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「ステフ、どうしたの?なんでそこにいるの?」

「ステフ、目を開けてくれ。」

二人は、黒い球体の前まで行くと、必死に呼び掛けた。

しかし、二人の声はステファニーには届かなかった。二人がどんなに叫んでもステファニーが目を開けることはなかった。


「そんなことしても、無駄よ。」

どこからか声が聞こえた。二人が振り向くと女の子が立っていた。

女の子は小さな頃のステファニーに似ていた。

「あなたは誰?ここで何してるの?」

アイリッシュは女の子に優しく話しかけた。

「私はあの子、あの子は私。私とステファニーは二人で一つなの。だから、今はもとに戻るために準備してるの。」

「どういうこと?今すぐステフをあそこから出してくれないか。ステフを助けたいんだ。」

ブラッドリーは女の子にステファニーを球体から出すようにお願いした。

「嫌よ。今、私達が一緒になるように準備してるって言ったでしょ。あの球体の中でステファニーは黒く染まるの。誰かのせいでステファニーは変わってしまった。だから、もとに戻ってもらわなくちゃ。」

「駄目よ。黒い闇が強くなったらステフが死んでしまうの。」

「ステファニーは、もう私と一つになるの。」

女の子は、可愛く微笑むと嬉しそうに言った。

「ステファニーは生まれてからずっと一人だった。誰も信じず、一人で生きてた。寂しさや苦しさで黒い球体もずっと大きかった。」

女の子は、球体をいとおしそうに撫でた。

「それなのにあなた達があの子を変えた。あなた達といると、球体がどんどん小さくなった。暗い部屋に光がどんどん入ってきた。でも、もうそんなことさせない。」

女の子は、二人を睨んだ。

「あの球体は、もしかしてステフの心の闇なのか?」

「そうよ。あなた達のせいですごく小さくなったけど、またこんなに大きくなった。寂しさや苦しさ、今一番強いのは、怒りかしら。たくさん人に裏切られて辛かったのね。だから、一人になれって何度も言ったのに。」

女の子は、球体を見ながら中のステファニーに話しかけた。

「お願い、ステファニーを出して。このままでは死んでしまうの。」

アイリッシュは、女の子に一生懸命にお願いした。しかし、女の子は聞く耳を持たなかった。

「嫌よ。私達はもうちょっとで一つになるんだもん。暗闇の中で私達は、ずっと一緒にいるの。」

「もういい。僕が何とかする。空気砲で粉々にしてやる。」

ブラッドリーは、球体に向かって力を放った。しかし、球体には、傷一つつかなかった。

「くそー。」

「私に任せて。」

今度はアイリッシュが火炎砲を球体に放った。しかし、またしても傷一つつかなかった。

「そんな…。」

二人は、諦めず何度も何度も力を放った。しかし、球体はどんどん大きくなった。まるで二人の放ったエネルギーを吸収して大きくなっていくようだった。

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