第40話 日本上陸
「……船の上から礼砲を受けるなんて初めての体験だけど、なかなか壮観だねぇ」
「先生は礼砲で歓迎されたことないのですか? 僕なんかしょっちゅうですけど」
「一般庶民は、そもそも礼砲を受ける側にはならないっての……」
エドワード皇太子の呑気な返事にため息をつくテッド・ハーグリーヴス。
二人が会話中にも、浦賀水道を通過中の戦艦『レナウン』に対して、礼砲の発射が続く。
「そんなことよりもテッドさん、生まれ故郷なのでしょう? 何か特別な感慨みたいのは無いのですか?」
「生前の記憶だしこれと言っては……それよりも伯爵様は大丈夫なのか逆に心配なのだけど?」
「だから、それはあくまでも史実の話だし!? この世界の僕は、テッドさんと同じくらいに日本を愛するって決めてるし!」
「隣にマルヴィナがいなくて良かったなぁ? いたらとっくに死んでいたぞ」
「ふふん。あのメイドは僕ら3人とは別行動。つまりチャンスはいくらでも……!」
「黙ってれば美形なんだから、その労力を女を口説くのに使えっ!」
マウントバッテン卿との、しょうもないやり取りの間も礼砲は続く。
今回の世界巡幸の一環による日本訪問は公式扱いであり、さらに皇太子は皇族と同等の扱いとなるために、じつに21発もの礼砲が発射されたのである。
「!? これはまた……」
目の前の光景に絶句するテッド。
浦賀水道を抜けて東京湾内部に入ったレナウンを出迎えたのは、ユトランド沖海戦の武勲艦である巡洋戦艦『金剛』と『榛名』の他、本国艦隊に所属する主力艦たちであった。
「極東の島国にしてはなかなかやるね。でも、うちとは比べるまでも無いかな」
「水平線の彼方まで戦艦を並べないと艦隊とは言えないよなぁ」
「二国標準主義(The Two-Power Standard)全盛なロイヤルネイビーを基準にされても困るんだけど……」
比べる基準がアレ過ぎるマウントバッテンとエドワードのやりとりに、再び頭痛を覚えるテッドであったが、視界に入ってきた戦艦を見て絶句した。
「ふふ、英国からの客人が驚いている様子が目に浮かぶな」
「なんといっても、我が艦は世界初の4連砲搭載艦ですからなぁ」
テッドが目にして絶句した戦艦『扶桑』の艦橋では、艦長と副長が湾内へ進入してくるレナウンを観察していた。この世界の扶桑は、平成会の横やりによって連装砲塔6基12門ではなく、4連装砲塔3基12門の砲配置に変更されていた。
この扶桑は14インチ砲12門も搭載しながらも、26ノットを発揮可能な高速戦艦であった。額面上の戦力だけなら世界最強の一角であり、金剛型戦艦を欧州に派遣出来た理由の一つであった。
「式典お疲れ様でした。あらためて日本へようこそ」
「お世話になります。チャールズ卿」
歓迎式典を終えたテッド達一行を出迎えたのは、駐日大使のチャールズ・エリオットであった。彼は3人を迎えの車へと促す。
「どうですか日本の様子は?」
黒塗りのシルヴァーゴースト・リムジンの車内でテッドに話しかけてくるエリオット。
「まさかここまで発展しているとは思いませんでした」
「それは史実に比して、という意味ですかな?」
「!?」
「あぁ、ご心配なく。わたしは円卓のメンバーです」
「……それならば、時代的にあなたのほうがお詳しいのでは?」
「私が思い出した記憶は、シベリア赴任時代の頃で微妙にずれておるのです。もちろん、赴任前に大英図書館で可能な限り史実のことは調べましたが……」
生前の記憶を丸ごと保持しているテッドや平成会とは違い、円卓メンバーの持つ生前の記憶は情報量に個人差が大きかった。それを活かすために円卓が結成されたのであるが、少ないながらも長い歴史をかけて情報を収集、さらに検証していった結果、円卓の史実知識は膨大なものとなった。
集合知とでも言うべき円卓の史実知識は、歴史だけに留まらず技術や文化の面にまで及んでいた。しかし、円卓の史実知識をもってしても、エリオットの日本赴任時代の情報は不十分であった。
「……そうですね。この車中から観察するだけでも、はっきりと違和感が感じられます」
「というと?」
「絶対にこの時代にあるはずの無いものが存在しているということです」
こめかみをおさえつつ話を続けるテッド。
じつは心の中では絶叫してたりするのであるが。
(なんでこの時代に艦〇が!? さ〇ら大戦まで!?)
彼の思いを理解できる人間はこの場にはいなかった。
テッドの苦悶を他所に、一行は最初の宿泊先である英国大使館へ向かうのであった。
「N・M・ロスチャイルド&サンズの日本支店へようこそ。公爵夫人、いや、ミセスマルヴィナとお呼びするべきかな?」
「マルヴィナで良いわ。それよりも何か情報は入ってる?」
マルヴィナはテッドと別行動を取っていた。
いくら何でも、主賓の皇太子を差し置いて夫婦で参加するのはさすがにヤバいと判断されたこともあるが、もう一つの理由があった。
N・M・ロスチャイルド&サンズ日本支店の責任者は、テッドとマルヴィナの結婚式で面識のあるチャールズ・ロスチャイルドである。彼はテッドの助言を真に受けて日本への進出を果たしていた。
日本支店の現在の業務は英国からの輸入代行がメインであり、金さえ積めば多少の無理は聞いてくれると専らの評判であった。
わざわざ英国から輸入するものは高価なものばかりであり、当然金が動く。
金が動けば人が集まり、人が集まれば情報も集まるわけで日本におけるMI6の隠れ蓑の一つになっていた。
「……吉原界隈で、外人客相手に破格の報酬で仕事を募集しているのは事実だよ」
「そう……悪い虫は駆除しないといけないわね」
不気味な笑みを浮かべるマルヴィナ。
怖い。ひたすらに怖い。なまじ美女であるだけに、怖さが際立っていた。
彼女が拗らせてしまったのは、半月ほど前にテッドに手渡された文書を見てしまったことが原因であった。一応機密文書であるので、細かく破ってゴミ箱に捨てる程度には彼も気は使っていた。しかし、世の中にはシュレッダーで裁断された紙片から文章を再現出来る人間もいるのである。もっとも、この時代にはシュレッダーは存在しないのであるが。
せめて、燃やして灰にすれば良かったのであろうが、彼は小道具としてパイプを所持することはあっても非喫煙者であった。そんなわけで、彼が破いてゴミ箱に捨てた文書をマルヴィナは復元してしまったのである。
文書の内容の大半は彼女にとってどうでも良いものであったが、ただ一点憂慮すべき点が記載されていた。日本のエージェントがドーセットにおいて、自分の容姿について調査していたことである。文書の最期には、ハニートラップに注意するよう警告がなされていた。
「すぐに動くつもりかい? ならばこれを持っていくと良い」
そういって、チャールズがマルヴィナに手渡したものは写真付きの社員証であった。当然ながら偽物である。いや、本家が出しているから偽物というわけでは無いのであるが。
「今回の巡幸では、うちもかなり仕事を任されているので、それがあれば現地ではいろいろと融通も効くだろう。現地の社員には、君の命令に従うように伝えておこう」
「ありがとう。恩に着るわ」
「ところで、もう一人はどうしたんだい? 彼が通訳を兼ねているのだろう?」
「問題無いわ。そろそろ着くころだから」
マルヴィナの予言どおり、まさに狙ったようなタイミングでドアが開いて男が入室する。
「遅い」
「地球の裏側から呼びつけておいて、ずいぶんな挨拶だな……」
マルヴィナの言葉にため息をつくシドニー・ライリー。
休み無しで飛行機を乗り継ぐ強行軍をしてきた彼からすれば、グロス単位で文句を言いたいところであるが、目の前の鉄面皮女には無意味であることは身に染みて理解していたのである。
「おぉぉ!? 凄い赤レンガ造りだ!?」
車内から大使館の門構えを見て興奮するテッド。
この建物は、英国工務局上海事務所の技師長ヘンリー・ボイスの設計によるものである。赤レンガ造りが特徴であり、この世界でも史実と同じく1874年に竣工していた。
「そんなに珍しいかな? 赤レンガ造りなんて何処にでもあるだろうに」
「21世紀じゃ希少だったの! それにこの建物は関東大震災で倒壊してしまうし」
史実では関東大震災で倒壊してしまい、1929年に立て直された。
これが現在まで残る駐日英国大使館である。21世紀の住民であったテッドは、当然ながら初代大使館を生で見たことは無かったために、興奮するのも無理からぬ話であった。
「……ドーセット公、折り入ってご相談があるのですが」
「どうしたのですチャールズ卿? あらたまって」
「先ほどの関東大震災の件です」
駐日大使のチャールズが深刻そうな表情でテッドに相談してきたのは、一息入れるべく午後のお茶会をしている最中であった。
「公の生前は日本人だとか。だとすれば効果的な地震対策を知っているのでは無いかと思いまして」
「あー、英国じゃ地震は起きませんからね。耐震設計は考慮外か……」
「耐震設計をすれば倒壊は免れるのですか?」
「それをやるのならば、基礎段階から手を入れないと無理です。補強は有効ですが、関東大震災クラスだと無力でしょう」
「そんな……なんとかなりませんか!? 貴重な研究資料を無にしたくないのですっ!」
悲痛な叫びをあげるチャールズ。
彼は史実において日本仏教を研究をしていた。この世界でも同様であり、公務の合間を縫って資料を買い漁っていたのである。
「史実通りならば、この建物は完全に倒壊してしまうので、建物の外に専用の建物を作ったほうが安全です」
「なるほど……」
「より確実を期すのならば、屋外に地下室を作って保管すると良いでしょう」
「ふむふむ……」
テッドの地震対策を熱心にメモしていく。
その表情は真剣そのものであった。
「どうですかっ!? これがわたしのコレクションですっ!」
後学のためというよりも、完全に興味本位で資料の閲覧を願い出たテッドであるが、快く許可された。一室丸ごと使用した保管スペースには、書画や仏像、仏具などが整然と保管されていたのである。
「うわぁ、こんなにあるんだ。凄いなぁ……って、んん?」
テッドはとある一角が気になって足を止める。
そこには仏像らしきものが整然と陳列されていたのであるが……。
「チャールズ卿? その、これって……」
「おぉ、お目が高いですな。それは最近になってから世に出てきた仏像です。この色、この仕上げ! まさに一級品ですぞ!」
「海〇堂じゃねーかっ!?」
タ〇ヤ式自在置物っぽいフィギュアを手にして絶叫するテッド。
良く見ると、金剛夜叉明王や阿修羅、風神、雷神もフィギュアであった。21世紀の日本人として、仏像とフィギュアをいっしょくたにされてはたまらないとばかりに、説得を試みる。
「これは仏像じゃなくてフィギュアでしょう!?」
「何をおっしゃるドーセット公。物質に魂を込めるという意味では、仏師も原型師も同じでしょう」
「しかし、仏像といったら普通は木製でしょう。これは樹脂で作られたもので……」
「仏像にだって、石や銅製のものがあるではないですか。樹脂で作った仏像が邪道とは決して言えますまい」
「ぐぬぬ……!?」
しかし、理路整然とした反論にあっさりと封殺されてしまう。
口喧嘩では世界最強の英国紳士に勝てるはずは無かった。
「はぁ……。フィギュアの件は見解の相違ということで、いったん置いておきましょう。しかし……!」
仕切り直しとばかりに、彼は壁に吊るされている仏画を指差す。
そこには、史実21世紀のネット上に転がっているような仏像のイラストが掲げられていた。
「あれは仏画じゃなくて、仏像のイラストでしょうがっ!?」
「仏画の新解釈として、史料価値があると見ました。この色使い、繊細なタッチ。最高ですな!」
「ああもぅ、あー言えば、こー言うし。一体どうすれば……!?」
コレクション全体からすれば、フィギュアやイラストは微々たるものなのであるが、その分ディープなものが多くて、テッドは悶絶するハメになったのであった。
「ははっ、お疲れのようですなドーセット公」
「あなたは……?」
「ジョージ・サンソムです。ここで書記官をしております」
疲れ切った表情でコレクションルームから出てきたテッドを出迎える一人の男。
彼の名はジョージ・ベイリー・サンソム。史実では前近代の日本に関する歴史学者であり、特に日本の文化に関する研究で知られた人物である。
「本国でのご活躍は聞き及んでおります。よろしければ私の部屋でお話を聞かせていただけませんか? 日本のコミケに関するご意見を伺いたいのです」
「日本にもコミケがあるのですか!?」
「4年ほど前でしたか。日本人の知り合いに本国のコミケのことを教えたら大層驚いていました」
「その日本人というのは……?」
「間違い無く平成会のメンバーでしょう」
「!?」
「あぁ、わたしも円卓の人間です。ついでに言うと妻もですが」
平成会が、この世界の英国がおかしいことに気付いたきっかけはサンソムのコミケに関する情報であった。そこから、最終的にテッド・ハーグリーヴスへ行き着いたのだから、平成会とJCIAは間違いなく有能であろう。
「……日本でもコミケっぽいイベントがありましてな。そこで本国と同じようなことをやってるんですねと言ってしまったのですよ。そこからやたらと喰いついてくるようになりました」
「なるほど……」
「とはいっても、その規模は本国のコミケとは比べるべくもなかったのですがね」
場所をサンソムの私室に移して話を続ける二人。
この世界の日本におけるコミケは、テッドが主催するコミケよりも早く開催されていた。とはいえ、平成会のメンバーだけの身内イベントのようなものであり、コミケというよりは地方の同人即売会レベルであった。
いつかメジャーにしてやらんと、多忙な業務の合間に頑張っていたところを、サンソムから既にロンドンで大規模なコミケが開催されていることを聞いてしまったのである。彼らの心境はいかばかりであろうか。
「で、その次の年には東京で大規模なコミケが開催されたのですよ」
「ほほぅ……!」
しかし、彼らは不屈であった。
既にロンドンで流行っているなら、逆輸入してしまえば良いとばかりに、スポンサーを募って一気にイベントの大規模化を図ったのである。
ロンドンのコミケ初開催から1年後の1918年に日本版コミケは大々的に開催された。想定以上の人手と大々的な売り上げを記録し、この時代の日本でもコミケが開催可能なことを立証したのである。しかし、そこに至るまでには数々の紆余曲折があった。
何のかんの言っても、常識が平成の世に引きずられている平成会の面々は、今までの身内イベントのノリでコミケを開催しようとしたのであるが、スポンサーから猛反対を受けた。
反対の理由は公序良俗の欠如であった。
江戸時代は、春画に代表されるように性に対して寛容だったのであるが、明治維新後はその手の表現が厳しく規制されていた。そのため、健全なオリジナル漫画や史実2次創作同人誌を宣伝も兼ねて薄利多売(モノによっては無料配布)したのである。
これが評判を呼んでイベントが常設化することになるのであるが、平成会の一部の過激派は納得していなかった。史実の江戸時代の春画においても、ホモや触手や獣姦などなど、現在とそん色ないありとあらゆるジャンルが描かれており、この世界でもそれは同じであった。媒体が和紙から洋紙に変わった程度のことであり、エ〇同人誌の需要は間違いなく存在している――そう、過激派は考えたのである。
彼ら(前世はエロ同人作家)は、コミケで暗躍した。
ターゲットは、身なりが良く、かつ一人で歩いている若者であった。
「兄さん、兄さん。良いモノがあるよ」
と、言葉巧みに物陰に誘い込み、エロ同人誌を売り込んだ。
やってることは昭和の縁日のヤクザそのものであるが、単価を高めに設定したのにも関わらず、売れるときは1冊と言わずに多量に売れたので、最終的な売り上げは、全体からみてもかなりのものとなった。
過激派の活動はこれだけに留まらなかった。
彼らは英国のコミケで堂々とエロ同人誌が売られていることに注目して、それを正当化の理由付けに利用した。ダシにされたテッドにとっては甚だ迷惑な話であったが、翌年のコミケではエロ同人が売られることになったのである。
『世界最強の英国の文化なのだから正しい』というのは、暴論ではあるがある程度の説得力はあった。調子に乗った過激派は、正当化のための錦の御旗として散々にテッドを利用した。
鬼の居ぬ間になんとやらであるが、不幸なことに現在鬼が日本に上陸しているのである。彼らの運命は風前の灯であった。
「……とはいえ、この国のコミケが本国の後追いをしているかと言えばそうでもありません」
「というと?」
「そうですね。これは直接見たほうが早いでしょう。ちょっと失礼」
傍らの衣装棚へ向かうサンソム。
そして彼は着替え始める。
「どうです?」
「どうです……って、これは海軍の制服ですよね?」
テッドにサンソムは海軍の白い軍服を披露する。
「おっと、これを忘れていた」
「て、〇督ー!?」
そう言って頭に大きなT字の着ぐるみを被るサンソム。
それは史実21世紀において配信中の某艦隊育成型シミュレーションゲームの主人公のコスプレであった。
「こういうのもありますぞっ!」
「大〇隊長っ!?」
驚異の早着替えを見せつけるサンソム。
今度はどこぞのもぎりのコスプレを披露する。
「……と、このように本国では無いコスプレ文化なるものがあるわけです。これぞ文化! これぞサブカルっ!」
「いや、あんた確かに史実じゃ日本文化の研究してたけど、そんなんで良いのか!?」
「正直史実のことは興味無いですな。敢えて史実と同じ生き方をする理由は無いでしょうに」
円卓メンバーの史実知識の聴取は義務であるが、史実知識の活用に関しては個人の判断に委ねられていた。生前の失敗を繰り返さないようにと、積極的に活用する人間もいれば、自分の未来を知りたくない、史実に縛られたくないから敢えて使わないという人間もいるのである。そういう意味では、円卓の史実知識の活用が十全に行われているとは言えない状況であった。もちろん、国益に直結する状況ではそんなことも言ってられないのであるが。
(考えてみれば、史実日本の最強武器はサブカルだった……)
史実における日本製のアニメやゲームの世界的浸透を思い出して頭を抱えるテッド。軍事的オプションを事実上放棄しているのにも関わらず、サブカルと経済力で世界に多大な影響力を行使していた史実21世紀の日本。この世界でもそうならないとは断言出来なかった。
日本のサブカルが世界に広がることをテッドは反対しているわけではない。
むしろ、積極的に広がって欲しいとさえ思っていた。しかし、そのことが円卓の利益と衝突することを彼は憂慮していた。いくら中身が日本人であるからといっても、現在の彼には立場というものがあるのである。
(とすると、円卓と平成会の間に入って積極的に利害の調整をするしかない。でも平成会がどう出るか分からない。友好的だと良いのだけど……)
思わずため息が出てしまう。
訪日初日から不安材料しかないことに気が重くなるテッドであった。
しかし、彼はこの後嫌というほど思い知ることになる。
今日のこの日が一番平和であったということを。
以下、今回登場させた兵器のスペックです。
扶桑
排水量:33600t(常備)
全長:210m
全幅:30.1m
吃水:8.7m
機関:艦本式重油専焼缶10基+艦本式タービン4基4軸推進
最大出力:80000馬力
最大速力:26ノット
航続距離:14ノット/8000浬
乗員:1190名
兵装:45口径36cm4連装砲3基
50口径15cm単装砲16基
40口径8cm単装砲4基
40口径8cm単装高角砲4基
53cm水中魚雷発射管単装6基
装甲:水線300mm+30mm
甲板70mm
甲板側面230mm
主砲塔305mm(前盾) 130mm(天蓋)
主砲バーベット部300mm
司令塔305mm+25mm
扶桑型戦艦1番艦。
事実の扶桑と比べると船首が延長されており、船幅も増大している。
増大した水中抵抗を軽減するために試験的にバルバスバウが採用されている。
世界初の4連装砲塔を装備することにより砲塔の数は減っているが史実と同様の火力を維持している。同型艦の山城と共に、金剛型2隻が欧州に派遣されている間のストップギャップを務めた。
建造途中から設計変更した影響で防御性能に難があり、次級の伊勢型戦艦では装甲配置が見直されている。
この世界でも史実同様に12インチ(305mm)以上の甲鈑を作る技術が無かったために、裏側に装甲を貼り足している。ただし、甲鈑の質そのものは向上しており、額面通りの防御性能を発揮している。
※作者の個人的意見
火葬戦記ではお約束な扶桑の魔改造ですw
コメントで意見をいただいてあれこれ捻った結果、扶桑の船体にノルマンディー型の砲配置にしてみました。具体的には、1番砲塔を2番砲塔の位置に、3番砲塔を4番砲塔の位置へ、6番砲塔を5番砲塔の位置へ動かして4連砲塔化しています。3番砲塔があった場所が空くので、ここに追加のボイラーを突っ込んで出力増強を図っています。QE型戦艦と同様の手法ですね。
搭載するボイラーは、拙作の峯風型駆逐艦のボイラーをデチューンして搭載しています。デチューンして1基8000馬力程度と見積もって、10基積んで8万馬力というわけです。どうせ改装するのだから寿命は短めでも良いという平成会の割り切りによるものですが、無茶をすれば28、9ノットくらいは出せるでしょう。バルバスバウも最高速仕様にしてますし。動揺が激しい?バレなきゃ大丈夫です(オイ
防御面は史実よりはだいぶマシとはいえ、かなり穴があります。
砲塔数が減った分、装甲は厚くなっているのですが、建造途中で抜本的な修正は不可能。次級の伊勢型ではこの問題はある程度解決されていますが、扶桑型の場合は来るべき大改装で修正することになります。
今後の改装プランとしては、無難に15インチ3連装3基9門の中速戦艦とするか、それとも史実通りの航空戦艦は……無いか。それくらいなら、普通に空母化してしまったほうが良いですかね。あるいは特殊実験艦にすると言う手も。まぁ、今後の展開次第ですかねぇ。
あとは関東大震災が近いので、長門のスペックも考えないといけませんね。
もちろん、出番的な意味でw
というわけで、日本編スタートです。
結局、導入だけで終わってしまいました(汗
大使館の連中がヤバい?
歴代の駐日英国大使館の面々は学者が多いので、日本の文化や歴史を研究しているうちに染まってしまっただけです。相手の文化を理解することが友好の第一歩ですし。フィギュア集めに血道をあげたり、コスプレを極めようとしてたり、いろいろありますが彼らはとても有能ですので、今後も登場します(白目
テッド君危機一髪は次回以降に持ち越しとなります。
あまり期待せずにゆるりとお待ちくださいm(__)m