第102話 東京オリンピックの裏側で(自援絵有り)
『……第12回近代オリンピアードを祝い、ここに東京オリンピック競技大会の開会を宣言する』
今上天皇がオリンピックの開会宣言を高らかに詠み上げる。
1940年7月23日は、アジア初の近代オリンピックが開催された日として記録されることになった。
「お久しぶりですなドーセット公。お元気そうで何より」
「ケソン大統領こそ。ご活躍は聞き及んでおりますよ」
貴賓席では、マハルリカ共和国大統領マニュエル・ケソンと駐日英国全権大使テッド・ハーグリーヴスが旧交を温めていた。その後しばらくは世間話などしていたのであるが……。
「ところで、ドーセット公。我が国は日本と安全保障条約を結ぼうと思っている」
唐突に飛び出す爆弾発言。
ケソンが来日した真の目的は安保条約の締結であった。
「……我が国としては両国の同意に口出しするつもりはありませんよ?」
この世界の日英同盟に相互参戦義務が設定されていたことを思い出して、テッドは返答を逡巡してしまう。
日本が戦争状態になれば、英国は日本との敵対国に対して宣戦布告して参戦する。英国が戦争状態になれば、日本は英国との敵対国に対して以下略。
両国の安保条約の内容にもよるが、マハルリカ共和国が戦争状態になった場合に英国が戦争に巻き込まれることをテッドは危惧したのである。
「ドーセット公の危惧も分かるが、わたしは今しかチャンスは無いと思っている」
そんなテッドの考えを見透かしたようにケソンは畳みかける。
「……まぁ、そうでしょうね。確かに今のアメリカならば何もしてこないでしょう。本国にはこちらから話しておきます」
「ありがたい!」
両手で力強くテッドの手を握るケソン。
東京オリンピック開催中にも関わらず、日本とマハルリカ共和国は安保条約を締結することになったのである。
「……と、いうわけなんだけど」
英国大使館に戻ったテッドは、本国のロイド・ジョージ首相に連絡を入れていた。事が事だけに急いで知らせる必要があったのである。
『主権国家同士が対等な条件で結ぶ安保条約なら問題無い。むしろ、味方が増えて喜ばしいことだ』
ロイド・ジョージは日本とマハルリカ共和国の安保に反対はしなかった。
むしろ、両国の安保を望んでいるようにも見えた。
「アメリカがマハルリカ共和国に戦争を吹っかけて、日本が参戦した場合に巻き込まれることなるんじゃ?」
テッドが両国の安保を危惧する最大の理由である。
この世界のアメリカならば可能性は低いと思ってはいたものの、それでも有り得ないことでない。
『日英同盟には特例事項が設定されている。それを適用すれば済むだけの話だ』
事も無げな様子なロイド・ジョージ。
この世界の日英同盟には、こういったケースを想定して特例事項が設定されていた。
「そういうことならば、問題無いですね。おそらく日本側からも話が来ると思うので、そう返事しておきます」
『うむ、上手くやってくれたまえ』
英国本国からの内諾が得られたことで日本とマハルリカ共和国の安保条約の障害は無くなった。しかし、それはスムーズな安保条約成立を意味するものでは無かったのである。
『日真安保反対!』
『我が国を戦争に巻き込む安保を粉砕せよ!』
『国民を裏切る鈴木内閣は退陣せよ!』
オリンピックの際中だというのに、永田町は騒然となった。
国会議事堂周辺はデモ隊によって埋め尽くされたのである。
「はぁ、まるで安保闘争を彷彿とさせる光景だねぇ」
大使館の窓から行進するデモ隊を目撃して呆れるテッド。
世界線を違えても、安保とデモは切っても切れない関係なのであった。
「……閣下、調査結果をお持ちしました」
執務室のドアがノックされてエージェントが入室してくる。
テッドがMI6日本支部を動かして調査を依頼していたのである。
「ご苦労様。で、結果はどうだった?」
「今回のデモの背後にいるのは民政党とアメリカです」
「直接動けないとは思っていたけど、からめ手を使ってきたかぁ……」
アメリカは旧植民地である旧フィリピン(現マハルリカ共和国)の独立を認めてはいなかったが、英国と日本を敵に回す可能性を考慮してこれまでは軍事行動は控えていた。
しかし、デイビス政権になってからは軍事的オプションは放棄された。
現在は絶無となった経済的依存度を再び高めて、最終的には経済植民地にするべく裏工作の真っ最中であった。
「かなりの資金が民政党と、その支援者たちに渡っています。いかがされますか?」
しかし、安保条約が締結されると経済的支配は困難になってしまう。
日真安保条約(仮称)の締結をアメリカは座視出来なかったのである。
「そうだねぇ……上の人間には警告を。現場でデモの指揮を取ってる連中は安保締結が終わるまで根こそぎ拉致っといて」
「了解致しました」
実行犯がいなくなった結果、前日までの永田町の喧騒は嘘のように静かになった。国会審議でも特に反対されることなく日真安保条約は成立することになるのである。
『……あと5m!……4m……3m……2……今、1着でゴール! 日本金メダル!』
実況アナウンサーの絶叫がブラウン管から木霊する。
駐日英国大使館の執務室に置かれた白黒TVは、オリンピック水泳女子200mの様子を映し出していた。
『河野典子これで二つ目の金メダルです! 強い! 強すぎるっ!』
この時代のテレビは白黒テレビであり、庶民では手が出せないほど非常に高価だったので街頭テレビが主流であった。もちろん、テッドは庶民ではないのでポケットマネーでテレビを購入していたのである。
「うーん、やっぱりスク水は良いな……」
思わず口走ってしまうテッド。
仮にも全権大使さまが口走ってよいセリフでは無い。
この時代の競泳水着はスク水が主流であった。
テッドが生きていた時代の競泳水着は機能性を追求した露出が少ないデザインが主流であり、スク水が新鮮かつ魅力的に見えたのである。
(ドーセット領でも水泳授業とスク水を取り入れるべきだな。領内の全ての小中学校にプールを作らないと!)
断じて少年時代のプール授業で女子のスク水に萌えたからとかではない。
そんな邪なことは考えていないのである。多分。
「テッド、今年の夏コミのコスプレなんだけど。どう?」
「テッドさん。に、似合ってます?」
執務室のドアが開け放たれたのは、そのタイミングであった。
コスプレ衣装を装着した正妻のマルヴィナと愛人のおチヨが入室してくる。
「な、な……な……!?」
テッドは絶句していた。
二人はスク水のコスプレ(?)をしていたのである。
マルヴィナは金髪のウィッグを装着し、スク水の上からは丈を詰めた袖無しセーラー服っぽいのを纏っていた。背中にはミニチュアの魚雷を吊り、右手には大型の浮き輪を持つなど小道具も完璧であった。
「似合うかしら?」
マルヴィナがポーズを取ると金髪のウィッグが揺れる。
スク水を凄まじい勢いで圧迫しているスイカップも揺れる。
この時代の競泳水着に使用されている素材には、そこまでの伸縮性は無い。
ここまではっきりとシルエットが出るわけが無いのであるが、そこはコスプレ衣装を製作したキャサリン・サンソム女史の腕の見せ所。きっちりとマルヴィナの肉体寸法を見切って生地を裁断し、漢の夢であるスク水の乳袋を実現していた。
「テッドさん。に、似合ってます?」
隣のおチヨは自慢の長髪をショートヘアのウィッグで隠したうえで、水中メガネを装着。マルヴィナとは対照的に真っ白なスク水で、左手には大きな筒状の小道具もばっちりである。
マルヴィナが人外な肉体をしているだけで、おチヨもトップモデルになれるくらいのナイスバディである。こちらもキャサリンがきっちり寸法を見切っており、スク水乳袋がしっかりと実装されていた。
「やっほー、どう? 今回のコスプレは自信作なのよっ!」
そう言って、二人の後ろから顔出すキャサリン。
とんでもないことをやらかしたというのに、まったくもって悪気が無い。
「おまっ!? なんちゅーもんを作ってくれたんじゃあーっ!?」
「えっ? えっ?」
主犯に猛然と食ってかかるテッド。
事の重大さが分かっていないのか、キャサリンは目をぱちくりする。
「〇ーちゃんは小柄でぺったんだから良いんだろーが!? 〇ゆもメリハリあり過ぎだろうが!?」
生前に提督で潜水艦娘に愛着があったテッドからすれば、目の前のコスプレは上等な料理にハチミツをブチまけるがごとき所業であった。激怒せずにはいられなかったのである。
「なっ!? テッド君、貴方はコスプレ道を無礼ているわね!?」
「なんだとぅ!?」
「コスプレは文化なのよ。リアリティだけじゃない。ありとあらゆるものが許容される。それこそが真のコスプレなのよっ!」
「限度ってものがあるわい!? あそこまでいったら単なる痴女じゃねーかっ!?」
マルヴィナとおチヨを放置して、二人はコスプレ論争に突入する。
その様子はまさに竜虎相打つが如しであり、ただひたすらに不毛であった。
『目線ください! ちょっと胸揺らしてもらっていいですか!?』
『ひゅー! ひゅー! いいぞーいいぞー!』
『見抜き良いですか!? ふぅ……』
テッドの必死の制止もむなしく、お披露目したコスプレでマルヴィナとおチヨは夏コミに参加した。退〇忍もかくやな衣装を身に着けた痴女に不埒者が殺到したのであるが……。
『ぐへへ、やらせぐぇっ!?』
『全員排除します』
『二度と邪な考えが出来ないように潰しますね?』
護衛のメイド部隊に残らず殲滅されたのは言うまでも無い。
しかし、当日の報道では熱射病と報道されるにとどまった。コミケに規制が入るのを恐れたテッドが必死にもみ消したのである。
『大外刈1本! 決まったぁぁぁ! 木村政彦金メダル! 重量級の牛島に続いて、中量級でも日本金メダル!』
とある日の駐日英国大使館。
執務室の白黒テレビはオリンピック柔道中量級の決勝戦を放映中であった。
(今思えば、よくあんな化け物相手に怪我せずに済んだなぁ)
ブラウン管に釘付けなテッドは戦慄していた。
木村の動きがあまりにも人外じみていたのである。
テッドは、木村と過去に対決したことがあった。
過去と言ってもまだ2ヵ月も経っていなかったりするのであるが。
(レフェリーが止めてくれなかったら、折られていたかも)
今思うとゾッとする。
あの時は何でもありだったから勝負になった。仮に柔道で挑んでいたら瞬殺されたうえに、大怪我をさせられていたであろう。
『閣下、面会希望者が来ておりますが……』
背筋の寒気が未だに止まらないテッドであったが、デスクの内線が鳴れば対応せざるを得ない。受話器から聞こえてきたのは、困惑する守衛の声であった。
『本人は閣下のお知り合いと言っているのですが、その、見た目があまりにも異様で……』
「いや、良いよ。通してあげて……」
受話器から漏れ聞こえる声に頭を抱えるテッド。
わざわざ顔を出すからには重要な案件であろう。速やかに通すように守衛に命じるのであった。
「いよっ、久しぶりじゃのぅ」
やがて執務室に現れたのは、浮浪者と見まがう風体をした老人であった。
頭に巻いたターバンはともかく、長めのチェニックとズボンは風雨に晒されたのかボロボロであった。
「金子さん。来るときはアポを取ってくださいよ……」
「そんなことしたら面白くないやないか」
ため息をつくテッドに対して老人はからからと笑う。
目の前の老人は世界最大の個人商店である鈴木商店の大番頭、金子直吉だったのである。
「それにしても、久しぶりの羊羹は美味いのぅ。日本に帰って来たって実感がわくわ」
虎屋の羊羹をぱくつく金子。
お茶はもちろん静岡県産の玉露である。
「あ、これ土産な」
「ど、どうも……」
金子は目が青色が美しい大皿を押し付ける。
受け取ったテッドは傍に控えていたメイドに渡してお茶請けを持ってこさせる。
「……で、こっちに顔を出したってことは進展があったわけですか?」
青い大皿に盛ったクリスプを口に運ぶテッド。
色はともかく、細部の仕上げは雑なので日常使いには好都合といえる。だからといって、その場で使うのもどうかとは思うが。
「うむ、4BC鉄道なんやが、アフガニスタンまで延伸してるで。ほれ、これが現場からかすめとった路線図や」
「うわっ、本気で中国までつなげる気満々じゃないか……」
金子の報告に青くなるテッド。
まさか本当に鉄道建設をするとは思ってもいなかったのである。
4BC鉄道は、ベルリンからビザンティウム、バクダード、バグラームを経由して中華民国まで至る。ヴィルヘルム2世の発案であり、10年前から建設が始まっていた。
「……そういえば、この路線ってインド通ってないよね?」
路線がインドを通過していないことにテッドは疑問を抱く。
そもそもの事の発端は、インド国民議会とドイツ帝国外相との密会を金子が報告したことなのである。普通に考えればインドを通過しないはずがない。
「あぁ。結局インド方面は中止になったらしいで。色々と条件面で折り合いがつかなかったらしい」
当初の計画では、アフガニスタンから南へ迂回してインド経由で中華民国へ至るルートであった。しかし、インドとの交渉は最終的に決裂してルート変更を余儀なくされた。
インド側の不幸は代替ルートが発見されてしまったことであろう。
アフガニスタンのワハーン回廊を経由して中華民国へ至るルートに実現の目途が立ってしまったのである。距離も短縮出来るうえに、足元を見られずに済むとあっては選択しない理由は無い。
「それにしても、利害調整はどうなってるんだろう? 植民地に鉄道を通すのとは訳が違うだろうに」
「あぁ、そこらへんは各国に国営の鉄道会社を作ることで解決したみたいやで」
4BC鉄道建設の最大の難点――それは、鉄道敷設国との利害調整であった。
無駄に複雑化&長期化することが確実だったところを、ドイツ外相コンスタンティン・フォン・ノイラートは各国に国営鉄道を作るという手段で解決したのである。
なお、ドイツ帝国が鉄道敷設国に提示した条件は以下の通りである。
・建設する国営鉄道会社の株式をドイツ帝国と鉄道敷設国で半分ずつ保有する。
・10年間は鉄道株の売買は禁ずる。それ以後は自由に売買可能。
・鉄道の規格はドイツ帝国に準じるものとする。
・鉄道の維持運営はドイツ帝国が行うものとする。
・生じた利益で新たな路線を建設する場合もドイツ帝国が全面的に請け負う。
この提案に鉄道敷設国であるトルコ王国とイラン、アフガニスタンは飛びついた。国の発展のために新たな鉄道建設をしたいと思ってはいたものの、資本も技術も無かったのである。
一見するとドイツ側にはメリットが薄い条件であるが、最悪赤字なりさえしなければ良いと割り切っていた。それだけドイツ帝国は安定的に資源を輸入する手段を欲していたとも言える。
「現地の噂だと、中国国境手前のワハーン回廊あたりは難工事になるって話や。それでも5年後には開通するだろうともな」
「この鉄道が完成すれば、イギリスや日本に対する外交も変化するかもね。こりゃあ本国に報告しないとなぁ……」
想像以上に面倒な案件になりそうと直感して、ため息をつく。
そんなテッドを金子は面白そうに見つめていた。
「じゃあ、儂はもう行くで。これでも忙しいんでな」
「東京オリンピック中なんだから、少しくらい観戦してもいいだろうに」
「そうもいかん。安保が締結されれば、もっと忙しくなるからな」
来た時と同じく帰る時も嵐のように去っていく。
齢70をとっくに超えてというのに、とんでもなく元気な老人であった。
4ABC鉄道は金子の予想通り1945年に完成することになる。
それはドイツ帝国外交の一大転換点を意味するものであった。
これまでドイツ帝国は融和政策を取らざるを得なかったが、海路に頼らない資源輸入が可能になれば両国に配慮する必要は無い。
長大な貿易航路を維持するための航路防衛艦などという軽巡もどきの産廃を海軍の予算を浪費して大量に維持する必要も無くなる。
結果として、4ABC鉄道は新たな戦争を産むことになる。
しかし、オリ主チートであっても神ならぬテッドには知る由も無かったのである。
「……今回は緊急ということだが?」
「何やら嫌な予感がしますなぁ」
「ドーセット公が参加している時点で朗報では無いのは確かですな」
ただならぬ雰囲気に小声となる紳士たち。
ロンドンの首相官邸の大会議室には、円卓メンバーが緊急で集められていたのである。
(聞こえてるぞごるぁ。ちったぁ小声で話せ)
地獄耳なテッドには聞こえていたが、亀の甲より年の劫。
自分の倍近く生きている人間相手に不毛な言い争いをするつもりなど毛頭無かった。
「遅くなった。早速だが時間が惜しい。公式発表はまだだが、コロンビア共和国政府が国内のアメリカ企業の国有化を宣言した」
遅れて入室してくる首相兼円卓議長のロイド・ジョージ。
時間が惜しいとばかりに、いきなり爆弾発言をぶっこむ。
「あいつら正気か? それが意味することを理解しているのか?」
「アメリカは何故放置していたのだ?」
「まさか新政権とやらが、何もしないと高を括っていたのだろうか……」
それが意味することを悟った円卓メンバーたちに動揺が広がる。
南米の現地法人はデイビス政権のスポンサーであり、利益の代弁者でもある。それを国営化しようものならアメリカが黙っていないだろう。
「メンジーズ君、状況の説明を頼む」
「了解であります」
禿げ上がった――もとい、額が広い髭の紳士が咳払いしつつ立ち上がる。
新たにMI6長官に就任したスチュワート・メンジーズ陸軍少将である。
「デイビス政権に現状は表立った動きはありません。しかし、南米へ再出兵することは確実でしょう。現在、鋭意情報収集中であります」
もっともらしい言葉を吐くメンジーズ。
何も分かっていませんと言ってるのと同義であったが。
「そんなことは分かっている。問題は何故もっと早く知ることが出来なかったか、だ」
「こうなる前に何らかの手を打てたのではないか?」
「君たちには多大な予算をかけているのだ。相応の実績を出してもらわないと困る」
円卓のメンバーからは批判が殺到することになったのも当然のことであろう。
ボヤ騒ぎで済むかもしれなかったのに、初期消火に失敗してしまったのは明白なのであるから。
「……そのことに関しては申し訳ないと思っております。しかし、現在の北米支部はとある案件に忙殺されて情報収集に支障をきたしていたのです。この件に関しては、ドーセット公のほうがお詳しいと思いますが?」
その様子をメンジーズは忌々しく思ったが、伊達にMI6長官はやっていない。
何食わぬ顔で責任転嫁を試みる。
(ここでこっちに振るか普通!?)
思わずメンジーズを睨むテッドであったが、責任の一端があることは事実なのである。嫌々ながらも、この場にいないシドニー・ライリーを恨みながらも釈明をするハメになったのであった。
『コロンビア共和国は国内全てのアメリカ企業の国有化を宣言する!』
1940年8月中旬。
世界中に衝撃が走った。南米のコロンビア共和国がアメリカ企業を接収したうえでの国有化を宣言したのである。
ベネズエラ、エクアドル、ブラジルなど南米の諸国家もコロンビアの動きに追随した。南米の全ての国家でアメリカ企業の現地法人が国有化されるまで2週間もかからなかった。
この暴挙に対してアメリカが何もしないわけが無い。
MI6北米支部は総力を挙げて、これを調査する必要があったわけなのだが……。
『……ちょっと気になったんだけど。これってどれくらいの分量があるの? 1冊や2冊じゃないよね?』
『100冊や200冊では無いのは確かだが、正確な数は覚えてないな』
間が悪いことにMI6北米支部はフーヴァー・ファイルの捜索に全力を挙げている最中であった。初動が遅れてしまったことで、情報収集に支障をきたしてしまったのである。
フーヴァー・ファイルに異常に入れあげていたのはシドニー・ライリーであり、テッドは直接関わっていない。ファイルの収集自体には反対していなかったが。
フーヴァーの亡命を認めなければ良かった――と、指摘されれば反論しようがない。テッドに責任の一端が全く無いとは言い切れないのである。
(これで、あの公爵さまも多少は円卓での立場を失うことだろう)
釈明に追われる政敵を見て、ほくそ笑むMI6長官。
彼はテッドを激しく敵視していた。とは言っても、一方的にメンジーズがライバル視していただけなのであるが。
(厄介なのに睨まれたなぁ……)
テッドとしては、迷惑かつ厄介な話でしかない。
身分としてはテッドが上でもMI6という組織内では立場が逆転してしまう。さすがに露骨な真似はしないだろうが、追い落とし工作は十分に有り得る。
(いずれは日本支部長の座もはく奪せねば。そもそも全権大使が日本支部長を兼ねることが異常なのだ)
実際、メンジーズはテッドの追い落とし工作を開始していた。
そのことに執着してしまうあまりに、致命的な失策を犯してしまうことになるのであるが。
この世界のMI6が世界最強の情報機関という事実は揺るぎない。
しかし、組織内の権力争いによって機能不全に陥いりつつあったのである。
「あったわ! まさかこんなところに仕込むとはね」
「これで3つめですねっ!」
「この分だと、他の部屋にもあるわね……」
駐日英国大使館内にある大使公邸。
その客間でメイドたちは掃除の真っ最中であった。
「あははっ、1匹いたらなんとやらです」
「ゴキブリみたいに言わないでよ。でも、アイツらならやりかねないわねぇ」
「ほらほら、手を休めない。今日中にクリーンにするわよ!」
しかし、メイドたちが取り除いているのはチリや埃ではない。
スパイ映画には欠かせない小道具。いわゆる盗聴器である。
『盗聴されています。お気をつけて』
大使館の執務室に置いてあった差出人不明の書状。
その内容はあまりにも重大であった。テッドが直ちに大使館内の掃除を命じたのは言うまでも無い。
この手の陰謀が嫌らしいのは、誰が敵で誰が味方か分からなくなることである。
最悪の場合、全員が敵ということも有り得る。
しかし、テッドはその点は全く心配していなかった。
日本支部のエージェントはともかくとして、メイド部隊と私設SP部隊は確実に信用出来たからである。
メイド部隊と私設SP部隊は、ドーセット公爵家家令のセバスチャン・ウッズフォードの一族郎党で占められていた。テッドと公爵家に絶対の忠誠を誓う者たちであり、裏切りは有り得ない。
『わたしも現役時代はそういう人間を相手にしてきたのでよく分かります。敵に回すと厄介ですが、味方にすると頼もしいものです』
結婚前のマルヴィナが、テッドに一族を雇うことを進言したことは間違ってはいなかった。金で買うことが出来ない唯一無二の物が絶対的な忠誠なのである。
「……」
深夜の執務室。
誰もいないはずの部屋の扉が音も無く開かれる。
「……」
周囲を警戒しながらも素早く、かつ音を立てずに動く。
その動きは、腕利きのエージェントのそれであった。
「……」
男は壁掛け時計に近づく。
懐から取り出したのは盗聴器であった。
男が持つ盗聴器は無線信号の周波数を合わせることで盗聴を開始でき、離れた場所から無線受信機で室内の会話を聴き取ることが出来る。バッテリーもケーブルも不要なので、発見されない限りは好きなだけ盗聴が可能という優れものであった。
「がぁっ!?」
盗聴器を仕掛けようとした瞬間、男は昏倒した。
背後に幽霊の如く立つ黒服の女性――私設SPが背後から一撃を加えたのである。
メイド部隊と私設SP部隊は地獄のマルヴィナ・ブートキャンプの卒業者であった。『町娘を立派なアサシンに』という物騒なスローガンは伊達ではなく、こと直接戦闘力に関しては下手なエージェントでは歯が立たないほどの実力を誇る。
いかに腕利きとはいえ、そんな強者に不意討ちされたらどうしようもない。
こそこそと工作をしていた不審者は現行犯で捕縛にされたのであった。
案の定と言うべきか、不審者はMI6本部から送り込まれていた。
負傷を理由に強制入院させられたあげく、本部に送り返されることになる。
「……これだけやって、何も出てこないとはどういうことだ!?」
テムズ川沿いに所在するMI6本部の長官室。
部屋の主であるメンジーズは、報告を持って来た部下を怒鳴っていた。
緊急の円卓会議が終わったタイミングで、メンジーズは動いた。
長官命令で日本支部を動かして、テッドの弱みを探ろうとしたのである。
「長官。そうはおっしゃいますが、ドーセット公の日本支部の統率は見事なものです。簡単に尻尾は出さないかと……」
「そこを何とかするのが、貴様らの仕事だろうが!?」
報告を持って来た部下は白けていた。
何が悲しくて、味方の弱みを探らないといかないのか。
メンジーズのやり方は部下たちから嫌われていた。
功を焦るあまり、強引な調査を乱発して現場のエージェントたちにしわ寄せがいっていたのである。
(まったくもって忌々しい。あのシドニー・ライリーのせいでわたしの立場が……)
彼自身も部下たちに嫌われていることは自覚はしていた。
嫌われている原因を自分ではなく、シドニー・ライリーのせいにしてしまっているあたりがダメダメであったが。
(まぁ良い。まずはドーセット公を引きずり下ろす。老いぼれはその後だ)
シドニー・ライリー海軍大将は、メンジーズにとって目の上のたん瘤であった。
部下でありながらも階級が上で命令しづらいし、某拳骨の中将の如く現場で好き勝手に動きまくる。
独断専行を叱責したくても実績は出してるので難しい。
MI6の英雄として人望を集めているので左遷することも出来なかった。年齢を理由にお飾りポストにでも就かせようとも考えたのであるが……。
『もう良い歳なんだから、いい加減管理職になれば良いのに……』
『馬鹿こけ。尻で椅子を磨くくらいなら、現場で殉職したほうがマシだ』
常々生涯現役を公言しているシドニー・ライリーは、管理職のポストを提示されても歯牙にもかけなかった。過去にMI6長官就任を蹴ったと噂される男が、お飾りポストなんかに心が動くはずも無い。
とにもかくにも、メンジーズはシドニー・ライリーを失脚させたかった。
しかし、彼の実績と組織内のカリスマは他の追随を許さない。まずは力を削ぐために盟友であるテッドの追い落としを謀っていたのである。
(本当にここなのか?)
大阪朝日新聞の記者尾崎秀実は戸惑っていた。
目の前に広がるのは樹齢数百年の大木に囲まれた閑静な庭園。どこからか川の流れや滝の音も聞こえてくる。
芝の紅葉山に立地する料亭紅葉館。
史実では伊藤博文や西園寺公望、ベーブルースなど名立たるVIPを接待してきた高級料亭である。
事の始まりは、尾崎に届いた差出人不明の招待状であった。
中身は場所と時間しか記されていなかった。
怪しさ爆発であったが、それでも尾崎は招待を受けることにした。
場所が場所なので詐欺の可能性は無いと判断したこともあるが、それ以前に新聞記者としての好奇心が勝ったのである。
「尾崎さまですね。奥へどうぞ……」
美人な女将に先導されて廊下を進む。
案内されたのは最奥の間であった。
「「「ようこそお越しいただきました」」」
中に入れば着飾った美姫たちがお出迎えである。
この時点で尾崎の警戒心はマックス状態だったのであるが……。
「野球をするなら~」
「よよいのよいっ!」
気が付いたら、芸者遊びに夢中になっていた。
さすがは超高級料亭。接待技術は最高峰である。
「……失礼します。お連れさまがおいでになりました」
既に本来の目的を忘れている尾崎であったが、それに水を差すように女将が来客を告げる。
「お、楽しんでるね?」
「なぁぁぁぁぁっ!?」
来客を見た瞬間、尾崎はムンクの叫びと化した。
それを無視してテッドは芸者たちを解散させていく。
「みんなごめんね。ここからはお仕事の話だから」
「はーい。今度はお客さまとして来てくださいねドーセット公」
速やかに撤収する芸者たち。
あれだけ賑やかだった空間は、あっという間に殺風景すぎる空間に早変わりした。
「さて、ほどよく緊張もほぐれたところで話をしようか」
にこやかに語り掛ける尾崎のトラウマ――もとい、テッド・ハーグリーヴス。
顔はともかく、目は笑っていなかった。
「あの、今から帰るという選択肢は……?」
「はっはっは、ナイスジョーク」
「ですよねぇ……」
尾崎は肉食獣の口の中に入り込んでしまったことを悟った。
もはや退路は無い。
「……単刀直入に言うけど、経費は全部持つからアメリカに行ってもらいたい」
「アメリカに……?」
「そう。ジャーナリストとしてアメリカの状況を取材してもらいたいんだ」
テッドからの提案に驚く尾崎。
てっきり、過去の所業を追求されるのかと思っていたのである。
『……アグネス。行くのか?』
『わたしは共産主義をあきらめない。トロツキーを追う。貴方が立ち直ってわたしを追ってくることを切に願っているわ』
この瞬間、5年前のアグネスとのやり取りを思い出していた。
彼女はアメリカへ旅立っていった。トラウマで燻っていた尾崎は追うことが出来なかった。
目の前の男はトラウマを植え付けた存在には違いない。
その顔を見るだけでも震えが止まらない。
「先に行っておくけど断ってもペナルティは無いよ? 今のアメリカは安全とは言えないからね」
それでも、千載一遇の機会であることは間違いない。
このまま閑職に甘んじるくらいなら、危険を冒すだけの価値があると思えた。
「あんたが望んでる情報を俺が手に入れられるとは限らないんだが? 手に入れても隠してしまうかもしれないぞ?」
しかし、尾崎にも矜持があった。
無条件で尻尾を振る飼い犬に堕ちるつもりはない。
「情報の取捨選択は君に任せるよ。そのうえで情報を提供して欲しい。重要な情報なら高く買い取るから」
テッドもプライドを傷つけないように配慮していた。
この手の人間のプライドを損ねると、後々面倒なことになるのを痛いほど理解していたのである。
もっとも、テッドからすれば尾崎は扱い易い部類であった。
ヒトラーを筆頭に有能だが性格や性癖が破綻している部下たちに比べれば、であるが。
テッドが尾崎を取り込もうとしているのは、独自の目を欲したためであった。
メンジーズが敵対的な態度を明白にした以上、MI6のエージェントは怖くて使えない。素知らぬふりして偽情報を摑ませることだってあり得る。
テッドとて、自らの城である日本支部は大丈夫だと信じたい。
しかし、組織の長たるMI6長官が手段を選ばなかったら何時まで抵抗出来るか分かったものではない。
そういう意味では尾崎も信用出来ないのであるが。
ただ、コミンテルン支部である共産党は壊滅したので敵対する理由も無い。
シドニー・ライリーという手もあるが、多用するわけにはいかなかった。
いくらワーカーホリックといっても、寄る年波には勝てない。今の段階で過労死でもされたら困る。
「分かった。引き受けよう」
「ありがとう。そう言ってもらえると信じていたよ」
トラウマで燻っていた時間を取り戻したかったのか、それともアグネスに会いたかったのか。尾崎が依頼を引き受けたその真意をテッドは知らないし、知ろうとも思わなかった。
尾崎が日本を発ったのは、それから1ヵ月後のことであった。
定期的に送られてくる情報は『尾崎レポート』としてアメリカ国内を知る資料として活用されることになるのである。
「……諸君、困ったことになった。南米への再出兵が避けられなくなった」
ワシントンDCのホワイトハウス。
オーバルオフィスの大統領の執務机に座るデイビスの表情は暗かった。
『大統領、今すぐ南米に出兵しろ!』
『奪われた会社を取り返すんだ!』
『思いあがった南米の土人たちに身の程を教えてやれ!』
怒鳴り込んできた彼のスポンサーたちが帰ってから2時間も経っていない。
今回の緊急会議が如何に緊急なのかを如実に示していた。
「ラッセル君。南米に海兵師団を出すとして、どれだけの兵力が必要になるかね?」
「前回は3個師団を投入しましたが、戦力過剰であったことは否めません。1個師団で十分でしょう」
大統領の質問に海兵隊総司令官ジョン・H・ラッセル・ジュニア海兵隊大将は端的に答える。彼は前回の経験から南米の鎮圧には1個師団もあれば十分と見積もっていたのである。
これは敵戦力が前回と同程度と仮定したうえでの見積もりであった。
しかし、貧乏な南米諸国が簡単に軍拡出来るとも思えないので特に問題視はされなかった。
「分かった。南米に1個師団を派遣しよう。可及的速やかに、だ」
「ちょ、ちょっと待ってください!? 1個師団を輸送する船舶と燃料はどこから出てくるんです!?」
商務長官のハリー・ロイド・ホプキンスがデイビスに食ってかかる。
ガソリン価格の安定化のために奔走している状態で、そんな燃料を馬鹿食いする行為を彼は到底認めることが出来なかった。
『ガソリン売ってくれ!』
『もう売り切れたよ。次の入荷は未定だよ』
『ふざけんな、これじゃ商売あがったりだよ!?』
全米のガソリンスタンドではガソリン品切れの看板が林立していた。
南米からの石油輸入が途絶えたことによって、現在のアメリカは石油製品の高騰に歯止めがかからない状態であった。
アメリカは本来ならば国内自給出来る程度の油田はある。
なのに、何故この世界では輸入に頼っているのか?
南米に進出したデイビスのスポンサー企業は、最新の設備と豊富で安価な労働力を活かして石油製品をアメリカ本国へ大々的に輸出していた。その結果、国内産の原油生産は採算が取れずに停止してしまった。結局は自業自得なのである。
この事態に大慌てで国内油田の再稼働を始めたものの、そう簡単に再生産出来れば苦労はしない。放置されていた採掘設備のメンテが必要であるし、油田を閉鎖したことで散っていった従業員を呼び戻すのにも時間がかかる。
国内の油田の再稼働には時間がかかるのは明らかであった。
そのため、アメリカは南米以外の国から石油を輸入しようとした。
『石油を売ってくれ!』
『いや、我が国はドイツに優先的に卸してるんで……』
『少しでもいいから売ってくれ!』
手始めに満州産の石油を輸入した。
しかし、満州国で産出する石油の大半はドイツへ輸出されていたので需要を満たすことは到底不可能であった。
『金はいくらかかっても良い。とにかく売ってくれ!』
『いや、うちから買うと関税かかりますけど?』
『なんだっていい! とにかくあるだけ売ってくれ!』
なりふり構わないアメリカの石油バイヤーは日本にまで買い付けに行った。
この世界の日本は海南島に存在するオイルシェールや、尖閣油田によって世界有数の産油国だったのである。
中立国の満州国とは違い、経済ブロックが違う日米間の貿易は高額の関税がかかる。それでも買わなければならないほどアメリカは追いつめられていた。
「……商務長官、心配はいらん。船は使えないからな」
「それはどういう……」
自嘲気味な海軍長官のチャールズ・エジソンにホプキンスは困惑する。
その様子に呆れたようにエジソンは言葉を続ける。
「忘れたのか? 君が経済政策を最優先にするために海兵を大量に退役させただろうが」
「あ……」
思い当たったのか、気まずい表情となる。
当時のポプキンスは軍部を無用の長物扱いして、大なたを振るっていたのである。
10年間無税化を続けるための代償。
それは経済成長に不要なものを徹底的にカットすることであった。
平時の軍隊が役立たず呼ばわりされるのは世の常であるが、それでも最低限度の抑止力は必須と言える。しかし、この世界のアメリカでは海軍と海兵隊の大規模な軍縮が断行された。安全保障の概念をぶっ壊す暴挙以外の何物でも無い。
急激な経済成長で労働力が逼迫していた時期であり、新たな労働力はアメリカ社会で大歓迎された。世間では大統領の英断と賞賛され、軍部は反論の機会を封じられてしまったのである。
経済維持のために、なりふり構っていられなかったのは分かる。
しかし、こんな無法がまともな国家でまかり通るはずがない。
最大の問題は、デイビスたちがアメリカに攻めてくる国など存在しないと考えていたことであろう。
たとえ攻めてきたとしても沿岸部の占領が関の山。
補給が切れたところで追い落としてしまえば良い。良くも悪くも、彼らの常識は第1次大戦で止まっていた。
「輸送だけなら民間船舶を徴用するという手もあるが、敵地に強行突入の可能性がある以上は不可能だろう。陸路を行くしかない」
「何が何でも1個師団分の燃料と物資はかき集めますので……」
「是が非でもやってくれ。我らは君たちの尻ぬぐいに行くのだからな」
ラッセルの言葉は、ただひたすらに冷たかった。
政権奪還時の解放軍としての希望も使命感も既に存在しない。この期に及んで部下たちに無理を強制させるデイビスと側近たちに愛想を尽かしていたのである。
『国有化は断じて認められない。ステイツは現地の邦人を救出するために出兵する!』
1940年9月某日。
デイビス政権は南米への再出兵を世界に宣言した。
海兵隊1個師団が出撃したのは、その数日後であった。
虎の子の機甲師団は陸路で南米大陸を目指すことになったのである。
内輪揉めしている場合じゃないのに、内輪揉めしているのは油断しているから?
違います。これは余裕というのですよ(オイ
欧州方面が静かになったと思ったら南米大陸が騒々しくなりそうです。
海兵隊の皆さんには、是非とも南米大陸にたどり着いて欲しいですね(他人事
>……第12回近代オリンピアードを祝い
オリンピックの開会宣言は形式が決められています。
令和のオリンピックも似たような文面だったはずです。
>マハルリカ共和国
史実における旧フィリピン地域。
この世界ではアメリカから独立を果たしています。なお、漢字で書くと真華理香(真国)になります。
>日真安保条約
身も蓋も無い言い方をすれば、劣化版日英同盟。
双方の軍事協力は定められていますが、相互参戦義務まではありません。
>河野典子
1940年代の女子水泳平泳ぎ100m、200mのレコードホルダー。
戦前にオリンピックが開催されていれば、間違いなく活躍したと思われます。あと読み方は適当なので念のため。Wikiに記事が無くて分からないんです_| ̄|○
>スク水
おいらは直接見たことないけど、最近のスク水はだいぶデザインが変わっているみたいですねぇ。
>二人はスク水のコスプレ(?)をしていたのである。
描写だけで二人が何のコスプレをしているか分かった人は、コメントでどうぞw
>キャサリン・サンソム女史
英国の外交官にして日本研究者であるジョージ・サンソムの妻。
史実では昭和初期の東京の街と人々の暮しを軽妙な筆致で描いた日本印象記『東京に暮す』の著者として有名です。この世界だとコスプレ製作おばさんと化していますが、仕立て屋としての腕はプロ顔負けだったりします。
>漢の夢であるスク水の乳袋を実現していた。
ガチでエロゲのスク水の乳袋を再現しやがりました。
さすがキャサリン・サンソム女史。そこにシビれる!あこがれるゥ!(オイ
>『見抜き良いですか!? ふぅ……』
見抜きはラグナロクオンラインのイメージが強い気がするのですが、他のゲームでも実例あるんですねぇ。
>木村政彦金メダル!
この時代にオリンピック柔道があれば木村が中量級最強なのは間違いないでしょう。なお、重量級は師匠の牛島辰熊が圧倒的な強さで優勝しています。
>金子直吉
久しぶりの登場。
今回はアフガニスタンの民族衣装を着ていました。
>青色が美しい大皿
アフガニスタン名産のイスタリフ焼きです。
いくつか種類があるのですが、一番目立つ青色をチョイスしてます。
>4BC鉄道
ルート変更して1945年に完成予定。
この世界では逆一帯一路が現実に……!
>「ドーセット公が参加している時点で朗報では無いのは確かですな」
テッド君が円卓会議に参加しているときに限って、厄介ごとが起きていたりします。なのでメンバーからは疫病神扱いされてたりします。
>北米支部はとある案件に忙殺されて情報収集に支障をきたしていたのです。
本編第101話『きな臭い新大陸』参照。
うん、これはテッド君は言い訳できませんね。主犯はシドニー・ライリーだけどw
>『盗聴されています。お気をつけて』
犯人は日本支部のエージェントです。
本部から不法行為を強要されて良心の呵責に耐えられなくなって内部告発しました。
>バッテリーもケーブルも不要
元ネタはソ連時代に開発された『The Thing』です。
当時としては画期的な盗聴器で、7年間も米大使の席の後ろで動作していました。
>メンジーズにとって目の上のたん瘤であった。
ワンピのガープも大概ですが、この世界のシドニー・ライリーはさらに手が付けられません。上司よりも実績も階級も上とか管理職からすれば悪夢以外の何物でもないですねぇ。
>尾崎秀実
昔はコミンテルンの敏腕エージェント。
今はうだつが上がらない新聞記者。落差が激しすぎますね。その原因を作ったのはテッド君だったりしますけどw。
>「野球をするなら~」
野球拳はれっきとした芸者遊びです。
エロいことを想像したのはテレビに毒されているので反省してください。まぁ、全部欽ちゃんが悪いんですけどw
>にこやかに語り掛ける尾崎のトラウマ
本編第97話『泥沼の東部戦線』参照。
全ては、おチヨの子供を誘拐しようとしてテッド君の逆鱗に触れた共産党が悪いのです。




