第65話 満州侵攻
「ドイツの軍事顧問団が満州へ侵攻した!?」
1927年8月某日。
中華民国の英国公使館からの電話で、テッドはドイツの軍事顧問団が満州国境を越境したことを知らされていた。
テッドは、駐日ドイツ大使のヴィルヘルム・ゾルフに中華民国への工作を頼んでいた。彼が中華民国に求めたのは、あくまでも近衛師団の中華民国への一時的な受け入れだけであり、そこにドイツの軍事顧問団が介入する余地は無いはずであった。
ヴィルヘルム2世が油田欲しさに暴走したことも、軍事顧問団がドイツ帝国陸軍遠征軍として再編成されていたことも、この時のテッドには知る由が無かったのである。
(どうしてこうなった……!?)
執務室のデスクで頭を抱えるテッドであったが、そんなことをしていても事態は解決しない。頭痛に耐えつつ、とある番号をコールする。
「僕だけど。準備は進んでる?」
『あと1週間もあれば完了します』
電話先は、朝鮮半島に駐屯しているウォッチガードセキュリティであった。
来るべき時に備えて、テッドは独自に準備を進めていたのである。
「3日で終わらせて直ちに作戦開始して。でないと間に合わない」
『じょ、冗談ですよね……?』
テッドの無茶な命令に、電話先の現地指揮官の声は震えていた。
「僕だって、こんなこと言いたくない。でも事態が急変したからしょうがないじゃないか!?」
『ただでさえタイトなスケジュールだってのに、さらに縮めろとかボスは鬼ですか!?』
沈着冷静な本部長が取り乱してしまうほどに、テッドの命令は無茶なものであった。事態の急変で割を食うのは、いつだって現場の人間なのである。
ちなみに、ウォッチガードセキュリティの実態は軍隊であるが、あくまでも民間企業と言い張るために社内では階級ではなく役職が用いられている。本部長は、朝鮮に駐屯している部隊の最高責任者であり、テッドと直接連絡しあう立場であった。
「Bloody hell!」
罵声をあげて受話器を叩き付ける。
やり場の無い怒りに天を仰ぐも、頭を振って駐屯所の格納庫へ向かう。
格納庫の中央には、異様な雰囲気をまとう機体が鎮座していた。
フレームレベルにまでバラされ、アッセンブリの分解と調整に多くのメカニックが貼りついていたのであるが……。
「……聞け! 我らが敬愛するボスは、このデカブツを3日で仕上げて飛ばせとのオーダーだ」
怒りと諦めが混じったため息をついて、残酷な命令を告げる本部長。
中間管理職の悲哀を感じさせる光景である。
「なぁ?! 今のスケジュールでも無茶なのに!?」
「放置されてたから、フルメンテが必要で全バラしてるんですよ!?」
「ボスは鬼や!? 鬼すぎるっ!?」
非難ごうごうなメカニック達。
無茶なスケジュールをさらに前倒ししろとか、史実のブラック企業なんてレベルじゃない鬼畜ぶりである。
「だが安心しろ! 無事任務を達成したらボーナスと、願い事をなんでもかなえてくれるとのことだ! ボスからしっかり言質は取った!」
「さすが本部長っ! そこにしびれる、あこがれるっ!」
一転して、俄然やる気になるウォッチガードセキュリティの隊員たち。
出来る上司は、決して部下をないがしろにしないのである。
「これより、非常態勢に入る。総員休み返上で24時間3交代制へ移行。支援隊も準備が出来次第出発させろ。時間が無いぞっ!」
「「「イエッサー!」」」
その後、本当に三日で整備を完了させた。
メカニック達は一流であったし、彼らをやる気にさせた本部長は超一流なのは疑いようないことであろう。
(!? 急に寒気が……!?)
その代償としてボーナスはともかく、『なんでもかなえてくれる権』の行使がシャレにならないことになったのであるが。後にテッドが七転八倒することになるのであるが、完全に自業自得であった。
「……近衛師団の受け入れが出来なくなったですと?」
帝都の外務省の大臣室。
外務大臣の幣原喜重郎は、相手に訝し気な視線を向ける。
「まことに申し訳ない。恥ずかしながら我が国では反日感情が強く、現状で貴国の近衛師団を迎え入れたら想定外の事態が発生するやもしれんのです……!」
平謝りする在日中華民国公使の張元節。
このような事態に陥ったのは、軍事顧問団――ドイツ帝国陸軍遠征軍が独自の作戦行動を開始したことが原因である。
『どういうことだ!? 日本の近衛師団と連携するのではないのか!?』
『申し訳ありませんが、ヴィルヘルム2世からの勅命ですので……』
『なん……だと……』
謝罪するマックス・ヘルマン・バウアー大佐に愕然とする蒋介石。
近衛師団に集中するであろうヘイトを、軍事顧問団と抱き合わせすることで回避するプランが破綻した瞬間であった。
(そもそも、中華民国で反日感情が悪化したのは貴様らのせいだろうが)
内心で毒づく幣原。
外務省は現地の公使館を通じて独自に情報収集をしており、中華民国政府とドイツの軍事顧問団が現地の反日感情を煽っていることを察知していた。
「そういうことでしたら、致し方ありませんな。陸軍のほうには、こちらから話しておきましょう」
だからといって、露骨に非難するようなことはしない。
幣原は内政不干渉主義者であり、条約上の権益擁護には熱心であった。しかし、今回の近衛師団の派遣は権益よりも面子の問題であり、彼自身は反対の立場だったのである。
「せっかく作った輸送計画がっ!?」
「俺たちの徹夜を返せっ!」
「この恨みはらさでおくべきかーっ!」
陸軍省経理局の局長室。
局長の三井清一郎陸軍主計総監から、輸送計画に関する予算を却下された平成会のモブ軍人ズは絶叫していた。
(噂には聞いていたが、面白い連中だな……)
モブ軍人ズの醜態を生暖かく見守る三井。
上官の目の前で、こんなことをすれば普通は鉄拳制裁ものである。
しかし、経理局は陸軍でも傍流なので階級にはあまり煩くない。
そもそも、正式な将校と見做されていない。三井は経理局のトップではあるが、あくまでも中将相当官に過ぎないのである。
「あー、そろそろ良いかな? 君たちの力作を却下するのは誠に忍びないのだが、中華民国への派遣そのものが不可能になってしまったので、どうしようもないのだよ」
「どういうことです?」
「中華民国の反日感情が高まったせいで、近衛師団の派遣が危険と判断されたのだ」
「ということは、俺たちはお役御免ですか?」
輸送計画が無駄になったのは残念なことであるが、地味で煩雑で精神的にキツイ業務から解放されるのであれば、まだ許せると思ってしまう。発想が完全にブラック企業の社畜そのものである。
「いや、大連への強襲上陸に変更された。改めて君らには輸送計画の策定を命じる」
しかし、三井の言葉は残酷なものであった。
デスマーチの先は、さらなるデスマーチの始まりに過ぎなかったのである。
「強襲上陸って海軍の仕事でしょう!? なんでうちらの担当なのですかっ!?」
「もちろん、海軍も全面的に協力してくれる。海軍の君らの同志が担当するとのことだ」
陸軍と同様に少数派ではあるが、海軍にも平成会派は存在していた。
平成会謹製の電子計算機を持ち込んだせいで計算屋扱いされているのも同様であり、生贄扱いされているのも以下同文であった。
結局、陸海軍の平成会派のモブ軍人ズは、血反吐を吐きながら3日で輸送計画を完成させた。その仕事ぶりは、陸海軍の上層部に高く評価されたのである。
平成会派が協調して動けるのも評価された。
陸軍と海軍は基本的に仲が悪いのであるが、彼らはそんなことに頓着しないために効率的に計画を作れる。結果として、平成会派はますます前線から遠のいていくことになるのである。
「越境した時点で襲撃があると思っていたが……」
「逆に不気味であります」
マックス・ヘルマン・バウアー大佐と副官は、装甲車内で進軍ルートを確認していた。北京から新京へ向けて最短ルートを取るドイツ帝国陸軍遠征軍であるが、現時点では無人の荒野を行くが如くであった。
「先行させた偵察隊はどうした?」
「そろそろ戻ってくるはずですが……」
副官の言葉が天に通じたのか、遠方より土煙が近づいてくる。
やがて現れたのは、サイドカーに乗った兵士たちであった。
この世界の第1次大戦においても、偵察や伝令、兵員輸送にオートバイは大活躍した。戦後のドイツ帝国陸軍では特にサイドカーに力を入れており、遠征軍にも大量に配備されていたのである。
「報告いたしますっ! 前方に障害となるようなものは確認出来ませんでした」
「報告ご苦労。君たちを疑うわけではないのだが、見て来たことを可能な限り思い出してくれ」
「はぁ……?」
バウアーの命令に戸惑う偵察兵。
しかし、任務に忠実な彼は可能な限り思い出そうと努力する。
「……そういえば、進行方向にテントらしきものを見ました」
「テントだと?」
「この地域に住む遊牧民のテントでしょう。確かパオと呼ばれていたはずです」
上官の疑問に答える博識な副官。
しかし、その言葉を聞いたバウアーは疑念を抱く。
「もし、そのパオとやらが関東軍のものだったりしたら?」
「わたしたちが見たのは、せいぜいが家族が使える程度の大きさでした。兵を隠すには小さすぎます」
「ある程度の距離を置いて、等間隔でパオが無かったか?」
「そういえば……等間隔とまでは言いませんが、ある程度の距離をおいて点在していたような気がします」
偵察兵の言葉で疑念は確信に変わる。
「進行方向にあるパオの幾つかは日本軍の偽装だろう。兵力を隠す必要は無い。こちらの位置情報を知らせるだけで良いのだから少人数で十分だ」
「つまり、待ち伏せは確定であると?」
「進軍速度を落とそう。あちらの思惑に付き合う必要は無い。やはり、日本軍は容易ならざる敵だ」
バウアーの命令は速やかに実行された。
ドイツ帝国陸軍遠征軍は進軍速度を落としつつ、警戒をさらに強めたのである。
「第69監視哨より入電。現在のドイツ軍の位置は承徳の北20キロ付近と思われます」
「急に侵攻速度が落ちたな」
「気付かれましたかね?」
通信参謀の報告に、永田鉄山と石原莞爾は苦笑する。しかし、その表情にはまだ余裕があった。
新京の関東軍総司令部。
室内には満州の大地図が広げられており、侵攻してくるドイツ帝国陸軍遠征軍と迎え撃つ関東軍の駒が配置されていた。
敵軍を消耗させつつ、最終的に新京郊外で決戦に持ち込むのが関東軍の基本戦術である。海軍の戦略を研究した永田が編み出した陸軍版漸減作戦とでも言うべきものであり、満州の広大な国土を大洋にみたてた作戦構想であった。
これを実現するためには敵軍の位置を常に把握することが必須であり、関東軍は満州国内を網羅する監視体制を築き上げていた。満州国に侵攻した時点で、ドイツ帝国陸軍遠征軍はリアルタイムで位置を晒されていたのである。
「侵攻速度から逆算して作り上げた迎撃陣地が無駄になってしまいましたな」
「止むをえまい。そもそも戦場というのは流動的なものだ」
「では、乙案を発動しますか?」
「うむ。せいぜい奴らには苦しんでもらおう」
迎撃計画には、甲案と乙案が用意されていた。
甲案は正規の漸減作戦であり、乙案は漸減作戦が出来ない場合の次善策である。
次善策といっても、さして有効でないかというとそうでもない。
むしろ、嫌らしさではこちらが上であった。ドイツ帝国陸軍遠征軍は、さんざんに苦しめられることになるのである。
「敵襲っ!」
「散開しろ!」
「敵火点の特定を急げ!」
突如撃ち込まれる銃弾にも、第1次大戦帰りのベテラン揃いであるドイツ帝国陸軍遠征軍は慌てなかった。初動こそ若干の混乱があったものの、すぐさま組織的な反撃に転じる。しかし……。
「どこから撃ってきてやがる!?」
「砂塵のせいで発砲炎がよく見えん!?」
風上からの襲撃により、満州名物(?)である砂塵をもろに喰らうことになった。しかも、関東軍の戦闘服はカーキ色で周囲に溶け込んでしまい、砂塵と相まって視認を極めて難しいものにしていたのである。
「畜生!? 距離が遠すぎるっ!」
「Gew98があれば、こんなことにはならないのにっ!?」
MP18を構えたドイツ兵が喚く。
史実では浸透戦術を実現するために開発されたMP18であるが、第1次大戦が早期に集結したこの世界のドイツ帝国では戦後の配備となっていた。
軽量コンパクトで、近距離で火力を発揮出来るMP18は塹壕内での戦闘において有用とみなされ、次世代の歩兵用火器として大いに期待されていた。低価格で、大量生産向きというのも好都合であった。
しかし、MP18は典型的なサブマシンガンであった。
シンプル・ブローバックで長距離での命中精度は度外視されたMP18では、100m以上離れた距離からの射撃には対応出来なかったのである。
対する関東軍は、八〇式自動小銃を採用していた。
この小銃は、平成会の技術陣が史実のAK47をベースに開発したバトルライフルである。
第1次大戦時の主力小銃であった三八式歩兵銃(史実の九九式)の弾薬をそのまま使用しているために、その有効射程は400mに達していた。その結果、一方的に撃ち込まれることになったのである。
「ぐわっ!?」
「なんであんな距離から当たるんだよっ!?」
第1次大戦時のドイツ帝国陸軍の戦闘服は野戦灰色が採用されていた。
戦後も引き続き採用されており、軍事顧問団でも当然ながら採用されていたのであるが、この色は満州の地では目立ち過ぎたのである。
「正確に狙う必要は無い。弾幕を張って敵を寄せ付けるなっ!」
あまりにも一方的な状況に業を煮やしたのか、MG08が引っ張り出される。
この重機は史実で言うところのMG08/18であり、空冷化と大幅な軽量化によって戦場における運用性を向上させていた。
MG08による制圧射撃は、それなりに有効であった。
カーキ色で周囲に溶け込んでいるうえに、砂塵が舞っている状況では探り撃ちするのがせいぜいではあるが、撃ち込むと射撃は止んだのである。
「くそっ! ちょこまかとっ!」
しかし、それも束の間のことであった。
すぐさま別の場所から銃撃が再開される。後はひたすらに、いたちごっこであった。
「司令、わが軍はほとんど被害を受けておりません」
被害状況をまとめてきた副官が、バウアーに報告する。
相手の位置を特定出来ずに、射程外から一方的に撃ち込まれるという悪夢のような時間は30分ほど続いたのであるが、幸いにして被害はほぼ皆無であった。
「不幸中の幸いといったところか。しかし、妙だな。あれだけ一方的に攻めておいて、何故急に退いたのだ?」
「威力偵察だったのでは?」
「威力偵察ならば、すぐに逃げるだろう。あそこまで粘る意味は無い」
バウアーには、関東軍の動きが理解出来なかった。
あまりにも軍事常識からかけ離れていたのである。
「せめて、捕虜から何か聞き出せれば良いのだがな」
「関東軍は、こちらが接近するとすぐに撤退したそうです」
「容易ならざる敵であることは理解していたつもりだったが、先が思いやられるな……」
ため息しか出ないが、今までが順調過ぎただけと思い直す。
じつは、関東軍にも問題が発生していたのであるが、バウアーは織り込みの作戦であることを信じて疑うことは無かったのである。
「少尉殿、総員配置に就きました」
「よし。命令あるまで待機だ」
「了解であります」
草木も眠る丑三つ時。
荒野の真っただ中は明かりも無く、完全な闇に包まれていた。
「……時間だな」
少尉は腕時計で時間を確認する。
真っ暗闇でありながらも、夜光時計のため時刻の確認には問題は無い。
「よし、攻撃始めっ!」
攻撃命令と同時に、周辺から空気が抜けるような音が発生する。
やがて、遠方から豪快な炸裂音が聞こえてくる。
「コケ脅しのつもりだったが、意外と命中しているな」
燃料に引火したのか、三年式重擲弾筒が着弾した周囲は火災で離れた場所からでも視認出来る明るさであった。双眼鏡で確認すると、ドイツ兵が右往左往しているのが良く見える。
「少尉殿っ! 擲弾撃ち尽くしました」
「小銃で攻撃を続行する。指切り射撃でじっくり狙っていけ!」
擲弾が弾切れした関東軍は、小銃による攻撃に切り替える。
あかあかと燃えているドイツ帝国陸軍遠征軍の野営陣地は、狙ってくださいと言っているようなものである。
部下達も手慣れたもので、手ごろな丘陵で部分遮蔽しつつ、銃撃を加えていく。
1マガジンを撃ち尽くす前に移動することも忘れない。
(10年前の戦場は、こんなにバンバン撃つもんじゃなかったんだがな……)
頼もしい部下たちを見守りつつも、あまりにも様変わりした戦場で感傷に浸る少尉。
彼は、第1次大戦に兵卒として従軍していたのである。
「少尉殿っ! 弾切れですっ!」
「なっ!? もう撃ち尽くしたのかっ!?」
三八式(史実の九九式)の戦場狙撃で半日以上粘った経験のある少尉からすれば、こんな短時間で弾切れとかあり得ないことであった。しかし、事実なのでしょうがない。
ちなみに、21世紀の軍隊では兵士一人あたりの携行弾数は30発入りマガジン5本がだいたいの基準である。しかし、実質的にバトルライフルである八〇式は弾丸が大きいために、マガジン一本あたりの重量と容積がアサルトライフルに比べて大きくなってしまう。
擲弾筒と榴弾も携行しているために、そちらにも重量が割かれてしまう。
そんなわけで、マガジンの携行数は2、3本がせいぜいだったのである。
100発足らずの弾では、人力セミオート射撃をしても、すぐに弾切れになってしまう。榴弾筒を減らせばよいのであるが、『弾幕はパワー』を戦闘教義にしている帝国陸軍では、支援火力を削ることは難しいことであった。
この問題を解決するために、支援火力の機械化も試みられていた。
しかし、実現するには技術的問題はともかく、先立つものが必要であった。要するに全て貧乏が悪いのである。
関東軍の攻撃は、昼夜問わずに続けられた。
リアルタイムで位置を把握し、攻撃の主導権を握ったことで常に戦闘を優位に進めることが出来たのである。
しかし、継戦能力に欠ける関東軍は決定打に欠けていた。
ほとんど一方的に攻撃を仕掛けることが出来たので犠牲は皆無であったが、与えた損害も軽微に留まったのである。
後世の歴史家たちは、この事例を『関東軍のハラスメント攻撃』と称した。
ドイツ帝国陸軍遠征軍の兵士に与えたストレスは膨大なものであり、不眠・神経過敏・失調などで今後の戦局に多大な影響を与えた――と、主に日本人歴史研究家は評価しているのである。
「4号機より入電。大連に関東軍らしき軍勢は認められずとのことです」
「引き続き偵察を続行。『さんふらわぁ丸』はそのまま進行させろっ!」
航空参謀の報告に、『鳳翔』艦長の河村義一郎大佐は張り切っていた。なんといっても、鳳翔の初陣なのであるから意気が上がるのは当然のことであろう。
「2号機着艦完了!」
「燃料補給を急げっ!」
見通しの良い全通甲板では、艦偵への補給作業で大わらわであった。
初陣のため若干の混乱が見受けられるが、それでも迅速な仕事ぶりは入念な訓練の賜物である。
この世界の鳳翔も世界初の本格的空母として就役していた。
史実と異なるのは、英国からの技術提供と平成会チートによって、より完成された姿で完成したことである。
空母による艦載機運用は、第1次大戦時にロイヤルネイビーが実現していた。
その際の運用ノウハウが帝国海軍に提供されたのである。
平成会技術陣の尽力で、鋼索横張り式の着艦装置や着艦誘導灯も最初から装備されており、安全に着艦出来ると搭乗員からは好評であった。
しかし、肝心の艦載機の開発が間に合っていなかった。
三菱、中島の両社の機体は性能不足で不採用となってしまったのである。
帝国海軍では、間に合わせのために英国から機体を導入した。
輸入機であるため制式名称は付与されず、現場では英式艦偵、英式艦戦、英式艦攻と呼称されていた。
不具合が出尽くした旧式機であるために稼働率は良好であった。
そんな旧式機であっても、三菱と中島が提出した機体よりも高性能であったため、両社は巻き返しのために新型機の開発に必死であった。
平成飛行機工業――名前で既にお察しであるが、平成会傘下の航空機メーカーが台頭してくると、三菱・中島・平成の3つ巴の仁義なき技術開発競争が勃発した。
平成会のモブ技術者たちの史実知識と浪漫が詰まった機体に、堀越、小山といったエース設計者は真正面から対抗することになるのである。
(それにしても派手な船だな)
河村は、右舷側を並走する船をあらためて眺める。
白亜の船体の側面に、太陽を意匠したと思われる派手なマークが大きくペイントされていてインパクト抜群であった。
さんふらわぁ丸は、平成会傘下の造船所で建造された。
モデルになったのは、史実の『さんふらわぁ』である。
関東大震災後の帝都では、急速にモータリゼーションが進んでいた。
国内自動車登録台数は右肩上がりであり、戦後昭和のマイカーブームを彷彿とさせるものであった。
さんふらわぁ丸が建造されたのは、そんな時代の空気を先読みしてのことであった。しかし、大半のマイカー所有者は休日に家族で近場にドライブする程度で満足してしまっていた。船に乗って県外まで遠出するなんてことは、この時代の日本人には想像の範囲外だったのである。
困ってしまったのは、さんふらわぁ丸を運用する平成会傘下の船会社である。
船内設備が豪華なので、国内専用クルーズ船として運用することでそれなりの利益を上げたものの、船内に抱えた広大なスペースを持て余していたのである。
そこに目を付けたのが陸軍と海軍の平成会派であった。
大連への強襲上陸にあたって、ちまちまと荷下ろしするのは危険極まりない。荷下ろしを一気に済ませるべく徴用したのである。
「接舷完了!」
「船首ランプウェイ開放開始っ!」
接舷した、さんふらわぁ丸の船首に備えられたランプウェイが解放される。
やがて吐き出されてくるのは、大量の軍用トラックと戦車である。
「どうにか上陸出来ましたね」
「うむ、だが油断は禁物だ。ここから先は戦場なのだからな」
タラップを降りながら、連隊長である相沢三郎大佐は副官を諭す。彼らの後ろには、近衛師団の精兵が続いていた。
カーフェリーとして建造されたさんふらわぁ丸は、この世界初のRO-RO船(Roll-on Roll-off ship)として運用された。オリジナル譲りの搭載量をもってすれば、近衛師団麾下の戦車中隊と輸送部隊、歩兵2個連隊を一度に輸送することなど朝飯前だったのである。
この圧倒的な輸送力を知った陸軍、特に陸軍運輸部は非常に高く評価した。
さんふらわぁ丸を有事の際には借り上げることを条件に、補助金が出されたのである。
その輸送力故に、陸軍で独自に整備することも考えられた。
しかし、建造ノウハウを持っているのが平成会傘下の造船所のみであり、建造費も高くつくので二の足を踏むことになった。
結局は、予算不足のためにRO-RO船を優等船舶として建造に補助金を出す制度を制定するのにとどまったのである。
「あからさまに避けられています。関東軍と見間違われているのだとしたら、どれだけ嫌われているのですかね……」
副官はため息をつく。
大連から新京を目指す道中、近衛師団は小さな村の近くに布陣したのであるが、村は固く戸を閉ざして誰一人出てこようとはしなかった。商魂たくましい中国人であるならば、相手が誰であろうと声くらいかけてきそうなものなのであるが。
「……いや、違うな」
「えっ?」
しかし、相沢は副官の言葉を否定する。
そこかしこが破壊されている村の様子から、相沢は別の結論に達していたのである。
「兵隊さん、お願いがあります。この村を救っていただけませんか」
相沢の仮定が正しかったことが証明されたのは、その日の夜のことであった。
本営に居た相沢を、一人の老人が訪ねてきたのである。
「貴方は日本人だな。何故このような場所に居るのだね?」
「しがない浪人です。若いころは、馬力に任せてこの地でいろいろやってましたが、今はこの村で落ち着いてます」
老人は、いわゆる大陸浪人であった。
明治期に日本を飛び出し、大陸で様々なことを手掛けてきたとのことである。どこまで本当か分かったものではないが。
「この村の住民は、度重なる馬賊の襲撃を受けて生活もままならぬ状況です。このままだと離散するしかありません。お願いです助けてください!」
老人は必至に哀願する。
少なくても嘘は言っているようには、見受けられなかった。
「彼奴等の根城は分かるか?」
「この近くの山を根城にしているとだけしか。連中が居座っていると分かってからは誰も山に近づきませんし……」
「ふむ、そういうことならば引き受けよう」
「本当ですか!?」
「連隊長殿!?」
相沢の返事に歓喜する老人。
その一方で、副官は渋い表情をしていた。
「我らは新京に居座る関東軍を討つ任務があります。こんなところで道草を喰うわけには……」
「義を見てせざるは勇無きなり、だ。我らは皇軍、その中でも模範を示すべき近衛師団なのだ。この程度ことやってのけずに如何する!」
ここまで言われると、頭の固い副官も了承せざるを得なかった。
なんのかんの言っても、彼は相沢を慕っていたのである。
「なんだてめぇは!?」
老人の頼みから三日後。
村人が閉じこもっているのを良い事に、好き勝手に略奪していく馬賊たち。そんな中で、ふらりと現れる軍服姿の男が一人。
「通りすがりの兵隊さんだ。文句あるか?」
馬上から凄む馬賊の親分に、すまし顔で答える相沢。
馬賊が出たとの報に、誰よりも早く現場に駆けつけたのである。
「うるせぇ、死ねっ!」
余裕ありまくりな態度にムカついたのか、問答無用で愛用のモーゼルC96を突きつけて――その瞬間に手首を切り飛ばされた。相沢の抜く手も見せぬ居合切りである。
「ぎゃぁぁぁぁぁぁぁ!? 俺の手がぁぁぁぁぁっ!?」
あまりのことに落馬して、なおも転げまわる馬賊の親分。
その間にも、部下達は相沢に一方的に殺戮されていく。
「連隊長殿!? ご無事ですかっ!?」
副官が駆け付けた時には既に終わっていた。
返り血で真っ赤に染まった相沢を見て、一瞬ギョッとした表情を見せる。
「こいつを尋問してアジトを吐かせろ。素直に吐けば治療してやると言っておけば嘘はつかないだろう」
「は、はぁ……先に治療しないと出血死してしまうのでは?」
「人間、手首を斬られたくらいで早々死なん。その分、苦しむことになるがな」
第1次大戦の西部戦線でドイツ兵を斬りまくった相沢は、何処を斬ればどの程度の時間で死ぬかを体得していた。基本的に斬るときは即死する首を斬っていたのであるが、それは彼が慈悲深い性格故であった。
ちなみに、リストカットで自殺しようとした場合は、手首の脈を測る血管をバッサリと切る必要がある。
そのうえで、血液を凝固させないようにする必要があるが、そこまでやっても意識不明までに40分ほどかかるのである。手首を斬り飛ばされた場合も、これと大差無いであろう。
その翌日。
アジトの場所を把握した近衛師団は、大規模な山狩りを開始。ほどなく馬賊の一団は壊滅したのである。
老人と村民の感謝を受けて、近衛師団は新京を目指す。
その道のりには、幾つもの障害が立ちはだかることになるのである。
以下、今回登場させた兵器のスペックです。
八〇式自動小銃
種別:軍用小銃
口径:7.7mm
銃身長:416mm
使用弾薬:三八式普通実包(史実九九式普通実包)(7.7mm×58)
装弾数:30発
全長:870mm
重量:3700g(弾薬除く)
発射速度:毎分600発前後
銃口初速:740m/s
有効射程:400m
1920年(皇紀2580年)に制式採用された突撃銃。
平成会の技術陣が、史実のAK47をベースに開発した。
AK47をベースにしているが、使用弾薬の形状の違いのために箱型弾倉が採用されている。元が元なだけに、その信頼性は折り紙付きで前線の兵士からは絶大な信頼を勝ち取ることになる。
※作者の個人的意見
安くてタフな突撃銃を作るならAKをベースにするしかありませんよね。
当時の日本人の体格でフルオート射撃を御せるか心配になりましたが、セミオートならなんとかなるでしょう。同じ弾薬を使用する史実の四式自動小銃だって一応成功していますし。
九九式普通実包は初速730m/sでエネルギーは3144J、7.62mmNATO弾は初速833m/sでエネルギーは3304Jなので、99式のほうが多少マイルドで撃ちやすいはず……と、思ったらM14は1kg近く重いから大差ないかも。やはり減装弾を作るべきか……(悩
MP18
種別:短機関銃
口径:9mm
銃身長:201mm
使用弾薬:9mmパラベラム弾
装弾数:20発
全長:818mm
重量:4350g
発射速度:毎分350~450発/分
銃口初速:380m/s
有効射程:100m
史実では浸透戦術を実現するために開発された世界初のサブマシンガン。
この世界では、早期に第1次大戦が終結したために戦後の制式採用となった。
史実との最大の違いは、ルガーP08用のスネイルマガジンではなく、最初から専用のボックスマガジンが採用されていることである。装弾が楽になり、軽くなったことで携帯性は増したが、その分反動を吸収しづらくなって命中率に悪影響が出ている。
安価で大量生産向きな構造と、近距離で圧倒的火力を発揮出来るMP18は次世代兵器としてドイツ帝国陸軍の上層部に期待されており、急速に配備が進められている。
※作者の個人的意見
性能はオリジナルと大差無いので、特に書くことは無かったりします。
ただまぁ、極端から極端に振れるゲルマン民族ですので、MP18が配備され出したら旧来のGew98は急速に退役するんじゃないですかねw
MG08
種類:重機関銃
口径:8mm
銃身長:720mm
使用弾薬:8mm×57mm
装弾数:250発(布ベルト使用時)
全長:1390mm
重量:14.0kg
発射速度:480~600発/分
銃口初速:900m/s
有効射程:2000m
第一次世界大戦時のドイツ軍の標準的機関銃。
戦後になっても、改良が続けられて未だに主力重機関銃の座にある。
※作者の個人的意見
拙作で描写したのは、MG08/18です。
空冷化と軽量化がされたタイプで、しばらくは現役でしょうね。
三年式重擲弾筒
種別:重擲弾筒
口径:50mm
銃身長:254mm
使用弾薬:専用設計の煙幕弾、手りゅう弾など
全長:610mm
重量:4700g
有効射程:使用する弾薬によって異なる。
最大射程:800m(5式榴弾使用時)
平成会の技術陣が史実知識を活用して開発した史実の八九式重擲弾筒。
大正三年に実用化されたために三年式の名称となっている。
新たに開発された羽根付きの専用擲弾(5式榴弾)を使用することで、大幅に射程が延伸されている。その分威力は減じてしまっているが、音だけは派手なのでコケ脅しには適しているとのこと(兵士談
※作者の個人的意見
史実では擲弾筒を焚火に命中させて、周囲の中国兵を全滅させて勲章をもらった猛者もいるとのこと。擲弾筒って狙撃武器でしたっけ?(錯乱
個人的にはライフルグレネードを採用したいところなんですが、実弾で発射出来る弾丸トラップ方式はこの時代では厳しいかもしれません。確か、ケブラー関連の技術が必要だったはず。アドオン式もかっこいいし、でもやっぱり一長一短あるし悩みどころですね……。
鳳翔
排水量:10500t(公試)
全長:179.5m(飛行甲板を含む)
全幅:18.90m
吃水:6.17m
機関:パーソンズ式高低圧ギヤード・タービン2基2軸推進
最大出力:30000馬力
最大速力:24.7ノット
航続距離:14ノット/10000浬
乗員:550名
兵装:毘式四十粍4連装機銃3基
艦載機24機(艦戦9機、艦攻9機、艦偵3機、補用3機)
この世界でも史上初となる本格的空母。
史実とは違い、最初からほぼ最終段階の装備と艤装を実現している。
艦載機の調達が間に合わなかったために英国から機体を輸入することで急場をしのいでいるが、後に国産機に置き換えられることになる。
※作者の個人的意見
史実と兵装が違いますが、これは年代的な問題もありますが毘式の性能と信頼性が向上しているのが原因です。
MK.8のサブタイプである自動射撃用の高初速モデル(AHV)は、空母『イラストリアス』に装備されていましたが、いずれも大きな動作不良はなく、全門合計で約3万発を発砲したとされているので信頼性は充分でしょう。こいつの4連装バージョンで高初速モデルであsるMK.7*を英国からライセンスして装備しているという設定です。
英式艦偵(ブリストル F.2シーファイター)
全長:7.87m
全幅:11.96m
全高:2.97m
重量:975kg
翼面積:37.62㎡
最大速度:198km/h
実用上省限度:5500m
武装:7.7mmヴィッカース機銃×2(胴体上部・前方固定)(観測員席・後方旋回)
エンジン:ロールス・ロイス・ファルコン3 液冷エンジン 275馬力
乗員:2名
史実では第一次世界大戦後期の英国陸軍航空隊の主力戦闘機であったが、円卓によって以下略。
複座であるにもかかわらず、単座のブリストル スカウト戦闘機に匹敵する運動性を備えた高性能機。本来は爆装も可能なのであるが、シーファイターに改修する際に着艦装備の追加や、通信機器の増設による重量増によって不可能となっている。
帝国海軍で採用された際には、艦偵として運用された。
戦闘機は単座という意見が根強かったためであるが、装備されていた英国製無線機が国産に比べて格段に高性能であったために、戦闘で失われることを惜しんだことも影響している。
※作者の個人的意見
史実だと双発万能戦闘機論が出張ってくるのは1930年代半ばなので、それまでは戦闘機は単座が当たり前でした。この世界でも同様の流れを辿ると思われるので、艦偵として運用されることになりました。
英式艦戦 (ソッピース ドラゴン)
全長:6.63m
全幅:9.47m
全高:2.9m
重量:967kg
翼面積:25.2㎡
最大速度:240km/h
実用上昇限度:7600m
武装:ヴィッカース機銃×2(主翼) 11kg爆弾4個(主翼下面)
エンジン:ABCドラゴンフライ 星型空冷エンジン 360馬力
乗員:1名
第1次大戦末期に活躍したソッピース キャメルに大出力のエンジンを載せた機体。
史実では2機のみ生産されたが、この世界では円卓技術陣の努力により大戦序盤から投入された。大出力にモノを言わせた高速と爆装が可能であり、史実ソッピース サラマンダーが装備した爆弾を装備することも可能。その性能は同時代では圧倒的であり、ソッピースの悪夢と呼ばれた。
帝国海軍で運用される際にアレスティング・フックを後付けして、艦載機として運用された。当時としては長大な鳳翔の甲板からだと、ワイヤー無しで着艦が可能であった。
※作者の個人的意見
この世界の英国だと、とっくにロートル機です。
でも、この時代に開発された10式艦戦よりも高性能だったりするので、そりゃ三菱も中島も顔が青くなるわなとw
英式艦攻 (ソッピース クックー)
全長:8.68m
全幅:14.25m
全高:3.25m
重量:1000kg
翼面積:52.6㎡
最大速度:190km/h
航続距離:539km(291浬)
実用上省限度:3690m
武装:18インチ魚雷(胴体下)
エンジン:ロールス・ロイス・ファルコン3 液冷エンジン 275馬力
乗員:1名
母艦からの運用を考えて設計された史上初の非水上機。
史実では第1次大戦に間に合わなかったが、この世界では円卓の奮闘で以下略。
この世界では、ロールス・ロイス・ファルコンに換装したMk.3仕様をベースに改修が加えられてロケット弾の運用も可能になっている。
帝国海軍で運用された際には、主翼下のロケット弾装着マウントを撤去して軽量化が図られている。ただし、その効果は微妙だったようである。
艦攻としては異例の単座であるが、当時の機材では正確な雷撃は難しかった。
そのため、導入された3機種の中で最も早く退役している。
※作者の個人的意見
第1次大戦時ならともかく、艦船の高速化と雷撃距離の延伸が進むこの時代では単座はさすがに厳しい…。そんなわけで、真っ先に退役することになりましたが、再利用出来ないか考え中です。
さんふらわぁ丸
総トン数:11312t
載荷重量トン数:3831t
全長:185.0m
全幅:24.0m
機関:MAN式2号ディーゼル4基2軸推進
最大出力:24000馬力
最大速力:25ノット
旅客定員:1124名
大型トラック84台、乗用車204台(史実基準)
平成会傘下の造船所が建造した、この世界初のカーフェリーにしてRO―RO船。
史実の初代『さんふらわぁ』を参考に建造しており、白亜な船体と側面の太陽をモチーフにした絵はインパクト抜群である。
史実と異なるのは搭載機関である。
史実の伊一型潜水艦に搭載されたラ式2号ディーゼルを搭載している。
史実と名称が違うのは、この世界のドイツは敗戦したわけでは無いので、わざわざ気を使って名前を変更してまで中立国経由でライセンス契約する必要性が無かったからである。
背の低い潜水艦のエンジンを搭載して縦方向に余裕が出来たために燃料タンクの容量拡大がされており、オリジナルよりも長大な航続距離を確保している。
、
※作者の個人的意見
鹿児島県民なので一度は乗ってみたいと思う、さんふらわぁが爆誕しましたw
この時代の車両(戦車含む)は、現代の基準に比べるとかなり小さいので、旅客定員はカタログスペック以上に積載出来ると思います。チハたんなんて、高さを無視すれば、ちょっとでっかいアメ車程度のサイズしか無いので、普通に200両近く積むことが出来るでしょう。
史実の伊一型潜水艦は、10ノット/24400浬という長大な航続力を誇っていましたが、同様のエンジンを積んで燃料タンクもマシマシなさんふらわぁも同様かそれ以上の航続力を確保出来るでしょう。武装すれば仮装巡洋艦に早変わりですね(苦笑
村田刀
種別:白兵戦兵器
全長:960mm
刀身長さ:678mm
刀身幅:28.8mm
刀身厚み:6mm
柄長さ:230mm
鞘長さ:730mm
全備重量:1.63kg
反り:15.5mm
重心:鍔から92mm
この世界では、平成会がちょっかいを出したせいで、サーベル式の外装ではなく最初から日本刀の外装となっている。材質や製法は史実の村田刀と同様であるが、刀身のサイズや重量バランスは史実の九五式軍刀に範をとっている。
錆に強く、良く切れる実用軍刀であり、曲がっても補修が容易なために、戦場で斬りまくること可能であった。
ちなみに、平成会では軍服に合わせた略刀帯の開発にも介入しており、試作された略刀帯は某る〇剣の斎〇が装備してのと同じデザインであった。実際に使用した結果、軍刀のみを佩用するならば問題無かったものの、他の装備を携帯するのには問題があり、結局史実のデザインに落ち着いている。
この軍刀がSHIMAZUの手に渡ったことにより、キチガイに刃物……もとい、鬼に金棒となった。第6師団には、史実の百人斬り競争よろしく、本当に百人斬った『剣豪』がごろごろいたという。
村田刀の使い手で最も名高いのは、第1次大戦に従軍した相沢三郎(当時大尉)である。
熱烈な志願により特例として第18師団へ転入された相沢は第1次大戦の全期間を戦い抜き、公認記録で130人以上(非公認だとその倍近く)のドイツ兵を斬り殺している。
※作者の個人的意見
軍刀はもっと評価されても良いと思います。
武士の飾りに過ぎないただの金属板から、近代戦術に対応するべく進化した武器なのですから。
この世界ならば、さらに進化させられそうで楽しみではあります。
さすがに斬鉄剣は無理でしょうけどw
ついに始まってしまった関東軍征伐ですが、いろいろな陣営がいろいろ画策しているせいで描写するのが大変です(苦笑
寝耳に水な事態にテッド君もですが、彼の私兵であるウォッチガードセキュリティまで翻弄されています。ビックリドッキリメカの出番はもう少しお待ちくださいw
事態が解決しても、テッド君は七転八倒するのが確定しています。
本編で書くか、自援SSで書くか悩みどころですねぇ…。
カイザーの我儘のせいで、平成会のモブ軍人ズにも大ダメージです。
どんどん前線が遠ざかっていくのは、リスペクト元の地球防衛軍を彷彿とさせますね。
ゲル、パオ、ユルトの違いは言語による発音の違いだけで実質同じなのは、小学校か中学校の社会科で習ったような気がします。ここでは中国語のパオを採用しています。
満州を海に見たてて作戦計画を立てるのは、紺〇艦隊が元ネタです。
ネタ元よりは地味ですが、その分実現性は高い……はず。
帝国陸軍の戦闘服の色がダサい(失礼)と思っていた時期もありましたが、満州の景色を鑑みるにカーキ色は合理的な選択なのですよね。一方で、軍事顧問団はおそらくフェルトグラウ(野戦灰色)でしょうし、国民党軍もそれに倣っているかと。画像を探しているのですが、灰色だったり、濃緑色だったりするんでどっちが正しいのやら悩んでしまいます。ただ、どっちの色も満州の地では浮きまくりでしょう。狙ってくださいって言ってるようなものですね。
擲弾筒は便利なのですが、重量を考えるとライフルグレネードに置換したほうが良いでしょう。ただ、どちらにも一長一短があるので決めづらいというか、アドオン式のグレネードもヴィジュアル的には捨てがたいし……(悩
八〇式のフルオート射撃は厳しいと思います。
九九式普通実包は、7.62mmNATO弾よりは多少マイルドなので制御はしやすいとは思いますけど。やはり減装実包を作るべきだろうか……。
お艦こと、鳳翔さんはこの世界では最初から完成された姿でお披露目です。
この時代の艦載機ならば、普通に運用出来るでしょう。
オリジナル機体を出したくて、平成飛行機工業が爆誕。
派生や改良型は既存のメーカーから、架空機は平成飛行機から出すことになると思います。
さんふらわぁがこの世界に登場してしまいましたが、この時代の戦車もトラックも現代に比べて小さいので、カタログスペック以上に積載が可能でしょう。兵員については、史実クイーンメリーが旅客2000名程度なのに15000人もの兵員を一度に輸送したことを鑑みれば、旅客1000人程度のさんふらわぁでも、2個連隊くらいは問題無いと判断しています。
近衛師団が満州へダイレクトアタックすることに。
新京にたどり着くまでに、どれほどの悪を成敗するかは作者の胸先三寸ですw