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第10話 マルマラ島沖海戦


「ガリポリ要塞が突破されただと!?」


 オスマン帝国の首都イスタンブール。

 その中でも一際目立つドルマバフチェ宮殿内の執務室で、陸軍大臣イスマイル・エンヴェル・パシャは、部下からの報告に驚愕していた。ガリポリ要塞は、無数の機雷原と海峡に多数配備された砲台によって、難攻不落の要塞と聞かされていたからである。


「……それで、どの程度の損害を与えたのだ?」

「そ、それが、英軍はほとんど損害らしい損害を受けておりません」

「なんだと!? 第5軍団は昼寝でもしていたのか!?」


 よしんば、突破出来たとしてもガリポリ要塞を守護する第5軍団は、オスマン帝国の最精鋭部隊である。如何に英軍が強大であってもまともに相手取れば甚大な損害を受けるであろうし、ドイツ軍が救援に来るまで時間は稼げるはずであった。しかし、その前提が覆されてしまったのである。


「海軍は何をしておる!? あんな旧式艦隊なぞ新鋭戦艦の敵ではなかろう!?」


 ほぼ同時刻。

 別の場所にある執務室で、海軍大臣アフメト・ジェマル・パシャは報告を持ってきた部下に怒声をあげていた。ドイツから齎された情報が正しければ、地中海遠征軍は前弩級戦艦6隻を基幹とする上陸船団であり、その程度なら十分対応出来ると彼は判断していたのである。


 英国は弩級戦艦『レシャディエ』と『スルタン・オスマン1世』の2隻をオスマン帝国に引き渡していた。これは史実の反省に基づき、トルコの反英感情を激発させないための措置であり、同時に戦後統治を鑑みたものでもあった。ちなみに、英国が滞在させていた軍事顧問団は、オスマン帝国が同盟側で参戦するのと同時期に国外退去処分させられていた。


 オスマン帝国が敵対したときに有力艦として使用されるリスクに関しては、意外なことに円卓ではさほど問題とはされなかった。つまりは、今の英国にとってはその程度の艦だったのである。現在、英国海軍本部ではジョン・アーバスノット・フィッシャー大将の主導で『V作戦』を遂行中であり、飛躍的に戦艦戦力が強化されていたのである。


 そんな英国の思惑をジェマル・パシャは知る由も無かったのであるが、上記2艦に加えて、大戦勃発直後にオスマン帝国領へと避難してきたドイツ地中海艦隊の巡洋戦艦『ゲーベン』と軽巡洋艦『ブレスラウ』が交渉の末に譲渡され、ゲーベンは『ヤウズ・スルタン・セリム』に、ブレスラウは『ミディッリ』と改名されて艦隊に編入されていた。オスマン帝国海軍は飛躍的に強化されており、前弩級艦など物の数では無いはずであった。彼の怒声も至極当然のことであろう。


「周辺の部隊を至急呼び戻せ! これはジハードである!」

「はっ!」


 防衛計画を根底から覆されてしまったジェマル・パシャに出来ることは、泥縄的に陸戦でイスタンブールを防衛することのみであった。







「各部点検異常無し!」

「機体の移動を急げ!」


 時系列は遡り、イスタンブールを目指して東進する地中海遠征軍で慌ただしい動きを見せている船があった。『エンパイア レイトン』と名付けられたその船は、商船でありながら舷側から支柱を伸ばして広大な一枚板の甲板と、右舷側に小さなブリッジを有していた。いわゆる史実のMACシップそのものであったが、この時代の航空機は複葉機が主流であり、この程度の設備でも一線級の機体の運用が可能であった。ちなみに、この世界ではハッシュ・ハッシュ・クルーザーが建造されなかったため、エンパイア レイトンは史上初の航空母艦として歴史に名を刻むことになる。


 エンパイア レイトンは、史実第2次大戦時に米国が建造したリバティ船の仕様を再現した船である。とはいえ、そのまま再現したわけではなく、テッド・ハーグリーヴスが召喚したリバティ船に関する詳細な書籍を参考にして、溶接性鋼を使用することによる低温切欠き靭性の確保と、脆性破壊の定量的評価を導入することによって、リバティ船の欠点を完全に克服していた。


 リバティ船の建造が可能になったことで、英国の造船技術はリベットではなく、溶接によるブロック工法が主流となっていった。本国のみならず、自治領や植民地の造船所にまで技術導入が進んだ結果、改良型リバティ船は、エンパイアシップとして膨大な数が建造されることになる。


「チョーク外せっ!」


 所定の位置まで移動した機体はエンジンを始動させ、その後車輪止めが外されて離陸していく。


 発艦する機体はブリストル F.2ファイターであった。史実では大戦後期の英空軍の主力戦闘機であったが、円卓技術陣の努力でこの時期に実戦配備が開始されていた。


 この艦隊では、複座であることを買われて偵察機として運用されており、機体自体にも着艦フックの追加に加えて通信装置や足回りの強化など艦載機として必要な改装が施されていた。非公式に『シーファイター』の名で呼ばれていたが、その名が定着するかは今後の活躍次第であった。







「提督、偵察機より入電。オスマン艦隊を発見したそうです」

「ふむ、位置は?」

「マルマラ島東の沖合です」

「なるほど、下手に動くと索敵をすり抜けられると見て待ち構えたか……」


 幕僚からの報告に、サックヴィル・カーデン提督は見事な口ひげを弄りながら思案する。


「よし、進路はこのままで艦隊の速度を落とせ。予定より早いが彼らに働いてもらおう」

「アイアイサー!」


 命令は即座に艦隊に伝えられ、カーデンの座乗する旗艦『オーシャン』は速度を落とす。周囲を航行する僚艦と、後方に位置する上陸船団もそれに倣って船足を低下させた。


 オーシャンは19世紀末に建造された前弩級艦である。

 今回の作戦には、『アルビオン』、『ヴェンジャンス』、『カノーパス』、『グローリー』、『ゴライアス』のカノーパス型戦艦の全てが参加していた。


 前弩級艦が投入されたのは、上陸戦の支援火力として適当だったことに加えて、史実同様に失っても惜しくないということがあった。ガリポリ要塞の無力化が想定以上に成功してしまったため、この時点で全艦健在であったが、最悪のケースでは全滅する可能性も想定されていたのである。その場合は、エンパイア レイトンの航空隊と別動隊でオスマン海軍に対処することになっていた。


 要するに分かりやすい囮であり、当然ながら生粋の戦艦乗りである彼らには面白くなかったのであるが、軍人として任務であると割り切っていたのである。







「ライミーの艦隊が速度を落としたようです」

「何らかの罠の可能性もある。沿岸からの監視を徹底させろ」


 オスマン帝国海軍総旗艦ヤウズ・スルタン・セリムの幕僚たちは地中海遠征軍を揶揄していたが、ドイツ地中海艦隊司令官からオスマン帝国海軍の司令長官に就任したヴィルヘルム・ゾーヒョン元帥は冷静であった。


「長官、むしろこちらから積極的に叩き潰しに行くべきではないでしょうか?」

「数が多くても旧式戦艦など我らの敵ではありません!」

「ライミーの骨董艦をライミーから買った新型戦艦で沈める。意趣返しとしては最高ではあるが……」


 ゾーヒョンは、血気に逸る部下たちを諭すように、敢えて落ち着いた口調で話す。


「……我らの準備も万全ではないことを忘れてはならん。レシャディエもスルタン・オスマン1世も練度は十分ではない。故に可能な限り有利な状況を作り出す必要があるのだ」


 英国軍事顧問団の退去とドイツ艦隊の編入により、オスマン帝国海軍は元ドイツ海軍軍人によってその実権を握られることになった。元ドイツ艦2隻の乗員の大半はドイツ人のままであり、これに加えて他のオスマン海軍艦艇の多くの艦長にも元ドイツ軍人が就任していた。


 ドイツとフランスから艦艇を購入することで近代化が推し進められたものの、オスマン帝国海軍は人材・機材の面で列強と比べると未だに劣勢であった。額面上の戦力ではオスマン側が圧倒的に優位であったが、状況次第ではどちらに勝利の女神がほほ笑むのか分からなかったのである。







「……そろそろ頃合いかな?」

「予定通り走っているならば、ですが」


 マルマラ海の水面下を航行するL1潜水艦では、艦長と副長が進路の確認をしていた。


「ASDIC班、反応は?」

「今のところ周囲に音源はありません」

「よし、潜望鏡上げ。全周囲警戒!」


 L1潜は、英国海軍が建造したL級潜水艦のリードシップである。

 史実では大半が大戦終了後に完成したため、戦うことなくスクラップにされた。この世界では円卓の努力で以下略であったが、単にオリジナルを再現したわけではなく、史実知識を元に改良が施されていた。


「シュノーケルのおかげで潜水し続けられるのは画期的ですな」

「だが、ここから先はオスマン海軍の監視も厳しくなるだろう。進路修正、沿岸から距離をとれ」


 史実第2次大戦時に、Uボートが装備したシュノーケルがL1潜には装備されており、潜望鏡深度で長時間の潜航が可能であった。さらにASDIC(Anti-Submarine Division)が改良されており、従来の水中聴音だけでなく初歩的なアクティブソナーの機能も有していた。魚雷照準装置も改良されており、潜望鏡だけでなくASDICとの連動も可能となったために、L1潜は完全潜航状態での雷撃能力を獲得していたのである。


 L1潜は、水上速力17ノットを発揮可能な艦隊随伴型潜水艦であり、浮上していれば地中海遠征軍に追随可能であった。しかし、シュノーケルを使用すると水中速力は12ノットが限界であった。地中海遠征軍が船足を落としたのは、L1潜を先行させるためであった。


「……! 見つけたぞ。潜望鏡下げ、急速潜航っ!」


 潜望鏡に超弩級戦艦を捉えたL1潜は、そのどてっぱらに必殺の一撃をお見舞いするべく、密かに忍び寄るのであった。






 マルマラ島沖を航行していたスルタン・オスマン1世は、突然の轟音と激しい衝撃でブリッジにいたクルーが投げ出された。


「被害状況は!?」

「右舷で爆発! 破孔から浸水中!」

「応急処置急げ!」


 スルタン・オスマン1世の艦長はドイツ人であったが、それなりに実戦経験は豊富であり、突発的な事態にも動揺することなく指揮を執っていた。問題は、薄暮時の雷撃だったため、未熟な監視員が雷跡を見逃したことであった。このことから、魚雷ではなく機雷と誤認してしまったのである。


「機雷掃討戦始めっ!」


 艦長の命令により、舷側に指向出来る主砲以外の全ての搭載火器が水面へ向かってぶっ放された。その轟音は、雷撃後に退避したL1潜にも聞こえていた。


「物凄い音です。やつら海面に向かって撃ち込んでいるようです」

「よし、このまま海中騒音に乗じてイスタンブール沿岸まで潜入する。警戒を怠るな」


 その後、大胆不敵ではあるが、欲にかられて深追いしない慎重な性格の艦長によって、多数のオスマン海軍艦艇が損害または撃沈されることになる。







「提督、L1潜から無電が入りました。戦艦1隻を損傷させ、巡洋艦を2隻沈めたようです」

「単艦で潜入してワンサイドゲームとは大したものだな……!」


 旗艦オーシャンのブリッジでカーデンは感嘆していた。

 このようなことは、彼の長い軍歴の中では存在しないケースであった。


「おっと、感心ばかりしているわけにはいかんな。航空隊の出撃は可能かね?」

「先ほど確認を取ったところ、出撃は問題無いとのことです」

「よろしい、ならば出撃させよ。我らもマルマラ海へ突入する。艦隊増速!」


 L1潜の薄暮襲撃から一夜明け、地中海遠征軍はマルマラ海への突入を開始した。同時に、エンパイア レイトンの甲板上は修羅場となる。甲板上に機体が並べられ、燃料弾薬の搭載と機体の最終チェックが同時進行で進められていったのである。


「発進する。クルーは退避しろっ!」


 エンパイア レイトンの甲板からは続々と機体が発艦していく。

 飛び立つ機体はソッピース クックーである。円卓技術陣が過労死寸前まで頑張ったおかげで、この時期に実戦投入可能となっていた。


 ソッピース クックーは史上初の艦上雷撃機であり、固定脚の間に搭載されたMk.9航空魚雷が最大の特徴である。黎明期の魚雷だけあって、炸薬量は少なめではあったが、この時代の戦艦の水面下装甲を喰い破るには十分な威力であった。


 オリジナルとは違い、若干の改修が加えられており、航空魚雷を積まない場合は主翼にRP-3 ロケット弾を装備可能であった。


 RP-3は、史実でも対地攻撃に猛威を振るった英国印のロケット弾であるが、長い発射レールと防噴炎パネルは非力な機体には重荷であるため、史実米軍のような直付けパイロンを採用していた。これにより、非力な複葉機でも大量に搭載することが可能となり、戦艦など大型艦相手には魚雷を装備し、小型艦相手にはロケット弾を装備するという状況に応じた兵装選択が可能となっていたのである。







「くそっ! ライミー共の本命はこれだったのか!?」


 旗艦ヤウズ・スルタン・セリムに座乗するゾーヒョン司令長官は毒づいていた。

 L1潜の襲撃で艦隊の足並みが乱れたところに、現在進行形でエンパイア レイトンからの航空隊による攻撃が加えられていた。オスマン海軍の混乱は深まるばかりであった。


「撃て撃てっ! 撃ちまくれっ!」


 ヤウズ・スルタン・セリムのみならず、レシャディエやスルタン・オスマン1世も景気よく搭載火器を撃ちまくるが、上空を乱舞する雷撃機にはかすりもしなかった。当時は航空機による経空脅威など考慮外であり、まともな射撃装置が無いのだから、当然といえば当然であるが。せめて有力な航空戦力があれば、ここまで好き勝手されることは無かったのであろうが、海軍だけで手一杯なオスマン帝国には無理な話であった。


「左舷より雷跡!」

「急速転舵! かわせ!」

「無理です! 命中しますっ!」


 直後に激しい轟音と衝撃に揺さぶられるスルタン・オスマン1世。

 前日に被雷して速力が低下しているために艦隊行動から遅れがちであり、航空隊に真っ先に狙われていた。


 元ドイツ軍人達は、不慣れな艦をよく動かしたが、ダメージコントロールには限界があり、実際に作業に当たる末端のトルコ人兵士たちも練度不足であった。応急処置は遅々として進まず、浸水量が増加してさらに速力が低下、艦隊行動が不可能となり孤立してしまった。


 悪条件が重なりすぎたスルタン・オスマン1世は、左舷に雷撃を集中され、大破孔からの浸水に耐え切れずに横転沈没した。生存者はほとんどいなかった。スルタン・オスマン1世は、この世界では史上初の航空攻撃で沈んだ艦として名を遺すことになったのである。







「……損害状況はどうなっている?」


 英軍航空隊による波状攻撃を切り抜けたオスマン艦隊では、被害状況の確認がおこなわれていた。


「機関部に浸水。速力は15ノットまで発揮可能です。主砲は健在ですが、肝心の射撃装置が故障して現在応急修理中です」

「……他の艦は?」

「スルタン・オスマン1世が轟沈、レシャディエは浸水によって傾斜、さらに敵のロケットらしきもので艦上の構造物が吹き飛ばされています」


 オスマン側は、戦艦1隻が撃沈、残り2隻も少なくないダメージを受けていた。

 戦闘を続けることが難しいのは明らかであり、撤退もしくは降伏も選択肢に入れざるを得ない状況であった。しかし、ゾーヒョンにはその二つとも選択することが出来なかった。


 仮に撤退すれば、オスマン帝国上層部が激怒することは確実であり、自身も含めて元ドイツ軍人の命の保証は無かった。戦時におけるイスラム教徒の残忍さは知れ渡っており、撤退はまず出来ない相談であった。


 英軍相手に降伏する選択肢であるが、これは元ドイツ軍人が大半であるヤウズ・スルタン・セリムは良いとしても、僚艦のレシャディエが危険であった。レシャディエの乗員の大半はイスラム教徒であり、艦長を含めた元ドイツ軍人は少数派だったからである。結局のところ、消極的な選択肢として、英艦隊を粉砕する可能性にかけるしかなくなったのである。







「水平線上に黒煙見ゆ。敵艦です!」

「……驚いたな。航空隊の戦果報告が正しければ撤退するしか無いはずだが」


 旗艦オーシャンのブリッジで、カーデンは困惑していた。

 戦果報告を信用するならば、オスマン帝国海軍は戦艦3隻のうち1隻が轟沈、残り2隻も深刻なダメージを負っているはずであった。戦艦以外の艦艇に至っては、軽巡ミディッリと数隻の水雷艇を除いて撃沈していた。このような状態で、さらに進撃してくるのは正気の沙汰では無いのであるが、それを考えるのは自分の仕事ではないと思い直した。


「航空隊の再出撃は可能かね?」

「不可能です。半数が撃墜され、航空燃料と弾薬が枯渇したとのことです」


 オスマン艦隊相手に華々しい戦果をあげたエンパイア レイトンの航空隊であったが、相応の被害も被っていた。4次に渡る波状攻撃の過程で戦力は半減していたのである。


「……ふむ」


 頼みの綱の航空隊が使えないとすればどうするか。

 地中海遠征軍に取れる選択肢は一つであった。


「提督?」

「諸君、オスマン海軍は我らに花道を用意してくれたようだ」

「……では!?」

「総員戦闘配置! これより艦隊戦に移行する!」






以下、今回登場させた兵器のスペックです。


MV エンパイア レイトン


総トン数:7180t

載荷重量トン数:10600t

全長:125.3m 

全幅:17.2m

機関:重油専焼缶2基+三段膨張式レシプロ機関1基1軸推進

最大出力:2500馬力

最大速力:14ノット

航続距離:11ノット/20000浬

兵装:M2機関銃10基(両舷)

   艦載機20機(露天繋止+船内格納庫)


史実リバティ船を再現した船。

溶接性鋼を採用することによる低温切欠き靭性の確保と、脆性破壊の定量的評価を導入することによって、リバティ船の欠点を完全に克服した改良型リバティ船と言える船になっている。溶接とブロック工法の採用で極めて短期間に建造可能であり、本国のみならず、海外の自治領や植民地でも戦時標準船として大量に建造された。船名にエンパイアが付くのが特徴であり、エンパイアシップと呼ばれた。


基本的に商船構造であり、商船を表すMV(Marchant Vesselの略。もしくは内燃機関船を表すMotor Vesselの略)が艦名の前に付与される。エンパイア レイトンのように空母に改装された例も多いが、その大半は、戦後になってからは通常タイプの貨物船に再改装されて民間に払い下げられている。






HMS オーシャン


排水量:13150t(常備) 14300t(満載)

全長:128.5m

全幅:22.6m

吃水:8.0m

機関:ベルヴィール式石炭専焼水管缶20基+直立型三段膨張式レシプロ機関2基2軸推進

最大出力:13500馬力

最大速力:18ノット

航続距離:10ノット/5320浬

乗員:682名

兵装:35口径30.5cm連装砲2基

   40口径15.2cm単装速射砲12基

   40口径7.6cm単装速射砲14基

   43口径4.7cm単装機砲6基

   45cm水中魚雷発射管単装4門

   艦首衝角

装甲:舷側152mm(最厚部)

   甲板25.4~51mm

   主砲塔203mm

   主砲バーベット部305mm

   副砲ケースメイト152mm

   司令塔305mm


英国海軍が建造した前弩級戦艦で、地中海遠征軍の旗艦。

同型艦の全て(アルビオン、ヴェンジャンス、カノーパス、グローリー、ゴライアス)がイスタンブール攻略の支援のために投入された。






ヤウズ・スルタン・セリム


排水量:22979t(常備) 

全長:186.5m

全幅:29.5m

吃水:8.98m

機関:シュルツ・ソーニクロフト式石炭専焼水管缶24基+パーソンズ式低速タービン2基&高速タービン2基4軸推進

最大出力:52000馬力

最大速力:25.5ノット

航続距離:14ノット/4120浬

乗員:1053名

兵装:50口径28cm連装砲5基

   45口径15cm単装砲12基

   45口径8.8cm単装砲12基 

   50cm水中魚雷発射管単装4門

装甲:舷側100~120~270mm(水線面)

   第一甲板舷側部200mm

   弾薬庫水線面下部50mm

   機関区水線面下部30mm

   甲板装甲50mm

   主砲塔230mm(前盾) 200mm(側盾) 170mm(後盾) 130mm(天蓋)

   主砲バーベット部230mm

   副砲ケースメイト150mm

   司令塔350mm(前盾) 250mm(側盾) 60mm(天蓋)


ドイツのブローム・ウント・フォス社で建造されたモルトケ級巡洋戦艦の2番艦。

同時期の英国の巡洋戦艦と比べると、兵装を減じる代わりに、速力と装甲が確保されている。


史実と同様の経緯で、オスマン海軍に譲渡された。改名されてオスマン海軍の総旗艦となる。






L級潜水艦


排水量:914t(水上) 1089t(水中)

全長:72.7m

全幅:7.2m

吃水:4.1m

機関:ディーゼル2基+電動機2基2軸推進

最大出力:2400馬力(水上) 1600馬力(水中)

最大速力:17ノット(水上) 12ノット(水中:シュノーケル使用時) 10.5ノット(水中:モーター使用時)

航続距離:8.5ノット/3606浬(水上) 5ノット/65浬(水中:モーター使用時)

乗員:38名

兵装:102mm単装砲2基

   457mm船体中央魚雷発射管2基

   533mm艦首魚雷発射管4基

   魚雷10発


史実では大半が第1次大戦後に完成したために実戦に参加する機会は無かったが、この世界では円卓によって大戦序盤から実戦投入された。オリジナルとは違い、シュノーケルを装備することによって浅深度で長時間の潜航が可能となっている。ASDICも初歩的ながらアクティブソナーの機能を有しており、魚雷照準装置と連動させることで潜航したまま雷撃することが可能となっている。






レシャディエ


排水量:22780t(常備) 30250t(満載)

全長:170.5m

全幅:27.9m

吃水:8.7m

機関:バブコック・アンド・ウィルコックス式石炭・重油混焼水管缶15基+パーソンズ式直結タービン(高速・低速)2組4軸推進

最大出力:26500馬力

最大速力:21ノット

航続距離:10ノット/5300浬

乗員:1070名

兵装:45口径34.3cm連装砲5基

   50口径15.2cm単装速射砲16基

   45口径7.62cm単装高角砲2基 

   50口径5.7cm単装速射砲6基  

   53.3cm水中魚雷発射管単装4基

装甲:舷側305mm(水線最厚部) 102mm(艦首・艦尾部)

   甲板75mm

   主砲塔283mm(前盾)

   主砲バーベット部254mm(甲板上部) 76mm(甲板下部)

   司令塔305mm(側盾)


オスマン帝国海軍が英国ヴィッカーズ社に発注した超弩級戦艦。

史実では大戦直前に英国に接収されてトルコ国民の反感を買い、オスマン帝国が同盟側に参戦する遠因となったが、この世界では無事に引き渡されている。






スルタン・オスマン1世


排水量:27500t(常備) 

全長:1204.7m

全幅:27.1m

吃水:8.2m

機関:バブコック・アンド・ウィルコックス式石炭・重油混焼水管缶22基+パーソンズ式直結高圧タービン2組4軸推進

最大出力:34000馬力

最大速力:22ノット

航続距離:10ノット/4500浬

乗員:1115名

兵装:45口径30.5cm連装砲7基

   50口径15.2cm単装速射砲20基

   45口径7.62cm単装高角砲2基  

   53.3cm水中魚雷発射管単装3基

装甲:舷側229mm(水線部) 

   甲板64mm

   主砲塔305mm(前盾)

   主砲バーベット部229mm

   司令塔305mm


元はブラジル海軍が英国ヴィッカーズ社に発注した戦艦であったが、紆余曲折の末にオスマン海軍が購入した。


史実では、レシャディエと同様に大戦直前に英国に接収されてトルコ国民の反感を買い、オスマン帝国が同盟側に参戦する遠因となったが、この世界では無事に引き渡されている。






ソッピース クックー


全長:8.68m   

全幅:14.25m    

全高:3.25m     

重量:1000kg    

翼面積:52.6㎡

最大速度:190km/h

航続距離:539km(291浬)

実用上省限度:3690m

武装:18インチ Mk.9 魚雷(胴体下) or RP-3 ロケット弾(主翼)

エンジン:ロールス・ロイス・ファルコン3 液冷エンジン 275馬力

乗員:1名


母艦からの運用を考えて設計された史上初の非水上機。

史実では第1次大戦に間に合わなかったが、この世界では円卓の奮闘で以下略。


この世界では、ロールス・ロイス・ファルコンに換装したMk.3仕様をベースに改修が加えられてロケット弾の運用も可能になっている。






ブリストル F.2シーファイター


全長:7.87m   

全幅:11.96m    

全高:2.97m     

重量:975kg    

翼面積:37.62㎡

最大速度:198km/h

実用上省限度:5500m

武装:7.7mmヴィッカース機銃×2(胴体上部・前方固定)(観測員席・後方旋回)

エンジン:ロールス・ロイス・ファルコン3 液冷エンジン 275馬力

乗員:2名


史実では第一次世界大戦後期ので英国陸軍航空隊の主力戦闘機であったが、円卓によって以下略。


複座であるにもかかわらず、単座のブリストル スカウト戦闘機に匹敵する運動性を備えた高性能機。本来は爆装も可能なのであるが、シーファイターに改修する際に着艦装備の追加や、通信機器の増設による重量増によって不可能となっている。






RP-3 ロケット弾


口径:76mm(3インチ)   

前兆:1400mm  

重量:21kg(本体)+徹甲弾頭(11kg) 

           +装薬弾頭(27kg)    

銃口初速:480m/s

有効射程:1600m


史実第2次大戦で英軍機に搭載されて対地攻撃で猛威を振るったロケット弾であるが、円卓に(ry


機銃と比べると命中率に難があるものの、威力は非常に高く、しかも安価で大量生産が可能なために、対地、対艦、対空目的とあらゆる用途に使い倒されることになる。

史実よりも26年早くマレー沖海戦をやっちまいました(汗

航空機で戦艦を撃沈出来ることを英国が証明してしまったわけですが、これが大艦巨砲主義にどう影響するかは今後の展開に乞うご期待ということで。


追伸

戦闘描写は好きなのだけど、苦手なのでダラダラ書いてしまいました。

おかげで、本格的な艦隊戦は次回へ持ち越しです・・・m(__)m

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