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ステファニーを除く、部屋の中にいるみんなが驚いていた。
「オリビア先生、ごめんなさい。これは、いけない力の使いかたですね。」
癒しの力でステファニーは、エドワードの警戒心をほぐし、秘密の暴露を促したのだった。
「そうですね。でも、今回は他生徒を助ける為なので、よしとしましょうか。」
そういうと、オリビアは笑った。
「さて、私は学園長に報告しないと。ゆっくりと休んでいてね。」
そういうと、オリビアは救護室を出ていった。
「僕も行くよ。君のお陰でいろんな事が分かった。ありがとう。この事は学園だけじゃなく城にもちゃんと報告するから安心して。」
クラークは、エドワードを引き連れ救護室を出ていった。
「ステフ、体は大丈夫?本当に辛いところない?」
アイリッシュは、ステファニーを心配して話しかけた。
「ありがとう。大丈夫よ。二人とも助けてくれてありがとう。二人が私に話してくれたことちゃんと覚えているよ。」
「本当に?」
「うん。アイルやブラッドが本当に私のこと大切に思ってくれてるって分かった。それなのに、あんなひどい事言って傷つけてごめんね。」
「僕の方こそちゃんと近くで守ってあげられなかった。ごめん。」
「私も、ステフを守ってあげられなかった。ごめんなさい。」
ブラッドリーと、アイリッシュは頭を下げた。
「仲直りしてくれる?」
そんな二人にステファニーは声をかけた。
「もちろん。私達はずっと友達よ。」
アイリッシュはステファニーに抱きついた。
「ブラッド。ブラッドもずっと友達でいてくれる?」
「もちろんだよ、ステフ。ずっと友達だよ。」
ステファニーの問いかけにブラッドリーも返した。
すると、アイリッシュがニヤッと笑うとブラッドリーに言った。
「ブラッドは、友達のままでいいの?ステフをずっと守ってあげたいって言っていたじゃない。まるでプロポーズみたいじゃない。」
アイリッシュの言葉にブラッドリーは顔を赤くした。
「いや…それは…。」
ブラッドリーが、口ごもっていると入り口から声が聞こえた。
「ブラッドリー殿、ステファニーにプロポーズとはどういうことです。」
入り口には、学園長に連れられ、リッチモンド侯爵夫妻と兄のセドリックがいた。さっきの言葉はセドリックのようだ。
「お父様、お母様、お兄様。来てくださったのですね。」
「ステファニー、大変だったね。アイリッシュ嬢、ブラッドリー殿、ステファニーを助けてくれてありがとう。」
アルフレッドは、ブラッドリーとアイリッシュの手をぎゅっと握った。マリアンヌは、涙を浮かべながら、ステファニーをぎゅっと抱きしめた。
「ステファニー、無事で良かった。ブラッドリー殿は後でゆっくり話をしましょうか。」
ステファニーに優しく微笑むと、今度はブラッドリーを睨んだ。
その目にブラッドリーは背筋を伸ばした。




