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第107話 分断と崩壊と再結成


「よーし、こんなもんだろ。今日はもう引き上げるぞ!」


 ドーセット領の南岸に位置する港町ウェーマス。

 その沖合では、1隻のイカ釣り漁船が帰り支度をしているところであった。


「船長、見てくださいよ!? こんなに丸々と太ったイカが!」

「こいつは高く売れますぜ!」


 船員たちが巨大なイカを抱えてくる。

 それは体長1m近くまで育った見事なヨーロッパヤリイカであった。


 ヨーロッパヤリイカは、英国近海で獲れる最もポピュラーなイカである。

 史実21世紀の日本では冷凍輸入されており、刺身や天ぷらなどに用いられた。


 フィッシュ&チップスの材料にイカが選ばれるようになるくらいに21世紀のイギリス人にはイカは市民権を得たが、この時代ではほとんど食されていない。なのに、何故イカ釣りをするのか?


『うおおおおおおっ!? これだけデカけりゃイカ刺し作り放題だぁ!?』

『厚みがあって柔らかい。ほのかに甘味もある。天ぷらだけでなくて寿司にもいけるな!』

『塩辛が作れないのが唯一の難点だな』


 その答えは現地に在住している日本人にあった。

 彼らがイカを食べたいと欲し、日本人相手に商売している飲食店もイカを欲したわけである。


「これだけ取れれば、ボーナスが出せるな! 俺は新しい車を買うぜ!」


 日本人が札束ビンタでイカを買い取ってくれるので、船長は笑いが止まらない。

 知り合いの日本人に勧められて副業として始めたのであるが、最近は本業にしようかと真剣に考えていた。


「船長、ビーチに何かが見えます!」


 ゆるみ切った空気を一変させたのは、船首にいた船員の報告であった。

 夜目が利く彼は、目の前のチェシル・ビーチで何かが起きていることを感じ取ったのである。


「何の騒ぎだこれは……おい、カメラ持ってこい!」


 船長の言葉を聞いて、船員の一人がライカを持ってくる。

 ファインダーを覗きながら、手慣れた様子で望遠レンズの焦点を調整する。彼はカメラマニアであった。


「こ、これは……!?」


 ライカDⅢの望遠レンズ越しに見える光景に、カメラマニアの船員は衝撃を受けた。無我夢中でシャッターを切り続けたのは言うまでも無い。


「……こんな悪戯写真を持ち込まれても困りますねぇ」


 現像した写真をウェーマスの警察署に持ち込んだものの、窓口の警官は真剣に取り合わない。写真の内容は衝撃的ではあったが、何も知らない人間からすれば悪戯写真に過ぎなかった。


「もういいっ!」


 海の男は威勢が良いが、短気でもあった。

 ブチ切れた船員は警察署を飛び出していった。


 そのやり取りを見ていた署長は、すぐさま電話をかける。

 番号は必要ない。ボタン一つのホットラインである。


『……もしもし?』


 しばらくコールすると、疲れ切った中年男のような声が聞こえてくる。

 実際、一睡もせずに事態の収拾に駆けずり回っていたので間違ってはいない。


「つい今しがたですが、例の一件を撮影したと思われる写真が持ち込まれました」

『……それでどうなったの?』


 署長に先を促す中年男――もとい、テッド・ハーグリーヴス。

 どことなく声が震えていたのは、決して気のせいではないだろう。


「不自然にならないように何も知らない署員に対応させました。ただ、写真の回収には失敗しました」

『それはしょうがない。無理に回収しようとしたら不審がられるよ』


 テッドはそれ以上写真のことについて追及はしなかった。

 強引な手段で写真を回収することも不可能ではなかったのであるが……。


『現地の隠ぺい工作は完了してる。今後もこのような動きが出たら悪戯で押し通すように。イイネ?』

「あっ、はい。かしこまりました」


 隠ぺい工作が完了した以上、何を言ってきてもシラを切れる。

 そう考えたテッドは、それ以上の手は打たなかった。これ以上余計な仕事を増やしたくなかったというのもある。


『これらの写真を見てどう思うかね?』

『……映画の撮影か何かですか?』

『残念だが現実だ。沖合で操業していた漁船が偶然撮影したものだ』

『んなっ!?』


 そんなわけで、例の写真が巡り巡ってスコットランドヤードの上層部に渡ってしまったのは完全に想定外であった。おかげで余計な仕事が増えてしまうことになったのである。


 スコットランドヤードは国家全体の警備、公安警察や王族・政府要人警護といった特別な任務も担う。入手した写真の内容を無視出来るはずがない。


『なんと言われても、何も知りませんよ? いい加減寝たいんで解放してくれませんか?』

『そうですか……いや、ご足労をおかけしました。ところで、スコットランドヤード(うち)ドーセット警察(そちら)で人材交流を……』

『そういうことはあっちに直接言ってください』


 おかげで、テッド自身もスコットランドヤードで事情聴取されることになった。

 証拠も無かったので即刻解放されることになったが。


 任意とはいえ、テッドの事情聴取には反対意見が多かった。

 冷え切った関係を改善したいところなのに、そのようなことをすれば逆効果になりかねない。


 それでも写真の内容が内容なだけに、事情聴取せざるを得なかった。

 関係者たちの心労は推して知るべきであろう。


 かくして、アメリカ海兵隊襲撃事件は完全に隠ぺいされた。

 この事件で新聞沙汰になったのは、テッドの事情聴取だけであった。


 事件を仕掛けたアメリカ側も、これ以上ちょっかいをかける余裕は無くなってしまった。足元に火がついてそれどころではなくなってしまったのである。







「ユナイテッドステーツが消息を絶っただと!?」


 ワシントンDCのホワイトハウス。

 凶報に接したジョン・ウィリアム・デイビス大統領は愕然としていた。


「定時連絡がありません。おそらくは……」


 『撃沈されたのでしょう』との言葉を辛うじて飲み込む閣僚。

 2週間前にニューヨーク港から出撃した合衆国海兵隊総旗艦『USS ユナイテッドステーツ』は、消息を絶っていた。


「ケネディ大使に調査してもらいましたが、それらしい報道は無いそうです」


 あれほどの巨大潜水艦が沈んだら何らかの形で報道されてもおかしくない。

 何も無い洋上で沈没でもすれば話は別であろうが。


「強いて言うならば、ドーセット公が任意で事情聴取を受けたくらいでしょうか。さすがに無関係だと思いますが」


 しかし、駐英大使のジョセフ・パトリック・ケネディ・シニアからの報告にユナイテッドステーツに関する情報は存在しなかった。代わりに寄越したのがドーセット公――テッド・ハーグリーヴスの事情聴取に関するニュースであった。


 テッドが事情聴取を受けたことは現地メディアでも大きく報道されていた。

 唐突な発表に、世間ではさまざまな憶測が飛び交っていたのである。


「……この件に関しては箝口令を敷く。海兵隊には絶対に漏らすな」

「そんな!? いつまでも隠し通せるものではありませんよ!?」

「ラッセル閣下の覚悟を無駄にするおつもりですか!?」

「ここはラッセル閣下を国葬して英雄として祭り上げるべきでしょう!?」


 デイビスの決定に閣僚たちは猛反対した。

 この状況では、ジリ貧にしかならないことを理解していたからに他ならない。


 人の口には戸は立てられない。

 いつまでも隠し通せるものではないし、それくらいならば早期に公表したほうがダメージは少なくて済む。


 海兵隊総司令官ジョン・H・ラッセル・ジュニア海兵隊大将は合衆国海兵隊の育ての親とも言える人物であり、将兵からの人望が厚かった。その彼が戦死したとなれば、国葬にして士気を上げることに注力すべきであろう。上手くいけばデイビス政権に対する海兵隊の不信感も払拭出来て一石二鳥となる。


 元より特攻作戦であったので成功は期待されていなかった。

 デイビス政権にとっては、本命のための保険に過ぎない。


 もちろん、襲撃作戦の成功率を高めるために可能な限りの手は打たれていた。

 お宝の場所は入念に探りを入れたし、苦しい燃料事情の中でも演習を繰り返して練度の向上もはかられた。


 さらにダメ押しで、ラッセル大将が直々にユナイテッドステーツに座乗していた。士気も練度も充分な状態で、ドーセット領への合衆国海兵隊の襲撃作戦が実行されたのである。


『ユナイテッドステーツは画期的な潜水艦だ。ライミ―には撃沈は不可能だろう』

『お宝の場所は判明している。上陸さえしてしまえば、作戦は成功したも同然だ』

『ドーセット公を人質に出来ないものだろうか? 身代金で不正に奪われたステイツの財産を取り返せるかもしれん』


 政府首脳部とは対照的に現場の人間は作戦の成功を半ば以上確信していた。

 それだけ、ユナイテッドステーツの性能に自信を持っていたと言える。


 しかし、彼らの自信の根拠は第1次大戦レベルに毛が生えた程度の技術に過ぎなかった。ちなみに、現在は1942年である。20年以上の技術差は残酷であった。


『戦時国際法も知らない野蛮人め! なんてことをやらかしてくれたんだ!?』

『宣戦布告していない状況で一方的に武力行使なんてしたら、こちらが問答無用で悪者にされるだろうが!?』

『ドーセット公だけを狙ったから問題は無いだぁ? そんな都合の良い言い訳を英国が信じるわけないだろうが!』


 デイビスが慎重になっていたのは、数日前に届いたケネディからの手紙が原因であった。この手紙は公式文書ではなく、あくまでもデイビス個人への私信として届いていた。


 文字が滲んでいるのは、万年筆で力を入れて殴り書きしたせいであろう。

 手紙の端っこがインクまみれなのは、怒りのあまりインク壺を倒してしまったせいかもしれない。


(ひょっとして、これはかなりマズイ状況なのではないだろうか?)


 手紙の内容が意味していることは重大であった。

 暗に襲撃作戦が失敗しただけでなく、アメリカが主犯であることを英国が把握していることを仄めかしていたのであるから。今更ながらにデイビスは、襲撃作戦の大統領令に署名したことを後悔し始めていた。


 この状況で作戦に参加した海兵隊員の国葬をしようものなら、襲撃作戦にアメリカが関与していると公的に認めてしまうようなものである。国際政治に疎いデイビスでもそれくらいの判断能力はあった。


 こっそり国葬してしまうという手もあったが、国葬であるからには盛大な式典にする必要がある。そうなれば、たちまちのうちに英国の知るところになるであろう。


 最悪の場合は英国からの宣戦布告もあり得る。

 かといって、国葬をしなければ海兵隊の関係者が暴発しかねない。デイビスに出来ることは時間稼ぎしか無かったのである。


(こうなったら、シークレットサービスが作戦を成功させるのを祈るしかないか……)


 大統領の期待を一身に受けたシークレットサービスは極秘作戦を展開中であった。デイビス政権の存続は、シークレットサービスの成功如何にかかっていたのである。







「……最終チェックだ。服装に問題は無いな?」


 スイス連邦の州都ジュネーブ。

 道端に停車したベンツの車内で最後の打ち合わせが行われていた。


「残された写真から服装は完璧に再現している。問題無いぜ」

「よし、話し方も完璧だな。担当を誤魔化すことも出来るだろう」

「当然だぜ。残された音声を聞いて必死に練習したからな」


 念押しするような黒服の男の質問に、白いスーツを着た伊達男は鷹揚に答える。

 その仕草は、かつてのアメリカ裏社会の重鎮を彷彿とさせるものであった。


「お待ちしておりました」


 周囲に埋没しそうな外観のビルの入り口で待ち受ける男。

 地味なスーツ姿であったが、鋭い目つきは普通のサラリーマンとは思えない。


「「……」」


 このビルが、スイスでも老舗で屈指の規模を誇るピクテ銀行のプライベートバンクであることを知るのは地元民でも少数であった。二人は無言のままエレベーターに乗り込む。


「……到着しました。少々お待ちください」


 指定した階に到着してもエレベーターは開かない

 男が鍵を取り出してエレベーターのロックを解除していく。


 開いた扉の先は何の変哲もない小規模なオフィスであった。

 ぱっと見の印象は中小企業の事務所であって、とてもではないが大銀行とは思えない。


「お待ちしておりました。ルチアーノ様」


 上等な仕立てではあるが控え目な装いの男が出迎える。

 彼はルチアーノの口座のプライベートバンカーであった。


 プライベートバンカーは、顧客1人ひとりに専属で付いてくる。

 顧客の口座を預かって財産を運用することが主な仕事となる。


「ご用件はうかがっております。預金の全額引き出しでしたな?」

「あぁ、口座維持に必要な金を残して全て動かす」


 国家予算に匹敵するだけの金が動こうとしているのに、眉一つ動かさないのは流石と言える。老舗スイス銀行のプライベートバンカーは、そんじょそこらの胆力では務まらないのである。


「仰せに従います。しかし、どちらにお届けすればよろしいのでしょう?」

「コルナヴァン駅だ。特別列車を用意してある」


 コルナヴァン駅はジュネーブの鉄道駅であるが、フランスからの国際列車が乗り入れていた。この路線はパリまで通じており、途中のリヨンを経由してマルセイユ方面へ向かうことが出来た。マルセイユからは船便でニューヨークまで運ぶことも不可能ではない。


「……それでは書類にサインを」

「おぅ」


 無造作に書かれるサインを凝視するプライベートバンカー。

 しかし、彼の眼力をもってしてもサインの偽造を見破れなかった。


(ふっ、何千回と練習したからな……)


 目の前のルチアーノ(?)は内心でほくそ笑む。

 本人のサインを入手し、指にタコが出来るくらいに練習したのである。筆跡鑑定士でも見破ることは容易ではない。


「それではお金は指定した場所に運ばせていただきます。本日はありがとうございました」


 頭を下げるプライベートバンカーに、黙って背を向ける。

 そうしないと、任務達成でにやける顔がバレそうだったからである。


「積み込みはどうだ?」

「もうすぐ終わるぞ」


 数日後。

 コルナヴァン駅の8番ホームでは、特別列車に積み込みが行われていた。


「そうか。この忌々しい変装ともお別れだな」

「おいおい、任務が終わるまで脱ぐなよ?」


 変装した男たちは、シークレットサービスのエージェントであった。

 大統領からの特命を受けて、プライベートバンクから預金を不正に引き出したのである。


 もっとも、この犯罪を命令した人間も実行した人間も罪の意識など欠片も無かった。その対象がラッキー・ルチアーノやフランク・コステロなど裏社会の重鎮ばかりであったことが原因であろう。


「それにしても、犯罪者の財産を分捕るなんて最高だな!」

「胸がスカっとするぜ!」

「本来、この金はステイツのために使われるべきのものだからな」


 彼らからすれば、不当に奪われた財産を取り返したくらいの意識であった。

 もっとも、非合法活動に従事するエージェントが罪の意識なんぞ気にしていたら何も出来ないであろうが。


「ジュネーブ州警察だ! そこの列車止まれーっ!」


 空気が一変したのは、その瞬間であった。

 ホームに警官隊が突入して来たのである。


「ちぃっ、バレたか!?」

「急いで列車を出せ!」


 男の声に急かされて、蒸気機関車が動き出す。

 長大な編成ではあったが、ネジ式連結器の恩恵で滑るように加速していく。


「くそったれ!」


 突入の指揮を執った警部が歯噛みする。

 結局、ジュネーブ州警察に出来たことは列車をホームでお見送りするのみであった。


 スイスの鉄道の大半は峻険な地形を通るために自動車などで追跡することは不可能に近い。後続の列車を待つしかないが、国境を越えられた時点で詰みである。


『世界的に信用がある当行が騙されるなんて信用問題だぞ!?』

『なんで捕まえてくれなかったんだ!?』

『そもそも通報するのが遅すぎる! 間に合うわけないだろ!?』


 当然というべきか、この事件はピクテ銀行とジュネーブ州警察との間で責任問題となった。壮絶な罪の擦り付け合いが起きたことは言うまでも無い。


『はぁ、積み替えがめんどくさいぜ……』

『しょうがないだろ。マルセイユへ直接に乗り入れ出来んのだからな』

『ここまで来たら妨害は無い。気楽にいこうぜ』


 双方が泥沼と化しているのを横目に特別列車は国境を越えていた。

 港町マルセイユを目指して順調に進行していたのである。







「……現在地はどうなっている?」

「フランス領サンピエール島から南方へ約400kmといったところです」


 大西洋を航行する1隻の船。

 原油を積載したアメリカ船籍のオイルタンカーであった。


「道半ばはもう過ぎたよな?」

「この船の足だと、あと10日といったところか。ここまで来れば安心だろう」

「胸を張って凱旋出来るな」


 このタンカーは、アルバニアで原油を積載していた。

 途中マルセイユへ寄って、特別列車の中身を回収していたのである。


 アメリカのタンカーが何故アルバニアまで足を伸ばしているのか?

 南米からの石油輸入に全面的に依存していたアメリカは、現地政府の石油会社の国有化宣言によって窮地に陥った。選択と集中によるやらかしであるから、完全に自業自得ではある。


 国内の油田が再稼働するまで早急に石油を輸入する必要があった。

 当初は満州国や日本に頼ったが、満州国の石油は大部分がドイツ帝国向けに輸出されていて割り当てが少なかった。


 日本の場合は、海南島や尖閣油田から豊富に産出するので大量に輸入することが出来た。しかし、経済ブロックが違うので輸入すると関税が高くついてしまう。


 アメリカの石油バイヤーは、安く大量に石油を輸入するべく世界中を駆けずり回った。その結果、見つかったのが穴場とでも言うべきアルバニアの石油であった。


 ちなみに、この世界ではアルバニア侵攻は起きていない。

 未だにゾグー1世によるアルバニア王国が続いていた。


 世界から孤立したようなド田舎国家であるから、石油の国際相場などアルバニア王国は知らなかった。ゾグー1世は、外貨欲しさとバイヤーのセールストークに乗せられてホイホイと契約してしまったのである。


「!? 前方に船が見えます!」


 見張りの報告にタンカーの船橋(ブリッジ)に緊張が走る。

 衝突する可能性も考慮して針路変更をするか、あるいは維持するのか。早急な判断が求められていた。


「マストにフォックストロットが上がっています!」

「なんだと!?」


 見張りの第2報にタンカーの船長は顔をしかめる。

 前方に見える船のマストに掲げられている国際信号旗はフォックストロット。それが意味するものは操縦不能であった。


「あ、キロも掲げられました」

「……」


 船長は押し黙る。

 面倒なことになったことを理解してしまったのである。


 キロ旗は『本船は貴船との通信を求める』を意味する。

 ロクに船も通らないような海域で停船して通信を求める。100%確実に厄介ごとであろう。


「本船は特殊任務中である。無視しろ」

「船長!? 正気ですか!?」


 一等航海士が船長を強く非難する。

 シーマンシップ精神あふれる彼は、船長の行動を容認出来なかった。


「なっ!? ヴィクターとウィスキーまで掲げられました!」


 ヴィクター旗は『援助を求む』、ウィスキー旗は『医療の助力を求める』意味となる。船内は相当に困難なことになっているのは間違いない。


「船長!」

「むぅ……」


 船長は判断に窮していた。

 任務とシーマンシップの板挟みになっていたのである。


 任務の重要性は充分に理解はしている。

 しかし、海の男として目の前の状況を見捨てるのも忍びない。


「……船足落とせ。相対速度を合わせて接舷する」


 ぱぁっと表情が明るくなる一等航海士。

 自分が指揮を執るとばかりに、喜び勇んで甲板へ駆け出していった。それが自分の命日になるとも知らずに。


「飛び移ったぞ! (もやい)を寄越せ!」

「固縛完了!」

「移乗するぞーっ!」


 洋上で接舷する2隻の船。

 タンカー側から停船中の船に乗り込もうとしたその瞬間であった。


「ぐわぁっ!?」

「ぎゃぁぁぁぁっ!?」

「な、なんで!? 撃って……うわぁっ!?」


 今まで何処に隠れていたのか、覆面姿の男たちが軍用小銃を発砲した。まったくの無警戒で襲われたタンカー側の乗組員は次々に射殺されていく。


「何事だ!?」

「し、襲撃です!?」

「馬鹿な!? 本船の積荷の存在が漏洩したと言うのか!?」


 じつは襲撃者の正体は中〇派モブであったが、船長たちは知る由は無い。

 アメリカ正教会経由で今回の計画を知った彼らは、周到な襲撃計画を立てていた。


 こうなるとタンカー側に為す術は無い。

 最期まで無事だったブリッジも、6.5mmアリサカ弾で蹂躙されることになった。


「なっ!? 引火しただと!?」

「このままだと爆発するぞーっ!?」

「退避ぃぃぃぃぃぃぃっ!?」


 しかし、中〇派モブたちにも誤算があった。

 襲撃した船がオイルタンカーであることは理解していたものの、原油は燃えないと早合点してしまっていた。


 確かに原油自体は燃えないが、気化すれば発火もするし引火する。

 船内で派手に発砲したことで、タンク内から漏洩していた原油蒸気に着弾時の火花が引火。現ナマや有価証券といった高価な焚き付けもあったので、あっという間にタンカー全体が炎に包まれることになった。


 連邦予算にも匹敵する裏社会の住民の隠し金は、永遠に失われた。

 それはすなわち、デイビス政権の崩壊が避けられないことを意味していたのである。


『よくぞやってくれた……いや、この失態は重いぞ同志たちよ!』

『同志トロツキー! お許しください!』

『どうか……どうかご慈悲を……!』


 後日、中〇派モブがトロツキーから直々に叱責されたのは言うまでも無い。

 内心ではキモイ――もとい、気持ち悪い、いやさ、近くに居て欲しくない連中と思っていたのでむしろ好都合でもあったが。


『同志トロツキーの御不興を買ってしまったが、生きていれば取り戻せる!』

『これは俺らに対する試練なんだ!』

『待っていてください同志。絶対に戻って来ます!』


 しかし、これまでの功績を鑑みて罪を減じたのがトロツキー最大の失敗であった。左遷先でも中〇派モブたちは暗躍し、さらなる混沌を振りまくことになるのである。







「食料を寄越せーっ!」

「ついでにガソリンも寄越せ!」

「政府は何をしてるんだーっ!?」


 1942年3月某日。

 かつては繁栄を極めたウォールストリートは、連日のようにデモ隊で埋め尽くされていた。


 アメリカ東海岸の治安は坂を転げ落ちるが如しであった。

 もはや、資産家以外は生活していけないと言われるほどまでに物価は高騰していた。


 デイビス政権は公約で10年間無税を掲げてしまったことに加え、頼みの綱であった裏社会の隠し金を手に入れられなかったことで禁じ手を使わざるを得ない状況に追い込まれた。物価が急激に上昇したのは、紙幣の大量発行によるインフレが原因だったのである。


「この国はかつて犯罪者たちの食い物にされた! そして、今もまた政治家たちの食い物にされようとしている!」

「「「いいぞーっ!」」」


 活動家らしき人物が大音量のスピーカーでがなり立てると、たちまちのうちに拍手喝采が起きる。民衆がどれだけ不満を溜め込んでいるのかを如実に示す光景と言えよう。


「もはやデイビス政権は信用出来ない! 選挙なんて生温い! 我らは我らの手で新たな時代を勝ち取るのだ!」

「「「そうだ! そうだ!」」」


 言っていることは革命の教唆(きょうさ)であり、民主主義の否定である。

 しかし、そのことに反対する者は誰もいない。


「この国は、かつて資本主義の旗手とまで言われた! 繫栄は約束されていた! だが、今のアメリカは堕落している。何故だ!?」


 活動家による演説は、さらにヒートアップしていく。

 同時に身振り手振りも激しくなっていく。


「それは資本主義に欠陥があるからだ! 我らは新たな政治、新たな指導体制を早急に確立する必要があるのだ!」


 流石は元ブロードウェイの役者と言うべきか。

 カンペに従っているだけなのに、恐ろしく演技が巧い。


 デイビス政権が弱体化してたのをトロツキーは見逃さなかった。

 食い詰めた役者を徹底的に教育して、即席の活動家として各地に放ったのである。


 生活に苦しむ住民たちにとって、彼らの演説は麻薬に等しい効果を発揮した。

 東海岸で爆発的に支持が広がる様子は、まさに燎原の火の如しであった。


「皆さーん、落ち着いて並んでください! お代わりもありますから慌てないでくださーい!」

「うぅ、ありがてぇ。ありがてぇ……」

「ホンマにアメリカ正教さんは救世主やでぇ……」


 ウォールストリートから北に位置するセントラル・パーク。

 長蛇の列の先では、アメリカ正教による炊き出しが行われていた。


 物価が高騰しているというのに、アメリカ正教による炊き出しは続けられていた。しかし、資産家ですら困窮するような状況で食糧をどうやって確保しているのかは謎であった。


 アメリカ正教が炊き出しを継続出来るのは、革命軍支配下のアメリカ諸州連合から潤沢な食糧供給を受けているからに他ならない。現状の東海岸は州境警備はザル同然で密輸し放題であった。


 しかし、そのことに疑問を抱く者はここにはいない。

 余計な考えなど犬にでも食わせておけば良い。何は無くとも、まずは生き残ることが最優先であった。


「うぅ、俺は……俺はぁ……」

「落ち着いてください。何をお悩みかは分かりませんが、吐き出せば楽になりますよ」


 近くに建っている教会では、シスターが悩める子羊の告解を聞いていた。

 キリスト教圏であるアメリカでは、日常的な光景と言っても過言では無い。


 しかし、アメリカ正教のシスターは革命軍の女エージェントであることが多い。

 懺悔室で告解を聞くふりをして情報収集をすることが彼女たちの任務であった。


 一見すると何気ないことであっても組み合わせると重要な情報に化けることもある。アメリカ正教会は現地のヒューミントの拠点として機能しており、これまでも重要な情報がもたらされていた。


 ちなみに、先月の裏社会の隠し金奪還も告解によって情報収集が為されていた。

 国運をかけた重要情報が洩れてしまうくらいに、現在のデイビス政権は末期状態だったのである。


「大統領閣下! デモ隊がこちらに押し寄せてきます!」

「なんだと!?」


 1942年3月下旬。

 連日のように発生するデモは、ワシントンDCにまで及んでいた。


 同時多発的に起きたデモは、もはや制御不能となっていた。

 警察による鎮圧も到底手が足りず、それどころかデモ隊に合流してしまう始末であった。


「……」


 デイビスは無言で窓の外を見やる。

 眼前のペンシルバニア大通りは既にデモ隊で埋まりつつあった。


「無念だ。何故こうなってしまったのか……」


 絞りだすような呻き声。

 その声には、悔恨の念がこめられていた。


 6年前の今頃は希望に満ちていた。

 犯罪者からステイツを取り戻し、法の光で照らそうと本気で思っていた。


「どこで間違ってしまったのか……」


 大統領の独白に、居並ぶ閣僚たちは答えられなかった。

 アメリカの民主主義は、この瞬間に滅んだのである。


『たとえアメリカが滅んでも、アメリカの意思は滅ばない。エクソダス計画を発動する』


 この声明がデイビスのアメリカ大統領としての最期の公式声明となった。

 史実の『アイシャルリターン』の如く本人は戻るつもりだったのであるが、果たせずに終わったのである。


 計画発動と同時に、東海岸のあちこちの港から大小さまざまな船が出航していく。その様子はアメリカ合衆国の断末魔と言えるものであった。


 それは同時に、アメリカ絡みのゴタゴタが国内で収まらなくなったのと同義であった。特に大西洋を挟んで向かいあう英国は、多大な迷惑を被ることになったのである。







「……今回は緊急ということだが?」

「何やら嫌な予感がしますなぁ」

「ドーセット公がいないなら大丈夫では?」


 ただならぬ雰囲気と眠気で小声となる紳士たち。

 深夜にもかかわらず、ロンドンの首相官邸(ナンバー10)の大会議室には円卓メンバーが緊急招集されていた。


「緊急事態だというのに、そのダラケっぷりはなんだ!?」


 イマイチやる気が感じられないメンバーに、宰相兼海軍大臣のウィンストン・チャーチルが雷を落とす。顔面レッドなブルドッグの如き剣幕は、出席者たちの眠気を完全に吹き飛ばす迫力があった。


「まぁいい。つい先ほど、アメリカのデイビス大統領から連絡があった。脱出したから保護して欲しいとのことだ」

「「「……はぁ」」」


 円卓のメンバーたちは、チャーチルに対して気のない返事をする。

 あまりにも現実感が無さ過ぎたのである。


「チャーチル卿? エイプリルフールにしては、いささか悪趣味では?」


 出席者の一人が茶化すような発言をする。

 その様子に、チャーチルの血圧が上がったのは言うまでも無い。


 とはいえ、時刻は深夜0時過ぎ。

 日付は4月1日になったばかりなので、エイプリルフールなのは間違いない。


 ちなみに、英国のエイプリルフールは嘘をつける期限は正午までとなる。

 史実21世紀の日本も同様なことが多い。


「こんなこと冗談で言えるわけないだろうが!? 現実逃避も大概にせんか!」

「「「えええええええええっ!?」」」


 再び落ちるチャーチルの雷で、現実を直視したメンバーたちが絶叫する。

 11年前の大統領親書が、最悪の形で実現してしまったのである。


 11年前の大統領親書――それは、空の英雄チャールズ・オーガスタス・リンドバーグがテッドに託したものであった。


 肝心の親書の内容であるが、主な内容は以下の通りである。


・1935年から裏社会の住民を駆逐する。

・内戦であるため手出しは無用である。

・万が一我らが敗北した場合、ステイツの精神を残すために亡命政府の設立を許可願いたい。


 スペインの亡命政府程度ならばともかく、アメリカの亡命政府となると規模が巨大になり過ぎる。英国本土に亡命政府を置くのは、いろいろな意味でリスキー過ぎた。


 当時のテッドは、この問題に対してグリーンランドの租借を提案していた。

 その提案が全面的に受け入れられて、グリーンランドの土地の一部を租借する英丁秘密協定が締結されたのである。


「現在、アメリカの東海岸から脱出した船団が大西洋を渡っている。早急に対応する必要がある。分かったか?」

「大惨事じゃないですか!?」

「だから、そう言っているだろうが!?」


 再び室内に響き渡るチャーチルの怒声。

 『あまり怒鳴ると健康に悪い』と野暮な指摘をしようとしたメンバーの一人は、鬼のような形相を見て黙った。賢明な判断であろう。


「そ、そうだ!? ど、ドーセット公はどうしたのです!? そもそも、あの件は彼の担当でしょう!?」

「そういえばそうだな。この緊急時にいないとはけしからん!」

「直ちに彼を召喚するべきです!」


 普段は蛇蝎の如く嫌っているくせに、こういう時だけテッドに頼り切ろうとする性根にチャーチルは内心で怒りを覚える。当の本人は気にしていないし、そもそも歯牙にもかけていないのであるが。


「……残念だが、テッド君は現在消息不明だ。よって、この問題は我らだけで対応する必要がある」


 チャーチルは嘘は言っていない。

 テッドと連絡が取れないのは事実なのであるから。


「しょ、消息不明!? どういうことですか!?」

「ドーセット公が居ないと仕事が進まないじゃないか!?」


 体よく仕事を押し付けていたメンバーたちが悲鳴をあげる。

 テッドからすれば大した作業量ではないが、それは彼がオリ主チートだからである。並みの人間ならば、確実に音を上げる作業量であった。


「確かに大変だが、皆で分担すれば不可能ではないはずだ。ここが正念場だぞ!」


 そう言って、チャーチルはテーブルを回って決済書類を置いていく。

 どさっと音がたちそうな程に分厚い書類の束であった。


「「「嫌ぁぁぁぁ!? ドーセット公カムバァァァック!?」」」


 悲鳴を上げる円卓の木っ端メンバーたち。

 最近の円卓が、如何にテッド頼りであったかを如実に理解出来る光景であった。


「書類の決裁が嫌ならば、現地に飛ばしてやろう。グリーンランドに行って船舶を誘導してこい!」

「そっちはそっちで嫌だぁぁぁぁぁっ!?」

「今の時期に行ったら風邪をひいてしまうぅぅぅぅ!?」


 チャーチルが指を鳴らすと、屈強な警備員たちが入室して来る。

 問答無用で引きずられていくのを見て、他のメンバーたちは駄々をこねるのが無意味であることを思い知らされたのであった。


『もう限界……眠らせてくれぇ……』

『これで3徹目……あはははは……』」

『もう書類見たくない……サインしたくない……』


 その後、大会議室は完全に修羅場ることになった。

 あれから帰ることも出来ず、円卓のメンバーたちは缶詰にされたのである。







「……この数は正しいのかね? 予測とずいぶん食い違っているようだが?」


 報告書に目を通したチャーチルは眉をひそめる。

 実際の数値が予測と剥離していたからである。


「グリーンランドに行って直接確認してきたので間違い無いはずです……へっくしょん!」


 報告書を持参した閣僚が、くしゃみをしながら反論する。

 この時期のグリーンランドは英国よりも確実に寒い。風邪をひいてしまうのもしょうがない。


「補足ですが、規模的にはかつてのスペイン王国亡命政府と大差ありません。末端まで含めても1万人いるかどうか……」

「こうなると分かっていたら、グリーンランドを租借せずに済んだのだがな……」


 葉巻の煙をくゆらせつつ、チャーチルはボヤく。

 最悪の事態への備えは結局は無駄になってしまったのである。


 グリーンランドへ到着した亡命政府の船団は、想定よりも小規模なものであった。単に逃げ出すまでの時間が無かったのか、あるいはデイビス政権がこちらの想定以上に支持されていなかったのか。


(スペイン王国亡命政府と同じ轍を踏むわけにはいかん。とはいえ、あまり親密に付きあうわけにもいかないだろう)


 チャーチルはアメリカ亡命政府との関係に頭を悩ませる。

 放置し過ぎて暴発してしまえば元も子もない。かといって、親密な関係になったあげくに本土奪還作戦に巻き込まれてしまうのも御免被りたいというのが本音であった。


『ここグリーンランドの地に、アメリカ合衆国亡命政府の宣言を樹立する。心あるアメリカ人よ、我らと共に立ち上がるのだ!』


 1942年4月上旬。

 グリーンランドにアメリカ合衆国亡命政府が樹立されたが、その反応は芳しいものではなかった。


 デイビスが直々に呼びかけたにもかかわらず、志願兵の集まりは悪かった。

 まだスペイン王国亡命政府のほうがマシだったくらいである。それを知ったチャーチルが不安に駆られたことは言うまでも無い。


『亡命者の中に海兵隊の方いませんかー!?』

『今ならラッセル閣下とお仕事出来ますよ!』

『給料は弾むよ! 休みもたっぷりあるよ! うちはホワイト企業だからね!』


 ちなみに、いっしょに亡命してきた海兵隊員は某人材コレクターに根こそぎヘッドハンティングされることになった。彼らは朝鮮半島へ送られ、かつての上官と感動の対面を果たすことになるのである。


『我々は困窮する者たちを救援する! 東海岸の住民も革命の理念に触れて教化されなければならない!』


 5月になると、遂にトロツキーが動いた。

 革命軍は無人の野を行くが如く進撃し、東海岸入りを果たした。事実上の無血開城であった。


『資本主義はもう懲り懲りだ!』

『行き過ぎた自由経済は民を不幸にする。経済はある程度は統制されるべきだ!』

『同志トロツキー万歳!』


 東海岸に進駐した革命軍は大歓迎された。

 事前に仕込みはしていたものの、これにはさすがのトロツキーも呆気にとられる形となった。


 史実の社会主義が失敗した最大の原因は思想に対する無理解であろう。

 特にソ連は無知無学な農奴が大多数であり、彼らは社会主義の幻想だけを信じて弊害を顧みようとはしなかった。


 一方で、マルクス主義では国民が資本主義の弊害を充分に理解する必要があると説かれた。マルクス主義が機能するのは、資本主義の弊害を理解してこそと言える。


 エピデミック後のアメリカは、資本主義のディストピアと化した。

 一握りの金持ちはどこまでも金持ちとなり、その一方で貧乏人は人身売買されて奴隷落ちするハメになった。


 アメリカ人の大多数は貧乏人であり、それすなわち資本主義の弊害を理解している人々であった。この世界のアメリカでは、マルクス主義が機能する下地が備わっていたのである。


 トロツキーが教条主義に陥らずに、柔軟に体制を変更したのも支持された原因であろう。特にアメリカ版新経済政策(NEP)は大多数の支持を受けており、革命軍の支配地域の経済成長の原動力となっていた。


『我々は北米のみならず南米をも統一する。アメリカ連邦の樹立を宣言する!』


 1942年7月某日。

 突如トロツキーは、南北統一国家『アメリカ連邦』の樹立を宣言。世界中に衝撃が走ることになった。


 アメリカ連邦は北米50州と南米の諸国家から構成される。

 それぞれが同等の権利を持ち、投票権を行使可能であった。


 リアルチートな北米の工業力と南米の豊富な資源が合体するとか、仮想敵国からすれば悪夢でしかない。H〇I2の赤化アメリカ並みにヤバイ。


『えっ、アメリカ連邦が軍拡をしているって?』

『はい。如何しましょう?』

『これは腹を括るしか無いかもな……』


 アメリカ連邦は、世界を敵に回す勢いで勢いで軍拡していった。

 それが冗談ではなく本気であったことが証明されるには、今しばらくの時間が必要であった。

ついに拙作のラスボスが誕生してしまいました。

南北統一アメリカというチートオブチートな国家に、世界がどう対応していくかが見ものですね!(白目


>フィッシュ&チップスの材料にイカが選ばれるようになるくらいに

タラの値段が上がってしまって、代わりにイカが使用されるようになってるとのこと。

でも、それってフィッシュ&チップスじゃなのではボブは(ry


>ライカDⅢ

当時の日本では、ライカで家が建つと言われていました。

これは別にライカが特別に高かったというわけでなく、単純に日本の物価が安すぎただけだったりします。


>国葬にして士気を上げることに注力すべきであろう。

超デカイ遺影を置いて、『我々は今一人の英雄を失った……』とかやれば、盛り上がること間違いなしですね!


>ネジ式連結器

昔ながらの連結器。

日本とアメリカでは絶滅危惧種というか、全滅しています。ヨーロッパだとまだまだ現役だったりします。メリットはガクつきが無いのでスムーズな発進が出来ること。欠点は解放するのに手間がかかることです。


>ちなみに、この世界ではアルバニア侵攻は起きていない。

そんなことをしようものなら、英国がポンド借款を即刻全額引き上げてイタリア経済に大打撃確定です。


>あっという間にタンカー全体が炎に包まれることになった。

原油の引火点ってマイナスなので、常温だと普通に引火します。

ドルの現ナマや有価証券という焚き付けもあるので、盛大に燃えてくれることでしょう(合掌


>「……残念だが、テッド君は現在消息不明だ。よって、この問題は我らだけで対応する必要がある」

マルヴィナさんに延髄チョップを喰らったあとのテッド君の姿を見た人はいませんでした南無ぅ( ̄人 ̄)ちーん


>スペイン王国亡命政府と同じ轍を踏むわけにはいかん。

本編第105話『ヴィルヘルム3世即位』参照。

前任のロイド・ジョージは、スペイン王国亡命政府を放置し過ぎた結果暴走させる切っ掛けを作ってしまいました。


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― 新着の感想 ―
後の世のドキュメンタリーやらで世界一高くついた船舶事件として綺羅星を飾りそうな… そしてそれは偽装だったとか陰謀論が流行ってタンカー資金詐欺とかが生まれるんですねw
いかの刺身・・・イカフライ・・・じゅるり。 ドーセットは平和だなあ(アメリカから目をそらしつつ) >『ドーセット公だけを狙ったから問題は無いだぁ? そんな都合の良い言い訳を英国が信じるわけないだろう…
赤い嵐~世界を革命する為に~ 世界同時革命論者と南北アメリカ大陸の悪魔合体! やはりピッケルが全てを解決するのだ!
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