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ブラッドリーは大切な事を思い出した。

「忘れていました。今日は鉢植えをプレゼントしたくて、持ってきました。もしかして、お部屋にもういっぱいありますか。」

「いえ、部屋に花はおいていないのです。温室や花壇ばかりで。」

「もし、お部屋に置くのが嫌でなければこの花は部屋においていただけませんか。」

「部屋にですか。」

「はい。これは、月下美人という花で夜にしか花を咲かせないそうなんです。そして、香りもとても良いと聞きます。」

「夜にしか咲かない花があるなど知りませんでした。ブラッドリー様ありがとうございます。ブラッドリー様、お花に詳しいのですね。」

「いえ、詳しいのは母で。実は、ステファニー様に珍しい花をプレゼントしたくて探していたら、教えてもらって。恥ずかしいですが…。」

「私の為に、わざわざ探していただいたなんてすみません。本当にありがとうございます。」

お礼を言うステファニーにブラッドリーは言いにくそうに口を開いた。

「あの…。よろしければ、もう少し話しやすい言葉づかいにしませんか。あと、出来れば敬称もなしで。そうだ、私の事はブラッドと呼んでください。難しければ、少しずつでも。」

「わかりました。では、私の事も敬称無しで呼んでください。ブラッド…の呼びやすい呼び方でかまいません。」

「それでは、ステフって呼んでいいかな。」

「はい。ステフでいいです。」

ステファニーは、恥ずかしそうに下を向いた。

「では、ステフ。これからもよろしくね。」

「こちらこそ、よろしくお願いします。」

まだ、堅苦しい言い回しが抜けないステファニーにブラッドリーは、笑みがこぼれた。

話し方を変えたおかげか、二人はだんだん仲良くなった。今まで、お茶を飲み、座って会話していただけだったが、ブラッドリーがステファニーの育てた花をみたいと花壇や温室で過ごすことも増えた。大好きな花に囲まれていると、ステファニーはだんだん緊張もほぐれ話せるようになってきた。

「ステフは本当に花が好きなんだね。育てた花はどうするの?」

「メアリーやシリルがいつも手伝ってくれてるから気に入ったのは持って行ってもらったりしています。」

「屋敷に飾ったりはしないの?こんなに綺麗なのに。」

「そんな、素人が育てた花なんて駄目です。屋敷にはやっぱりもっと綺麗で豪華な花じゃないと。」

ステファニーは、絶対無理だと大きく首をふった。

「そうかな~。こんなに綺麗なのに、みんなに見せないのはもったいないよ。ステフだってせっかく育てたのに人に見せないで枯れてしまったら悲しいだろ。」

花はステファニーの心を癒してくれる大切な存在で、他の人に見せるとは考えたことがなかった。

(自分は、家族のお荷物で何も出来ないと思っていた。でも、私の育てた花で屋敷が明るくなれば少しは恩返しができるかしら。花を飾るのをお父様達は許してくださるかしら。)

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