導入が推し進められた。工兵連隊は、史実のシービー並みに強化されていたのである。


 ちなみに、シービー (United States Navy Seabee)はアメリカ海軍の建設工兵隊である。世界各地の戦場に海軍基地と飛行場を建設し、港湾施設の建設や修理までやってのけて連合軍の勝利に大いに貢献した陰の立役者とでも言うべき存在であった。


「こんなの鏡で本当に発電出来るのか?」

「さぁ?」


 工兵たちがぼやきながら設置しているのは、半円状のミラーである。

 彼らは知らなかったが、史実の太陽光熱発電の一種であるトラフ・パラボラ型であった。


 太陽光熱発電は、太陽光を集光して熱を発生させて発電を行う。

 日照時間が多いサイパンに向いている発電方法である。


 同じ原理で淡水化プラントも建造された。

 水の代わりに海水をパイプに通して太陽光で蒸発、復水して真水を得るのである。


 とはいえ、島内全ての水と電力は賄えなるわけもないので火力発電所と水タンクが建設された。それらの大半は、地下に建設されるか念入りな偽装を施されることになる。


「どうにか砲床の造成は間に合ったな」

「コンクリートが固まるまで散水がきつかったなぁ……」

「おい、無駄口をたたくな。デカブツを降ろすぞ!」


 工兵たちの目の前で、大型クレーンに吊るされて巨大な砲塔が降ろされる。

 45口径36cm4連装砲――元は、戦艦『扶桑』に装備されていた砲であった。


 アメリカのサウスダコタ級の配備に対抗して戦艦の魔改造を実施する段階で、主砲の換装で浮いた旧砲を活用することが決定していた。サイパン要塞化の肝として、重厚なべトン陣地に守られた要塞砲として完成することになるのである。


「横穴の偽装は大したものだ。此処に来るとき船上から眺めたが近づくまで分からなかったぞ」

「誰が考え付いたのか知らんが、設営が楽で保守にも手間がかからないから助かってるよ」


 岸壁に作られた潜水艦基地に入港する1隻の潜水艦。

 史実のバンザイクリフがあった崖下に、海軍は潜水艦基地を建設していた。


 配備されている潜水艦は、通商破壊を主目的とした呂号潜水艦である。

 イギリスから提供されたL型潜水艦をベースに改良が施されており、性能が向上していた。


 肝心の潜水艦基地は岸壁をくり抜いて作られており、その入口は完全に周囲の風景に溶け込んでいた。その構造は史実のストリングカーテンを参考にしており、太いロープを入口に垂らして迷彩を施したものであった。


 こんなことを考え付いたのは、某艦隊シリーズの熱烈なファンだった平成会のモブである。当初のプランでは、海中トンネルを作って潜水艦をビーコン誘導することを考えていたのであるが、さすがに予算と技術面から没となっていた。


 同時期の小笠原諸島の父島や硫黄島でも、同様の光景が見られた。

 史実では資材不足で泣かされたが、この世界では鉄とコンクリートを多用した鉄壁の要塞島として完成することになるのである。







『……今、ここにフランス共和国の復活を宣言する!』


 1928年6月某日。

 フィリップ・ペタン陸軍大将による解放宣言が、電波に乗ってフランス全土に響き渡る。


(フォッシュ元帥、我々は帰還しました。本来ならば、貴方がここに立つべきでした……)


 演説を続けながらも、ペタンは感傷に浸っていた。

 敬愛すべき上司であったフェルディナンド・フォッシュ陸軍元帥は、3月に亡くなっていたのである。


「……それで、ドイツからの戦時賠償はどうします? アルザス・ロレーヌ地方の割譲を求めていますが?」

「ふざけるなっ! あの土地を手放せるわけないだろう!?」

「そもそも、コミュスト共が勝手にやらかしたことだ。我らには関係ない!」


 パリ市内エリゼ宮。

 その会議室で繰り広げられるのは、閣僚たちの怒号の応酬である。


 宮殿の主となったペタンは、いつまでも感傷に浸っているわけにもいかなかった。否が応でも、現実と向き合わざるを得なかったのである。


「諸君、わたしはアルザス・ロレーヌの割譲を認めるつもりだ」


 毅然としたペタンの言葉に静まり返る会議室。

 我に返って反論しようとする閣僚たちに、無慈悲な鉄槌が下される。


「コミュスト共が勝手にやったことだと? それでは世界大戦中にイギリスを裏切った彼らと同じでは無いか!」

「「「……」」」


 借りてきた猫の如く委縮する閣僚たち。

 ぐうの音も出ないとは、このことであろう。


「イギリスは共に戦ってくれた戦友だ。我らは、その戦友を裏切る形となったのだぞ?」


 ペタンの言葉に怒りが滲む。

 彼の怒りは、自身だけでなく国民へも向けられていた。


「コミュスト共に扇動されたなど言い訳にもならん。やらかしたことが無効になるわけではないのだ」


 がっくりと肩を落とす閣僚たち。

 アルザス・ロレーヌ地方のドイツへの割譲が決定した瞬間であった。


『……フランス共和国の国際社会への復帰を心より歓迎する。大英帝国は、お預かりしていた海外権益を正当な政府へお返しする』


 アルザス・ロレーヌ地方の割譲が発表されてからの英国の動きは早かった。

 ロイド・ジョージ首相が、フランス共和国へ海外権益の返還を発表したのである。


 ロイド・ジョージの言葉に噓偽りは無く、インドシナやラオス、アフリカの植民地と権益は速やかに返還された。フランス共和国はアルザス・ロレーヌを失ったが、それ以上のモノを得ることが出来たのである。


『フランスに必要なのはコミュストではなく、皇帝でもない。第三共和政の復活を宣言する』


 ペタンは第三共和政を復活させて、初代大統領に就任した。

 史実とは異なり、この世界の第三共和政はフランス・コミューンが成立した時点で破棄されていたのである。


 アルザス・ロレーヌ割譲により、かねてからの懸案だったドイツとの関係は改善された。ドイツはフランスを気にすることなくイワンをぶちのめすことに専念出来るようになり、フランスもドイツを気にすることなく復興に専念出来るようになった。双方win-winな関係となったのである。


 アルザス・ロレーヌ割譲が考慮された結果、WRO(戦災復興機構)からは多額のポンド借款を受けることが出来た。そのおかげで国内の復興も速やかに進められたのである。


 しかし、全てが順風満帆というわけでは無い。

 国境を接するスペイン共和国では、レジスタンスの活動が激化して政情不安が続いていた。


 これまではフランス・コミューンの軍事介入により治安を維持していたものの、コミューンが解体されてからは弱小なスペイン軍のみで対応せざるを得なくなった。後はお決まりの内戦コース一直線である。


 戦火を避けるために、スペイン国民は難民となって国境に殺到した。

 フランス共和国は、その対応に追われることになるのである。






以下、今回登場させた兵器のスペックです。


マッケンゼン


排水量:33000t(常備) 

全長:227.0m 

全幅:30.4m

吃水:8.7m

機関:重油専燃缶32基+パーソンズ式ギアードタービン4軸推進

最大出力:92000馬力

最大速力:29ノット

航続距離:14ノット/8000浬 

乗員:1227名

兵装:70口径31cm連装垂直2連砲3基

   45口径15cm単装砲12基

   45口径8.8cm単装砲8基  

   航空機20機(ハンザ・ブランデンブルク W.12 索敵・弾着観測・防空兼用)

装甲:装甲帯100~300mm

   主甲板30~80mm(後部飛行甲板除く)

   主砲塔270mm(前盾) 230mm(側盾) 230mm(後盾) 80mm(天蓋)

   主砲バーベット部270mm(最厚部)

   司令塔300mm


ドイツ海軍が建造した超フ級戦艦の1番艦。

同型艦は『プリンツ・アイテル・フリードリッヒ』『グラーフ・シュペー』『フュルスト・ビスマルク』


当初の計画では15インチもしくは16インチ砲を搭載した真っ当な巡洋戦艦になるはずであった。しかし、搭載する予定の砲は未だに設計段階であった。建造が急がれる状況で、新型砲の完成をいつまでも待つわけにもいかず技術者達を悩ませていた。


技術者達の救い?となったのが、テッド・ハーグリーヴスが描いたSF同人誌であった。生前に架〇機の〇で見た『フ〇ン・デ〇・タン 〇ァハ〇』が忘れらずに描いてしまったシロモノなのであるが、それがどういうわけかドイツにまで流れていたのである。


『連装垂直2連砲』『ペーネミュンデ矢弾』のアイデアは、ゲルマン技術者達を大いに刺激した。特にペーネミュンデ矢弾は、詳細な形状まで描かれていたために労せずに完成にまでこぎ着けた。ライフリングを廃した滑腔砲であるために製作が簡単だったことも原因である。


砲身は28cm砲をボーリングして31cmに拡大された。

ライフリングを廃して、内部はクロムメッキでピカピカに磨き上げられた。この砲を垂直に束ねたのが垂直2連砲である。この砲を連装するので砲塔につき4門、3基合計12門の火力を発揮可能であった。


ペーネミュンデ矢弾は、全長2mというこれまでの砲弾の常識を覆す長さである。

砲弾の径は100mm程度であるが、砲弾の中ほどにあるサボと後端のフィンによって砲身内で支持されている。


この砲弾はロケット推進が組み込まれており、発射されて数秒後に点火して推力を発揮した。

極めて細長く、空気抵抗の少ない形状のペーネミュンデ矢弾は、1400m/sという驚異的な初速とロケット推進により最大射程150kmという空前絶後の長射程を達成したのである。


全長は長いものの、細長く容積が小さいペーネミュンデ矢弾は艦内に大量に搭載することが可能であった。長射程と大量に搭載出来ることは、陸軍から求められた支援砲撃能力に合致するものでもあった。


本命の対艦船においては、その長射程を活かしたアウトレンジ戦法が求められた。

アウトレンジするためには敵を早期に発見すること、相対距離を維持するための速力が必要となるが、速力はともかくとして150kmという射程は見通し距離を遥かに超えており、目視以外の索敵手段が必要となった。


当時のドイツにはレーダーの概念すら存在しておらず、索敵手段は航空機に頼ることになった。本級の艦体後部には大型格納庫設けられており、マッケンゼン級は水上機母艦として20機程度の運用が可能であった。


速力があって偵察・通信機能も充実していたことから旗艦として運用されることが多く、良くも悪くも非常に目立つ艦であった。その特異な形状は各国から様々な憶測を呼ぶことになる。


1927年12月のソ連侵攻の際は、マッケンゼン級全艦がバルト海に展開していた。

ペーネミュンデ矢弾は沿岸から砲撃しても充分に内陸にまで届かせることが可能であり、射程範囲内の赤軍を壊滅させている。


後にマッケンゼン級の拡大発展型が建造されることになるが、ロンドン海軍軍縮会議の期限切れを悠長に待つ余裕は無かったため、装甲モニター艦として建造が認められている。



※作者の個人的意見

今回の成功体験で、ドイツ帝国海軍の戦艦はマッケンゼン級のようなキワモノばかりになりそうです。いや、ホントどうしましょうかねぇ?(滝汗






ジャンヌ・ダルク


排水量:182.8t(空虚重量) 

全長:240.0m 

直径:40m

全高:44.7m

機関:ファルマン12We 水冷12気筒550馬力8基推進(水素+プロパン混合ガス使用)

最大出力:4400馬力 

最大速力:45ノット(巡航速度) 78ノット(最高速度)

航続距離:45ノット/3000浬(最大搭載時)

乗員:65名

兵装:50口径8mm重機関銃25基

   空挺隊員400名+投下用武装コンテナ(最大搭載時)

   装甲:5mm(前部操舵室、後部操舵室)


人民空軍が、アメリカ企業の協力を受けて建造した大型飛行船。

同型艦は『ラ・イル』『ジル・ド・レ』『シャルル・ド・ヴァロワ』『ジャン・ド・デュノワ』


来るべきドイツとの再戦で、フランス・コミューンの軍関係者の頭を悩ましていたのが、立ちはだかるであろうドイツ軍の塹壕陣地であった。塹壕を見ただけで戦意崩壊してしまうほどのトラウマと化していたのである。


この問題を解決するために考案されたのが、飛行船を使った浸透戦術であった。

夜間に飛行船を無音航行させることで塹壕を飛び越え、空挺部隊を降下させて速やかに司令部を無力化を完了させる。その後は、後続の陸軍のために塹壕を破壊して道を作るまでが任務であった。


設計と建造はアメリカ国内で行われた。

フランス・コミューン側は、建造資金と(ドイツから奪った)超ジュラルミンの製造技術を提供している。この超ジュラルミンをアメリカの技術陣が、史実超々ジュラルミンレベルにまで強化したものが骨組みに採用されている。


ちなみに、フランス・コミューン側から提供されたドイツの技術は多岐に渡っており、第1次大戦に関われなかったアメリカにとっては貴重な技術習得の機会であった。


浮力を発生させるガスは、水素とヘリウムを併用している。

水素は安価なので気軽に放出することが可能であり、その分浮力の調整がやり易くなっている。船体に設置された雨水回収システムと風力発電による電力で水を電気分解して水素を発生させて再充填する装置を装備しているが、実際にどの程度役に立ったのかは不明である。


船体後方の広大な格納庫は空挺部隊の装備コンテナ置き場であるが、肝心の空挺部隊員の居住スペースは存在しなかった。短距離侵攻しかしないと割り切ったのか、空いているスペースに適当に雑魚寝するなり、骨組みにハンモックを吊るすなりしていたようである。


1928年1月のベルリン侵攻作戦に投入されたが、帝国空軍の二大エースであるリヒトホーフェンとゲーリングによって全艦撃墜されている。


ジャンヌ・ダルク級の拡大発展型の建造が進められていたのであるが、フランス・コミューン降伏によって建造は中断している。その後どうなったかは不明である。



※作者の個人的意見

ジャンヌ・ダルク級の発展型は全長500m級な羽〇丸になる予定でした。

フランス・コミューンが天下を取っていたら実現の可能性もあったのですが……南無ぅ( ̄人 ̄)ちーん


あ、どこかの物好きな金持ちが拾う可能性も無きにしも非ずです。

そんな物好きが実際いるかどうかはともかくですが。






アラド Ar 80EA


全長:10.3m   

全幅:10.2m   

全高:2.65m     

重量:1980kg

翼面積:20.2㎡

最大速度:440km/h

航続距離:800km

実用上省限度:11000m

武装:7.92mm機銃×2(機首) 20mmモーターカノン(プロペラ軸内)

エンジン:ユンカース ユモ 210C改 倒立液冷V型12気筒エンジン 720馬力

乗員:1名


ドイツ帝国空軍の制式戦闘機アラド Ar 80Eをカスタムした機体。

少数であるが、エース専用機として量産されている。


Ar 80Eとの最大の違いは、プロペラ軸内に装備された20mmモーターカノンである。当時としては驚異的な火力であり、大物狩りに威力を発揮した。



※作者の個人的意見

量産機をカスタムしてエース専用機にするのは、戦記物のお約束です(断言


赤と白の機体が、巨大飛行船を撃墜する……これだけでも、1本書けますね。

名前は『ベルリン疾風空戦録』ですかね?w






呂号潜水艦


排水量:914t(水上) 1089t(水中)

全長:72.7m

全幅:7.2m

吃水:4.1m

機関:三毘式ディーゼル2基+電動機2基2軸推進

最大出力:3000馬力(水上) 1600馬力(水中)

最大速力:17.5ノット(水上) 13ノット(水中:シュノーケル使用時) 10.5ノット(水中:モーター使用時)

航続距離:8.5ノット/3500浬(水上) 5ノット/70浬(水中:モーター使用時)

乗員:40名

兵装:40口径8cm高角砲1基

   25mm連装機銃2基

   53cm艦首魚雷発射管4基(艦首)

   魚雷15本


帝国海軍に配備されている中型潜水艦。

英国から提供されたL型潜水艦の図面を元に、独自の改良が行われている。


バランスの取れた性能と扱いやすさもあって、通商破壊や島嶼防衛、沿岸哨戒など様々な任務に投入されることになる。



※作者の個人的意見

L型潜水艦の船体中央部の魚雷発射管を排除して、浮いたスペースに予備魚雷を置いています。チートなイギリスではとっくに老朽艦ですが、他の国では一線級のスペックです。これを的確に運用すれば、かなりの脅威になるでしょう。


それにしても、呂号潜水艦が猛威を振う世界……紺碧艦隊かな?(マテ

ついにアメリカの平和補正が解除されてしまいました。

このまま一気に……なんてことにはなりませんけどねw


>メラ手形

メリケン版メフォ手形です。

名前からして、真っ赤に燃え上がりそうですw


>永田町にコンビニ

自援SS『変態日本官僚事情―内閣調査部編―』参照。


>ヴィンソン計画

ヴィンソン計画で検索するとガ〇ダムのビンソン計画がヒットしてしまいます。

元ネタはヴィンソン案で、多分同じだと思いますけど。


>「平和補正が外れたアメリカって、ただのリアルチートじゃないですかやだーっ!?」

マイナス75%というとてつもないデバフが解除されたら、そりゃ叫びたくもなるってものです(HOI2脳


>装甲モニター艦

ロンドン海軍軍縮条約は、戦艦の建造を縛る条約なのでモニター艦は対象外です。

実際、マッケンゼン級はモニター艦と言われたら否定しようが無いのですけどねw


陞爵(しょうしゃく)

貴族の爵位が上がることです。


>現在開発中の大型グライダー

ギガントのフラグが立ちました(オイ


大規模近代化改修(FRAM)

元ネタは米海軍の艦隊再建近代化計画……ではなく、ユニコーンガンダムでネェルアーガマに施された大規模近代化改修だったりします。


>常夏の島サイパンは4月でも暑い。

年間平均気温がほとんど変わらない島ということで、ギネスブックにも認定されてたりします。


>太陽光熱発電

個人的には太陽光発電よりも、こっちが普及して欲しい。

土地が狭いから普及しづらいという話を聞きますが、山の斜面にソーラーパネルを並べるよりはマシだと思うんですけどね。


>太いロープを入口に垂らして迷彩を施したものであった。

ストリングカーテン(紐スクリーン)を迷彩ネットとして使用しています。

イメージとしては、ルパン三世 バイバイ・リバティー・危機一発!で自由の女神を隠したヤツですね。


>海中トンネルを作って潜水艦をビーコン誘導

技術的には不可能じゃないかもしれませんが、実際やるとなったら多大な金と労力が必要になるかと。

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― 新着の感想 ―
[一言] 海中トンネルを作って潜水艦をビーコン誘導が実現しなかったのは当事者的には残念だけど、海南島みたいな地下潜水艦基地は実際大事。椰子の木を倒して現れる隠顕式滑走路や、プールがスライドして現れるロ…
[気になる点] そうか、ギガントが出て来るのか。 でも牛乳おじさんが間に合わないから空軍の赤潰しは地道な作業になりそうだなぁ~
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