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次の日、ステファニーは温室で花の世話をしていた。
「ステファニー様、きれいな花が咲きましたね。」
エイミーは、ステファニーの横で一緒に世話をしていた。
「いつも手伝ってくれてありがとう。気に入った花があったら持って行ってね。」
「ありがとうございます。実は友達が今度誕生日なんです。花が大好きだから、きっと喜びます。」
友達の話を嬉しそうに話すエイミーに、ステファニーは複雑な気持ちになった。
「ねえ、エイミー。友達がいるっていい?」
「ステファニー様…。ブラッドリー様との事悩んでおいでですか。」
「うん。私にはよくわからないの。」
悩んで口ごもるステファニーをみて、エイミーはすっと立ち上がった。
「ステファニー様。よろしければ少しお話いたしませんか。ただいま、お茶をご用意いたします。」
そう言うと、エイミーは、にこっと笑った。
「不安だったり、聞きたいことを私に教えていただけませんか。」
エイミーは温室のテーブルにお茶を用意すると、ステファニーに話しかけた。
「友達がいるって本当に楽しいのかしら?お兄様は友達と過ごす楽しさを味わって欲しいって。」
ステファニーは小さい声で話始めた。
「すべて私の経験からお話しますが、友達と一緒に話をしたり、どこかへ出掛けたりすることはとても楽しいです。」
「でも、喧嘩してお互いに傷ついたりしないかしら。それに、知らずに相手を怒らせたりしないか…。」
「喧嘩したってお互いに謝って仲直りしたらいいんです。それに、喧嘩したあとの方が仲良くなったりすることもあるんですよ。変に気を使い過ぎるのは良くありません。」
ステファニーより少し年上のエイミーは、優しく妹に話しかけるように話した。
「でも、信じていたのに裏切られたりしたらどうしたらいいの。私だけが友達だと思っていて、向こうはそう思っていないってこともあるでしょ。影で悪口を言われたりすることもあるんでしょ。そんな事があったらと考えたら…。」
ふと、前の記憶が蘇り、切実なステファニーの言葉は温室に響いた。




