33
ステファニーとアイリッシュはあわてて駆け寄った。
「ブラッド、大丈夫?どこか痛いところはない?」
「大丈夫といいたいけど、立ち上がるのは無理そうだ。」
「大変だわ。すぐにみんなをよんでくるわ。」
アイリッシュはあわてて人を呼びに走った。
「ごめんなさい、ブラッド。私のせいだわ。」
「ステフのせいじゃないよ。僕が足を滑らせたからだよ。」
ステファニーは、痛みに耐えるブラッドリーの手をぎゅっと握って目を閉じた。
(ブラッド、頑張って。)
すると、突然ステファニーの手から光が溢れだしブラッドリーを包んだ。そして、その光は森へと広がりやがて弾けるように光が消えた。
「ステフ。」
突然、ブラッドリーはステフを呼んだ。
ステファニーが目を開けるとさっきまで痛みに苦しんでいたブラッドリーが微笑んでいた。
「ブラッドリー。どうしたの?痛みは?痛くないの?」
「ステフの光が僕を治してくれたみたいだ。それに周りをみて。」
ステファニーとブラッドリーの回りだけ綺麗な花が咲き乱れていた。
二人が驚いて、固まっているところに青い顔をした使用人とアイリッシュが戻ってきた。
しかし、痛み苦しんでいるはずのブラッドリーが起き上がり、二人が咲き乱れた花の中に座っているのをみて、みんな驚いた。
「いったい何があったの?」
アイリッシュは呟いた。
ステファニーは、屋敷に戻ると改めてどんな魔法がつかえるのか調べてもらった。
「ステファニー様からは、癒しの魔法が溢れだしております。」
ステファニーにはとても珍しい癒しに関する魔法が使えることがわかった。その魔法は、怪我をした人間だけではなく植物にも影響を与えることがわかった。
ステファニーが育てた植物は癒しを受け、ストレスを感じることなくすくすく成長するらしい。その為、バラはトゲが少なくなったのではと考えられた。そして、その花にステファニーのかすかな魔法が残り見る人をいやしていた。
この癒しの力は植物にとってとても有益に感じるが、野菜に関してはちょっと問題となるようだ。野菜は癒しにより、すくすくと自身を成長させるが、そのせいで実をつけなくなるらしい。野菜にとっては、ある種のストレスが必要らしく、そのせいで、ステファニーのミニトマトは美味しい実をつけないのではと考えられた。
「この力を調整して使えないのでしょうか。」
野菜が実をつけない理由がわかった今、力を上手く使いこなせばたくさんの実をつける野菜を育てることが出来るのではと、ステファニーは思った。
「いま、ステファニー様は力がコップから少しずつ溢れ出している状態です。力を使いこなすには専門の先生に学ぶ必要があります。やはり、学園で学ぶのが最適だと考えます。」
ステファニーの心は決まった。
「お父様。私は、学園でこの力を使いこなす方法を学びたいです。」




