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「ステフと初めて会ったのは、ブラッドの家のお茶会だったわね。最初はね、ブラッドがこそこそ会いに行ってる女の子がいるって知って興味があったの。どんな女の子なのかなって。初めて会ったステフは、おとなしい女の子なんだなって思った。そして、ステフにもらった花束は、優しい気持ちが溢れてた。きっと一生懸命に花を選んでくれたんだろうなって分かってすごい嬉しかったのよ。私も友達になれたらいいなってすぐに思ったのよ。でも、ステフは、私の目を見てなかなか話をしてくれなくて。それは、瞳の色をコンプレックスに思っているからだって分かってたけど、なんかもどかしかった。だから、いつかは人の目を気にして下を向いてばっかりいないで、ステフに心から笑って欲しいって思ったの。だって、あんなに綺麗な花を咲かせられるんだもん。噂になんて負けないで欲しかった。その為には私も力になってあげなくちゃって思ったの。学園に入る時も絶対守ってあげるって約束したのに、私、約束守れなかった。ごめんなさい。」
アイリッシュの言葉を女の子は涙を流しながら聞いていた。そして、
「ブラッド、アイル」
と、呟いた。その声はステファニーの声だった。
「ステフなの?」
アイリッシュが呼び掛けると、女の子は、我にかえったような顔をすると、
「やめろ!うるさい!」
と叫んだ。そして、必死に手を振りほどこうとした。
しかし、アイリッシュは今度はぎゅっと女の子を抱きしめた。
「私達がケンカしたあの日、ステフは私がステフに新しい友達が出来るのを邪魔してるって言ったでしょ。でもね、本当にそんなつもりなかったの。私は、ステフに新しい友達がたくさん出来て楽しい学園生活を送って欲しいって思ってた。だから、ステフに誤解されて悲しかったし、どうしてそんなこと言うのか分からなかった。私達、ずっと仲良しだったし、ステフは、私の気持ちいつも分かってくれてると思ってた。だって、ステフはいつも私の意見に賛成してくれてたから、きっと考え方が似てるんだって思ってた。」
そういうと、アイリッシュの目からも涙が溢れた。
「でも、違ったんだって気がついたの。ステフは、優しいからずっと自分の考えを隠して私の提案に賛成してくれてたんだよね。きっと、ステフの考えに合わないものもあったんだと思う。それなのに、たくさん考えを押し付けていたよね。ごめんなさい。これじゃあ、本当の友達とは言えないよね。だから、今度はちゃんと話そう。ステフの考えもちゃんと聞くから、教えて。私、ステフと本当の友達になりたい。ケンカしても、ちゃんと話して、仲直りして、前よりもっと仲良くなるの。だから、暗闇なんかにいないで、出てきて。お願い、ステフ。」
アイリッシュは強く抱きしめた。
「そうだよ、ステフ。出ておいで。僕達、まだちゃんと仲直りしてないじゃないか。ちゃんと顔をみて謝りたいよ。」
ブラッドリーは、黒い球体に向かって叫んだ。




