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夢のなかで、ステファニーは、暗闇の中を歩いていた。

しばらく進むと目の前に黒い球体が現れ、それは宙に浮かんでいた。近づいてみると黒い球体の近くに小さな女の子が立っていた。

「あなたはだれ?」

「私はあなたよ。」

女の子は、ふふっと笑うと黒い球体に近づいた。。

「きれいでしょ。一回小さくなっちゃったけど、また大きくなったの。もっと、もっと、大きくしたいな。」

女の子は、嬉しそうに黒い球体に手をかざしている。そして、またステファニーを見ると話始めた。

「ねぇ、学園に行ってよかった?辛いことあったんじゃない?学園なんかやめちゃえばいいのに。だってあなた危ない魔法持ってるんでしょ。やめちゃいなよ。また、一人でいればいいじゃん。」

「やめないわ。ちゃんと、制御の方法を学べば安全なのよ。そうすれば、またブラッドやアイルと一緒にいられる。」

「本当に?制御を学んだからと言って本当に暴走しないと言えるの?いつか人を傷つけるわよ。そんな魔法を持つ人間は、一人でいなくてはいけないんじゃないの?やっぱりあなたは、いらないのよ。邪魔な存在なんだね。かわいそう。」

「そんなことない。私は…、私は…。」

ステファニーは、頭を抱えて座りこんだ。すると、黒い球体はだんだん大きくなってきた。

「いい感じ。もっと大きくしなきゃ。」

女の子は、嬉しそうに呟いた。


ステファニーは、悲鳴をあげて飛び起きた。

(夢?怖かった…。もっと練習を頑張らなくちゃ…。)

ステファニーが、また人を避け部屋にこもるようになり、みんな心配した。

ステファニーに理由を聞いても、

「心配しないで。魔法をただ極めるために練習しているだけだから。」

と答えるだけだった。そう言われると、家族は何も言えなかった。

ただ見守ることしか、出来なかった。

しかし、そんなステファニーを放っておけない人達がいた。

ブラッドリーとアイリッシュだ。

最近のステファニーの様子に、理由の見当がまったくつかない二人はとうとうステファニーに、直談判することにした。

その日も授業を終え、すぐ帰ろうとするステファニーを二人は引き留めた。

「ステフ、変える前に少し話をしましょう。」

「ごめんなさい。今日は用事があって。」

「すぐ終わるから、頼むよ。中庭で三人だけで話をしたいんだ。」

三人は中庭へと向かった。


「ステフ、どうして私達を避けるの?」

「僕達、何かステフを傷つけることしたのかな。」

三人はベンチに座ると、アイリッシュとブラッドリーがステファニーに尋ねた。

「二人は何にも悪くないわ。ただ、私が二人を傷つけてしまうかもしれないから、それが怖いだけなの。」

「それは、瞳の話?私達はそんなこと信じていないって言ったでしょ。」

アイリッシュとブラッドリーは、なぜ今さらその話になるのかと不思議に思った。

「違うの。私の魔法の事なの。」

ステファニーは、意を決して立ち上がり、二人の方を向き直した。

「もし、私の魔法が暴走し、それを人が浴びたらその人の精神を壊してしまうかもしれないの。まだ、私は自分の力を制御出来ていないから。いつか暴走して大切な人達を壊してしまうんじゃないかって怖いの。」

ブラッドリーとアイリッシュは、癒しの魔法についてよく知らず、そんな影響を与えることもあるとは知らなかった。そして、それでステファニーが悩んでいるとは、思ってもみなかった。

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