第34話 アメリカ風邪(旧題パンデミック)
「状況はどうなっている!?」
「ブレスト、ボストンでアウトブレイク……いや、もうこれはエピデミックです。爆発的に感染が広がっています」
「現地の報道は?」
「混乱しています。未知の伝染病と報道しているメディアもあります」
1918年5月。
2ヵ月前にアメリカのデトロイト付近で発生したインフルエンザは、爆発的な勢いで北米全土に広がっていた。
「……中世の黒死病以来の災厄であるからな。混乱するのも無理もないことだろう」
ロイド・ジョージの発言に円卓のメンバーが注目する。
場が静まったのを確認して、彼は言葉を続ける。
「アメリカで起こっている一連の感染症は、史実のスペイン風邪だ。詳細については専門家を呼んでいるので、彼に話してもらう」
「アレクサンダー・フレミングです。今回の史実スペイン風邪……我々は『アメリカ風邪』と呼称していますが、この感染症について説明させていただきます」
アレクサンダー・フレミング医学博士は英国の感染症研究の権威であり、史実では世界初の抗生物質ペニシリンの発見者である。この世界では、円卓のバックアップを受けてペニシリンの早期実用化にこぎ着けただけでなく、さらなる抗生物質の開発と将来的に脅威と成り得る感染症の研究を行っていた。
「このアメリカ風邪ですが、報告されている症例から推察すると史実のスペイン風邪と大差ありません」
「では、何故これほど急激に広まっているのだ?」
「おそらく、ウィルスキャリアが北米大陸に閉じ込められているからでしょう」
「……アメリカ1国に留まっている分、アウトブレイクが起こりやすい状況になっているわけか」
史実のスペイン風邪は、米軍のヨーロッパ進軍と共に大西洋を渡り、第1波はヨーロッパで流行した。病原性がさらに強まった第2波は、ほぼ世界中で同時に起こり、重症な合併症を起こし死者が急増させた。この世界では、ウィルスキャリアがアメリカ国内に留まったことにより、爆発的な広まりを見せていたのである。
感染症の広まる速さは、キャリアの移動範囲と密接に関係している。
史実1994年にインドで発生した肺ペストは、その感染率の高さにも関わらず都市レベルの被害に留まった。これはキャリアがほとんど移動しなかったことが原因である。
アメリカにおける移動手段は鉄道が主であり、当時の北米大陸には網の目のように鉄道が張り巡らされていた。好景気による観光ブームで鉄道の乗車率は高く、車内で感染した人間が観光地でウィルスをばら撒くという最悪なコンボによって、都市部のみならず地方にまで感染が拡大していたのである。
「アメリカ政府は非常事態宣言を出していますが、地方では治安が悪化して無法地帯と化している場所もあるようです」
「警察で手に負えないなら軍を治安出動させれば良いだけだろう。米軍は何をやっているのだ?」
「……じつはその件でMI6から報告があります」
「猛烈に嫌な予感がするが、とりあえず聞かせてもらおうか」
MI6の責任者であるマンスフィールド・スミス=カミング中将の発言に嫌な予感を禁じ得ない円卓メンバー。しかし、聞かないわけにもいかなかった。
「MI6ではアメリカ弱体化策の一環としてテッド殿……もとい、ドーセット公のメディア謀略に並行して禁酒法の早期実施のための工作を行ってきました」
「禁酒法? そんなものを実現させて何のメリットがあるのだ?」
「酒税の消滅による税収の減少でアメリカの国力を削るためです。加えて、酒の密売に裏社会を絡ませることによって、治安を悪化させる狙いもありました。そして、この計画は成功しました」
MI6の暗躍で全米レベルで禁酒運動が繰り広げられた結果、1915年7月には憲法の修正案が成立して年内に施行された。ボルステッド法(国家禁酒法)も1916年1月に成立し、史実よりも3年以上早く禁酒法が成立したのである。
禁酒法の成立によって、違法な酒の密造・密売が活発化した。
特にボストン周辺はアイリッシュ・マフィアの巣窟となり、闇酒による莫大な利益で急成長を遂げていた。なお、初期の資金繰りに苦しむアイリッシュ・マフィアに、酒の製造施設や闇酒場用の店舗をMI6が提供したとされるが、真相は闇の中である。
アメリカのギャングやマフィアは元軍人らによって鍛えられ、史実の麻薬カルテルの様相を呈していった。組織化と重武装化が進む彼ら相手に通常の警察では対処は難しく、急速に治安が悪化していたのである。
「成功したのなら、何が問題なのだ?」
「裏社会の住民が頑張りすぎて想定以上にアメリカの税収が減少してしまい、その穴埋めに軍事費を流用しているようなのです」
「ちょっと待て。では軍の動きが鈍いのは……!?」
「戦前の調査から大差無いとすれば、史実と比較して人員も装備も著しく劣った状態でしょう。今回のエピデミックに対応出来るとは思えません」
「なんということだ……」
禁酒法の早期成立によってアメリカは貴重な収入源を失い、さらに闇社会の勢力が強大化して治安が悪化した。ここまではMI6の目論見通りであった。しかし、想定外のアメリカ風邪によって国力を削るどころか、アメリカそのものが崩壊の危機に瀕していたのである。
酒税を失ったアメリカ政府は深刻な税収不足に陥った。
しかし、景気を底冷えさせないためには追加の経済政策が必須な状況であり、足りない予算をどこから持ってくるかが問題となった。
時の大統領であるウッドロウ・ウィルソンは、軍事費を大幅削減することで景気対策の費用に充てた。全米に吹き荒れる反戦運動によって、世論も軍事費の削減には肯定的であった。
現代の感覚であれば、税収の不足は国債の発行で賄えると思いがちであるが、この時代では財政均衡が基本である。それ以前に金本位制を採用しているためにその手の経済対策は不可能であった。
金本位制は、金の保有量によって貨幣の価値を定める制度であり、最大のメリットは自国通貨を安定させられることである。
金の価値は、世界中で普遍の価値を持つものであるため、金との交換を保証すれば自国通貨の価値を認められやすい。 通貨が安定すれば、貿易収支の目処も立てやすくなり、輸出・輸入を積極的に行うことが可能になるのである。
史実において、第1次大戦中の各国政府は資金繰りの問題で軒並み金本位制を離脱し、通貨の発行量を通貨当局が調整する管理通貨制へ移行した。
この世界においても、第1次大戦勃発と同時に管理通貨制へ移行していた。
しかし、大戦中はロイヤルネイビー無双で貿易はほぼ維持されていたうえに、戦争自体も短期間で終わったために、早くも金本位制へ戻す準備が進められていた。
アメリカは戦争に参加していなかったために、金本位制からの離脱を良しとしなかった。大抵の資源は自給出来るうえに、モンロー主義で引きこもって貿易も最小限に留めていたために、問題が表面化しなかったのである。しかし、今回の事態の収拾のためには莫大な予算が必要となるため、泥縄式に管理通貨制度への移行が急がれていた。
なお、英国は例外であり、その気になれば戦時においても金本位制の維持は可能であった。金への交換を中止していたものの、交換に応じられるだけの金は常に保有していた。戦前に史実知識を活かしてアフリカで金を掘りまくって金を貯め込んでいたのである。
これに加えて、現在絶賛ハネムーン中な某魔法の壺によって、膨大な金を召喚していた。もっとも、そんな無茶をやったせいで、スキルがオーバーヒートして長らくショタ生活を送るハメになったのであるが。
景気対策の犠牲となった米軍は、戦前よりも酷い状況であった。
人員も装備は更新されず、さらに反戦運動の激化によって士気が著しく低下。ダメ押しで予算不足による給料の遅配も発生しており、生活に困窮した軍人が破格の報酬でギャングやマフィアにヘッドハンティングされたことも状況の悪化に拍車をかけていたのである。
最初の段階で医療従事者の多くが感染してしまった結果、医療体制が崩壊したことも被害の拡大に拍車をかけていた。適切な処置をすれば助かる命も助からず、多数の犠牲者が出ていたのである。
「ただちにカナダ自治領の国境を封鎖せねば」
「アメリカからの船舶は無条件で臨検する必要がある。応じない場合は撃沈もやむなしだ」
「北米航路も無期限で封鎖せざるを得ませんな……」
「皆、時間がない。直ちにとりかかってくれ」
円卓は駐米大使館、現地メディア、さらにMI6など、あらゆる情報源を使って情報収集を行い、辿り着いた結論はアメリカ封鎖であった。アメリカ風邪を世界に公表し、各国の協力を呼び掛けたのである。
「これはいったいどういうことですか!? ご説明願いたい!」
「むしろ、こちらが説明して欲しいのですがね。非常事態宣言を出してから公式声明を出していない。どういうことですかな?」
「ぐっ……!?」
英国は、アメリカへの渡航禁止とアメリカからの船舶全ての臨検、さらにカナダ自治領の国境閉鎖を発表した。これに抗議するために首相官邸に怒鳴り込んだ駐英アメリカ大使のウォルター・ハインズ・ペイジであったが、ロイド・ジョージの指摘に押し黙る。
「件の感染症は、既にアメリカの手には負えないようですな」
「な、何を根拠に……」
動揺するウォルターに、ロイド・ジョージは入手した情報を提示する。
手渡された文書には彼が知らされていない事実までが詳細に記載されていた。
「こ、これは……」
「今回の未曽有のエピデミックに対して、我が国には支援の用意がある。本国へ伝えられるがよかろう」
「……早急に本国へ伝えます」
想像以上に酷い状況の本国に衝撃を受けたのか、悄然として退室するウォルター。そんな彼を見送ったロイド・ジョージは独り言ちる。
「……とは言ったものの、アメリカは支援を受け入れんだろうな。受け入れたとしても既に手遅れだろうが」
ロイド・ジョージの思惑通り、アメリカは今回の感染症を内政問題であると宣言し、各国からの支援を拒絶した。この時点のアメリカ風邪は比較的軽症であり、連邦政府は問題を深刻に受け止めていなかった。なんにせよ、アメリカは自ら最後の救済手段を放棄したのである。
9月以降のアメリカ風邪の第2派は病原性がさらに強まり、重症な合併症を起こして死者が激増した。通常のインフルエンザでは小児と老人の死者が多いのだが、アメリカ風邪では青年層の死者が多かった。
青年層に死者が多い理由は免疫の有無であった。
1889年以降に生まれた人々は、アメリカ風邪に類似した型のウイルスを子どもの頃に経験していなかったため、免疫を獲得していなかった。それ以前に生まれた人々は似た型のウイルスを経験しており、ある程度の免疫を保持していたために重症化を免れたのである。
青年層が壊滅したアメリカは、深刻な労働力不足に陥った。
その結果、女性の社会進出が史実以上に加速されたのであるが、その程度では労働力不足を解決することは出来なかった。エピデミック終焉後のアメリカは大々的に移民を募ったのであるが、この移民がさらなる問題を引き起こすことになるのである。
アメリカ風邪第2派は、非常に重症でかつ短期間に死に至るのが特徴であった。
発症すると急速に肺炎が進み、皮膚や粘膜がチアノーゼ症状を引き起こす。顔全体がチアノーゼで暗青色に変色することもあった。
白人患者が、黒人と区別出来ないくらいに肌が変色した写真が『黒死病の再来』という見出しでメディアから報道された途端、アメリカ国内はパニック状態に陥った。この時点では国内の移動は可能であり、感染を免れるためにカナダやメキシコ国境に殺到したのである。
「止まれ! 止まらないと撃つぞ!」
「抵抗しないから撃たないでくれ!」
ガスマスクと防護服に身を包んだ兵士たちが、カナダへ越境しようとした男性を拘束する。この部隊は、英陸軍がドイツの毒ガス対策に創設した化学防護部隊であった。ドイツが毒ガスを使用しなかったので、第1次大戦時には出番が無かったのであるが、今回の事態に急遽カナダへ展開していたのである。
拘束された男性は、国境沿いに設けられた難民キャンプに放り込まれた。
キャンプの衛生状態はお世辞にも良いとは言えず、非人道的な扱いと後に非難されることになるのであるが、これでもまだメキシコの対処に比べれば穏当なほうであった。
「ちっ、手間取らせやがって」
越境しようとした男性を警告無しで射殺したのは、アルバロ・オブレゴン率いる革命軍の兵士であった。メキシコは革命路線の違いで対立し、内戦の真っ只中であったが、その原因を作ったアメリカに対する敵意は共通であった。凶悪な感染症のキャリアの侵入を防ぐという大義名分を得た彼らは、越境アメリカ人を問答無用で射殺していたのである。
アメリカ国内の混乱ぶりや、カナダ国境の難民キャンプ、さらにメキシコ国境の実態は英国メディアを通じて世界中に拡散された。アメリカ風邪の脅威を世界中の国々が周知することになり、各国政府は英国の要請を受け入れてアメリカとの交流を停止した。世界中から孤立することになったアメリカは、各国に対して恫喝とも取れる抗議を行い、交流の再開を求めたが無視されたのである。
こういうときに物を言うのが、外交の延長線たる軍事力である。
悲惨すぎる陸軍とは違い、海軍は弩級艦がメインではあるものの、それなりに有力な艦隊を有していた。しかし、ユトランド沖海戦で英国無双が世界中に喧伝された現状では、アメリカ海軍は所詮は2流海軍であった。むしろ、第1次大戦で奮戦した日本海軍の評価のほうが高かったのである。
その程度の戦力を背景に砲艦外交で交流を強制しようものなら、ロイヤルネイビーが全力で潰しにくることは明白であったため、海軍関係者が必死になって政府の暴走を止めていたのである。
「船影視認……アメリカの商船旗を掲げています!」
「停船命令と同時に発光信号! 変な動きをしたら砲撃しても構わんが、当てるなよ!?」
「アイアイサー!」
大西洋上を航行する一隻の船舶。
船尾にアメリカの商船旗を掲げる輸送船に対して、戦艦『レナウン』の艦長は矢継ぎ早に命令を下す。
「接舷完了!」
「ようし、乗り込めっ!」
停船を確認するとカッターボートが下されて商船に接舷。
タラップを通じて、ガスマスクと防護服に身を包んだ部隊がアメリカ船に続々と乗り込んでいく。
「なんだ君たちは……ぐわっ!?」
「きゃぁぁぁ!? 止めてっ!?」
「ママぁぁぁぁぁぁ!?」
乗客たちは問答無用で消毒液をぶっかけられた。
その後、医師による検査が行われ、発症が見られなかったために本来の目的地とは異なる場所へ船ごと移送された。
拿捕されたアメリカ船は、カナダ東部のマドレーヌ諸島へ集められた。
島内には医薬品や食料が備蓄されており、乗客はエピデミックが終焉するまでここで過ごすことになる。
大西洋航路は無期限封鎖されていたものの、独自に船をチャーターするなどして北米大陸からの脱出を試みる人間は多かった。そんな船舶に対して、英海軍は容赦なく臨検と消毒を行っていたのである。
大西洋だけでなく、カリフォルニアなど西部沿岸州から太平洋に脱出する人間も多かった。こちらは、英国からの要請で日本が艦隊を出して警戒していた。
「史実で50万近い人間が国内で死亡している。そんなものを上陸させたら大変なことになる!」
「これは海軍の総力を挙げる必要がありますな……」
「海軍だけでなく、民間船も監視に参加させましょう。レーダーが無いので無いよりはマシな程度ですが、それでも無いよりはずっと良い」
史実スペイン風邪の猛威を知る平成会は、振り向けられる戦力全てを太平洋上に展開させた。大半の脱出船が、ハワイを目指したために平成会の努力は徒労に終わったのであるが、その代償としてハワイでもアメリカ風邪が流行して少なくない数の犠牲者が出ていた。その穴埋めとして、日本から大量に移民が流入してハワイは日本色が強くなっていくのである。
「このままではステイツが崩壊してしまいかねん。何か策は無いのか!?」
「海軍はまだしも、肝心の陸軍が組織崩壊を起こしている状況では、はっきり言って打つ手がありませんな」
「何を悠長なことを言っている!? こういう時のための軍隊だろう!?」
「そうは仰りますが、景気対策のために軍事費を削ったのは大統領ですぞ!?」
「わたしはアメリカンボーイズを人殺しにしたくなかった。国民だって戦争に反対していたではないか……!」
1918年12月。
前代未聞のパンデミックに対して、連邦政府の対応は常に後手に回っていた。さらに、アメリカ風邪で連邦陸軍が無力化してしまった結果、政府は地方に直接干渉する術を失っていたのである。
「現状では、我々は諸州に対する影響力を行使出来ません」
「ではどうすれば良いというのだ!?」
「……今からでも遅くありません。英国の支援を受け容れるべきでしょう」
「これは内政問題だ。安易に海外勢力を受け容れることなんで出来るはずがないだろう!?」
この時点でアメリカ国内の医療体制は完全に崩壊していた。
十分な医療を受けられずに他の州へと移動する医療難民が大量に発生しており、州政府は被害拡大を防ぐために州境を封鎖していた。
連邦政府は州境の封鎖を解除する命令を出したが無視された。
口先だけで具体策を取れない連邦政府を、既に諸州は見放していたのである。東海岸の都市部は比較的統制が保たれていたが、それは連邦政府が機能していることを意味しなかった。
「慌てるな! 薬も食料もまだあるから、きちんと並べ!」
「ボス、食料目当てに暴動が起きています!」
「暴れる馬鹿どもは、うちの兵隊でぶちのめしてこいっ!」
都市部では、ギャングやマフィアが救済活動にあたっていた。
彼らは闇酒で荒稼ぎした資金で物資を調達して、気前よく市民に放出していた。元より法に縛られないアウトローな連中である。独自のルートを活用して封鎖された州境を突破し、何処からともなく食料や医薬品を調達していたのである。
市民からすれば、何も出来ない政府よりも裏社会の住民のほうが、よほど信用出来る存在であった。終戦直後の治安をヤクザが担っていた史実日本のような光景が東海岸の都市部で繰り広げられていたのである。
彼らとて、善意だけで救済活動をしているわけでは無く、マネーロンダリング(資金洗浄)も兼ねていた。非合法な手段で稼いだドルが、非合法な手段で全米にばら撒かれて物資調達に使われたのである。
エピデミック終焉後、救済活動をしていた裏社会の住民は市民らの絶大な支持を集めた。都市部のギャングやマフィアは、直接立候補して議員となったり、あるいは間接的に自分の息がかかった議員を送り込んだ。政治的に影響力を持つようになった彼らは、連邦政府も無視できない存在になっていくのである。
特にシカゴは、アル・カポネが絶大な権勢をふるい、アル・カポネ帝国とまで言われた。彼は闇酒で築いた豊富な資金を使って、自らの息がかかった議員を大量に送り込んで、ギャングが優位になるように法律の改正を行った。その結果、シカゴのギャングは企業買収を繰り返し、表の世界で一大コングロマリットに成長することになるのである。
シカゴほどでは無いにせよ、ボストンもアイリッシュ・マフィアが支配する地となった。彼らは、労働力確保のためにアイルランドで困窮する人々を移民として迎え入れたのである。
この移民は、アメリカとアイルランド両政府の意向を無視したものであったが、連邦政府にはアイリッシュ・マフィアを止める手立てが無く、アイルランドからすれば移民の送金が美味しいので黙認していた。
この他にも、全米各地にギャングやマフィアが支配する地が増大し、連邦政府の威光は衰えていった。この世界のアメリカは、映画アンタッチャブルでエリオット・ネスがいない状態と化したのである。
どうにか帰省前に書き上げることが出来ましたεー('ω`n
火葬戦記において、リアルチートなアメリカの弱体化は誰しもが考えることですが、おいらは史実のスペイン風邪を利用しました。世界中であれだけ猛威を振るったスペイン風邪が、アメリカ1国で留まったら全米中で阿鼻叫喚な事態になると思います。
ただ、アメリカは地力があるのでこの程度では崩壊しません。
弱体化はするでしょうが、アメリカとして存続は可能です。ギャングとマフィアに牛耳られる国になってしまいますけどw
アメリカ風邪の名称については悩みました。
リスペクト元でも採用されていますので、出来れば避けたかったのですが他に適当な名称が見つからない。というか、アメリカをこの機会に蹴落としたい英国からすれば、アメリカ風邪の名称を採用しない理由がないわけで、泣く泣く採用となりました(オイ
アメリカはこのままでは終わりません。
じつはもう一段階変身を残しているのですが、どんなふうになるかは乞うご期待ということで……w