第72話 近づく軍靴の音
「「「……」」」
フランスのパリに所在するホテル『ル ムーリス パリ』のサロン。
『ポンパドールの間』と名付けられた空間は、史実ではピカソが結婚披露宴を開催した由緒ある場所である。しかし、勢ぞろいした将校たちによって雰囲気はぶち壊しになっていた。
「さて、貴方がたに集まってもらったのは他でもありません。憎き頭の固いドイツ野郎どもに鉄槌を下す日が近づいていますが、準備は整っていますか?」
ジャック・ドリオの言葉によって、沈黙が破られる。
史実ではガチガチの共産主義者だったドリオは、この世界ではサンディカリズムのカリスマとして高い人気を得ていた。
最大派閥のソレリアン派を取り込んだ結果、ドリオは29歳という異例の若さで最高軍事責任者に推挙された。軍人が政治家に転身するのは珍しいことでは無いが、その逆は前代未聞である。しかし、そのことが軍の運営に悪影響を及ぼすかというとそうとも限らない。
「はっ! では、我々のグループから報告させていただきます」
少将の階級章を付けた壮年の軍人がテーブルから立ち上がる。
彼は人民空軍において最大のグループを率いる男であり、同時に最も強力な発言力を有していた。
コミューン人民軍の特徴として、将校主導による集団指導体制がある。
実も蓋も無い言い方をすれば多数決主義であり、軍の階級よりも頭数の多い意見が優先されるのである。
「かねてより進めてきた空中艦隊構想に一応の目途がつきました」
「「「おおっ……!」」」
空軍将校の発言に周囲はどよめく。
軍関係者には、ドイツの堅固極まる塹壕陣地で士気崩壊を起こした経験が未だに生々しく残っていた。シャレオツなフランス軍人であるが故に、泥臭い陸上戦を嫌ったのかもしれない。結果として、欧州で最大規模の空軍を持つに至ったのである。
さすがに陸上戦力を全廃するような暴挙に走らなかったが、第1次大戦時よりも戦力は削減された。空軍が敵戦力を殲滅した後に展開することが前提なので、それでも問題無しとされたのである。その代わり、迅速に展開する必要があるとして機械化と自動化が推進されていた。
「忌々しいですが、資本主義の犬どもの協力を得たことで戦闘機だけでなく、爆撃機の数も揃いました。勝利は約束されたも同然でしょう」
フランス・コミューンに進出したアメリカ企業の現地法人は、フォードシステムと大型機の設計・製造ノウハウを持ち込んだ。特にフォードシステムの恩恵は絶大であり、工場制手工業で製造が行われていたコミューン内の企業の生産効率を跳ね上げたのである
大型機の設計・製造ノウハウも大いに役立てられた。
この世界では、史実よりも早期に第1次大戦が終結してしまったために、実用的な大型機の製造技術は大英帝国とドイツ帝国が保持しているのみだったのである。
「……ところで、空軍にはもう一つ隠し玉があったはずですが?」
「そちらも既に組み上がっております。後はテストをするだけであります」
ドリオの意味深な発言に、不敵な笑みで返す空軍将校。
この時点では誰も知る由は無かったのであるが、隠し玉のお披露目はすぐそこまで迫っていた。
「次は我々ですな。かねてより懸念事項だったイデアル部隊の充足率ですが、改造手術の抜本的見直しによって大幅な改善がなされました」
「これにより、特殊部隊向けだけでなく他部隊への人材供給もスムーズに進むことになるでしょう」
続いて、陸軍将校が報告する。
イデアル部隊は、人民陸軍が推進している超兵士計画の秘匿名称である。科学的トレーニングと薬物で人間の限界を突破し、第1次大戦時にフランス義勇軍が見せた奇跡を再現することが目的であった。
「それはありがたい。イデアル部隊の兵士は優秀であるからな」
「見た目が怖いんで、もう少しルックス面で改善を図って欲しいものだが。能力的には満足しているんだが……」
骨延長手術と男性ホルモンの大量投与に加え、過酷なトレーニングによって見た目が史実某ゾンビゲーの〇イ〇ントに似ているのが玉に瑕である。戦力的には、まさに一騎当千なのであるが。
「海軍から報告させていただきます。『ベアルン』が作戦能力を獲得しました」
「これでノルマンディー級全艦が戦力化されたことになります」
ベアルンは、ノルマンディー級戦艦の5番艦である。
ノルマンディー級は日本海軍の『扶桑』を超える戦艦――いわゆる超フ級戦艦であり、15インチ砲4連装3基12門の絶大な火力は海軍の虎の子に相応しいものであった。
「ドリオ様。セマール様から緊急電です!」
報告を聞いて満足そうな笑みを浮かべていたドリオであったが、駆け寄ってきた秘書が持つメモを見て表情が変わる。しかし、それも一瞬のことであった。
「……皆さん、ありがたいことに予行演習の機会が訪れました。コミューン人民軍は、貴方がたの献身に大いに期待しております」
かくして、フランス・コミューンは動き出す。
その研ぎ澄まされた牙の向かう先は、イベリア半島であった。
「二人ともそう固くなるな。今回の余は、あくまでもお忍びだ。そんなに緊張されると困るぞ」
「「ははっ……」」
基地司令のマンフレート・アルブレヒト・フォン・リヒトホーフェン少将と、その副官であるヘルマン・ヴィルヘルム・ゲーリング中佐は緊張しきりであった。予告も無しにヴィルヘルム2世が来襲したのであるから当然であろう。
「それでどうなのだ? 我が帝国空軍の仕上がり具合は?」
「カイザーにおかれましては、直接目にされたほうがよろしいでしょう。こちらへどうぞ」
カイザーがお忍びで訪れた場所は、ベルリン近郊の空軍基地である。
この基地はベルリンの防空を担当するだけでなく、ドイツ全土の防空指揮も担当する極めて重要な防衛施設であった。
1916年に英軍によって実施されたベルリンへのビラ撒き作戦は、軍関係者と航空技術者に多大な衝撃を与えた。空からの脅威に全くの無力であることに気付かされたのである。
このことが原因で、ドイツ帝国陸軍飛行隊は帝国空軍(Kaiserliche Luftwaffe)に再編成された。ロイヤル・エアフォース、人民空軍に続く3番目の空軍となったのである。
「帝都防空を担う主力戦闘機のアラド Ar 80Eです」
「おぉっ! これはまたスマートな機体だな」
リヒトホーフェンの説明に興奮するカイザー。
目の前に駐機されているのは、従来の野暮ったい複葉機とは違う単葉でスマートな機体であった。
Ar 80は史実では1935年に完成した機体であるが、航空技術者がゲルマン魂を燃やして開発を進めた結果、技術加速が進んで実用化にこぎ着けた。それだけ、第1次大戦中に英軍に好き勝手やられた屈辱が大きかったとも言える。
「なんだあれは?」
格納庫の片隅に駐機された2機の機体。
それぞれが、深紅と純白に塗装されて目立つことこの上ない。当然ながら、カイザーの興味はそちらに向かうのであるが……。
「か、カイザー! 時間も押してますので次にいきましょう!」
「そうですよカイザー! この基地は広大ですから、こんなところで道草を食っている場合ではありませんよ!」
何故か、必死になってカイザーを止めるリヒトホーフェンとゲーリング。
実際、二人の言う通りではあるので次の場所へ向かうのであった。
「こちらが新型の対空機関砲です。主に低空から飛来する敵機に向けて使用します」
「小さいが、たくさん付いてて強そうであるな!」
リヒトホーフェンの説明に興奮するカイザー。
実際、20mm4門の火力は頼もしいことこの上ない。
1926年に制式採用された『2cm Flakvierling26』は、モーゼル社が開発した『2cm Flak25』を4連装化したものである。
Flak25は、史実ではスイスのゾロターン社によって開発されたFlak30に相当する機関砲であるが、この世界ではモーゼル社によって開発されていた。
Flak25を4連装化するにあたって、給弾機構はベルト給弾(非分離式)に変更された。
史実オリジナルの『2cm Flakvierling38』よりも発射速度は遅いものの、ベルト給弾化によって長時間の弾幕を張ることが可能になったのである。
「こちらが新型高射砲です。こちらは高空を飛ぶ爆撃機を叩き落とします」
「うむ、大砲こそ戦場の花というやつだな。これは心強い!」
ゲーリングの説明に、これまた興奮するカイザー。
実際、88mmの巨大な砲身は見る者に頼もしさを感じさせるものであった。
『アハトアハト』で有名な88mm高射砲であるが、その原型は第1次大戦中に完成していた。
史実では敗戦により開発は一時中断されたのであるが、この世界では開発が継続されて性能向上を果たしていたのである。
「ところで、この傘を逆さにしたみたいなのは何だ?」
「新型の空中聴音機です。従来のラッパ型と違い、電気信号に変換することで感度、精度共に大幅に向上しております」
『8.8cm FlaK 25』と名付けられた新型高射砲の外見上の特徴は、ラッパの代わりに配置された多数のパラボラマイクである。有効射程は目視距離に限定されるものの、従来のラッパ型聴音機よりもはるかに高精度であった。
「このタイプの聴音機は大きいほど遠くの音を拾えます。奇襲を防ぐためにも国境沿いに巨大なパラボラマイクを建設したいのですが、なかなか予算がおりなくて困っております」
「それはいかん。建設を急がせよ。余の名前を直接出してもかまわん!」
カイザーの鶴の一声によって、国境線沿いに多数のパラボラマイクが建設されることになる。
低コストで短期間に多数建設する必要があるため、その大半は固定式のコンクリート造りであった。
特にフランス・コミューンとの国境には大型のパラボラマイクが建造された。
国境沿いに、そんな目立つものが建造されたら普通は警戒しそうなものであるが……。
『ボッシュどもが前衛芸術に目覚めたようだ』
――と、馬鹿にしていたようである。
侮ったツケをフランス・コミューンが利子付きで支払うことになるのは、そう遠くない日のことであった。
「……つい先ほど、英国大使が持参してきた書面だ。どう思うかね?」
フランス共和国の首都アルジェに所在する大統領府の執務室。
共和国元首であるフェルディナンド・フォッシュ陸軍元帥は、二人の男に話しかける。
「これはまた……」
陸軍最高責任者のフィリップ・ペタン大将は苦笑する。
「サンディカリストがまともな頭を持たないとは知っていましたが……」
海軍最高責任者であるフランソワ・ダルラン中将も呆れ果てた様子である。
良識を持つ二人の軍人に、このような反応をさせてしまうくらい酷い内容が書面に記されていたのである。
「だが、これは神が我々に与えたもうたチャンスだろう。そのチャンスを活かせるかどうかを確認するために君らを呼んだ」
MI6の長い腕によって、フランス・コミューンの動きは筒抜けであった。
フランス共和国推しな大英帝国としては、最高のタイミングで横から殴りつける絶好のチャンスを是非とも生かして欲しかったのである。
「では、陸軍からですな。かねてからの宿願だった50個師団編成の目途が付きました」
「それは目出度い……が、いったいどんな魔法を使った?」
フォッシュの疑問は当然のことであろう。
フランス共和国は亡命政府であるから、国民の数は少なかった。
残る手段は現地民を徴兵することであるが、フランスの統治に恨みを持つ人間は未だに多い。
そんな連中に武器を持たせるなど、到底容認出来るものでは無かったのである。
「戦後10年で我が国は飛躍的な成長を遂げることが出来ました。そのため、周辺国から大規模な人口流入が起きています」
「そいつらを使ったということか? しかし……」
「もちろん、無条件で信用したわけじゃありません。外人部隊として運用します」
「なるほど。正規軍の弾除けとして使うわけだな」
史実でも有名なフランス外人部隊であるが、その歴史は19世紀にまで遡る。
外人部隊の本部はアルジェリアのシディ・ベル・アッベス県に存在していたが、アルジェリアが独立してからはコルシカへ移転している。
この世界の外人部隊も史実と同様の経緯であり、外人部隊の本部も国内に存在していた。
志願兵は本部で教育と訓練を受けてから国内の治安部隊として各地に派遣されていったのである。
「しかし、それだけの兵に持たせる武器はあるのですか?」
ダルランの疑問も、これまた当然のことであろう。
武器を持たない兵など、ただの案山子である。
「問題無い。イギリスが小銃と弾薬の製造工場を丸ごと国内へ移転してくれた」
「小銃だけでは戦争出来ませんよ?」
「それも問題無い。戦車や重砲、その他重装備も大量に供与してくれた。こちらも急ビッチで訓練を進めている」
英国は、フランス共和国に気前よく旧式武器を放出していた。
想定よりも早期に戦争が集結してしまったために、戦時急造した兵器が有り余っていたのである。
戦後になってから欧州各国へ格安で放出していたのであるが、さらに安いフランス・コミューン製の兵器のせいで在庫を捌くことが出来なかった。身も蓋も無い言い方をすれば、押し付けたわけである。
「なるほど。陸軍は問題無さそうであるな。海軍はどうかね?」
「はっ、それでは海軍の状況を報告させていただきます」
ペタンの報告に満足したフォッシュ。
続いてダルランに海軍の状況を尋ねる。
「……戦艦『リコンキスタ』と『マルトー』のクルーの練度が満足出来る水準に到達しました。いつでも実戦投入が可能です」
「それは心強い!」
リコンキスタ級戦艦は、フランス共和国が英国に発注した艦である。
この世界においては、日本海軍の長門級と共に希少な16インチ砲搭載艦であった。
長門級とリコンキスタ級は『ビッグ4』として世界的に高い知名度を誇っていた。
世界最強国家の臣民を自負するイギリス人からすれば面白くないことであり、急速に新型戦艦建造の機運が盛り上がることになるのである。
「作戦の要となる上陸用舟艇ですが、イギリスから供与してもらったので問題ありません」
「ならば、陸軍と協力して直ちに上陸演習をしてくれ。あくまでも儂の勘なのだが、あまり時間は残されていない」
「了解です。ただちに取り掛かります」
第1次大戦中にロイヤルネイビーが大量に運用した『Yライター』をはじめとする大量の上陸用舟艇を以下略。実際は、想定以上に陸軍の兵力が膨れ上がったために舟艇の数が不足してしまい、大慌てで地元の造船所に声をかけまくることになるのである。
「それでは帰還するとしようか。花の都にサンディカリストは似合わんからな」
フォッシュの呟きは、小声ながらも強い意志を感じさせた。
それを聞いたペタンとダルランは、敬礼でもって応えるのであった。
(地図によると此処のはずだけど。本当にあってるのかしら……)
湯田温泉近くを流れる椹野川。
その中州にアグネス・スメドレーは足を踏み入れていた。
(? この音は……)
どこからともなく聞こえてきた音に、アグネスは音の出所を探る。
その音が上から聞こえてくることに気付いた彼女は、空へ目を向ける。そこには飛行機と言うには異形な機体が存在していたのである。
「おーい! アグネスーっ! 着陸するからどいてくれーっ!」
異形な機体――オートジャイロの機上から尾崎秀実が怒鳴る。
スメドレーは慌てて、その場から距離を取る。
ローターが巻き起こす風で砂塵が舞う。
ホバリングしたオートジャイロは徐々に高度を下げ、やがて中州に着陸した。
「……どこからこんなモノを持ってきたのよ?」
「取材用だ。なんのかんの言っても、うちは業界大手だからな。こういうものも持ってるんだ」
自分のモノでは無いのに、何故か胸を張る尾崎。
史実においても朝日新聞は輸入したオートジャイロ『あさどり』を所有しており、取材やイベントに使用していた。
この世界の朝日新聞は、史実よりも早くオートジャイロの運用を開始していた。
さらに異なるのは、あさどりが輸入品ではなく国内で開発された機体なことである。
テッドが平成会に大盤振る舞いした技術提供の中には、オートジャイロ関連技術も含まれていた。オートジャイロの有用性を知る平成会は、萱場製作所(当時は萱場発明研究所)に資金と技術を提供して国産化を図らせたのである。
創業者の萱場資郎は、油圧緩衝脚や空母の油圧装置を手掛けるなど史実では発明王と謳われるほど有能な技術者であった。そんな彼であるから、直ちにオートジャイロの改良に乗り出したのは言うまでも無い。
萱場は、当初は史実の『カ号観測機』に相当するものを目指して開発を進めていた。
しかし、陸海軍の平成会派も開発に絡んだことで別物と化してしまったのである。
「ところでホツミ。大阪での仕事は良いの?」
「これも仕事さ。読者参加型企画の一環なんだ」
現状のエスケーピングコリアン号は、行先不明の暴走列車である。
スメドレーの密着取材にも限度があるし、行先を予想して駅に片っ端から電話をかけるのも現実的では無い。ではどうするか?
答えは列車よりも高速で、移動経路をショートカット出来る乗り物で追跡することである。
オートジャイロは、その目的に合致した乗り物だったのである。
尾崎は、オートジャイロの使用許可を勝ち取るために、わざわざ企画を作って上司に直談判していた。『ミステリー列車を探せ』と名付けられた企画は、この時代では画期的な読者参加型企画として陽の目を見ることになったのである。
「ところで、アグネス。特別列車は何処へ向かったんだ?」
「北よ。例によって、深夜に出発したらしいわ」
「ならば、今の時間は何処かに停車しているな。上空から線路を辿れば発見出来るはずだ。行くぞアグネス!」
「ええ。……って、わたしも乗るの!?」
「そのために、一番大型の機体を持ってきたんだからな。ほらほら、乗った乗った」
「えええええ……」
一番後ろの座席に、おっかなびっくり乗り込むスメドレー。
尾崎が持ち込んだオートジャイロは3座機だったのである。
「お二人さん、ちゃんとシートベルトは締めましたかい?」
パイロットが二人に最終確認する。
陸軍上がりであるためか、粗雑な印象を受けるが腕は確かな男である。
「離陸するぞぉ。手近な物に捕まってなぁ!」
盛大に回転しているメインローターのピッチをゼロから最大に切り替える。
急激に発生した揚力によって、ふわりと機体が浮き上がる。
ある程度上昇したところで、パイロットはクラッチを操作する。
駆動力を前進用プロペラに配分することによって、機体はなめらかに空を進みだす。
「旦那ぁ! 線路に沿って飛べば良いんですかい?」
「そうだ! 駅の付近はゆっくり飛んでくれ! 場合によっては着陸することになるが大丈夫か!?」
「この機体なら、どんな場所でも着陸出来らぁ! 心配すんな!」
騒音のせいで怒鳴るように会話するパイロットと尾崎。
史実でオートジャイロが普及しなかった原因の一つが騒音なので、致し方なしであろう。
エンジンの爆音をまき散らしながら、あさどりは進む。
コミンテルンの追跡は、今始まったばかりであった。
「ボス。出雲大社でお祈りすれば恋人が出来るって本当ですかい!?」
普段はチャラけているのに、今回に限っては真剣な表情で尋ねてくる隊員。
彼がテッドに詰め寄ったのは、ちょうど車中泊で夕食を摂っていた時であった。
「あぁ、そういえば出雲大社の御利益は縁結びだったなぁ」
何気無く返事してしまうテッド。
しかし、その一言が地獄への始まりであった。
「「「ボス、出雲大社に行きましょうっ!」」」
「おわっ!? なんだいきなり!?」
その瞬間に、食堂車にいた全ての隊員が押し寄せた。
全員が真剣な目をしていて、テッドは思わず後ずさる。
「「「俺たち、嫁さんが欲しいですっ!」」」
テッドがずっこけたのは言うまでも無い。
隊員たちの心の叫びは、あまりにも予想外であった。
しかし、考えれば当然のことでもあった。
ウォッチガードセキュリティは超ホワイト企業である。給料は高いし休日も多い。福利厚生だって充実している。ただ、女っ気だけが存在しなかったのである。
「あー、気持ちは分かるけど行かないよ? そもそも停車する時間無いし」
「そこをなんとかっ!?」
「なりませんっ!」
なんと言おうと、物理的に無理なものは無理なのである。
このまま押し切るべく、語気を強めるテッドであったが……。
「おいおい、それじゃ可哀そうだろう? 可愛い部下の願いを聞くのが上に立つ者の務めってやつだ」
そのやり取りを見て見かねたシドニー・ライリーが助け舟を出す。
「そんなこと言っても、近くに停車出来るような大きな駅も旅館も無いんだよ? どうしようもないよ」
「なにも丸一日停車する必要は無いだろうが。ちょっと待ってろ……」
そう言って食堂車の片隅で通信を始めるシドニー・ライリー。
同人誌を見ながら電鍵を叩く姿が、とてもシュールである。
「……話はついたぞ。出雲大社の最寄り駅に停車が認められた」
「え? そんなことが可能なら最初から停車駅にすれば良かったのに……」
「最後まで話を聞け。あくまでも一時停車だ。朝の8時から12時までの4時間のみだ」
「4時間もあれば余裕だね。移動手段はどうなってるの?」
「……」
テッドの問いに沈黙するシドニー・ライリー。
しかし、その目は笑っていた。
(あの時、問答無用で却下しとけば良かったーっ!)
ぼやきながらも、ウォッチガードセキュリティの面々と早朝マラソンをするテッド。
史実21世紀の日本ならばともかく、この時代のド田舎に朝早くからバスなどあるわけないのである。
結局、最後に頼れるのは己の肉体である。
それでも、ウォッチガードセキュリティの面々は大いに乗り気であったが。
早朝マラソンには、テッドにマルヴィナ、ウォッチガードセキュリティの面々が参加した。
ちなみに、シドニー・ライリーと本部長は妻帯者なのでお留守番である。
テッドも同様の理由で逃げようとした。
しかし、運動不足を解消したいと思っていたマルヴィナに強制参加させられていたのである。
『出雲大社までは何マイル?
(出雲大社までは何マイル?)
神様に祈って、嫁さんゲット
(神様に祈って、嫁さんゲット)
嫁さんゲット!(嫁さんゲット!)
嫁さんゲット!(嫁さんゲット!)
父ちゃん母ちゃんには内緒だぞ!
(父ちゃん母ちゃんには内緒だぞ!)
嫁さんゲット!(嫁さんゲット!)』
ざっざっざっと、規則正しい足音が知井宮駅(現在の西出雲駅)周辺に響き渡る。平成の世に生きた日本人ならば、どこかで聞いたことのあるような歌(英語)もセットである。
元ネタは、史実の某ゲーム会社が出した『どえらいシミュレーション』であるが、さらにそのネタを遡ると〇ルメ〇ル・ジ〇ケッ〇の軍曹ソングなので、シチュエーションに合致していると言えよう。
なお、オリ主チートであるテッドや、人間を辞めてしまっているマルヴィナ、ガチの戦闘集団で鍛えているウォッチガードセキュリティの面々も含めて、途中で脱落するデブはいなかったようである。
「ここって駅じゃないような気がするんだけど……?」
エスケーピングコリアン号が停車したのは、清水寺信号場であった。
信号場は駅に準じた設備を持つが、原則として旅客の乗降を取扱わない。今回停車したのは、停車する場所が無かったが故の特例である。
「はーい、皆さん。お降りはこちらですよ~」
そんな彼らを待ち受けていたのは、平成トラベルのツアコンである。
アウトドア用衣料を身に着けた彼女の格好は、史実の山ガールそのものであった。
「それでは、今回の宿泊先『松琴館』へご案内します!」
「……まさか、歩き?」
「はい、ちょっと山道ですが3、4キロなので余裕です。ちょっとしたピクニックですよね!」
「「「……」」」
ゲンナリしてしまうウォッチガードセキュリティの面々。
なお、マラソンに参加しなかったシドニー・ライリーと本部長、人外の体力を持つマルヴィナだけは例外であった。
「清水寺と言えば京都の清水の舞台が有名ですが、こちらの清水寺も負けてはいませんよっ!」
元気いっぱいなツアコンの後ろに続く、青い服を着た集団。
その様子は、傍から見ればゾンビの群れである。
早朝から出雲大社に参拝して、最終的に走った距離は20キロほど。
しかも、満足な休息が取れていないので極限の疲労状態であった。
(ん? この匂いは……甘味!?)
テッドの嗅覚が甘い匂いを捉える。
極度の疲労で感覚が鋭敏になったことで、離れた距離にある甘味処の察知することが出来たのである。
「ツアコンさん、ひょっとしてこの先に甘味処がある?」
「え? あぁ、黒田千年堂という和菓子屋さんがあります。羊羹が絶品なんですよ!」
テッドの質問に考え無しに返答してしまう山ガールなツアコンであったが……。
「聞いたな野郎ども? 突撃じゃあ!」
「「「うおおおおおおおおお!」」」
ゾンビだったウォッチガードセキュリティの面々に生気が戻る。
疲弊した肉体は、本能的に甘味を求めて暴走を始めたのである。
「う、うめぇぇぇぇぇっ!」
「なんという口当たり!」
「なめらかで甘い! プティングと違った美味さだぞ!」
清水羊羹の元祖である黒田千年堂の羊羹は、寒天、小豆、砂糖、水あめのみで作られている。
口当たり滑らかなのに濃厚な味わいは、史実でも大人気な逸品である。
300人もの大所帯が、甘味に狂ったらどうなるか。
その結果は言うまでも無い。店売り品どころか、工房で生産したばかりの分まで食い尽くしたのである。
「まだだ! まだ甘味の匂いがする! まだあるだろう。正直に吐け!」
しかし、暴走するテッドは止まらない。
悪鬼羅刹の如く表情で、ツアコンに問いかける。
「ええええええ!? え、えーと、近くに西村堂という和菓子屋さんが……」
その凄みに、モブなツアコンは抵抗出来なかった。
あっさりと口を割ってしまう。
「おい、止めなくて良いのか?」
マルヴィナに確認するシドニー・ライリー。
心配というよりも、状況を面白がっているようで目が笑っている。
「問題無いわ。アグレッシブなテッドも悪くない。夜もこれくらい勢いがあると良いだけど……」
マルヴィナに至っては、止めるどころか愛でているので論外である。
さすがにヤバくなったら物理的にでも止めるつもりでいたが、彼女の基準は一般人とはかけ離れていた。この程度の騒ぎなど、そよ風程度のものであった。
シドニー・ライリーとマルヴィナが状況を放置した結果、暴走を止める者はいなくなった。
無駄に有能な統率スキルを発揮したテッドによって、300名が一糸乱れぬ突撃を開始する。
「よーし! 野郎ども突撃じゃーっ!」
「「「おおおおおおおおおおっ!」」」
明治4年創業の西村堂も、青い服を着たイナゴの群れの犠牲となった。
これまた、あっという間に食い尽くされたのである。
当然のことであるが、食い尽くした清水羊羹の代金は後日きっちり請求された。
店二つを食い尽くした代金は、それはそれは高くついたのであった。
「へぇ、これがショージン料理ってやつか。良く出来ているな」
宿泊先の松琴館の夕食に供された『いかもどき』に舌鼓を打つシドニー・ライリー。
彼の無駄にグルメな舌は、見た目は完全にイカにしか見えない料理を見破っていた。
「え? これってイカじゃないの?」
「本物のイカの刺身は、もっと歯応えがあるぞ。というか、元日本人だったらイカなんて普通に食べてたんじゃないのか?」
「いや、イカ苦手だったんだよね。こっちだとイカを食べる機会は無かったし……」
いかもどきは、わらび粉、くず粉など作った精進料理である。
その透き通った見た目は、完全にイカの刺身そのものであった。
ちなみに、日本人が普通に食しているイカとタコは英国では嫌われものであった。
当然ながらテッドの食卓に上がることなどは絶無であり、イカ嫌いを直そうにも食べる機会が無かったのである。
タコもイカも温帯や亜熱帯の海域に生息しており、馴染みが無かったことが偏見を加速させた原因であろう。特にイカについては、大航海時代に恐れられたクラーケンという化け物の元ネタになったように、歴史的に根深い問題なのである。
「わっ、なんだこの白いヤツ?」
「のど越しが良いな。つるっといける!」
「ソイソースとワサビのコンビネーションが最高!」
そんな英国紳士でも、何も知らなければ喜んで食べるのである。
そもそも、イカでは無いのではあるが。事前にイカと知っていれば、また違った反応を見せたかもしれない。
「こっちはウナギに寄せた料理か。これも見た目は良く出来ているな」
「味も見た目も雰囲気出てるなぁ。作るのに凄い手間をかけているんだろうなぁ……」
次に食したのは、『うなぎもどき』であった。
こちらは豆腐、やまといも、くわい、牛蒡などでうなぎの蒲焼に見立ててあり、一見しただけでは完全に騙されるレベルの完成度である。
「これがウナギって嘘だろ!?」
「我が国のウナギ料理っていったい……」
「おい馬鹿やめろゼリー寄せは黒歴史だろ!?」
ウォッチガードセキュリティの面々は、自国のウナギ料理を思い出して自己嫌悪に陥っていた。あれはあれで、労働者が手軽にタンパク質を取るために考え抜かれた料理なのであるが。
「いやぁ、食べたねぇ」
「思っていたよりもボリュームがあって腹が膨れたな。肉が無いって聞いたから内心不安だったんだが」
精進料理にご満悦なテッドとシドニー・ライリー。
小皿の料理一つ一つの分量は少なくても、20皿近い数があるので満腹になるのである。
「コメショーチューうめぇぇぇぇぇっ!」
「日本酒は飲みやすかったが、こいつはヘビーで飲み応えがあるな!」
「スコッチと違って、フルーティな飲み口が最高!」
食事が終われば酒である。
大騒ぎしながら島根県産の米焼酎を痛飲する。
(そういえば、マルヴィナが静かだな……)
テッドは、マルヴィナが静かなことに気付く。
元から饒舌では無いし、口よりも先に手が動く彼女ではあるが、無言なのは珍しい。
「ねぇ、マルヴィ、なぁっ!?」
テッドは彼女に向き直る。
その瞬間、伸びて来た褐色の両腕に顔面を固定された。
「んむ~~~!?」
『ズキュウウウン』と擬音が表示されそうな構図で、ディープキスをかますマルヴィナ。口移しで液体を流し込むのを忘れない。
「……おい、何を飲ませた?」
「ショーチューの原酒ってやつよ。気に入ったからおすそ分けしたの」
シドニー・ライリーがマルヴィナを見ると、彼女の褐色肌が赤らんでいた。
焼酎の原酒は、モノによっては40度を超えるものもある。そんなものをストレートでラッパ飲みすれば、酒豪とて酔っ払い不可避である。
「うふふ。お持ち帰り、お持ち帰り……」
「ちょ、マルヴィナ!? 止めて、ストップ!」
テッドをお姫様抱っこするマルヴィナ。
必死に抵抗するがビクともしない。そのまま千鳥足で部屋へ向かう。
「俺、嫁さん欲しいけど、あーいう嫁さんは勘弁だわ」
「なんというか、お淑やかな女性が良いよな!」
「そうそう、結婚するなら守ってあげたいって思える娘だよな」
マルヴィナの背中越し見えるテッドのジタバタを見ながら、隊員たちは嫁談義に興じる。彼らからすれば、これも良い酒の肴であった。
「そうだ、ボスが明日まで無事でいれるか賭けようぜ。俺は無理なほうに賭ける!」
「おい馬鹿、それじゃ賭けが成立しねーじゃないか!」
「いやいや、マルヴィナ女史も今日のハーフマラソンに参加していたはず。大穴もあり得ますよ?」
「いや、ボスもマラソンに参加してたから条件は同じじゃね?」
ついでに言えば、賭けの対象でもあった。
上司に対して、その態度はどうかと思うが、慕われている証拠とも言える。
テッドが明日の朝まで無事でいられるかは神のみぞ知る。
混沌とした状況のまま、松琴館の1日目は更けていくのであった。
以下、今回登場させた兵器のスペックです。
アラド Ar 80E
全長:10.3m
全幅:10.2m
全高:2.65m
重量:1980kg
翼面積:20.2㎡
最大速度:430km/h
航続距離:800km
実用上省限度:10500m
武装:7.92mm機銃×2
エンジン:ユンカース ユモ 210C 倒立液冷V型12気筒エンジン 680馬力
乗員:1名
ドイツ帝国空軍の制式戦闘機。
史実では1935年に完成した機体であるが、この世界では技術陣の奮闘により10年早く完成している。
第1次大戦序盤の航空戦や、末期のベルリン上空で英軍に好き勝手されたドイツ帝国は深刻な危機感を抱いた。幸いにして、この世界では敗戦国にはならなかったので航空技術が断絶することはなく、史実よりも技術開発が進んでいったのである。
開発において、何よりも優先されたのは速度であった。
第1次大戦時に圧倒的に優速な英軍機相手に何もできなかった教訓を無視出来なかったのである。
同時期に同業他社もライバルとなる機体を開発していたのであるが、降着装置周辺の問題を解決出来ておらず、早期配備の観点から制式採用となった。
史実オリジナルとの違いは、機体構造の全面的見直しによる機体軽量化と、翼端の縮小による高速化、搭載エンジンの変更である。機体構造の軽量化は戦時中に鹵獲した英軍機を解析した結果であり、合わせて翼端を縮小したことによる高翼面荷重化も加わって速度向上を果たしている。
※作者の個人的意見
作者はひねくれているので、メジャーな機体は出したくありません。
出すのなら魔改造してから出します(オイ
さて、Ar 80ですが上に書きましたように史実では1935年に初飛行した機体です。
Bf109との競作に負けて試作機のみでしたけど。
この世界のAr 80Eは、末尾のアルファベットが意味するとおり改良が加えられています。
どれだけ増加試作機を作ったんでしょうね?w
第49話で平成会にケストレルのライセンス生産の許可を出しているので、この機体にもケストレルを積むことは可能ですが、敢えてエンジンを変更しています。その理由ですが……倒立、V型。もうお分かりですね?( ̄ー ̄)ニヤリ
この時代だと、実用的な引込脚を実用化するのが難しいと判断したのも固定脚のAr 80を採用した理由だったりします。
2cm Flakvierling26
種類:対空機関砲(4連装)
口径:20mm
銃身長:1300mm
使用弾薬:20x138mmB弾
装弾数:ベルト給弾(非分離式)
全長:4080mm
重量:1509kg(本体のみ)
仰角:-10°~ +100°
旋回角:360°
発射速度:1200発/分(最大システム速度)
銃口初速:900m/s
有効射程:2200m
ドイツ帝国空軍師団直轄の防空部隊が装備する4連装対空機関砲。
戦争末期のベルリン上空でのロイヤルエアフォース無双に衝撃を受けた技術者が以下略。
敗戦国にならなかったために、メーカーが健在で開発そのものはスムーズに進んだ。なお、ベースとなった2cm Flak25は、史実ではFlak30に相当する機関砲であるが、この世界ではモーゼル社によって開発されている。
史実オリジナルとの違いは、発射速度の遅さとベルト給弾化である。
史実のFlakvierling38よりも砲の性能が低い分、総合的な発射速度は低下している。ただし、ベルト給弾化によって長時間弾幕を貼ることが可能になっているので、総合的な戦闘力は勝るとも劣らないものに仕上がっている。
※作者の個人的意見
多連装大好きっ子なおいらからすれば、出さない理由がない兵器だったりします。
この世界のドイツ帝国は史実ワイマール期を経由していませんし、技術が断絶せずに国内開発が可能なので、さっくり開発出来るでしょう。
WW2の高速化した航空機相手には厳しいでしょうが、第1次大戦に毛が生えたような戦闘機ならば猛威を振るうでしょう。ひょっとしたら、高射砲よりも効率よくたたき落とせるかも。
8.8cm FlaK 25
種類:高射砲
口径:88mm
砲身長:4938mm
全長:5791mm
全高:2100mm
重量:7407kg
旋回角:360°
発射速度:15~20発/分
最大射程:11900m(対空目標)
ドイツ帝国空軍師団直轄の防空部隊が装備する高射砲。
戦争末期のベルリン上空でのロイヤルエアフォース無双に衝撃を受けた技術者が以下略。
上述の対空機関砲と同様の経緯を辿っており、開発そのものはスムーズに進められた。現在は、フランス・コミューンの国境とベルリンを結ぶ線上に高射砲の配備が急ピッチで進められている。
史実オリジナルとの違いは、敵機の探知に聴音ラッパではなくパラボラマイクを採用していることである。遠距離の音を拾うためにパラボラが大径化することになるが、それでもラッパ聴音よりは早く正確な照準が期待出来た。
※作者の個人的意見
アハトアハトの原型が第1次大戦時に出来てたって知ったときは、さすがドイツの技術力は世界一ぃぃぃって思ったもんです。というか、この時代飛行機を狙い撃つのはもったいないと思ってしまいますね。大物がいれば別ですが(意味深
この世界だと、まともなレーダー技術を持つのは英国のみなので、索敵は史実同様に聴音と目視に頼ることになります。ラッパ聴音だと心もとないので、パラボラマイクを採用してみました。指向性はガンマイクのほうが優れているんですけど、設計が難しいとのことだったので今回は断念しました。
フランス・コミューンとの国境が英国面……もとい、前衛芸術の置き場と化してしまいましたが、史実英国のダンジネスミラーは30km離れた距離の音を拾えたそうです。仮に敵機の速度を300km/h程度と見積もると、聴知から接敵まで5,6分はあるので、後方基地に知らせるだけの時間はあるでしょう。
萱場製作所 3型オートジャイロ
全長:7.95m
全幅:3.05m
全高:3.10m
ローター径:12.2m
機体重量(自重/全備):940kg/1470kg
最大速度:175km/h(最大巡航速度)
航続距離:250km(通常巡航速度)
上昇限度:3600m
武装:非武装
エンジン:平成飛行機工業 甲突 空冷星形9気筒 493馬力
乗員:3名(パイロット+乗客2名)
萱場製作所が製造しているオートジャイロの民間モデル。
現在は、陸海軍向けに武装した軍用モデルも並行して生産されている。
テッドが大盤振る舞いした技術の中にはオートジャイロ関連技術も含まれていた。
史実におけるオートジャイロの有用性を知る平成会は、萱場製作所(当時は萱場発明研究所)に資金と技術を提供して国産化を図らせたのである。
当初は史実の『カ号観測機』に相当するものを目指して開発を進めていたのであるが、陸海軍の平成会派も開発に絡んだ結果、その内容は大幅に変更された。
史実オリジナルとの違いは、胴体の延長による3座化、ローターの折りたたみ機能の撤去、ローターのピッチ変更機能の追加、搭載エンジンの変更である。
史実のカ号は、ローターの駆動機構はあったものの、ピッチ変更機能が無かったのでジャンプテイクオフが不可能であった。この機体はジャンプテイクオフが可能になっている。
搭載エンジンは、ブリストル アクイラを平成飛行機工業がライセンス生産したものである。平成飛行機工業は、平成会のコネのおかげで英国製エンジンのライセンスが優遇されており、以後も数々の変態エンジンの生産を手掛けていくことになる。
※作者の個人的意見
暴走列車を追いかけるには、それなりの手段が必要ということで採用しました。
本当はヘリが良いんですけど、さすがにこの時代では無理です。この世界の英国ならなんとかなりますけど。
この機体の最大の問題がエンジンです。
なんと、このエンジンはスリーブバルブだったりします(爆
史実の英国だからこそなんとかなったスリーブバルブを、平成飛行機工業がモノに出来るのか乞うご期待です。問題解決する前に平成会のモブ技術者が過労で倒れないと良いけどなぁ(酷
ちなみに、平成飛行機工業のエンジン命名規則は、国内の河川の名称です。
どこかで聞いたような気がする?きっと、気のせいですよ(にっこり
各国が戦争に備えて入念な軍拡をしているので、いったん開戦すると損害が酷いことになりそうです。最終的に誰がババを引くのでしょうかねぇ……。
>ジャック・ドリオ
史実だとガチガチの共産主義者だったのに、フランスが降伏すると対独協力者として反共義勇軍を組織するという変節漢。某銀英伝の政治家に似ているような気がする。
>将校主導による集団指導体制
H〇I4でフランス・コミューン陣営を選択していると、コミューン軍の明確化と言うイベントがあるのですが、ジャック・ドリオを選択すると将校主導体制になります。
>隠し玉
アルジェリア(現フランス共和国)を手放した代償として手に入れたものです。
詳細は次回で。
>イデアル部隊
47話、48話で登場したイデアル部隊が陽の目に。
その実態は、見た目〇イラントな量産型〇ャック・ハ〇マーというシロモノだったりします。
>ノルマンディー級戦艦
詳細は自援SS『変態欧州海軍事情―超フ級戦艦編―』を参照してくださいね。
>マンフレート・アルブレヒト・フォン・リヒトホーフェン少将
言わずと知れた史実の撃墜王です。
この世界では、生き延びて出世しています。
>ヘルマン・ヴィルヘルム・ゲーリング中佐
史実ではモルヒネデブになってしまいましたが、この世界ではリヒトホーフェンの副官として軍務に励んでいます。
>帝国空軍(Kaiserliche Luftwaffe)
ドイツ帝国なんだし、帝国空軍不可避です。
ただのルフトバッフェよりもかっこいいし。
>前衛芸術
見た目はただのでっかい曲面状のコンクリートだから前衛芸術呼ばわりされても致し方なしです。
>フェルディナンド・フォッシュ陸軍元帥
H〇I4でフランス共和国を選ぶと、既にお亡くなりになっている人。
この世界だと時期が早いので、国家元首として君臨しています。
>リコンキスタ級戦艦
詳細は自援SS『変態欧州海軍事情―超フ級戦艦編―』で以下略。
>『あさどり』
史実では竹とんぼ飛行機と呼ばれてたり。
某艦隊シリーズでヘリを竹蜻機というのは、多分これが元ネタかと。
>『どえらいシミュレーション』
GB版でめっさハマりました。
GBA版もDS版も持っているけど、やはりGB版がベストかと。
>松琴館
明治2年創業の老舗旅館。
特筆すべきは精進料理のフルコース。『いかもどき』や『うなぎもどき』など、味だけでなく見た目も楽しめる精進料理が味わえる場所です。
>黒田千年堂
その歴史は鎌倉末期にまで遡れる清水羊羹元祖。
お値段もリーズナブルで、しかもネット注文にも対応しているので食べてみたい…( ゜д゜)ホスィ…
>西村堂
創業明治4年。
清水羊羹の老舗です。こちらもアマゾンにも出品しているので食べたいんだけど、太りそうなんで悩むなぁ…( ´Д`)=3
>『ズキュウウウン』
これだけで、どんな構図か分かってしまうインパクト。
是非とも挿絵にしなければ…!(使命感




