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次回更新は少しあいて、1月5日予定です。
ステファニーは、自分の魔力の制御の訓練に励みながら、何かあるとアイリッシュやブラッドリーに相談した。そして、どんな悩みも二人が自分のことのように一緒に考えてくれることが、ステファニーはとても嬉しかった。時には厳しいアドバイスをもらうこともあるが、ステファニーは、その期待に答えようと一生懸命だった。
二人に相談するようになっても、度々黒い球体の夢を見た。しかし、夢の中の少女は少し小さくなった黒い球体の前に立ち、ステファニーを睨み付けるだけで何も言わなかった。
最近、ブラッドリーはステファニーの行動を少し心配に思うことがあった。
「ステフ、もしどうしても無理だとおもったら、はっきり言っていいんだよ。最後は、ステフがやるかやらないかは決めていいんだからね。僕やアイリッシュが言ってるのは一つの提案であって、絶対その通りにしなければいけないわけじゃないからね。」
「わかってるわ。大丈夫よ。」
ステファニーの言葉を聞いても、ブラッドリーは心配だった。
(あれ以来、ステフは僕達に相談してくれるけど、自分の気持ちはまったく話してくれない。ステフがどうしたいのかまったく分からない。だだ僕達の言う通り、それを実現することを一番に考えている気がする。)
最近のステファニーは、自分の考えより、二人が喜んでくれる為にはどうしたらいいのかを一番に考えて行動していた。その考えは二人にとどまらず、その他の人に対しても同じだった。
ステファニーは、人に頼まれると断れなかった。もし断って、もう二度と仲良くしてくれなかったらと思うと怖かった。ステファニーは、黒目の自分を受け入れてくれる大切な人を失うのが怖かった。
初めは、勉強を教えて欲しいとクラスメートに頼まれて一緒に放課後
勉強していたが、一度宿題を忘れた友達を心配してその子の代わりに空き時間に宿題をやってあげたことがあった。それから、数名の女の子に宿題を忘れたから助けて欲しいと頼まれることが増えた。
その日も空き時間に図書館に行こうと教室を出ようとした時、三人の女の子がやってきた。
「ステファニー様、また今日も図書館に行きますの?」
「はい、そのつもりです。」
「実は、また私達宿題をやるのを忘れてしまって…。」
「大丈夫ですよ。また、私がやっておいてあげますわ。」
「ありがとうございます。では、これ。」
女の子がステファニーにノートを渡そうとした時、横からそのノートを奪った人がいた。アイリッシュだ。
「これは、どういうこと?なんでステフがあなた達の宿題をやらなきゃいけないの?」
「アイル、彼女達は宿題をやるのを忘れて困ってたの。ほら、私は、次の時間空いているから。」
「何言ってるの。それは、ステフがやることではないわ。忘れたなら自分で何とかすればいいじゃない。」
アイリッシュは、三人組を睨み付けた。
「ちょっと待って。私達は、別に無理やりやらせているわけではないわ。ステファニー様からやってあげるって言ってくれたのよ。」
「ステフの優しさに漬け込んでやらせてるだけでしょ。忘れたなんて嘘ついて、最初からステフにやらせるつもりだったんじゃないの?」
「そんなわけないでしょ。」
アイリッシュ達が、大きな声でいい合っていたので、クラス委員のキャロラインが近づいてきた。
「大きな声を出して、一体どうしましたの?」
前置きにも書きましたが、次回更新は少しあいて、1月5日予定です。また、読んでもらえると嬉しいです。




