表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
68/108

第67話 昭和の大粛清(自援絵有り)


「……久しぶりだな」

「あぁ。貴様らも元気にしてたか?」

生憎(あいにく)、元気だけが取り柄でな」


 満州国の首都新京にある日本風居酒屋。

 そのカウンターの片隅で、人目をはばかるように男たちが(さかずき)()わしていた。


 彼らは、関東軍の部隊指揮官の同期たちである。

 賊軍(ぞくぐん)扱いされた関東軍であったが、首謀者である永田鉄山(ながた てつざん)石原莞爾(いしわら かんじ)を除けば拘束はされなかった。それ故に、集まって飲むことも出来るのである。


「俺の部隊は樺太に飛ばされるらしい」

「俺のところはカム……なんだったか。あぁ、カムチャッカ半島だった」

「うちの部隊はサイパンだと。貴様らに比べれば暖かいだけマシかもしれんな」


 もっとも、その場の雰囲気は今生の別れの(ごと)しであったが。

 彼らと、その指揮下の部隊は内地に戻されることなく海外領土への派遣が決定していた。


「ほとぼりが冷めるまで戻って来るなと、暗に言われたよ」

「俺らは賊軍扱いだから、しょうがないと言えばそれまでだが……」

「命令に従っただけだと言うのに納得いかんよな!?」


 おろしニンニクをたっぷりのせたさくら刺身(馬刺し)を頬張りつつ、コップ酒を一気にあおる。


 ちなみに、酒は灘の『白鷹』である。

 江戸時代から続く由緒正しい日本酒であるが、満州の地で飲むとなると結構なお値段となる。しかし、男たちは気にしない。


「俺なんか、許嫁(いいなずけ)との婚約を解消してくれって、相手方から手紙まで来てんだぞ!? やってられっかっ!」

「まだ結婚前で良かったじゃないか……俺なんか、記入済みの離婚届が送られてきたんだぞ? 俺は女房を愛していたというのに!?」

「「「うわぁ……」」」


 味噌田楽をかじりつつ、男泣きする妻帯者な指揮官に同情する同期たち。

 賊軍扱いされるということは天皇に歯向かうことに他ならず、親兄弟や家族も無関係ではいられない。直接罪に問われることは無くても、周囲から耐え難いほどの批判にさらされるのである。


 史実の虎ノ門事件の場合、犯人の父は即刻議員辞職、その兄は会社を退職せざるを得なかった。その後も兄弟家族揃って長らく蟄居(ちっきょ)生活を続けることになったのである。


 これに比べれば、離婚程度ならば温情的な処置とさえ言える。

 もっとも、彼は史実21世紀で言うところのエネ夫に該当しており、これ幸いと妻から離婚を突きつけられたのが真相だったりするのであるが。


「……逆に考えるんだ。飛ばされた先で女を作ってしまえば良いのだと!」

「その手があったか!?」

「貴様、天才だな!?」


 こんな性格だから以下略。

 残念ながら、性格の不一致による離婚は最近の日本では珍しいものでは無かった。


 この世界の日本は、平成会によって女性の権利向上が進められていたのであるが、拡大した女性の意識に旧来の男尊女卑の価値観が衝突していた。法改正によって、史実の戦後日本並みに離婚しやすくなったことも離婚を後押ししていたのである。


「慎ましい大和撫子も捨てがたいが、南方なら開放的な性格の女性との出会いもあるかもしれんな!?」

「北の国の女は情に厚いというし、俺の凍てついた心を溶かしてくれるやも……!?」

「俺は金髪巨乳の姉さん女房が欲しい! どうせ次男だし、継ぐ家も無いし。誰にも文句は言わせねぇっ!」


 『飲んだビールが〇万本』的な勢いで、ビールのジョッキがどんどん空けられていく。お通夜の如しだった当初の雰囲気から一転、一気にカオスな状況になっていったのである。


 同様の光景は、新京のあらゆる場所の居酒屋や飲み処で繰り広げられていた。

 商魂たくましい現地の商売人は、ここぞとばかりに稼ぎまくったのである。


 万に達する将兵による飲み食いは、膨大な金額となった。

 『関東軍特需』という言葉が後に作られるほどの経済効果となったのである。







「……さて、皆に集まってもらったのは他でもない。公式発表はまだだが、永田と石原が拘束された」


 上座に座る和装の男の言葉に、出席者たちはどよめく。


 帝都の一角にある高級料亭。

 その奥まった一室に集結した男たちの服装は様々であったが、社会的地位の高い人間であることは共通していた。


「関東軍のクーデターは失敗か。今までの支援が無駄になってしまいましたな」

「さんざん援助してやったというのに、所詮は口だけだったか」


 口々に悪態をつく。

 彼らは、満州派の支援者であった。


 永田と石原が一部の将兵に熱烈に支持されているからといって、クーデターを簡単に起こせるはずがない。彼らによる人・モノ・金の潤沢な支援があってこそ実現したのである。


「満州の資源を手に入れる計画が台無しだ」

「海外領土の資源開発を急がねばなりませんな」

「このままでは、いつまでも英国の風下に立たされることになる」


 満州派の支援者は、彼らなりの愛国心で動いていた。

 たとえ技術があっても、資源と市場を持たない国は経済的な自立が困難である。満州派は、満州を日本が自立するための戦略的拠点にするべく動いていたのである。


「しかし、めぼしいところは平成会の息がかかった連中に抑えられているぞ?」

「あの小僧どもか。新参者のくせに生意気な……!」

「後藤のやつも彼らを重用している。このままでは、我らの影響力が政府に及ばなくなるやもしれん」


 結局のところは、既得権益が侵されるのを恐れているだけなのであるが。

 明治維新以来、日本を裏から牛耳ってきた――と、思い込んでいる人間からすれば、最近の平成会の動きは脅威であった。


「平成会をこちら側に取り込むことは出来ないのか?」

「何度も試しているのだが、奴らは妙に結束が固い。親族縁者というわけでは無いはずなのだが」

「仮になびいたとしても、下っ端ばかりで全然役に立たん」


 平成会は転生者の互助会故に結束が固かった。

 加入した転生者は社畜――もとい、念入りな社員教育が施されるのでなおさらである。


「……平成会を直接抑えることが出来ないのならば、(から)め手を使うしかないでしょう」


 末席に座る男の発言に皆が注目する。

 彼は若手でありながら、この会合への参加を認められた将来有望なエリートであった。


「確かに道理ではあるが、具体的にはどうするつもりかね?」

「ドーセット公を利用します」


 意外な人物の名前が挙がって騒然となる室内。

 男は構わずに言葉を続ける。


「ドーセット公は平成会とつながっています。今回の関東軍のクーデター鎮圧にも彼が関わっています」


 史実戦後の大手商社の情報ネットワークは、中国にCIA並みと評された。

 その前身の財閥系商社に勤める彼も、中国大陸に独自の情報網を有していたのである。


「ちょっと待て!? まさかドーセット公を敵に回す気か!?」

「そんなことをしたら、大英帝国と全面戦争になりかねん。君は正気かね!?」


 英国本国か植民地、あるいは自治領からの輸入が日本の輸入の大半を占めているのである。現状で英国を敵に回したら確実に破滅する。老人たちが口角(こうかく)(あわ)を飛ばす勢いで喚くのも当然のことであろう。


「まさか。本人には手を出しませんよ。えぇ、本人には、ね」


 内心で目の前の老害を嘲笑しつつ、自らの策を皆に披露する。

 最終的に彼の策は了承されたのであるが、それが虎の尾を踏む行為だったことに誰も気づいていなかったのである。、







「ふん、気に喰わない毛唐(けとう)だ。状況が分かっているのか?」


 椅子に縛られた女を睨みつけながら、電話機に手をかける男。

 男は満州派の支援者であった。であるならば、椅子に縛り付けられているのが誰なのかは言うまでもないであろう。


 褐色肌でメイド姿の大女が椅子に縛り付けられているのは、異様な光景である。

 本人がすまし顔なのが、なおさらにシュールであった。


「もしもし? 英国大使館か? ドーセット公を出してもらおうか。ご婦人を預かっている」

『!? 少々、お待ちください……お待たせしました。どうぞ』


 大使館の受付嬢の声と同時に、なんらかの操作音が受話器から聞こえてくる。

 おそらく回線を切り替えたのであろう。


『もしもし? マルヴィナは無事なのか!?』


 若い男の流暢な日本語が聞こえてくる。

 明らかに焦っている様子に、誘拐犯は悦に浸る。


「……無事だ。今、声を聞かせてやる」


 男は受話器を椅子に縛り付けられている女――マルヴィナに突きつける。


「ごめんなさい、テッド。捕まってしまったわ」

『なんでさ!? マルヴィナなら簡単に……って、ひょっとしてわざと捕まった?』

「か弱い乙女が誘拐されるのは、憧れのシチュエーションよね」

『あぁぁぁぁぁぁ……』


 頭を抱えている様子が見えるようである。

 実際、大使館の執務室で受話器を持ったまま頭を抱えていたりするのであるが。


 最近のマルヴィナは、日本の漫画にハマっていた。

 彼女が短期間に日本語を身に着けることが出来たのは、漫画を読みたいがためであった。史実の日本産アニメを見て日本語学習を思い立つ外国人の如しである。


「分かったか? ご婦人はこちらの手にある。無事に返して欲しければ、こちらの要求に従ってもらおうか」

『……はぁ。君は自分の身を案じたほうが良いよ?』

「それはどういう――」


 『意味だ』と言葉を発することが出来なかった。

 如何なる手段を用いたのか、緊縛していたロープをぶっちぎったマルヴィナに首を(つか)まれる。


「ぐげぇ!?」


 そのまま膂力(りょりょく)に任せて地面から男を引っこ抜く。

 片手ながら、見事なネック・ハンギング・ツリーである。


「……」


 空いた左手で、かわいく首をかしげるマルヴィナ。

 少し悩むような素振りを見せた後に、オーバースローでぶん投げた。


 投げられた男は本棚に激突、衝撃で落下した本の下敷きとなった。

 本の隙間から出ている手足が痙攣(けいれん)してはいるが、死ぬほど痛くても死んではいないだろう。


(もう少し待てば、テッドが助けに来てくれたかしら?)


 しまった、とばかりに後悔するマルヴィナであったが、すぐに思い直す。


(……敵基地から単身脱出というのも悪くないシチュエーションよね)


 騒ぎを聞きつけて、わらわらとやってくる男どもを見ても意に介さない。

 それどころか、新技を試せるとばかりに嬉々として向かっていく。最近のマルヴィナは、平成出版が刊行している史実格ゲーのコミカライズが、大のお気に入りであった。


「昇〇拳!」


 ――と、言いつつカエル跳びアッパー。

 ものの見事に相手の顎を粉砕する。


「〇破弾っ!」


 ――と、言いつつダッシュして顔面ドロップキック。

 かっとんでくる下着に目がいってしまった男は、頸椎(けいつい)を損傷して病院送りとなった。


「ダ〇ル烈〇拳っ!」


 ――と、言いつつ手刀を振り回す。

 飛ばない96年度バージョンなので距離を取れば安全かと思いきや、マルヴィナのリーチの長さと相まって狭い室内では回避不能であった。


 拳が唸り、蹴りが空を切り裂く度に悲鳴があがる。

 格ゲーの必殺技をリアルで繰り出すことなど普通は不可能なのであるが、常人離れしたフィジカルを持つマルヴィナはそれを可能にしていたのである。


(次はどんな技を試そうかしら……)


 今日のご飯は何にしようかレベルで、物騒なことを考えるマルヴィナ。

 そんな彼女の目の前には、スチール製のロッカーが鎮座していた。


(頼む、気付かないでくれ……!)


 隠れているのは、開幕でぶっ飛ばされた誘拐犯である。

 部下達がボコボコにされているのを見て、一目散に逃げ出していたのである。


「……」


 必死に息を殺そうとして、失敗しているのが微笑ましい。

 微妙にガタガタ震えているのは、愛しさすら覚えてしまう。


 それ故に、マルヴィナは最大限の敬意を表することにした。

 素手だというのに、乱打によってスチール製のロッカーが変形していく。


「オラオラオラオラ!」

「うわぁぁあぁ!? 止めてくれぇぇぇぇっ!」


挿絵(By みてみん)


 中から聞こえる絶叫を無視して殴り続ける。

 聞こえてくる声がすすり泣きになるころには、スチール棚は人間が辛うじて収まるサイズにまで変形していた。


(こんな化け物って分かっていたら誘拐なんてしなかったのに……)


 変形したスチール棚に閉じ込められたまま、薄れゆく意識の中で後悔する。

 今回の失態は致命的である。今まで築き上げた地位を失うばかりか、何らかの制裁を受けることになるであろう。


 しかし、彼の心配は杞憂に終わることになる。

 現在進行形で暴れまわるマルヴィナ(大魔神)の夫が、暗躍し始めていたからである。







『ぐげぇ!?』

「もしもし? 何が起きた!? もしもーしっ!?」


 受話器越しに聞こえる誘拐犯の悲鳴。

 その後は、テッドがいくら呼びかけても返答は無かった。


 受話器からは『昇〇拳』とか『〇破弾』などと、かけ声が聞こえてくる。

 男たちの悲鳴や、何かを叩き付けるような音まで聞こえてきたが、テッドは受話器を戻さずにデスク上に放置する。


「はぁ……」


 ため息をつきながら、内線をコールする。

 程なく、ドアがノックされてMI6のエージェントが入室してくる。


「閣下、御呼びでしょうか?」

「マルヴィナが誘拐された」

「こちらでも事態は把握しております。現在、電話局で活動中のエージェントを動員して逆探知を行っております」


 英国大使館に誘拐犯から電話があった時点で、MI6は動いていた。

 ここまで迅速な行動が可能なのは、大使館の敷地内にMI6の日本支部が存在することに加え、テッドが日本支部長を兼任しているからである。


 史実の刑事ドラマなどで度々描写される電話の逆探知であるが、実際に逆探知するのは電話局側の人間である。MI6は息のかかった人間を電話局に送り込んで、必要に応じて逆探知出来るようにしていた。テッドが受話器を戻さなかったのは、逆探知の時間を稼ぐためであった。


「場所が分かり次第、迎えに行ってあげて。後片付け用要員もいっしょにね」

「了解しました」

「ついでで悪いのだけど、満州派の支援者に関する資料と、それに詳しい人間をこちらに寄越してくれる?」

「そちらの件も了解しました」


 退室するエージェント。

 その後、10分程で再びドアがノックされる。


「失礼します閣下。満州派の支援者に関する資料をお持ちしました」

「ご苦労様。説明よろしく」


 大量の資料をテッドのデスクに置いたエージェントが説明を始める。


「今回の一件ですが、政財界の非主流派が起こした可能性が高いです。かつては主流派だった。と、いうべきでしょうが」

「あー、最近は大英帝国(うち)との取引を望むのが大半だもんね」


 この世界においても、『満州は日本の生命線』という意見が大半であった。

 しかし、現在の満州は現地民による度重なる暴動やサボタージュで肝心の資源採掘は進まないばかりか、治安の悪化で邦人は他の海外領土へ流出するという悪循環に陥っていた。


 それに引き換え、英国からは安価かつ安全に資源を輸入出来た。

 気前よく技術援助(英国面)もしてくれるので、どちらを取るかは自明の理であった。


 それでも満州に拘る人間は一定数存在していた。

 劣勢に(おちい)った彼らの一発逆転が、関東軍によるクーデタ―だったのである。


「この期に及んで満州に拘るということは、現地にそれなりのコネや情報網があったということか」

「おそらくは。奥方様が狙われたのも、クーデター鎮圧に閣下が関係していたことが露見したからではないかと」

「この際、徹底的に潰そう。何のかんの言っても、マルヴィナを誘拐したクズどもだし」

「奥方様のあれを誘拐と言って良いのか、疑問なんですが……?」


 自分から誘拐されにいったなどと、口が裂けても言えるわけがない。

 この国の電話交換機が、自動交換機になっていたのは不幸中の幸いであった。電話交換手が手動接続する交換機だと内容が駄々洩れになってしまうのであるから。


『オラオラオラオラ!』


 ちょうど受話器から、女性の声――明らかにマルヴィナの声が漏れ聞こえてくる。同時にドラム缶を金属バットで乱打するような連続音と男の絶叫もおまけで付いてきたが、テッドは全力でスルーしたのである。


「……それで、連中を追い込むネタはある?」

「いくらでも。かなり好き勝手していたようで、わきが甘いですね」

「ネタが集まったら、こっちに持って来て。政治的な要素が強いんで、今回は直接持っていくよ」


 テッドの言葉は、半分本当で半分嘘である。

 ちょうど悩みの種があったので、それを解決するべく平成会に恩を売って返させるつもりであった。


 満州派の支援者たちが完膚なきまでに叩き潰されたことは、現在進行中の陸軍軍法会議に大きな影響を与えることになる。支援者を失った犯罪者を庇う物好きなど陸軍には存在しなかったのである。







「止まれ! 何用だ?」

「憲兵司令部だ。被疑者の護送に来た」


 入口の歩哨(ほしょう)誰何(すいか)に、護送車から憲兵の腕章を付けた兵士が書類を見せる。


「はっ! 話は聞いております。おいっ、門を開けろっ!」


 頑丈な鉄門が開かれて護送車が敷地内に進入していく。

 その様子は、犯罪者が刑務所に護送されるのと変わりなかった。


 陸軍軍人や軍属など、刑に処せられた者を服役させる施設が陸軍刑務所である。

 常備師団の衛戍(えいじゅ)地に置かれており、未決拘禁者(被告人)を拘置する拘置所相当の施設も併設されていた。


 内地に移送された永田と石原は、帝都近郊に衛戍する第1師団の敷地内にある陸軍刑務所に収監された。二人を裁く高等軍法会議が参謀本部で開催されることになったために、最寄りの第1師団が担当することになったのである。


 第1師団は皇道派の総本山である。

 この世界の皇道派は、今上天皇と皇室を熱烈に信奉する集団ではあるが、反社的な思想を持たない健全(?)な集団である。


 しかし、皇道派と統制派が不俱戴天(ふぐたいてん)の間柄であることに変わりはない。

 その統制派から派生した満州派とも犬猿の仲である。そんなわけで、二人の拘置生活は針の(むしろ)であった。


 拘置所の一日は、開房点検から開始される。

 独房内で洗面と掃除、布団をたたんで刑務官の点検を待つのであるが……。


『トイレが汚い。やり直し』

『布団のたたみ方が甘い。やり直し』


 刑務官の厳しい点検で時間を浪費してしまう。

 嫌がらせ以外の何物でも無いが、朝食の時間が削られてしまうのは地味に痛い。


「……永田さん、なんか避けられているような気がするんですが?」

「気のせいじゃなくて、はっきり避けられているんだ。ここは皇道派のおひざ元なんだぞ」


 開房点検が終われば朝食である。

 陸軍刑務所では暖かい食事が食べられるのであるが、二人はいきなり孤立していた。大テーブルの片隅で、誰にも声をかけられることなく、ひっそりと食事するハメになったのである。


 未決拘禁者は刑務作業(陸軍刑務所の場合は軍事訓練)をする必要は無い。

 空いている時間には、独房でラジオを聞くことも出来る。


『……次のニュースです。関東軍の解散が正式に決定しました』

『関東軍麾下の部隊は、海外領土へ派遣されることになり……』

『クーデターの首謀者を裁く高等軍法会議の日程が……』


 しかし、ラジオが報じる内容は暗いニュースばかりであった。

 こうなると、支援者に期待するしか無いのであるが……。


「おい、差し入れだ」


 そう言って、刑務官が石原に手渡したのは日蓮宗の経典である。

 礼を言って受け取ると、人目が届かない場所で経典を開く。


(支援者が次々に逮捕されているだと……!?)


 経典は、石原の個人的な支持者が差し入れしたものであった。

 中に便箋が挟まれており、最近の状況が詳細に記されていた。


(このままではまずい……!)


 焦る二人であったが、どうすることも出来ない。

 成り行きに任せる他無かったのである。


 テッドからネタを提供された平成会は、満州派の支援者の逮捕に動いていた。

 スキャンダルで別件逮捕して、公安(史実の特高警察)に捜査を移管して締め上げた結果、その大半が破防法違反容疑で立件されたのである。


『被告永田鉄山、石原莞爾両名を軍籍はく奪のうえで、懲役10年に処す』


 参謀本部内に設けられた特設会場に、主任判士の判決が響き渡る。

 どよめく傍聴席とは裏腹に、被告人は一見すると落ち着いているように見えた。


「「……」」


 実際は、茫然自失して反応出来なかったというのが正解である。

 拘置生活で陰湿なイジメを受けまくり、漏れ聞こえてくる外部情報は不利なことばかり。判決前に未来に絶望していたのである。


 主文を読み上げた主任判士は、引き続き理由を読み上げる。

 長くなるので要約すると、以下に集約される。


・両被告の行動は、統帥権干犯であること。

・満州国建国に至ったクーデターは、国内法・国際法に照らし合わせても完全に違法であること。

・満州国に侵攻したドイツ軍を迎撃したことは、正当防衛であること。


 上記2点のみだけならば、極刑になってもおかしくない。

 しかし、満州に侵攻してきたドイツ軍事顧問団相手に圧勝した実績が、最終的な量刑を軽減させていた。


 圧勝したとはいえ、関東軍にも少なからぬ戦死者が発生していたことが問題を複雑化させた。上官の命令で戦って戦死したのに、賊軍扱いではあまりにもかわいそうではないかとの意見が陸軍内で噴出したのである。


 その結果、賊軍ではあるが満州国防衛は正当であるという理由に落ち着いた。

 戦死者の名誉と相殺する形で、永田と石原の量刑が軽減されたのである。


 悄然(しょうぜん)とする二人は、係官に連れられて退場していく。

 軍籍をはく奪されたことで二人は民間人扱いとなり、身柄は一般の刑務所に移されて服役することになる。







平成会(うち)を脅してくれた二人が塀の中の人になったか。感慨深いな」

「今、思い出してもムカつきますけどね」


 平成会館の会議室では、モブたちがラジオに耳を傾けていた。

 永田鉄山と石原莞爾の裁判の結果は、ラジオの速報で伝えられていたのである。


「関東軍の解体も進んでいるし、これで一安心ってところかな」

「4個師団が浮きますので、これらを海外領土の防衛に振り分けることが出来るでしょう」

「正直、これでも師団数が不足しているのですけどね……」

「そこは地道に増やしていくしかないだろう」


 満州派の策謀により、この世界の関東軍は既に4個師団もの大勢力となっていた。現在の帝国陸軍の師団定数が20個師団なので、全戦力の2割が大陸に縛り付けられていたことになる。


 現在は先任の部隊を内地に戻しつつ、解体した関東軍の部隊を送り込んでいた。

 先任の部隊は内地に戻れてハッピー、関東軍は内地で肩身の狭い思いをせずに済んでハッピーと、双方にWIN-WINな結果であった。


「満州派は論外ですが、それ以外の人材は確保しておく必要があるでしょう」

小畑敏四郎(おばた としろう)岡村寧次(おかむら やすじ)小笠原数夫(おがさわら かずお)山下奉文(やました ともゆき)鈴木率道(すずき よりみち)辺りか」

「その他にも、史実で実績のある軍人は大勢います。近代史に詳しいメンバーを動員して発掘してもらいましょう」


 史実太平洋戦争で戦果を挙げた軍人には、皇道派が多い傾向がある。

 二・二六事件で左遷されて前線で指揮を執ることになったことが原因であるが、優秀だからこそ活躍出来たのである。


 それ故に、平成会は皇道派の軍人を重要視していた。

 しかし、統制派にも優秀な人材がいるのは事実なので、分け隔てなく人材確保を狙っていたのである。


「……で、箸にも棒にも掛からないどころか、現状では害悪にしかならない軍人はどうするんです?」

「勉強会で再教育してから中央に戻す。このままだと陸軍の組織運営に支障が出てしまう」


 史実の統制派と皇道派は、現在の背広組と制服組の関係に近似している。

 どちらが欠けても、太平洋戦争を戦い抜くことは出来なかったのである。


「勉強会……ですか? 奴らが素直に参加しますかね?」

「参加するさ。一時的とは言え、内地に帰れるんだからな」

「あぁ、なるほど。そういうことならば、勉強会の打ち上げも設定してやれば、効果てきめんですね」

「熱海でどんちゃん騒ぎ出来るって聞いただけで、喜んで参加しそうだな。陸軍には酒豪が大勢いるからな……」


 ただ酒が飲めるということで、平成会派主催の勉強会は初回から大盛況であった。特に島流しにされた元関東軍所属の将兵は、内地に戻れる貴重な機会ということで熱心に参加したのである。


 飲み会だけでなく、実際の勉強会も充実していた。

 海外の戦術や新しい理論の学習に加え、平成会傘下の企業で開発中の新技術の視察など密度の濃い内容だったのである。


 問題は、この勉強会を海軍が聞きつけたことである。

 なんで海軍もやらないんだと、平成会派に怒鳴り込む海軍軍人が出てくる始末であった。


『酒を飲ませろっ!』


 特に海軍屈指の酒豪で『底無し沼』の異名を持つ古村啓蔵(こむら けいぞう)(当時少佐)の怒りは凄まじいものであり、怒鳴り込んだ勢いで平成会派の海軍軍人相手に大立ち回りをする程であった。


『ただ飯を食えると聞いた!』


 何処で話を聞き違えたのか、『多聞丸』こと山口多聞(やまぐち たもん)(当時中佐)も怒鳴り込んできた。


 海軍屈指の大食漢にして、力士並みの巨漢の山口が暴れたらどうなるか。その恐ろしさを平成会派は嫌というほど味わわされたのである。


 結局、海軍でも平成会主催で勉強会を開催することになった。

 海軍内部の平成会派の影響力を高めるためにも、勉強会を開催する必要性に迫られたのである。


 ちなみに、お楽しみである勉強会後の打ち上げは酒有りのビュッフェスタイルである。このへんは、熱海の旅館でどんちゃん騒ぎをする陸軍とはじつに対照的であった。


 酒は日本酒だけでなく、焼酎や泡盛、ワインにブランデーと大概のものが飲み放題で、これには『底なし沼』もご満悦であった。勉強会の打ち上げの度に、浴びるように酒を飲む彼の姿があったという。


 料理は和洋中はもちろんのこと、フランス料理やイタリア料理も用意されていた。これには『多聞丸』もにっこりである。大皿に山盛りしては平らげ、そのうち料理を取りに行くのが面倒になったのか、部下に料理を取りに行かせる彼の姿が恒例となった。


 噂が噂を呼び、勉強会に参加する将兵は加速度的に増えていった。

 当然ながら、経費も激増して馬鹿にならない金額になった。


 勉強会の諸経費は、平成会傘下の企業が負担していた。

 膨れ上がる負担に悲鳴をあげた企業側は勉強会の自粛を求めたのであるが、その結果がどうなったかは言うまでもない。


 陸海軍のヤクザより幾らかマシな連中に怒鳴り込まれるわ、彼らの元締めである陸軍省と海軍省も暗に続けろと言ってくるわで、平成会の財布がヤバいことになったのである。


 しかし、平成会はモブだけにしぶとく、たくましい。

 タダでは転ばないし、転んでもタダでは起きないのである。


『陸海軍の高官と面談が出来ますよ?』

『このままだと平成会傘下の企業(うちら)の一人勝ちですけど、良いのですか?』


 ……などと、他の企業に吹き込んで打ち上げの経費を折半させた。

 勉強会自体は、軍機も絡むので民間人はお断りであるが、打ち上げ会場はそんなことも無いので関係者は入り放題だったのである。


 陸海軍の将官クラスは、簡単に面会出来ない。

 アポを取るのにも時間がかかるわけで、打ち上げは顔を覚えてもらうのに絶好の機会であった。


 もちろん、酒宴で露骨にビジネスの話をしようものなら嫌われる。

 ご機嫌を取りつつ、上手く話を転がすのが出来るビジネスマンというものである。


 軍からの発注は大規模かつ多岐に渡る。

 受注出来れば大変に美味しいわけで、あらゆる分野の企業が打ち上げ会場で売り込みをかけることになるのである。







「……」


 執務室のデスク上に置かれた分厚い書類。

 異様なオーラ(?)を放つ書類に、テッドは手を付けることが出来なかった。


 表紙の真ん中には、デカデカと『(株)ウォッチガードセキュリティ慰安旅行企画書』の文字が自己主張している。表紙の右下には小さく『平成トラベル』のロゴも印刷されていた。


 生前は旅行の幹事をしたこともあるテッドであったが、300名もの旅行プランを計画するのは不可能であった。平成会に満州派の支援者のスキャンダルを提供したのは、慰安旅行のプランを作成してもらうためだったのである。


(このまま自然消滅してくれないかなぁって、思ってたんだけどな)


 ため息しか出ない。

 テッドから言質を取った切れ者の『本部長』は、隊員たちの要望をまとめたうえで送り付けてきた。実に手回しの良いことである。


 満州国絡みの後始末で忙しかったテッドは、本部長からの要望書も平成会に丸投げしていた。その結果、出来上がってしまったのが目の前の企画書なのである。


(とはいえ、見ないと先に進まないんだよなぁ……)


 意を決して、表紙をめくる。

 いきなり目に入ってきたのは、日本地図であった。


(ちょっと待て。これは……)


 釜山から門司に伸びた線は、そのまま日本海沿いに北上して青森まで至り、そこから北海道を外周沿いに右回り。再び青森に渡ってから今度は太平洋沿いに南下、途中で四国を経由して九州まで到達。その後は大分から太平洋沿いに左回りをして以下略。


「日本1周じゃないかぁぁぁぁぁぁぁっ!?」


 思わず絶叫してしまう。

 基本的に日本列島を右回りで一周するコースであるが、ところどころで内陸側にルートが入っている辺り、絶対に行きたい場所なのであろう。ウォッチガードセキュリティの隊員が行きたいところを全部盛りしたら、こんなことになってしまったのである。


(300人だぞ!? この時代にそんな移動手段を用意出来るはずが……!?)


 震える手でページをめくると、『移動手段について』というそのものずばりの項目があり、見覚えのある列車編成の写真が添付されていた。


(エスケーピング・コリアンを使うのか。確かにあれならば300人くらい余裕だけど……)


 『遁走する朝鮮人エスケーピング・コリアン』は、大韓帝国が英国に発注した寝台列車である。客室は全てプルマン車であり、さらに展望車や食堂車まで備えた豪華列車であった。


 ちなみに、エスケーピング・コリアンは非公式名称であり、正式名称は千里馬(チョンリマ)号である。有事の際に、朝鮮王一家と一族郎党が逃げるために作られた列車であるので、非公式名称のほうがウォッチガードセキュリティ側で定着してしまったのである。


 朝鮮王家の所有なので、本来は好き勝手出来るものでは無い。

 しかし、普段は使い道が無くて車庫でニートレインしているので、メンテナンスのために定期的に動かす必要があった。ウォッチガードセキュリティは、運行とメンテナンスを全面的に請け負っているので、どうとでもなるのである。


(松田屋ホテル、西村屋本館、時音の宿 湯主一條、金沢辰口温泉 まつさき、湯田中温泉 よろづや……!?)


 宿泊先のリストを見て絶句するテッド。

 生前の記憶で、テッドも名前くらいは知っていた。


 史実21世紀の時点で、創業100年以上の由緒ある高級旅館&ホテルである。

 これの300人分の宿泊費用なんて考えるだに恐ろしい。


(伏見稲荷大社、恩賜上野動物公園、報国寺、兼六園、貴船神社、清水寺に……って、なんであいつら日本の名所に詳しいんだ?)


 ページを読み進めると、観光地がリストアップされていた。

 それも、数ページに渡ってぎっしりである。


 このリストには、ウォッチガードセキュリティの隊員の希望だけでなく、平成会側の希望も追加されていた。どうせなら、日本中を巡ってもらって各地に金を落としてもらいたいと考えていたのである。関東軍の後始末でクソ忙しい時に、余計な仕事を押し付けられた恨みとかでは決してないはずである。多分。


(……というか、なんで秋葉原が観光リストに入っているんだ? 嫌な予感がする)


 何も無い無味乾燥な朝鮮半島に駐屯しているウォッチガードセキュリティにとって、数少ない娯楽が日本から輸入される書籍や嗜好品などであった。当然ながら、漫画にドハマりして日本語を学習し、さらに日本の萌えまで理解してしまったのである。


 この世界の日本の秋葉は、平成会によって魔改造されて既にオタク文化の発信地と化していた。ウォッチガードセキュリティの隊員たちにとって、秋葉は聖地なのである。


「……」


 最後のページの見積もりを見て、デスクに突っ伏してしまうテッド。

 細かい項目と数字がびっしりと印刷されたページの一番下の総額欄には、駆逐艦を建造出来てしまうような金額が記載されていたのである。


 しかし、現実逃避してみても事態は解決しない。

 現実と戦う覚悟を決めたテッドは、内線をコールする。


「奇術師ジャスパー・マスケリンを招聘(しょうへい)したい。それも大至急で!」

『直ちにコンタクトを取ります』

「旅券その他、必要経費は全てこちらで持つと伝えて」

『了解しました』


 基本的にウォッチガードセキュリティの隊員たちは有能である。

 元は、第1次大戦を生き抜いた実戦経験豊富な兵士なのであるから、ある意味当然と言える。


 同時に、他に行き場が無かった社会不適応者であることも考慮する必要があった。彼らを野放しにすると、何を仕出かすか分かったものじゃないのである。


(そう、これはあくまでも監視。決して遊びじゃないんだ)

(でも、ちょっとくらい楽しむのは良いよね? マルヴィナと旅行なんてご無沙汰だし。これはご褒美というヤツだ……!)


 ヤバい連中を大量に引率することになったテッドは、猛獣使いの気分であった。

 実際は、平成会傘下の旅行会社からツアコンやガイドが多数派遣されて補助してくれるのであるが。


 しかし、一般人である彼らにウォッチガードセキュリティの猛者を御せるか甚だ怪しいものであった。隻眼とか、顔面傷だらけとか、明らかにカタギに見えない、強面な連中が多いのである。


 1927年10月。

 2ヵ月に渡るウォッチガードセキュリティの慰安旅行が始まった。


 楽しい慰安旅行になるか、はたまたトラブル続出で胃に穴があいてしまうのか。

 この時点では、誰も知る由が無かったのである。

ようやく後始末が終わりました。

誰ですか?今回は、ほのぼの回だなんて言ったのは?(笑


満州派の支援者は、テッド君と平成会のせいで落ちぶれましたw

描写してはいませんが、永田と石原の後見人的立場だった板垣征四郎は問答無用で予備役送りにされています。


日本の大手商社の情報ネットワークは馬鹿に出来ないです。

独自の情報収集能力があるからこそ世界で戦えているわけですし。他国の商社でも同様でしょうけどね。


拙作では、虎の尾を踏むのが好きなのが多くて困ります。

よりによって、なんでマルヴィナさんに手を出してしまうかなぁ?(オイ


毛唐はかなり古い表現です。

おいらが厨房のころ読んだ小説にすら古臭い表現と書かれていたので間違いないです。会話に入れると古風な感じが良いかなと思って使ってみました。


か弱い乙女に憧れるマルヴィナさんかわいい(吐血

隣の芝生は青く見える的なものなのでしょう。きっと。


史実格ゲーのコミカライズは、ストⅡやKOFが鉄板ですよね。

おいらもよく読んでました。原作とかけ離れてしまった作品も多々ありましたが、それはそれで面白かったですね。


軍刑務所は、旧陸軍では師団内に設けられていました。

刑務作業代わりに軍事軍連が課せられるのが普通の刑務所と違うところですが、陸軍の場合は教化と称して軍人勅諭の暗記をさせられるケースもあったとか。石原莞爾は軍人勅諭が嫌いだったらしいので、実現してたら面白いことになってたでしょうねw


日蓮宗の経典は、石原莞爾が日蓮信仰に傾倒していたので出してみました。

大正時代には熱心な信徒になっていたみたいなので違和感は無いと思います。


量刑は前例が無いので悩みました。

統帥権干犯とクーデター実行を考慮すると史実二・二六事件のように極刑にするべきかなと思いましたが、それをやってしまうと二人の命令で戦死した兵士はどうなるんだということで相殺しました。ただし、軍籍をはく奪したので二度と軍には戻れませんし、靖国に祀られることも今後ありません。


以前も少し書きましたが、平成会派による勉強会を詳しく書いてみました。

打ち上げ目的で、熱心に勉強会に参加してくれることでしょうw


打ち上げ会場で売り込みは、場の空気を読めない外国企業が不興を買いそうです。

あとやりすぎて、史実ロッキード事件みたいな大規模汚職に発展しなければ良いですけどね……。


慰安旅行企画書を平成会に丸投げした結果、恐ろしく充実したプランになってしまいました。

内容は超充実、経費も青天井になってしまいましたが、石油王なテッド君ならば一応払える金額には収まっていますw


空飛ぶ(フライング)スコットランド人(・スコッツマン)』的なノリで『遁走する朝鮮人エスケーピング・コリアン』を考え付いてしまいました。我ながら、ナイスなネーミングと自賛しております。もちろん、『下り最速』です(爆


遠く離れた朝鮮の地では、本国からの書籍も簡単に手に入りません。

比較的簡単に手に入る日本産の漫画で、ウォッチガードセキュリティの隊員たちが汚染されたのは必然なのです。でもまぁ、日本の萌えが理解出来る程度には言語も文化も事前学習しているので、慰安旅行でも紳士的に振舞えるはず。多分。


テッド君が、ジャスパー・マスケリンに何を依頼したのかは次回です。

損な役回りではありますが、その分報酬は弾むのでノープロブレムですよね。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] いよいよ慰安旅行、楽しみですね。 寝台列車を仕立てて日本周遊するというのは良いアイデアですね。 客船借り切るより費用がかからない。 伊勢神宮参拝しておけば日本国民のメンツも立って評判も良く…
[一言] >史実格ゲーのコミカライズは、ストⅡやKOFが鉄板ですよね。 男なら拳ひとつで勝負せんかい!!のアレもよろしく!
[一言] この時代の日本旅行の定番は刺青だったはずだけどかなり時間かかるしやらないのかな?
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ